とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第54話 2人きり

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 落下の最中、ルークは私を引き寄せ頭を庇う様に強く抱き寄せられた。
 そのまま私たちは、頭から真っ直線に落下して行くと、地面と地面の大きな亀裂に落ちて行き、途中でルークの右肩に岩が当たる。

「ぐうぅっ!」

 そして亀裂のそこに近付いた時、ルークは左手を地面に向けて、魔法の『ガスト』を放ち落下速度を下げて地面へと落ちた。
 その際にもルークは私を庇う様に、自分の背中から落ちた。

「いっつてぇ……」
「ル、ルーク!」

 私は直ぐにルークから離れて、倒れているルークをゆっくりと起こした。
 ルークは落下の際に岩に当たってしまった右肩を抑えており、軽く出血もしていた。
 背中の方は、落下直前の突風魔法が功を奏し、傷やあざもなかった。

「ひとまず、右肩の応急処置だけでもしないと」

 私は、ルークが抑えてる手をどけてもらい、傷元に直接魔力治療を行い止血をした。
 前回からガードルに応急処置の内容を教えてもらっていたのが、ここで活きて教わっておいて良かったと思っていた。
 その後、血も止まったので、私がルークに手を差し伸べるが、大丈夫だと言って立ち上がった。

「にしても、ここはどこなんだ?」
「落ちた長さからすると、かなり深いところだな。見た感じ、渓谷って感じか……光は届いているが、地上もかなり上だな」

 私とルークは、とりあえず助けを求める為どこか上に上がれる所はないかと、周囲の探索を行った。
 だが、どこにも上へと登る様な所はなく、少し開けた場所に休める浅い洞窟がある程度であった。
 一旦その洞窟で、私たちは休むことにした。

「その……ルーク。私のせいでごめん……」
「全くだ。だから、油断はするなって言ったろ」
「ごめん……」
「後、一人称が私になってるぞ、お前」
「あっ」

 私の反応を見て、ため息をつくルークだったが、トウマたちが直ぐに助けを呼んでくれるから問題ないだろうと言う。
 その言葉を私も信じて待っていると、突然外がピカッと光った直後、ゴロゴロと遅れて音が響いて来た。

「おいおい……ここで、天候がまた悪くなるのか」
「それってかなりマズイ?」
「あぁ、最悪の展開だ」

 直後、大きな雷が落ち爆発音の様な音が響き渡った。
 私はその音に驚き、きゃっ! と声が出てしまう。
 それを聞いたルークは、少しにやけた顔で、完全に今女子だったぞと言われ、こんな時にそれは言わなくていいんだよと怒った。

「そんな事より、この感じだと直ぐに捜索されそうにないと考えておくべきだな。クリス、お前の支給バックには何が入ってる?」
「え、そんな大したものは入ってないよ」

 私はそんな事とスルーされた事を、ぶつぶつと言いながら、ルークに支給バックに入っている物を取り出して見せた。
 水が2本とハンドタオルに簡易版の地図、そして応急処置セットのみしか入っていないと分かると、ルークはひとまず暖を取れるようにするかと呟く。
 その後は、ルークと手分けして枝や燃えそうな物をかき集め、洞窟内で暖を取れるようにした直後、外では雨が降り出していた。
 ルークの持っていた非常食を分けてもらい、食事も済ませたが、思っていたより洞窟内は寒く私は少し震えていた。

「寒いのか?」
「いや……ううん、少し肌寒いだけ。暖もあるし、これに当たっていればたぶん大丈夫」

 するとルークは、持っていた残りのタオルと自分の上着を渡してきて、羽織って寒くしない様にしろと言われる。
 私は言われた通り受け取った物を使い、寒さをしのぎ、そのまま私は眠気に耐えられずひと眠りしてしまった。
 起きた時には、外は真っ暗になっており、ルークも背を向けて寝ているのか、声を掛けても返事がなかった。

「何だ、ルークも寝ちゃったのか。私も疲れて眠気に耐えられず寝ちゃったけど、ルークの方が気を張ってたし、疲れてねてるんだよな」

 ルークはここに着いた時から、私とは違い冷静に状況を判断し、怪我もしているのに私の事も気遣うし、何かいつもと違うんだよなと私は感じていた。
 何と言うか、私に優しいと言うか、気を遣っていると言うか、私が知ってる性格が悪いルークじゃなくて、変な気持ちだ。
 これも、もしかしたらマリアと何かあった事が関係しているのではと思いつつ、ちょっと寝顔でも見てやるかと思い、立ち上がった時だった。
 貧血の様な感じになり少しふらつき、視界も少しぼやけたが急に立ったからだと思いつつ、ルークにゆっくりと近付いた。

「たまには寝顔でも見て、恥ずかしい所を見られたと思わせてやる。いつもからかう仕返しだ……」

 私は視界がぼやけつつ、何故か体も熱くなりルークに近付いた時に、私はルークに覆いかぶさるように倒れてしまう。

「っ!? な、何してんだ、クリス!」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「? おい、クリス?」

 何か様子のおかしいクリスに気付いたルークが、私を揺らして声を掛けるが、私は意識がもうろうとし始めて、言葉もしどろもどろとしてしまう。
 すぐにルークが私の額に手を当てて、体温を確認すると平熱より高い温度だと気付く。
 ルークは私を横にして、頭には支給バックで作った枕を引いた。

「ル…ルーク……」
「しゃべるな、クリス。お前、熱があるなら先に言え……いや、俺が気付くべきだったな。既に一度、体を冷やしていたのを忘れていた。とりあえず、今は寝ろ」
「う……うん……ごめん、ルーク……」

 そこで私は眠りに入ると、ルークは私のバックに入っていた応急処置セットを開き、中身を確認するもルークは医療の知識までは、網羅出来ておらず対応に困っていた。
 すると洞窟の入口に何者かの影がある事に気付き、視線を向けるとそこには人ではなく、狼の魔物が威嚇して来ていた。

「魔物!?」

 ルークが気付いた瞬間に、狼の魔物は飛び掛かり、対応が遅れたルークはクリスを守る様に覆いかぶさった、次の瞬間だった。
 狼の魔物は甲高い声を出して地面に落ちた音がした。
 その音にルークが振り返ると、そこにはアリスがずぶ濡れの状態で立っていた。
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