とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第128話 『モラトリアム』

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 犯罪組織『モラトリアム』
 その規模は確認されている犯罪組織の中で最大勢力であり、組織を表すマークは『黒い三日月』と呼ばれ体のどこかに、白い円の周りに4つの黒い三日月が囲う様になっているマークをしている。
 だが、24年前のクリバンス王国転覆事件時に大半のメンバーは確保され、主力となる幹部メンバーも大半が確保され壊滅的な状況となった。
 その時逃走したのは、確認されているだけでボスであるロバート・ベンズと副官であるシーベルト・リリックの2名と幹部の3名と数十名の組織メンバーであった。

 現状、『モラトリアム』の生き残りは王国軍が随時捜索を行い確保、または生死の判断を確認している所である。
 組織の壊滅的なダメージを受けた後、大きな行動も起こす事がなく息を潜めていたが、突然として第一王子オービンの誘拐事件を起こしたのだった。
 更には巻き込まれ共に攫われたクリスであったが、その理由を副官と思われるバベッチから組織のボスであるロバートの次の器にする為であると明かされる。
 そんな時に突然と現れたのは、王国軍のサストたちであった。

 サストともう1人の王国兵がバベッチたちの方へと走り込んで行くと、バベッチは軽く手をサストたちの方へと振ると後方にした2名の黒いローブを来た奴らが突っ込んで行った。
 するとバベッチはもう1人の黒いローブを来た奴にクリスを抱える様に指示を出し、来た方向へと逃げ出す。
 バベッチは逃げながら地面に小さい球をいくつか落としていく。
 一方でサストたちは、黒いローブを来た奴らと接触する寸前に相手は『バースト』の魔法を使いサストたちの視界を遮った。

「無駄です!」

 と1人の王国兵がそう言った直後、相手が放った魔法は中央で真っ二つに割れ道が出来る。

「隊長!」

 その道をサストが止まることなく突き進み、黒いローブを来た奴らの顔に向けてラリアットを食らわせ、地面へと叩きつける。
 そして直ぐに顔を上げバベッチの方へと走りだすが、直後バベッチが地面に落としていった小さい球が突然と光だし、閃光弾となりその場全員の視界を一定時間奪うのだった。
 次に視界が回復した時には、バベッチたちの姿はなく更にはサストの目の前には先程までなかった壁が出現していた。

「壁だと? さっきまで通路だったはずだが」
「隊長、見て下さいこれ」

 後方から呼ばれたサストは一旦振り返り、先程倒して黒いローブを来た奴に近付いて行く。
 先に王国兵がローブを外していた所で思いもしない物を発見した為、サストを呼んだのだった。
 それは『モラトリアム』を示すマークが見つかった為であった。

「隊長、これは見間違いじゃないですよね……」
「あぁ。これは間違いなく『モラトリアム』の組織マークだ」

 そこにベルヴァティもやって来て、そのマークを見て驚愕する。

「そのマークは……」
「まさか今回の事件に『モラトリアム』が関わっていたとは、想定外だ。足取りが掴めないでいた奴らが、人を揃えて動き出していたと言う所か」
「どうします隊長? このままカビル中隊長とエス中隊長の班、ペイル小隊長の班と別れているのは危険かと。この事実を知っているとは思えません」
「そうだな。このままさっきの奴を追うのは難しい。それに道も何故か塞がれてしまったしな。まずは他の班と合流し、状況共有しそれから再度班を分け任務に当たる」

 すると王国兵は倒した黒いローブを来た奴らをその場で魔道具を使い拘束し、更には魔力創造にて地面の牢屋を作り更に拘束具も追加で作成し、完全に何も出来ない様にさせた。

「ベルヴァティ、通信用の魔道具の方はどうだ? あれから使える様になったか?」
「いえ。全く反応がありません。ここへ入ってから暫くは使えていたのですが、先程からと同じ状況のままです」

 サストたちは事前に魔道具で通信出来るようにと各班ごとに持ち、それを使用して連絡を取っていたが洞窟に入り暫く経ってから突然と使えなくなっていたのだった。
 基本的は相手の魔力を感知し、通信を行う物のなので通信可能範囲に対象がいさえすればどんな所でも通信は出来る物である。
 通信可能範囲にいないと言う事も考えはしたものの、全く反応がないと言うのはさすがにおかしいと感じていたのだった。
 事前にこの洞窟が存在する箇所と周囲の地形は確認している為、そこまで離れた所に他の班が居ると考えずらいと判断していた為だ。

「通信の方はそのまま確認し続けろ。少し前に衝撃音が聞こえていたから、どこかの班がこいつらと戦闘をしたと思われる。ひとまず今はその方向へ向かうぞ」

 そう言ってサストたちは一度来た道を戻り始めた。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ペイル小隊長、やはりこのマーク」
「そうだね。これは間違いなくあの犯罪組織『モラトリアム』の物だね」

 ペイル率いる班も、黒いローブを来た奴らと遭遇し戦闘を行った直後、『モラトリアム』であるマークを見つけていた。

「これは思ってた以上に危険な状況だな。一刻も早く隊長と合流しなければ」
「ペイル小隊長、そうは言ってもどうやって合流しますか? 事前に貰った通信用魔道具は現在使用できません」

 王国兵の1人がそう発言すると、アバンが提案をし始めた。

「ペイル小隊長、俺に案があります。構造も分からない洞窟をむやみに歩き回るならば、ゴーレムに歩かせ確認させるのと合流の目安とするのはどうでしょう?」
「ゴーレムかい?」
「はい。ゴーレムと言っても、小型の動物を魔力創造で形を創り上げ、魔力技量で細かく造形し、魔力質量を使い動かすと言うものです」

 アバンの案にペイルともう1人の王国兵が「なるほど」と言いつつも、そう簡単にやろうと判断は下さなかった。
 理由はこの先どのような展開があるかも分からないまま、魔力を多く消費するわけには行かないと考えていた為であった。
 それを聞いたアバンは、その心配はないと断言するのだった。

「どう言う事だい、アバン?」
「ここは俺に任せて下さい。昔から魔力量は多い方で、先程申し上げた事も初めてやるものはありません。これは決してうぬぼれている訳ではありません。ですから、お願いしますペイル小隊長」
「……」

 暫くペイルが考えた後、王国兵とも話しアバンの作戦を採用する事にしたのだった。
 それからはアバンは直ぐに準備に取りかかる。
 その速さと無駄なのない魔力の使い方に、ペイルたちは少し驚いていた。
 そして数分で4体の狼型のゴーレムを造り出し、一斉に動かし左右の通路に2体ずつ放った。
 一気に4体の小型ゴーレムとは言え、そう簡単に出来る事ではないのだがアバンはそれを顔の色1つ変えずに行い続けていた。

「(さっきの言葉は本当だったんだな。まさかこれ程の力を既に身に付けているとは、驚きだ。こんな訓練兵今までにいないぞ)」

 数分後、アバンが突然顔を歪ませた。
 その様子に気付いたペイルが訊ねると「何者かに1体破壊されました」とアバンは答える。

「その時の状況は分かるのか?」
「完全にはではありませんが、何かから逃げる様な感じでした」
「逃げるか……もしかしたら、他の班が同じ様に戦闘を行ったのかもしれない。一度その方向へ向かおう」

 ペイルの指示に全員が頷き、アバンが破壊された感じ取った方向へと進んで行くのだった。
 そして進んで行った先で破壊されたゴーレムを確認し、そのまま逃げたと思われる方へと一度進むと少し開けた場所へと出るのだった。

「誰も居ないな」

 ペイルたちが周囲を確認していると、その場所は他に2つの道に繋がっている場所であると分かった。
 すると一方の道から何者かがやって来る気配を感じ警戒態勢をとって待ち構えていると、そこに現れたのはトウマとルークの2人であった。
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