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第129話 薔薇の彫刻
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「あれ? また別の王国軍の人たちだ」
「あんたは」
ルークはその場にいたアバンに直ぐに気付いていたが、トウマはアバンとは認識がない為特に反応はなく、ルークとは違いカビルやエスとはまた違う王国兵がいた事に驚いていた。
するとペイルはルークの姿を確認すると直ぐに声を掛けた。
「第二王子のルーク様ですね。そしてそちらは一緒に攫われた者を追って来たご学友ですね」
「貴方は?」
「申し遅れました、僕はサスト隊長率いる朱部隊小隊長のペイルと申します」
ペイルが名を明かしてから、アバンたちの事も紹介した後ルークたちに今までどうしていたかを訊ねた。
ルークたちは今までの事を話し同じ王国軍のカビルとエスとも出会った事も告げる。
だが現在はその姿が見えない事をペイルが問いかけると、トウマが答えた。
「その……信じられないと思いますが、突然通路が生き物の様に動き出してはぐれまして……」
「通路が?」
「はい。嘘じゃないですよ。なぁ、ルーク?」
トウマが横を向くとルークは「本当ですよ」とペイルに伝える。
ペイルは嘘とは思ってはいなかったが、さすがにそんな現象が起きるとは思えなかったのも本心であった。
だが、現状犯罪組織『モラトリアム』がこの一件に関わっていると分かった以上、それが真実がどうかを確かめるかどうかよりもルークたちとこの場で合流出来たのは良い事だと前向きに捉えていた。
「(カビル中隊長やエス中隊長と先に遭遇しているなら、僕たちの事を警戒はしないだろう。それに彼らが『モラトリアム』の存在に気付いているとは思えない。ひとまずは、このまま一緒に行動を共にしてもらいサスト隊長かカビル中隊長、エス中隊長の班と合流する事を優先して考えるべきだな)」
ペイルは直ぐにそう判断し、ルークたちに自分たちと一緒に行動する様に伝える。
その際に『モラトリアム』の事は伏せ、そのまま2人ではまた敵とも遭遇し命の危険がある事も伝える。
だがルークは行動を共にするならば、オービンの他にもう1人攫われた相手を一緒に探して欲しいと言い出す。
「ルーク」
「トウマはいいのか? 俺たちはあいつを助ける為に来たのに、何も出来ないままあいつを放って帰って」
「そうは言っても、今の俺たちじゃ見つける事も出来ないし、それにもう王国軍が来ているんだ安心じゃないか」
トウマの説得にルークは不満げな顔をしていた。
この時、ルークはペイルたちに現状を話した際にクリスの事を話してはいなかったのだ。
またペイルたちもブリーフィング時には、オービンともう1人の誘拐者と言う形でしか情報が伝わっていなかった為、ルークたちが誰を追いかけて来ていたか理解していたわけではなかった。
その為この話を聞いていたペイルは、出来ればルークたちには指示に従って欲しいと考えていたので、一度ルークの提案を受け入れた形をとりこちら主導で動きサストたちと合流する事を思い描いていた。
「(こんな所まで追って来て、攫われたご学友を助けようとするとは第二王子にとって、その人物はよほど大切な方なのだろう。だが、今は状況が任務開始時と大きく変わって来ている為、隊長たちとの合流を優先とさせてもらいます)」
そしてペイルはルークからの提案を受け入れる形で、同行してもらう様にお願いした。
ルークはまさかあっさりと受け入れられるとは思わず、少し驚いていたがペイルに感謝をし同行する事を決めた。
すると突然、1人の王国兵が身に付けていた通信用の魔道具に反応が出る。
そこから聞こえて来たのは、途切れ途切れの声ではあったがエスの声であった。
「……ちら、エス班……対象をはっ……合流した……が、謎の現……より発……」
「こちらペイル班! 聞こえますか、エス中隊長!」
王国兵が直ぐに話し掛けるも、その声は伝わっていないのかただエスの声が途切れ途切れで聞こえるのみであった。
更には途中から、カビルの声も聞こえ一緒にいる事が分かった。
その後も呼びかけ続けるも、向こうには聞こえていないのか一方的な通信となってしまうが、相手側はこれからの行先を何度か伝えている事に気付く。
「我々は……口へと……う……再度告……々は……突入口……向か……」
「ペイル小隊長!」
「突入口。確か、カビル中隊長とエス中隊長は、僕たちとは真逆の入口からの突入でしたね」
ペイルはそこで腕を組み、片手を口元に付けて考えだした。
「(第二王子たちの話から、既に最優先目標である第一王子をカビル中隊長とエス中隊長の班が遭遇し共に行動していると考えるべきか。第二王子たちは、そこからはぐれてしまい今僕たちと合流したと。確かにこのまま洞窟内での合流は難しいし、既に対象を保護出来ているならば一度外に出て、そこで合流した方が確実だな。それに、この通信を隊長の班も聞いているかもしれない。なら、ここは僕たちの班も一度突入口へと戻るべきか)」
その様な事を考えている時、アバンがルークへと近付きペイルに気付かれない様に小声で話し掛けていた。
「ルーク、もしかしてオービンと攫われたもう1人の学院生と言うのはクリスの事か?」
「……」
アバンからの問いかけにルークは黙っていると、アバンは眉間にしわを寄せる。
再びアバンがルークを問いただそうとした時だった。
ルークたちがやって来た通路から新たな人物が現れる。
「おいおい、何人ここに入り込んでるだ?」
そう言って現れたのは、バベッチであった。
突然現れたバベッチに警戒し始める、ルークたちだったがその後遅れてやって来た黒いローブを来た奴が抱えるいるクリスを見てルーク、トウマ、アバンが目を見開く。
そしてルークがクリスの名を呼ぶも、抱えられたクリスからの反応はなくだらっとした状態のままであった。
「もう走るのも大変だし、ここは少しどいてもらうかな!」
直後バベッチが片足を上げ、勢いよく地面を踏みつけると目の前に地面の壁が盛り上がって来る。
そしてバベッチは片手を横に風を切る様に振ると、その壁が一瞬で型抜きされた様に不要な所が切り落とされ、出来上がったのは複数の薔薇が地面から育った様に見える壁であった。
「何だこれ?」
トウマが驚いていると、ルーク、アバン、ペイルは目の前で起きた一瞬の出来事に言葉を失っていた。
「(魔力創造からの技量への瞬時の切り替え、そしてその速さが何より異常だ)」
「(更にはこの壁、いや彫刻と言った方が正確か? これからゴーレムを操る時と似た魔力を感じるのが不気味過ぎる……)」
「(今までに遭遇した敵の指示役的な立ち位置の人物だろうか。何にしても、まずはこの状況を乗り切らなければ)」
3人は一隻にバベッチが創り出した物に対し、攻撃を仕掛けようと動くもそれを見てバベッチは「おせぇよ」と呟いた。
バベッチは勢いよく片手を突き出すと、創りだした薔薇の棘付きのつるが動き出し一気にルークたちへと襲い掛かった。
だが瞬時にアバンとペイルが周囲の風に魔力を使い盾を造り出し、防ぐも直ぐに追撃が行われ全員が後方へと吹き飛ばされる。
その頃バベッチは片腕を指揮者の様に振るっており、途中から両手で使い指揮者のごとく振り回し続けると、それに従う様に薔薇のつるがルークたちを攻撃し続けた。
そして最後にバベッチは、両手を前にしてそのまま素早く何かを掴む動作をして動きを止める。
その動作に合わせて、攻撃も止み薔薇のつるが創り出した壁へと戻って来るのだった。
周囲は薔薇のつるの攻撃で地面から土煙が立っており、状況が分からない状態だった。
「まぁ、さすがに死んではないでしょ。でも、そうそう動けないだろうから、通らせてもらうよ」
バベッチはそう言ってルークたちを吹き飛ばした方にある通路に向かい歩き始め、その後ろをクリスを抱えた黒いローブを来た奴が付いて行く。
そのままバベッチたちはその場から姿を消してしまう。
そして数分後土煙が晴れると、周囲の地面はぼこぼこになっており完全に地形が変化してしまっていた。
そんな中、半円状に形を保っている箇所があった。
徐々にヒビが入って行き、完全に崩れると中からはペイルが倒れて動けなくなったルークたちを守る様な状態で現れた。
「はぁ……はぁ……何とか、耐えきりましたか……」
そう呟いた直後、ペイルもその場に倒れてしまうのだった。
「あんたは」
ルークはその場にいたアバンに直ぐに気付いていたが、トウマはアバンとは認識がない為特に反応はなく、ルークとは違いカビルやエスとはまた違う王国兵がいた事に驚いていた。
するとペイルはルークの姿を確認すると直ぐに声を掛けた。
「第二王子のルーク様ですね。そしてそちらは一緒に攫われた者を追って来たご学友ですね」
「貴方は?」
「申し遅れました、僕はサスト隊長率いる朱部隊小隊長のペイルと申します」
ペイルが名を明かしてから、アバンたちの事も紹介した後ルークたちに今までどうしていたかを訊ねた。
ルークたちは今までの事を話し同じ王国軍のカビルとエスとも出会った事も告げる。
だが現在はその姿が見えない事をペイルが問いかけると、トウマが答えた。
「その……信じられないと思いますが、突然通路が生き物の様に動き出してはぐれまして……」
「通路が?」
「はい。嘘じゃないですよ。なぁ、ルーク?」
トウマが横を向くとルークは「本当ですよ」とペイルに伝える。
ペイルは嘘とは思ってはいなかったが、さすがにそんな現象が起きるとは思えなかったのも本心であった。
だが、現状犯罪組織『モラトリアム』がこの一件に関わっていると分かった以上、それが真実がどうかを確かめるかどうかよりもルークたちとこの場で合流出来たのは良い事だと前向きに捉えていた。
「(カビル中隊長やエス中隊長と先に遭遇しているなら、僕たちの事を警戒はしないだろう。それに彼らが『モラトリアム』の存在に気付いているとは思えない。ひとまずは、このまま一緒に行動を共にしてもらいサスト隊長かカビル中隊長、エス中隊長の班と合流する事を優先して考えるべきだな)」
ペイルは直ぐにそう判断し、ルークたちに自分たちと一緒に行動する様に伝える。
その際に『モラトリアム』の事は伏せ、そのまま2人ではまた敵とも遭遇し命の危険がある事も伝える。
だがルークは行動を共にするならば、オービンの他にもう1人攫われた相手を一緒に探して欲しいと言い出す。
「ルーク」
「トウマはいいのか? 俺たちはあいつを助ける為に来たのに、何も出来ないままあいつを放って帰って」
「そうは言っても、今の俺たちじゃ見つける事も出来ないし、それにもう王国軍が来ているんだ安心じゃないか」
トウマの説得にルークは不満げな顔をしていた。
この時、ルークはペイルたちに現状を話した際にクリスの事を話してはいなかったのだ。
またペイルたちもブリーフィング時には、オービンともう1人の誘拐者と言う形でしか情報が伝わっていなかった為、ルークたちが誰を追いかけて来ていたか理解していたわけではなかった。
その為この話を聞いていたペイルは、出来ればルークたちには指示に従って欲しいと考えていたので、一度ルークの提案を受け入れた形をとりこちら主導で動きサストたちと合流する事を思い描いていた。
「(こんな所まで追って来て、攫われたご学友を助けようとするとは第二王子にとって、その人物はよほど大切な方なのだろう。だが、今は状況が任務開始時と大きく変わって来ている為、隊長たちとの合流を優先とさせてもらいます)」
そしてペイルはルークからの提案を受け入れる形で、同行してもらう様にお願いした。
ルークはまさかあっさりと受け入れられるとは思わず、少し驚いていたがペイルに感謝をし同行する事を決めた。
すると突然、1人の王国兵が身に付けていた通信用の魔道具に反応が出る。
そこから聞こえて来たのは、途切れ途切れの声ではあったがエスの声であった。
「……ちら、エス班……対象をはっ……合流した……が、謎の現……より発……」
「こちらペイル班! 聞こえますか、エス中隊長!」
王国兵が直ぐに話し掛けるも、その声は伝わっていないのかただエスの声が途切れ途切れで聞こえるのみであった。
更には途中から、カビルの声も聞こえ一緒にいる事が分かった。
その後も呼びかけ続けるも、向こうには聞こえていないのか一方的な通信となってしまうが、相手側はこれからの行先を何度か伝えている事に気付く。
「我々は……口へと……う……再度告……々は……突入口……向か……」
「ペイル小隊長!」
「突入口。確か、カビル中隊長とエス中隊長は、僕たちとは真逆の入口からの突入でしたね」
ペイルはそこで腕を組み、片手を口元に付けて考えだした。
「(第二王子たちの話から、既に最優先目標である第一王子をカビル中隊長とエス中隊長の班が遭遇し共に行動していると考えるべきか。第二王子たちは、そこからはぐれてしまい今僕たちと合流したと。確かにこのまま洞窟内での合流は難しいし、既に対象を保護出来ているならば一度外に出て、そこで合流した方が確実だな。それに、この通信を隊長の班も聞いているかもしれない。なら、ここは僕たちの班も一度突入口へと戻るべきか)」
その様な事を考えている時、アバンがルークへと近付きペイルに気付かれない様に小声で話し掛けていた。
「ルーク、もしかしてオービンと攫われたもう1人の学院生と言うのはクリスの事か?」
「……」
アバンからの問いかけにルークは黙っていると、アバンは眉間にしわを寄せる。
再びアバンがルークを問いただそうとした時だった。
ルークたちがやって来た通路から新たな人物が現れる。
「おいおい、何人ここに入り込んでるだ?」
そう言って現れたのは、バベッチであった。
突然現れたバベッチに警戒し始める、ルークたちだったがその後遅れてやって来た黒いローブを来た奴が抱えるいるクリスを見てルーク、トウマ、アバンが目を見開く。
そしてルークがクリスの名を呼ぶも、抱えられたクリスからの反応はなくだらっとした状態のままであった。
「もう走るのも大変だし、ここは少しどいてもらうかな!」
直後バベッチが片足を上げ、勢いよく地面を踏みつけると目の前に地面の壁が盛り上がって来る。
そしてバベッチは片手を横に風を切る様に振ると、その壁が一瞬で型抜きされた様に不要な所が切り落とされ、出来上がったのは複数の薔薇が地面から育った様に見える壁であった。
「何だこれ?」
トウマが驚いていると、ルーク、アバン、ペイルは目の前で起きた一瞬の出来事に言葉を失っていた。
「(魔力創造からの技量への瞬時の切り替え、そしてその速さが何より異常だ)」
「(更にはこの壁、いや彫刻と言った方が正確か? これからゴーレムを操る時と似た魔力を感じるのが不気味過ぎる……)」
「(今までに遭遇した敵の指示役的な立ち位置の人物だろうか。何にしても、まずはこの状況を乗り切らなければ)」
3人は一隻にバベッチが創り出した物に対し、攻撃を仕掛けようと動くもそれを見てバベッチは「おせぇよ」と呟いた。
バベッチは勢いよく片手を突き出すと、創りだした薔薇の棘付きのつるが動き出し一気にルークたちへと襲い掛かった。
だが瞬時にアバンとペイルが周囲の風に魔力を使い盾を造り出し、防ぐも直ぐに追撃が行われ全員が後方へと吹き飛ばされる。
その頃バベッチは片腕を指揮者の様に振るっており、途中から両手で使い指揮者のごとく振り回し続けると、それに従う様に薔薇のつるがルークたちを攻撃し続けた。
そして最後にバベッチは、両手を前にしてそのまま素早く何かを掴む動作をして動きを止める。
その動作に合わせて、攻撃も止み薔薇のつるが創り出した壁へと戻って来るのだった。
周囲は薔薇のつるの攻撃で地面から土煙が立っており、状況が分からない状態だった。
「まぁ、さすがに死んではないでしょ。でも、そうそう動けないだろうから、通らせてもらうよ」
バベッチはそう言ってルークたちを吹き飛ばした方にある通路に向かい歩き始め、その後ろをクリスを抱えた黒いローブを来た奴が付いて行く。
そのままバベッチたちはその場から姿を消してしまう。
そして数分後土煙が晴れると、周囲の地面はぼこぼこになっており完全に地形が変化してしまっていた。
そんな中、半円状に形を保っている箇所があった。
徐々にヒビが入って行き、完全に崩れると中からはペイルが倒れて動けなくなったルークたちを守る様な状態で現れた。
「はぁ……はぁ……何とか、耐えきりましたか……」
そう呟いた直後、ペイルもその場に倒れてしまうのだった。
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