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第97話 衝撃の告白
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魔力消失症と言う病は、今の医療では治療することが出来ない難病だ。
症状の発症時期は、人それぞれ異なり原因も不明であり、発症する確率は極めて低いとされている。
もし発症してしまうと、徐々に魔力を失っていき魔力が無くなってからは、筋肉が徐々に動かなくなっていき、最終的は動けなくなってしまうものだ。
何故筋肉が動かなくなるかは正確には判明してないが、ある説には魔力を持つ人間は全身に魔力が通っている為、魔力を失う事で体の一部が無く為、その関連で筋肉が動かくなるのではないかと言われている。
今までのケースから、発症してから5年で魔力消失が起こり、そこから5年で筋肉が衰え動かなくなるとされている。
だが、オービンはそのケースより魔力消失スピードが早いらしく、後2、3年で完全に魔力消失すると言われていたらしい。
現時点でも魔力量はかなり低迷しており、昔よりも魔法などが使えなくなっており、体調面でも影響が出ていたとオービンは語った。
寮長になってからよく遅刻や姿を消したりしていたのは、その突然の体調不良を隠す為だったとミカロスに打ち明けた。
また、このオービンの病を知っている人は限られた人しか知っておらず、タツミ先生すら2週間前に初めて打ち明けたと答えた。
そしてオービンが一通り話し終えると、ミカロスとエリスは今でも理解出来ないという顔をしていた。
「そりゃ、誰が聞いてもそんな顔になる。俺ですら、信じられなかったんだからな」
「そんなにですか?」
「そんなにだ。俺だって魔力消失症ぐらい知っているが、発症した奴は大抵落ち込み、引きこもったりと暗くなるのが普通だ。それなのに、お前は何事も無い様に生活し、ましてやそれを淡々と話すんだ。聞いてる方が、変になる」
タツミ先生は、オービンから視線をずらして嫌味ぽっく言った。
そんなタツミ先生を見てオービンは、「すいません」とまた謝った。
その後暫く、部屋が静寂が訪れる。
するとタツミ先生が、ミカロスとエリスがまだ受け入れられている表情なのを見ると、先に切り出した。
「話は戻るが、どうして約束を破った? お前、俺を騙したのか?」
「え~っと、それは何と言うか、直前で考えが変わったと言うか……」
オービンはタツミ先生から目線を斜め上へと外して、少しとぼける様に答えると、タツミ先生は怒鳴った。
「ふざけるな! 俺はお前の症状を悪化させるために、鎮静剤を渡したんじゃない! お前がどうしても言うから、渋々渡したんだ! それに約束したろうが! 無理はしない、弟にはわざと負けるだけだからと」
「……」
その言葉に、オービンは一切の反論は出来ずに黙ってしまう。
「おいオービン、それはどう言う事だ?」
「ミカ……」
そこへミカロスがまだ混乱しつつも、声を掛けて来た。
「お前、ルークにわざと負ける気だったのか? いや、そんな事よりどうして病気の事を俺に、俺たちに隠していたんだ? そんなに俺たちは頼れない存在か? それとも、始めから信頼してなかっ」
「そんなことあるか! がっはっ……ごほっ……ごほっ……」
「急に大声を出すな。今は安定してるが、またいつ活性化するか分からない状態なんだ」
タツミ先生の言葉に、頷くオービン。
暫くして呼吸が落ち着くと、もう一度オービンは話し始めた。
「確かにミカやエリスに隠していたのは、申し訳なかった。だけど、お前らには今まで通り接して欲しかったから、俺は言わなかったんだ」
「俺やエリスが、お前の病を知った所で態度が変わると思ってたのか? そんなわけないだろうが!」
「そうだろうな。だけども、一度話してしまったら、必ず病の事が頭にちらつくだろ。これは俺のわがままなんだよ。お前たちには、純粋に病だからだとか何も関係なく接していて欲しかったんだ」
「っ」
オービンの言葉にミカロスは返す言葉がなかった。
そこにタツミ先生が再び会話に入って来た。
「オービン。まだ俺の問いかけに答えてもらってないが、どうしてあそこまでして、ルークと全力でぶつかり合ったんだ? 結果的にはお前が勝ったが、自分の症状を悪化させただけで、何もメリットはなかったはずだ。最初に言った通り、ただ負けていれば、こんな事にもならなかっただろうが」
「確かに初めは、タツミ先生に話した通り負けるつもりでした。それで、ルークとの関係修復をしようとしてました」
オービンは、ルークとの関係や自分の思いを話した上で、今回の大運動会で第2学年へ宣戦布告したと明かした。
だけども、親友に相談した際にそれでは問題の解決にならないと言われ、全力でぶつかってやれば変わると助言を受けたことも明かす。
その時はさすがに病の事もあり、出来ないと思っていたのと、たとえぶつかったとしても逆に関係が修復すると言うより悪化するのではと感じていた。
だが、親友の助言がただ戦うべきだと言う事ではないと改めて考えた時に、ふと思い付いたのだった。
自分の力や周囲の認識を使い、ルークが自分と同等に引けを取らずに戦う姿を見せつければ、ルークが思っている皆に認められることも果たせるし、世間からの評価も見る目もいい方向へと向かうと考え付いたのだった。
また、自分の今後を考えた際に、後任となるルークの意識も変わり王の子供としての意識を持ってくれるかもしれないとも思っていた。
結局は自分が蒔いた種で紆余曲折あり、兄弟の関係と言う面では完全修復とはいかないと思いつつも、ルークの為未来の王国の為を考えた際に、今回決断した内容は決して間違っていなかったとオービンは語るのだった。
その後悔のない顔に、タツミ先生を含めミカロスとエリスも何も言えなかった。
「症状は少し悪化しましたけど、結果的には全部上手く言ったわけですよ。まぁ、本当にどうなるかは今後次第ですけど」
「それはオービンが命を掛けてまで、やる事だったの?」
「エリス……」
「だって、オービンはまだ私たちと同じ年齢じゃない! まだ王様だって健在だし、兄弟関係だってもっと話し合えば時間はかかるかもだけど、修復も出来るでしょ。どうして……どうして、オービンがそこまでしなきゃいけないのよ……」
エリスは俯きながら涙を流し、かすれた声でそう言うと隣にいたミカロスが、優しくエリスの肩に手を置いた。
「確かに、君の言う通りだよエリス……でもね、俺は結局は王の子なんだ。いずれは王の後を継ぎこの王国を守っていけなきゃならない。例えそれが出来なくなるとしても、可能性がある限りはこの国の未来の為になる事をする。それが、俺の使命だ」
「何で……何でそれがオービンなのさ……王の子としての使命も、病も……何で両方オービンなのよ……どうして1つにしてくれないのよ!」
「そう言われてもな。俺には、どうしようもない事さ。だけど、王の子としての使命だけは、俺が頑張ればルークは自由に生きられるだろ。極論、俺はそれだけの為に今までやってきたようなもんなんだ」
するとそこでミカロスがオービンの方を向いた。
「ルークは、お前の病の事を知ってるのか?」
その問いかけに、オービンはゆっくり首を横に振った。
オービンの答えにミカロスは小さく「そうか」とだけ答えた。
そしてミカロスとエリスの暗い表情を見たオービンは、安心させる様な言葉を掛ける。
「そんな顔するなよ、2人共。別に俺が今日死ぬ訳じゃないんだ。ただちょっと、体が動かなくなっていくだけさ。それに、もしかしたら治療方法だって見つかるかもしれないじゃないか」
ミカロスとエリスは、オービンの言葉に顔を上げた。
「まだ何も終わってないんだよ。だから俺は、毎日を俺らしく過ごす。2人には少し迷惑を掛けるかもだけど、そこは目を瞑ってくれると嬉しいな」
「オービン……」
「うーーんっ。何か話し疲れたから、俺は少し寝るよ。2人はずっとここに居なくてもいいからな。タツミ先生が見ててくれるんでしょ」
オービンの視線にタツミ先生は頷いて答える。
そしてオービンは、ベッドで横になりミカロスとエリスに背を向ける様な体勢をとった。
そのままゆっくりと瞳を閉じて、オービンは眠りについた。
ミカロスとエリスは、直ぐには動かずその場に居座り続けていたので、タツミ先生は一度他の生徒も見に行くと言って部屋の扉へと歩いて行き扉を開けた。
「っ! ……はぁ~」
タツミ先生が扉を開けた所で、ある生徒が今までの話を聞いてしまっていたのか、呆然とした表情で立ち尽くしていた。
「聞いてたのか、トウマ」
「さっきの話は本当なのかよ、タツミ先生」
トウマは偶然通りかかった際に、オービンの声が聞こえたため近寄った際に全て聞いてしまったと話した。
そしてその表情は、ミカロスやエリスと同様に、信じられないと言う表情をしていた。
するとタツミ先生は、「ひとまず場所を変えよう」と言ってトウマを部屋の中へと入れた。
その頃私は、閉会式の裏でそんな事が起こっているとは知らずにいた。
そして、私がオービンの病の件を知ったのは大運動会終了から3日後であった。
症状の発症時期は、人それぞれ異なり原因も不明であり、発症する確率は極めて低いとされている。
もし発症してしまうと、徐々に魔力を失っていき魔力が無くなってからは、筋肉が徐々に動かなくなっていき、最終的は動けなくなってしまうものだ。
何故筋肉が動かなくなるかは正確には判明してないが、ある説には魔力を持つ人間は全身に魔力が通っている為、魔力を失う事で体の一部が無く為、その関連で筋肉が動かくなるのではないかと言われている。
今までのケースから、発症してから5年で魔力消失が起こり、そこから5年で筋肉が衰え動かなくなるとされている。
だが、オービンはそのケースより魔力消失スピードが早いらしく、後2、3年で完全に魔力消失すると言われていたらしい。
現時点でも魔力量はかなり低迷しており、昔よりも魔法などが使えなくなっており、体調面でも影響が出ていたとオービンは語った。
寮長になってからよく遅刻や姿を消したりしていたのは、その突然の体調不良を隠す為だったとミカロスに打ち明けた。
また、このオービンの病を知っている人は限られた人しか知っておらず、タツミ先生すら2週間前に初めて打ち明けたと答えた。
そしてオービンが一通り話し終えると、ミカロスとエリスは今でも理解出来ないという顔をしていた。
「そりゃ、誰が聞いてもそんな顔になる。俺ですら、信じられなかったんだからな」
「そんなにですか?」
「そんなにだ。俺だって魔力消失症ぐらい知っているが、発症した奴は大抵落ち込み、引きこもったりと暗くなるのが普通だ。それなのに、お前は何事も無い様に生活し、ましてやそれを淡々と話すんだ。聞いてる方が、変になる」
タツミ先生は、オービンから視線をずらして嫌味ぽっく言った。
そんなタツミ先生を見てオービンは、「すいません」とまた謝った。
その後暫く、部屋が静寂が訪れる。
するとタツミ先生が、ミカロスとエリスがまだ受け入れられている表情なのを見ると、先に切り出した。
「話は戻るが、どうして約束を破った? お前、俺を騙したのか?」
「え~っと、それは何と言うか、直前で考えが変わったと言うか……」
オービンはタツミ先生から目線を斜め上へと外して、少しとぼける様に答えると、タツミ先生は怒鳴った。
「ふざけるな! 俺はお前の症状を悪化させるために、鎮静剤を渡したんじゃない! お前がどうしても言うから、渋々渡したんだ! それに約束したろうが! 無理はしない、弟にはわざと負けるだけだからと」
「……」
その言葉に、オービンは一切の反論は出来ずに黙ってしまう。
「おいオービン、それはどう言う事だ?」
「ミカ……」
そこへミカロスがまだ混乱しつつも、声を掛けて来た。
「お前、ルークにわざと負ける気だったのか? いや、そんな事よりどうして病気の事を俺に、俺たちに隠していたんだ? そんなに俺たちは頼れない存在か? それとも、始めから信頼してなかっ」
「そんなことあるか! がっはっ……ごほっ……ごほっ……」
「急に大声を出すな。今は安定してるが、またいつ活性化するか分からない状態なんだ」
タツミ先生の言葉に、頷くオービン。
暫くして呼吸が落ち着くと、もう一度オービンは話し始めた。
「確かにミカやエリスに隠していたのは、申し訳なかった。だけど、お前らには今まで通り接して欲しかったから、俺は言わなかったんだ」
「俺やエリスが、お前の病を知った所で態度が変わると思ってたのか? そんなわけないだろうが!」
「そうだろうな。だけども、一度話してしまったら、必ず病の事が頭にちらつくだろ。これは俺のわがままなんだよ。お前たちには、純粋に病だからだとか何も関係なく接していて欲しかったんだ」
「っ」
オービンの言葉にミカロスは返す言葉がなかった。
そこにタツミ先生が再び会話に入って来た。
「オービン。まだ俺の問いかけに答えてもらってないが、どうしてあそこまでして、ルークと全力でぶつかり合ったんだ? 結果的にはお前が勝ったが、自分の症状を悪化させただけで、何もメリットはなかったはずだ。最初に言った通り、ただ負けていれば、こんな事にもならなかっただろうが」
「確かに初めは、タツミ先生に話した通り負けるつもりでした。それで、ルークとの関係修復をしようとしてました」
オービンは、ルークとの関係や自分の思いを話した上で、今回の大運動会で第2学年へ宣戦布告したと明かした。
だけども、親友に相談した際にそれでは問題の解決にならないと言われ、全力でぶつかってやれば変わると助言を受けたことも明かす。
その時はさすがに病の事もあり、出来ないと思っていたのと、たとえぶつかったとしても逆に関係が修復すると言うより悪化するのではと感じていた。
だが、親友の助言がただ戦うべきだと言う事ではないと改めて考えた時に、ふと思い付いたのだった。
自分の力や周囲の認識を使い、ルークが自分と同等に引けを取らずに戦う姿を見せつければ、ルークが思っている皆に認められることも果たせるし、世間からの評価も見る目もいい方向へと向かうと考え付いたのだった。
また、自分の今後を考えた際に、後任となるルークの意識も変わり王の子供としての意識を持ってくれるかもしれないとも思っていた。
結局は自分が蒔いた種で紆余曲折あり、兄弟の関係と言う面では完全修復とはいかないと思いつつも、ルークの為未来の王国の為を考えた際に、今回決断した内容は決して間違っていなかったとオービンは語るのだった。
その後悔のない顔に、タツミ先生を含めミカロスとエリスも何も言えなかった。
「症状は少し悪化しましたけど、結果的には全部上手く言ったわけですよ。まぁ、本当にどうなるかは今後次第ですけど」
「それはオービンが命を掛けてまで、やる事だったの?」
「エリス……」
「だって、オービンはまだ私たちと同じ年齢じゃない! まだ王様だって健在だし、兄弟関係だってもっと話し合えば時間はかかるかもだけど、修復も出来るでしょ。どうして……どうして、オービンがそこまでしなきゃいけないのよ……」
エリスは俯きながら涙を流し、かすれた声でそう言うと隣にいたミカロスが、優しくエリスの肩に手を置いた。
「確かに、君の言う通りだよエリス……でもね、俺は結局は王の子なんだ。いずれは王の後を継ぎこの王国を守っていけなきゃならない。例えそれが出来なくなるとしても、可能性がある限りはこの国の未来の為になる事をする。それが、俺の使命だ」
「何で……何でそれがオービンなのさ……王の子としての使命も、病も……何で両方オービンなのよ……どうして1つにしてくれないのよ!」
「そう言われてもな。俺には、どうしようもない事さ。だけど、王の子としての使命だけは、俺が頑張ればルークは自由に生きられるだろ。極論、俺はそれだけの為に今までやってきたようなもんなんだ」
するとそこでミカロスがオービンの方を向いた。
「ルークは、お前の病の事を知ってるのか?」
その問いかけに、オービンはゆっくり首を横に振った。
オービンの答えにミカロスは小さく「そうか」とだけ答えた。
そしてミカロスとエリスの暗い表情を見たオービンは、安心させる様な言葉を掛ける。
「そんな顔するなよ、2人共。別に俺が今日死ぬ訳じゃないんだ。ただちょっと、体が動かなくなっていくだけさ。それに、もしかしたら治療方法だって見つかるかもしれないじゃないか」
ミカロスとエリスは、オービンの言葉に顔を上げた。
「まだ何も終わってないんだよ。だから俺は、毎日を俺らしく過ごす。2人には少し迷惑を掛けるかもだけど、そこは目を瞑ってくれると嬉しいな」
「オービン……」
「うーーんっ。何か話し疲れたから、俺は少し寝るよ。2人はずっとここに居なくてもいいからな。タツミ先生が見ててくれるんでしょ」
オービンの視線にタツミ先生は頷いて答える。
そしてオービンは、ベッドで横になりミカロスとエリスに背を向ける様な体勢をとった。
そのままゆっくりと瞳を閉じて、オービンは眠りについた。
ミカロスとエリスは、直ぐには動かずその場に居座り続けていたので、タツミ先生は一度他の生徒も見に行くと言って部屋の扉へと歩いて行き扉を開けた。
「っ! ……はぁ~」
タツミ先生が扉を開けた所で、ある生徒が今までの話を聞いてしまっていたのか、呆然とした表情で立ち尽くしていた。
「聞いてたのか、トウマ」
「さっきの話は本当なのかよ、タツミ先生」
トウマは偶然通りかかった際に、オービンの声が聞こえたため近寄った際に全て聞いてしまったと話した。
そしてその表情は、ミカロスやエリスと同様に、信じられないと言う表情をしていた。
するとタツミ先生は、「ひとまず場所を変えよう」と言ってトウマを部屋の中へと入れた。
その頃私は、閉会式の裏でそんな事が起こっているとは知らずにいた。
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