137 / 564
第136話 部屋替え
しおりを挟む
収穫祭が終了してから2日後。
私たちが巻き込まれた誘拐事件は世間には公表される事はなく、犯罪組織『モラトリアム』のリーダーであるロバート・ベンズの拘束とその居場所を突き止めた事だけが大々的に公表された。
街の人々は、突然の公表内容にざわついていた。
王国軍は、犯罪組織『モラトリアム』が潜伏していた洞窟の調査を後日行い、数名の残党を捕らえた事も公表した事で街の人々は、これで更に安全に暮らしていけると安堵の表情をしていたのだった。
その話題は学院内でも中心となっており、その話題で盛り上がっている中で私たちはそれを皆と同様に初めて知った様に振る舞っていた。
また一方で、学院ではもう1つの話題で持ちきりであった。
それは、オービン寮の副寮長の追加であり、それに選ばれた人選がヒビキであった。
突然の人員増加に皆驚いていたが、ミカロスからオービンへの仕事量や負担が大きくなっていた事から一時的に仕事量を減らす事が決まり、そこで副寮長としてそこを補う人員を追加したのだと寮内全員への説明がされた。
今回の決定はオービン寮だけの独断ではなく、全寮の寮長と副寮長、そして学院長との話し合いで決まったのだと付け加えてミカロスは説明した。
だが実際の所は、オービンが寮長としての降格であった。
病の事で、今後も今まで通り寮長として行動していけるかは確実ではないとされた為、現副寮長であるミカロスと交代を言い渡されたのだった。
オービン自身もその判断に反論はなかったが、学院内での発表は変更して欲しいと頼み込んだのだった。
その理由は、この時期の寮長変更で病の事が知られるのを避けたいのと今の学院生たちに動揺を広げたくないと言う考え、そして学院対抗戦も近い事を考慮しての頼みであった。
オービンの意見は学院長も一理あるとして、各寮長たちの納得も得られた事で公表はせずにいたのだった。
結果的にはオービンは副寮長としての役割を続ける事になるが、さすがに1人では何かあった際にまた面倒事が起こると発言からもう1人副寮長を任命する事に至ったのだった。
異例ではあるが、それが時間を掛けずに出来る解決策だと同意を得られた為、実施された。
任命に関してはオービン本人の意思により、ヒビキとなったが寮長たちの中には浮かない顔をしている者もいたが、ミカロスの後押しもあり承認されたのだった。
と、学院内では収穫祭後に大きな変化があったが、一番は私の問題である。
何を隠そうとも、同室であるトウマに私が女性だとバレてしまった事だ。
収穫祭終了後から3日後に、少し落ち着いて来た頃に私は部屋でトウマと2人きりでうやむやにしていた事を話そうとしていたが、そこにルークが訊ねて来て3人で何故か話す事になったのだった。
「え~と……何でルークも居るの? てか、何で来たの?」
「何だよ、俺が居ちゃ悪いのか?」
「別にそう言う訳じゃないけど……」
「いや、普通乗り込んでこないでしょ」
とトウマがルークに言うと、ルークは少しムッとした顔でトウマの方を見る。
トウマは「何でそんな顔するんだよ」と呟いた後、小さくため息をつく。
「まぁ、来ちゃったもんはしょうがないだろ。クリス、続きをどうぞ」
「お、おう」
そして私はトウマに、私の事を出来る限り打ち明けた。
アリスと言う名前である事や、この学院に来た目的などを話し、ルークにはそれをもろもろと知られていたり、レオンやタツミ先生にも性別の事だけはバレている事を伝えた。
するとトウマは、全てを真剣に聞き入れてくれ最後には「よ~く分かった」と深く頷きながら答えた。
「要は、今まで通り接していれば問題ないって事だろ。安心しろよ、誰にも言う訳ないだろ」
「トウマ」
良かった~トウマが良い人で。
いや、バレたこと自体は全然良くない事なんだけど、ひとまず秘密は守ってもらえるし一安心かな。
でも私がこのままこの学院に居られればの話だけど……
私は、お母様から直ぐにでも帰って来る様にと言われるのではないかと、ふと以前考えていた事が頭をよぎった。
「と言うか、俺だけ少し仲間外れにされてた感じだよな~」
「そ、それは」
「冗談だよ、クリス。さ~てと」
そう言ってトウマは立ち上がると、ルークに話は終わったから部屋に戻ったらと伝えると、ルークは何故か断固として動こうとしなかった。
トウマと私は首を傾げていると、ルークが口を開く。
「まだ解決すべき問題があるだろう。なぁ、トウマ」
「? 問題? 何かあったか?」
「トウマ、お前はクリスが男ではないと知った。そしたら、こんな男女2人きりの部屋状態を続ける訳には行かないよな」
「っ!?」
ルークの言葉に、トウマは驚愕の表情を向ける。
「ま、待てルーク! 俺はクリスが男じゃないと知ってからも、少し一緒に過ごしていたが間違いはなかったぞ! な、クリス」
「と、当然だろ!」
「ほら~。な、つうことで問題かいけ」
「ダメに決まってんだろうが」
「うっ……」
するとルークは胸の内ポケットに手を突っ込んで、何か紙を取り出しながら話し続けた。
「何もなかったとしても、このまま一緒にいられる訳ないだろうが。つう訳で、部屋交代だ」
「お前それ! いつの間に!?」
ルークが取りだした紙は、部屋交代承認書であった。
基本的に寮内の同室メンバー交代は自由には出来ないが、理由がある際に寮長に申請する事で認められるのであった。
そこにはルークとクリスの部屋替えが書かれて、承認されている文面が記載されていたのだった。
「嘘だ~俺がお前と同室とか~」
とトウマは嘆きつつ、ベッドへと倒れ込んだ。
「クリス、お前は今日からシンと同室だ。部屋はそのままこっちにしろ、シンには伝えて了承も取ってある」
「別にそこまでしなくても」
「ダメだ。ほらトウマ、さっさと荷物まとめろ。今日中に部屋移動するんだから」
トウマは駄々を捏ねつつも、それをルークが急かしてという状況が続き、遂にはシンが先に部屋に到着してしまう。
それからは渋々とトウマが部屋の荷物を片付けて、ルークと一緒に部屋を出て行った。
そんなこんなで、私は今日からシンと同室になったのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
とある一室の浴室でシャワーを浴びている人物がいた。
そしてシャワーを浴び終わると、その人物は浴室から出て頭にタオルを被り、王国が公表した記事に目を通した。
「ふ~ん。拘束したね~これで犯罪にも終息に向かうか、と言う内容か」
その人物は記事を読み終わると、その場に投げ捨て体を拭き服を着始めた。
「まぁ、想定外の事はあったが上々の結果かな。さてと、次はどうするかね」
とそこに、突然扉を叩く音が響き渡る。
その人物は、扉に近付き開くとそこに居たのは、血だらけのフェルトであった。
「はぁ……はぁ……助けて……ください……」
「……」
するとその人物は、扉を開けたまま奥へと歩いて行く。
フェルトは足を引きずりつつ、奥へと進んで行くとその人物の足共に倒れ込んだ。
「どうか……どうか……傷を……」
「何故俺が、お前の傷を治せると思った? 俺はお前の治療する力などない」
「っ!?」
「そもそも、ここまで付けられて来る相手など不要だ」
とその人物が指を鳴らすと、フェルトはその場で泥の様に溶けて行き泥の塊になってしまう。
直後、その部屋に5名の人物が突入して来た。
「動くな! 貴様には、『モラトリアム』メンバーの容疑が掛かっている。おとなしく、我々の指示に……」
と話した後、5名の足共が泥に覆われしまい身動きが取れなくなってしまう。
そしてそのまま泥が足元から徐々に体を飲み込み始めた。
「どうやら、君たちとは相性が良かったらしい。心配するな、君たちは有意義に使わせてもらうからさ」
「な、何だこれ……は……」
そのまま5名は完全に泥に飲み込まれてしまい、地面に泥人形が5体転がる。
「さてと、少し目立ち過ぎたから暫くはおとなしくしているかな。とりあえず、新しい人形の素性を知っておくか」
と言って、その人物が指を鳴らすと5名を覆っていた泥が全て剥げて、その泥が先程の5名の姿へと変わる。
「今回は、ロバートの様に自我が芽生えない事を願うが、あれは擬態する相手が悪かったからだろうな。俺の分身体にシーベルトの擬態をして、更にその上に俺の擬態をさせた実験はうまくいったが、ロバートに殺されてしまって残念だ」
不敵に笑い顔を上げたその人物は、バベッチ・ロウであった。
私たちが巻き込まれた誘拐事件は世間には公表される事はなく、犯罪組織『モラトリアム』のリーダーであるロバート・ベンズの拘束とその居場所を突き止めた事だけが大々的に公表された。
街の人々は、突然の公表内容にざわついていた。
王国軍は、犯罪組織『モラトリアム』が潜伏していた洞窟の調査を後日行い、数名の残党を捕らえた事も公表した事で街の人々は、これで更に安全に暮らしていけると安堵の表情をしていたのだった。
その話題は学院内でも中心となっており、その話題で盛り上がっている中で私たちはそれを皆と同様に初めて知った様に振る舞っていた。
また一方で、学院ではもう1つの話題で持ちきりであった。
それは、オービン寮の副寮長の追加であり、それに選ばれた人選がヒビキであった。
突然の人員増加に皆驚いていたが、ミカロスからオービンへの仕事量や負担が大きくなっていた事から一時的に仕事量を減らす事が決まり、そこで副寮長としてそこを補う人員を追加したのだと寮内全員への説明がされた。
今回の決定はオービン寮だけの独断ではなく、全寮の寮長と副寮長、そして学院長との話し合いで決まったのだと付け加えてミカロスは説明した。
だが実際の所は、オービンが寮長としての降格であった。
病の事で、今後も今まで通り寮長として行動していけるかは確実ではないとされた為、現副寮長であるミカロスと交代を言い渡されたのだった。
オービン自身もその判断に反論はなかったが、学院内での発表は変更して欲しいと頼み込んだのだった。
その理由は、この時期の寮長変更で病の事が知られるのを避けたいのと今の学院生たちに動揺を広げたくないと言う考え、そして学院対抗戦も近い事を考慮しての頼みであった。
オービンの意見は学院長も一理あるとして、各寮長たちの納得も得られた事で公表はせずにいたのだった。
結果的にはオービンは副寮長としての役割を続ける事になるが、さすがに1人では何かあった際にまた面倒事が起こると発言からもう1人副寮長を任命する事に至ったのだった。
異例ではあるが、それが時間を掛けずに出来る解決策だと同意を得られた為、実施された。
任命に関してはオービン本人の意思により、ヒビキとなったが寮長たちの中には浮かない顔をしている者もいたが、ミカロスの後押しもあり承認されたのだった。
と、学院内では収穫祭後に大きな変化があったが、一番は私の問題である。
何を隠そうとも、同室であるトウマに私が女性だとバレてしまった事だ。
収穫祭終了後から3日後に、少し落ち着いて来た頃に私は部屋でトウマと2人きりでうやむやにしていた事を話そうとしていたが、そこにルークが訊ねて来て3人で何故か話す事になったのだった。
「え~と……何でルークも居るの? てか、何で来たの?」
「何だよ、俺が居ちゃ悪いのか?」
「別にそう言う訳じゃないけど……」
「いや、普通乗り込んでこないでしょ」
とトウマがルークに言うと、ルークは少しムッとした顔でトウマの方を見る。
トウマは「何でそんな顔するんだよ」と呟いた後、小さくため息をつく。
「まぁ、来ちゃったもんはしょうがないだろ。クリス、続きをどうぞ」
「お、おう」
そして私はトウマに、私の事を出来る限り打ち明けた。
アリスと言う名前である事や、この学院に来た目的などを話し、ルークにはそれをもろもろと知られていたり、レオンやタツミ先生にも性別の事だけはバレている事を伝えた。
するとトウマは、全てを真剣に聞き入れてくれ最後には「よ~く分かった」と深く頷きながら答えた。
「要は、今まで通り接していれば問題ないって事だろ。安心しろよ、誰にも言う訳ないだろ」
「トウマ」
良かった~トウマが良い人で。
いや、バレたこと自体は全然良くない事なんだけど、ひとまず秘密は守ってもらえるし一安心かな。
でも私がこのままこの学院に居られればの話だけど……
私は、お母様から直ぐにでも帰って来る様にと言われるのではないかと、ふと以前考えていた事が頭をよぎった。
「と言うか、俺だけ少し仲間外れにされてた感じだよな~」
「そ、それは」
「冗談だよ、クリス。さ~てと」
そう言ってトウマは立ち上がると、ルークに話は終わったから部屋に戻ったらと伝えると、ルークは何故か断固として動こうとしなかった。
トウマと私は首を傾げていると、ルークが口を開く。
「まだ解決すべき問題があるだろう。なぁ、トウマ」
「? 問題? 何かあったか?」
「トウマ、お前はクリスが男ではないと知った。そしたら、こんな男女2人きりの部屋状態を続ける訳には行かないよな」
「っ!?」
ルークの言葉に、トウマは驚愕の表情を向ける。
「ま、待てルーク! 俺はクリスが男じゃないと知ってからも、少し一緒に過ごしていたが間違いはなかったぞ! な、クリス」
「と、当然だろ!」
「ほら~。な、つうことで問題かいけ」
「ダメに決まってんだろうが」
「うっ……」
するとルークは胸の内ポケットに手を突っ込んで、何か紙を取り出しながら話し続けた。
「何もなかったとしても、このまま一緒にいられる訳ないだろうが。つう訳で、部屋交代だ」
「お前それ! いつの間に!?」
ルークが取りだした紙は、部屋交代承認書であった。
基本的に寮内の同室メンバー交代は自由には出来ないが、理由がある際に寮長に申請する事で認められるのであった。
そこにはルークとクリスの部屋替えが書かれて、承認されている文面が記載されていたのだった。
「嘘だ~俺がお前と同室とか~」
とトウマは嘆きつつ、ベッドへと倒れ込んだ。
「クリス、お前は今日からシンと同室だ。部屋はそのままこっちにしろ、シンには伝えて了承も取ってある」
「別にそこまでしなくても」
「ダメだ。ほらトウマ、さっさと荷物まとめろ。今日中に部屋移動するんだから」
トウマは駄々を捏ねつつも、それをルークが急かしてという状況が続き、遂にはシンが先に部屋に到着してしまう。
それからは渋々とトウマが部屋の荷物を片付けて、ルークと一緒に部屋を出て行った。
そんなこんなで、私は今日からシンと同室になったのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
とある一室の浴室でシャワーを浴びている人物がいた。
そしてシャワーを浴び終わると、その人物は浴室から出て頭にタオルを被り、王国が公表した記事に目を通した。
「ふ~ん。拘束したね~これで犯罪にも終息に向かうか、と言う内容か」
その人物は記事を読み終わると、その場に投げ捨て体を拭き服を着始めた。
「まぁ、想定外の事はあったが上々の結果かな。さてと、次はどうするかね」
とそこに、突然扉を叩く音が響き渡る。
その人物は、扉に近付き開くとそこに居たのは、血だらけのフェルトであった。
「はぁ……はぁ……助けて……ください……」
「……」
するとその人物は、扉を開けたまま奥へと歩いて行く。
フェルトは足を引きずりつつ、奥へと進んで行くとその人物の足共に倒れ込んだ。
「どうか……どうか……傷を……」
「何故俺が、お前の傷を治せると思った? 俺はお前の治療する力などない」
「っ!?」
「そもそも、ここまで付けられて来る相手など不要だ」
とその人物が指を鳴らすと、フェルトはその場で泥の様に溶けて行き泥の塊になってしまう。
直後、その部屋に5名の人物が突入して来た。
「動くな! 貴様には、『モラトリアム』メンバーの容疑が掛かっている。おとなしく、我々の指示に……」
と話した後、5名の足共が泥に覆われしまい身動きが取れなくなってしまう。
そしてそのまま泥が足元から徐々に体を飲み込み始めた。
「どうやら、君たちとは相性が良かったらしい。心配するな、君たちは有意義に使わせてもらうからさ」
「な、何だこれ……は……」
そのまま5名は完全に泥に飲み込まれてしまい、地面に泥人形が5体転がる。
「さてと、少し目立ち過ぎたから暫くはおとなしくしているかな。とりあえず、新しい人形の素性を知っておくか」
と言って、その人物が指を鳴らすと5名を覆っていた泥が全て剥げて、その泥が先程の5名の姿へと変わる。
「今回は、ロバートの様に自我が芽生えない事を願うが、あれは擬態する相手が悪かったからだろうな。俺の分身体にシーベルトの擬態をして、更にその上に俺の擬態をさせた実験はうまくいったが、ロバートに殺されてしまって残念だ」
不敵に笑い顔を上げたその人物は、バベッチ・ロウであった。
0
あなたにおすすめの小説
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
男女比8対1の異世界に転移しました、防御力はレベル1です
オレンジ方解石
恋愛
結婚式の最中に、夫に他の女と逃げられた花嫁、水瀬透子。
離婚届けを出す直前に事故で瀕死となった彼女は、異世界の女神から『妾と取り引きするなら、助けてやろう』と持ちかけられる。
異世界の《世界樹》の《種》を宿す《仮枝》となった透子は、女神の世界に連れて行かれ、二年を過ごすこととなった。
そこは男女比が8対1という偏った世界であり、女性が《四気神》と呼ばれる守護者に守られる世界。
女神とはぐれた透子は、そこで美形の青年、紅霞に助けられるが……。
※追記の追記を少し直しました。
枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉
狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。
「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。
フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。
対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。
「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」
聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。
「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」
そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。
イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。
ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼
そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ!
イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。
しかし……。
「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」
そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。
異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。
和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……?
しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし!
危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。
彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。
頼む騎士様、どうか私を保護してください!
あれ、でもこの人なんか怖くない?
心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……?
どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ!
人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける!
……うん、詰んだ。
★「小説家になろう」先行投稿中です★
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる