とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

文字の大きさ
19 / 564

第19話 まさかの緊急事態発生!

しおりを挟む
 地獄イベントの担当が決まった次の日、学院内の舞踏会や社交界が開かれる2階建てで円形状の建物に、多くの生徒が集まりだしていた。
 建物の中は、中央は吹き抜けになっており、2階には柵から1階を見下ろせる様になっていた。
 そしてステージは、入口の真反対側に作られていた。

「ここがコンテスト会場か。意外と、広いんだな」
「今はまだ、人が入ってないから広く感じるだけで、観客が入って来ると結構いっぱいだよ」

 私は、シンリと一緒にコンテスト会場の下見に来ていた。
 メインコンテスト開始まで、残り2時間あるが既に生徒たちが集まり、室内に出ている出店に集まっていたり、談笑していたりしていた。
 そのまま私はステージ裏へと行き、待機場所を確認していた。

 トウマはと言うと、衣装や台本を見直しているので、私が下見役でシンリと一緒に来ているのだ。
 本当は、去年出ていたアルジュに頼んだが、絶対に行きたくないと言っていたので、1人だと不安なのでシンリに頼んで付いて来てもらったのだ。
 待機場所やステージ構造も確認出来たので、一度帰ろうとした時にバッタリとルークに出くわしてしまった。

「げっ」
「クリスか。こんな所で何…あ~そう言えば、今年の前座はお前とトウマに決まったんだったな」
「なんだ、その少しとぼけた感じの言い方は」

 私の態度を見たルークは、少し最近当たりが強くないかと言われる。
 すぐに私は、そんな事はないお前の気のせいだと言い返した。
 ルークはあっそ、と別に対して気にしていなかった様に返事をした。
 そのまま私はルークの横を通りすぎて行った。
 だが、どうしても気になった事だけ伝える為に、私は立ち止まり振り返った。

「一つだけ言い忘れた。お前のその白い正装、性格に全くあってなくて似合ってないぞ」

 私は言いたい事を言い終えると、そのまま舞台裏から出て行くが、ルークは何も言わずに黙ったままだった。

「別に俺が着たいから、着てるわけじゃねぇよ……そんなに似合ってないか?」

 ルークが少し首を傾げて、控室へ戻って行った。
 メインコンテスト開始まで、残り1時間を切った頃には、会場にも多くの生徒たちが集まっていた。
 そして司会者がステージに立ち、観客を盛り上げたり、出場者の紹介などを始めていた。

 私は一度トウマと合流し、打ち合わせをした後、衣装を持って先に会場で待っていた。
 下見した際に、誰にも見られず着替えられる場所を見つけておいたので、そこで着替え今は舞台裏で、トウマの到着を待っていた。
 トウマを待つ間私は、しっかり緊張し始めており一人で待っているのが心細くなり、早くトウマが来ないかとそわそわしていた。
 その頃トウマは、自室にて衣装に着替えて下手なりにメイクをしていた。

「やっと綺麗に出来た! って、やっば! もう、こんな時間かよ、急いでクリスの所に行かねぇと」

 準備が出来たトウマは急いで、部屋を出て会場へと急いで向かい始めた。
 そして寮出る寸前で、アルジュに出会うと行ってくると挨拶を交わし、時間が惜しいのでトウマは、近道をしようと裏道を通って向かった。
 その直後、トウマと入れ替わる様に制服を着た学院の生徒が、オービン寮へと訪れた。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 メインコンテスト開始まで30分を切ったが、トウマは未だに会場に現れていなかった。

「トウマ遅いな…何やってんだよ……まさか、ここで逃げたとかないよな」

 私は到着が遅いトウマを心配しながら、最悪な想定をしていた。
 その頃トウマはと言うと、謎の覆面マント集団に追われていた。

「マジで何なんだよ! いきなり襲ってきたと思ったら、次は捕縛とか何なの?」

 トウマは女装の衣装のまま、人が少ない裏道を走りまくり隠れながら、謎の覆面マント集団から逃げていた。

「何に対しての妨害なんだよ! 聞いた事ないぞ、地獄イベントの妨害だなんてよ!」

 背後から数名の覆面マント集団が、ロープやテープなどを持って迫っていた。
 トウマは、裏道から入り組んだ校舎の抜け道に行先を変更し、一気に振り切る作戦に出た。

「よし、このまま巻いてやるぜ!」

 そして目の前に抜け道の出口が見え、一気に走る抜けようと踏み出した瞬間、足元にピンと張らてたロープに足を取らて転んでしまう。

「いってぇ……へぇ?」

 転んでしまったトウマを覆面マント集団が、一気に囲うと口にテープをされ、袋を頭に被せられる。
 そのまま体をテープでグルグルに巻かれ、数人がかりで運び始めた。
 運ばれた先は、校庭などの用具が置かれる用具倉庫であった。
 そこでトウマは、頭に被せられた袋のみを外されて放置される。

「ほい! ふんのまへだ、おへえら! (おい! 何の真似だ、お前ら!)」
「これも貴方様のためなのです」

 トウマが塞がった口で、覆面マント集団に力いっぱい問いかけると、ボソッと小さく誰かが言葉を発していたが、トウマには聞こえていなかった。
 そのまま用具倉庫の扉が閉められ、鍵もされてしまい監禁されてしまう。
 どうにかしてトウマは、ロープやテープを剥がそうと、ジタバタしたりするも状況が全く変わる事はなく、ただ体力がなくなるだけだった。

「(マズイぞ、このままじゃ時間に間に合わない…いや、逆に考えればこんな目に遭ったんだ、出れなくてもしょうがないのでは……クリスには申し訳ないが)」

 トウマがそんな邪な考えをしていると、突然用具倉庫の扉が何度かノックされる。
 それに気付いたトウマは、全力で塞がれた口のまま声を上げるも、その後の反応が無くなってしまい気付かれなかったと諦めていた。
 直後、鍵がかけられた用具倉庫の扉がトウマの頭上を吹き飛んでいった。

「っ!?」

 トウマの視線の先には、制服を着た1人の生徒が立っていた。
 そんな緊急事態が発生しているとは知らず、私は緊張と悪い想像から、顔面蒼白になりかけていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

男女比8対1の異世界に転移しました、防御力はレベル1です

オレンジ方解石
恋愛
 結婚式の最中に、夫に他の女と逃げられた花嫁、水瀬透子。  離婚届けを出す直前に事故で瀕死となった彼女は、異世界の女神から『妾と取り引きするなら、助けてやろう』と持ちかけられる。  異世界の《世界樹》の《種》を宿す《仮枝》となった透子は、女神の世界に連れて行かれ、二年を過ごすこととなった。  そこは男女比が8対1という偏った世界であり、女性が《四気神》と呼ばれる守護者に守られる世界。  女神とはぐれた透子は、そこで美形の青年、紅霞に助けられるが……。 ※追記の追記を少し直しました。

異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。

和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……? しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし! 危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。 彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。 頼む騎士様、どうか私を保護してください! あれ、でもこの人なんか怖くない? 心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……? どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ! 人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける! ……うん、詰んだ。 ★「小説家になろう」先行投稿中です★

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜

矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】 公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。 この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。 小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。 だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。 どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。 それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――? *異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。 *「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。

処理中です...