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第119話 チャンスを掴み取れるかは日々の準備で全て決まる
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その言葉に、アバンたち訓練兵の表情が一気に険しくなった。
一方でウエイドは、少しうろたえており、サストに小声で話し掛けていた。
「サ、サスト隊長。それは隠すようにと……」
「詳細までは語っていませんので、問題ありませんよ。それよりか、目的を先に伝えた方が彼らの本気度が分かるものです」
「はぁ~……分かりました。サスト隊長の一任で選ぶようにと言われているので、もう口出しはしません」
そう言ってウエイドは、少しだけサストから離れる。
「先程も伝えたが、本日緊急任務が私に下った。詳細は口にする事は出来ないが、そのメンバーは私に一任されている。本来なら私の部隊で臨む所だが、本日は収穫祭である為、各所へと兵士たちは派遣されており部隊も散漫している。そこで、諸君らの中から数名を緊急任務に同行させようと考えている」
「(緊急任務……収穫祭の日に一体何の任務だ? もしかして、これも訓練の一環か? いや、隊長がわざわざそんな事をするとは思えない。もしやるならば、ウエイド教官がやればいいはずだ)」
アバンはこの状況を一瞬訓練なのではと疑ったが、直ぐにその疑念は捨てた。
「同行は確定ではない。私がこれから言う事を達成できた者だけを同行させる。ではまず、訓練服から王国兵としての服装へと着替えて来い」
そう言い渡されると、一斉に訓練兵たちはロッカーへと向かい走り出すが、アバンとベルヴァティだけはその場に立ったままであった。
「ん? 何故お前は行かない? 同行する気はないという事か?」
「いいえ。そうではありません。このチャンス、手にしない訳ありません」
サストの問いかけにアバンが答えるが、サストにとっては矛盾している様な回答で理解出来ないのであった。
訓練兵からすれば絶好の機会であり、ここで功績を残せば部隊への配属も決まるかもしれない場面であるのに、そのチャンスを見す見す手放さそうとしていたからであった。
3年間の訓練兵時代を過ごしたとしても、必ずしも配属されるわけではない。
配属されなければどの部隊からも必要とされなかったと言う、不名誉のレッテルが張り付けられる。
そうならない為にも、訓練兵は懸命に毎日を過ごしている。
「なら、何故お前ら2人は着替えに行かない? 言っている事とやっている事が矛盾しているぞ」
「サスト隊長。失礼ながら申し上げますが、俺たちは既にサスト隊長の指示を実行済みなのです」
「? 何を言っているだ。お前らはまだ訓練服じゃないか」
「あっ、そうか……」
ベルヴァティがサストに言い返される所を見て、アバンは小さく笑いが漏れる。
するとアバンがベルヴァティをフォローする様に発言する。
「サスト隊長。ベルヴァティは嘘の発言をした訳ではありません。それを今から証明致します」
そう言うとアバンとベルヴァティがこの場で突然、重りを全て外し訓練服を脱ぎ始める。
その行動に顔を曇らせるアバンであったが、2人が訓練服を脱いだ下に既に王国兵としての服装をしていた事に気付く。
2人は完全に服を脱ぎ、王国兵としての服装でサスト隊長の前に再度並んだ。
「なるほど、下に既に来ていたのか。1つ聞くが、何故そんな事をしている?」
「はい。いついかなる時に、どんな事を言われても対応出来るようにする為です。チャンスを掴み取れるかどうかは、日々の準備で全て決まると言う教えがある為です」
「……ほう」
アバンの返答にサストは一瞬、ウエイドの方を見るとウエイドは軽く頷いた。
「名前は何だ?」
「アバン・フォークロス」
「ベルヴァティ・ハーバルト」
「アバンにベルヴァティ……そうか、お前らがあの噂のGSコンビか……」
「?」
サストの言葉に聞きなれないものがあり、2人は首を傾げるがサストは「気にするな。こちらの話だ」と話を切った。
「では、お前ら2人を同行させる事とする。いいな、ウエイド教官」
「えぇ。問題ありませんよ。ちなみに私は、そうなるのではないかと薄々思っていました」
突然同行を許された事に、アバンとベルヴァティは驚いた表情をしていた。
「サスト隊長、何かやるのではなかったのですか? 何もせずに同行を許して頂ける理由は何故ですか?」
ベルヴァティが疑問に思いサストに問いかける。
「当然の疑問だな。本音を言うと、私は訓練兵から誰かを同行させる気はなかった。私は王国兵としていついかなる時も、準備は出来ているべきだと言う考えで、それが出来ない者は私の部隊にはいらないと考えている。その考えなど訓練兵に出来る訳が思っていたが、実際にはお前ら2人が、私の期待に応えててくれたと言う訳だ」
「サスト隊長。毎回言いますが、貴方の考えは素晴らしいですが、訓練兵にそれを求めるのは早いですよ。せめて小隊長・中隊長候補に求めるものですよ」
ウエイドがサストに意見すると、「早い事に越したことはない」と言い返していた。
「それより後の事は頼んでいいか、ウエイド教官」
「えぇ、もちろんです」
「では頼む。それではお前ら2人は私に付いて来い。今すぐに他のメンバーとブリーフィングを行う」
そのままサストは王城内へと歩いて行くと、アバンとベルヴァティは一度顔を見合わせるも、サストの後を直ぐに追って行った。
その後訓練服から着替えて来た他の訓練兵たちには、ウエイドから今回は別のメンバーを同行させる事になったと言うを伝えられていた。
アバンたちはと言うと、王城内をサストの後を付いて歩いていた。
「おい、アバン。どう思うよ、これ? 確かに同行を許可されたけども、本当にいいのか?」
「意外と細かい所を気にするんだな。いいじゃないか、サスト隊長のお目にかかったんだ。理由はそれだけで十分だ。後は、しっかり役割をこなすだけだ」
サストの後ろでこそこそと2人は話していると、サストがある扉の前で止まる。
2人も同じ様に止まると、サストが振り返る。
「先に伝えておく。今回はお前らを入れた10名で緊急任務を実施する。メンバーは私に中隊長が1名、小隊長2名、私の部隊から4名と言う編成でそこにお前らが入る形だ」
サストからの説明に頷く2人。
その反応を見てからサストは扉を開け、中へと入って行くと既に呼び集められたメンバーたちが集合していた。
「待たせたな。では、これより緊急任務のブリーフィングを開始する」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「やぁ、クリス。それに、オービン先輩」
「フェルト、どう言う事だ? 何でお前がここにいるんだ!」
私は強い口調でフェルトに問いかけるが、フェルトは軽い感じでそれを聞き流した。
「少しお話でもしようかな~って思って来たんだけど」
「無視するな、フェルト! お前はあの黒いローブを来た奴らの仲間なのか!」
「しつこいなクリス。そんなの今どうでもいいだろ」
「いいわけないだろうが!」
フェルトは私の激怒している顔を見て、「こわっ」と呟き少しだけ体を引いた。
それを見ていたオービンは、一度私を落ち着かせようと話し掛けて来てくれたが、私は完全に頭に血が登ってしまい聞くことすらしていなかった。
その時点で私は、タツミ先生だけでなく同級生であるフェルトまでも敵であると分かり、どうして何だと言う感情が大きくなり過ぎてしまい怒鳴っていたのだった。
フェルトはそんな私を見つつ、問いかけには答えず別の話題を振ってくると言う流れが続いていると突然オービンが立ち上がった。
直後、オービンは牢を思いっきり片足で蹴ったのだ。
蹴りの勢いで牢が物凄い音を立て、私とフェルトはその音に驚き黙ってオービンの方を見ていた。
「一度落ち着こうか、クリス君」
「は、はい……すいません……」
「それに君も、話しに来ただけなら相手を挑発させる様な事は止めようか」
「……」
オービンの行動1つで一気にこの場の雰囲気が変わると、オービンは一度座りフェルトへと話し掛けた。
「それで何を話しに来たのかな、フェルト・クランス。……いや、こう呼んだ方がいいのかな、サジタリウス」
一方でウエイドは、少しうろたえており、サストに小声で話し掛けていた。
「サ、サスト隊長。それは隠すようにと……」
「詳細までは語っていませんので、問題ありませんよ。それよりか、目的を先に伝えた方が彼らの本気度が分かるものです」
「はぁ~……分かりました。サスト隊長の一任で選ぶようにと言われているので、もう口出しはしません」
そう言ってウエイドは、少しだけサストから離れる。
「先程も伝えたが、本日緊急任務が私に下った。詳細は口にする事は出来ないが、そのメンバーは私に一任されている。本来なら私の部隊で臨む所だが、本日は収穫祭である為、各所へと兵士たちは派遣されており部隊も散漫している。そこで、諸君らの中から数名を緊急任務に同行させようと考えている」
「(緊急任務……収穫祭の日に一体何の任務だ? もしかして、これも訓練の一環か? いや、隊長がわざわざそんな事をするとは思えない。もしやるならば、ウエイド教官がやればいいはずだ)」
アバンはこの状況を一瞬訓練なのではと疑ったが、直ぐにその疑念は捨てた。
「同行は確定ではない。私がこれから言う事を達成できた者だけを同行させる。ではまず、訓練服から王国兵としての服装へと着替えて来い」
そう言い渡されると、一斉に訓練兵たちはロッカーへと向かい走り出すが、アバンとベルヴァティだけはその場に立ったままであった。
「ん? 何故お前は行かない? 同行する気はないという事か?」
「いいえ。そうではありません。このチャンス、手にしない訳ありません」
サストの問いかけにアバンが答えるが、サストにとっては矛盾している様な回答で理解出来ないのであった。
訓練兵からすれば絶好の機会であり、ここで功績を残せば部隊への配属も決まるかもしれない場面であるのに、そのチャンスを見す見す手放さそうとしていたからであった。
3年間の訓練兵時代を過ごしたとしても、必ずしも配属されるわけではない。
配属されなければどの部隊からも必要とされなかったと言う、不名誉のレッテルが張り付けられる。
そうならない為にも、訓練兵は懸命に毎日を過ごしている。
「なら、何故お前ら2人は着替えに行かない? 言っている事とやっている事が矛盾しているぞ」
「サスト隊長。失礼ながら申し上げますが、俺たちは既にサスト隊長の指示を実行済みなのです」
「? 何を言っているだ。お前らはまだ訓練服じゃないか」
「あっ、そうか……」
ベルヴァティがサストに言い返される所を見て、アバンは小さく笑いが漏れる。
するとアバンがベルヴァティをフォローする様に発言する。
「サスト隊長。ベルヴァティは嘘の発言をした訳ではありません。それを今から証明致します」
そう言うとアバンとベルヴァティがこの場で突然、重りを全て外し訓練服を脱ぎ始める。
その行動に顔を曇らせるアバンであったが、2人が訓練服を脱いだ下に既に王国兵としての服装をしていた事に気付く。
2人は完全に服を脱ぎ、王国兵としての服装でサスト隊長の前に再度並んだ。
「なるほど、下に既に来ていたのか。1つ聞くが、何故そんな事をしている?」
「はい。いついかなる時に、どんな事を言われても対応出来るようにする為です。チャンスを掴み取れるかどうかは、日々の準備で全て決まると言う教えがある為です」
「……ほう」
アバンの返答にサストは一瞬、ウエイドの方を見るとウエイドは軽く頷いた。
「名前は何だ?」
「アバン・フォークロス」
「ベルヴァティ・ハーバルト」
「アバンにベルヴァティ……そうか、お前らがあの噂のGSコンビか……」
「?」
サストの言葉に聞きなれないものがあり、2人は首を傾げるがサストは「気にするな。こちらの話だ」と話を切った。
「では、お前ら2人を同行させる事とする。いいな、ウエイド教官」
「えぇ。問題ありませんよ。ちなみに私は、そうなるのではないかと薄々思っていました」
突然同行を許された事に、アバンとベルヴァティは驚いた表情をしていた。
「サスト隊長、何かやるのではなかったのですか? 何もせずに同行を許して頂ける理由は何故ですか?」
ベルヴァティが疑問に思いサストに問いかける。
「当然の疑問だな。本音を言うと、私は訓練兵から誰かを同行させる気はなかった。私は王国兵としていついかなる時も、準備は出来ているべきだと言う考えで、それが出来ない者は私の部隊にはいらないと考えている。その考えなど訓練兵に出来る訳が思っていたが、実際にはお前ら2人が、私の期待に応えててくれたと言う訳だ」
「サスト隊長。毎回言いますが、貴方の考えは素晴らしいですが、訓練兵にそれを求めるのは早いですよ。せめて小隊長・中隊長候補に求めるものですよ」
ウエイドがサストに意見すると、「早い事に越したことはない」と言い返していた。
「それより後の事は頼んでいいか、ウエイド教官」
「えぇ、もちろんです」
「では頼む。それではお前ら2人は私に付いて来い。今すぐに他のメンバーとブリーフィングを行う」
そのままサストは王城内へと歩いて行くと、アバンとベルヴァティは一度顔を見合わせるも、サストの後を直ぐに追って行った。
その後訓練服から着替えて来た他の訓練兵たちには、ウエイドから今回は別のメンバーを同行させる事になったと言うを伝えられていた。
アバンたちはと言うと、王城内をサストの後を付いて歩いていた。
「おい、アバン。どう思うよ、これ? 確かに同行を許可されたけども、本当にいいのか?」
「意外と細かい所を気にするんだな。いいじゃないか、サスト隊長のお目にかかったんだ。理由はそれだけで十分だ。後は、しっかり役割をこなすだけだ」
サストの後ろでこそこそと2人は話していると、サストがある扉の前で止まる。
2人も同じ様に止まると、サストが振り返る。
「先に伝えておく。今回はお前らを入れた10名で緊急任務を実施する。メンバーは私に中隊長が1名、小隊長2名、私の部隊から4名と言う編成でそこにお前らが入る形だ」
サストからの説明に頷く2人。
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「待たせたな。では、これより緊急任務のブリーフィングを開始する」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
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「フェルト、どう言う事だ? 何でお前がここにいるんだ!」
私は強い口調でフェルトに問いかけるが、フェルトは軽い感じでそれを聞き流した。
「少しお話でもしようかな~って思って来たんだけど」
「無視するな、フェルト! お前はあの黒いローブを来た奴らの仲間なのか!」
「しつこいなクリス。そんなの今どうでもいいだろ」
「いいわけないだろうが!」
フェルトは私の激怒している顔を見て、「こわっ」と呟き少しだけ体を引いた。
それを見ていたオービンは、一度私を落ち着かせようと話し掛けて来てくれたが、私は完全に頭に血が登ってしまい聞くことすらしていなかった。
その時点で私は、タツミ先生だけでなく同級生であるフェルトまでも敵であると分かり、どうして何だと言う感情が大きくなり過ぎてしまい怒鳴っていたのだった。
フェルトはそんな私を見つつ、問いかけには答えず別の話題を振ってくると言う流れが続いていると突然オービンが立ち上がった。
直後、オービンは牢を思いっきり片足で蹴ったのだ。
蹴りの勢いで牢が物凄い音を立て、私とフェルトはその音に驚き黙ってオービンの方を見ていた。
「一度落ち着こうか、クリス君」
「は、はい……すいません……」
「それに君も、話しに来ただけなら相手を挑発させる様な事は止めようか」
「……」
オービンの行動1つで一気にこの場の雰囲気が変わると、オービンは一度座りフェルトへと話し掛けた。
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