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第135話 終息
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「アバン」
と声を掛けたのはサストであった。
その声に気付きアバンは、振り返り「サスト隊長……」と呟いた。
サストは同行して来た王国兵に、ルークたちの方へと向かわせるよう指示を出し、自分はアバンの元へと近寄って行く。
「アバン、まさかお前の家族が誘拐された1人だったとはな。そこまでの情報を得られずに、今回の同行を許可した俺にも責任がある」
アバンが単独行動した事は既にペイルから聞いたのか、全てを知った上でサストは話し掛けているとアバンは分かった。
「いえ、今回の違反行動は全て俺の自己判断でした事です。サスト隊長に可能性として話していなかった俺が悪いです」
「……そうかもしれないが、俺はこの部隊の隊長だ。隊長は、部隊の中で起きた全ての事に対し責任を持たなければいけないものなんだ。ひとまず、今どうこう言うのはもう終わりだ。詳しくは帰還してからだ」
するとサストは、アバンが戦っていた相手の事について話し始めた。
そこでアバンは初めて今回の首謀者が犯罪組織『モラトリアム』である事を知り、先程まで戦っていたのがそのリーダーであるロバート・ベンズであったと教えられる。
容姿が若返ってはいるものの、サストが直接その顔を確認し間違いなく本人であると告げた。
その場でサストは直ぐに意識を失っているロバートを拘束し、アバンにどう言う経緯でロバートを倒したのかを聞きだす。
アバンはサストに近付き、少し小声で全てを話すとサストは少しため息を漏らすも、怒っている訳ではなかった。
「分かった。それについても帰還してから話そう。アバン、お前まだ隠している事はないか? ここまで来たら全て言ってもらいたいものだ」
「いえ、これ以上の秘密はありません」
「ならいい。ひとまずこちらの対処などは、他の兵たちと行うからお前は家族の所に行って話して来い」
サストの心遣いに感謝し、アバンは言われた通りにその場を軽く一礼してから離れる。
そして私の元へとやって来て、腰を下ろしていつもの兄としての顔で話し掛けて来た。
「大丈夫か、アリス?」
「お兄ちゃんこそ、大丈夫なの? 違反行動とか聞こえたけど……もしかして私の為に」
するとアバンは首を軽く横に振った。
「家族より大切なものはないんだよ、アリス。今は俺の事より、お前が無事で安心したよ。でも、母さんや父さんに今回の件を知ったら、何を言うか」
「……そうだね」
私はお兄ちゃんは自分の事は気にするなと言ってるが、私のせいでお兄ちゃんの将来を台無しにしてしまったのではないかと気が気でなかった。
このままお兄ちゃんは、せっかく入隊出来た王国軍を退くはめになってしまったらどうしようと私は考えてしまっていた。
するとお兄ちゃんは、そんな私の内心を読み取り俯く私の顔を両手で掴み上げて来た。
「俯くな、アリス。俺は俺がやるべき事をやる為に選択した結果だから、後悔はしてない。だからそんな顔するな、眉間にしわの跡が残るぞ」
「お兄ちゃん……」
そう私に優しく微笑みかけた後、私の後ろに回り拘束具を破壊してくれた。
そしてそのままルークたちの方に視線を移した。
「さて、ルーク。俺はお前に言いたい事はさっき言ったが、もう1つだけ言わせろ」
そう言ってアバンはルークの耳元に迫った。
「今回の行動は、アリスの為だったのは分かる。お前がここまでしてアリスを助け出したかった気持ちは分かるが、前にも言った通り俺の気持ちは変わらなぞ。兄貴との関係にも終止符が着いたようだが、今のままじゃまだ世間の目は変わらないぞ」
「っ……」
そう言った後アバンはルークから離れると、ルークは少し俯いた。
そんなルークを見てアバンは言葉を付け加えた。
「だが、今回はお前が行動してくれたからアリスを助けられた。ありがとう」
深く頭を下げるアバンの姿に、ルークは少し驚きの表情をするも直ぐにいつも通りの表情をして「いや、俺は……」とだけ呟くのみだった。
アバンは頭を上げると、こちらをずっと見ている視線に気付きルークの後ろにいたトウマに視線を移す。
「え~と……君は……」
「俺はトウマです。ルークたちと同じ王都メルト魔法学院の第2学年で、貴方の事も知ってますよアバンさん。昔オービン先輩に圧勝したと言う、あのアバンさんですよね」
「トウマね。覚えたよ。いや~よく言われるけど俺あんまり覚えていないんだよね」
「いや、それはそれでいいんですけど……その~何て言うか~……」
急にトウマが周囲をキョロキョロとしつつ、アバンに話し掛けて来たが中々本題に入らずにいた。
その行動にアバンは首を傾げているとトウマはアバンの方へと近付いて来て、耳打ちする様に聞きたかった事を口に出した。
「あの、そのクリスの事なんですが。さっき妹とか、アリスとか呼んでましたけど、どう言うことですか?」
「え? ……あっ……あはははは……」
トウマの問いかけにアバンは乾いた笑いでその場をやり過ごし後、私の方を向いて来て手で私の事を呼んでいたので近寄る。
「何、お兄ちゃん」
「すまん。彼にバレちゃった」
「え? あっ!」
その時私は色んな事が起き過ぎていたので、完全に気が抜けていた状態でありトウマの前でクリスのふりをするのを少し忘れていたと思い出した。
それに先程のロバートとの戦いの中で、アバンがはっきりと妹と口にしていた事や、先程の会話も聞こえていたのだとすると、もう言い訳するわけにもいかなったので素直に私はトウマに両手を合わせてお願いをした。
「トウマお願い! それについては必ず説明するから、誰にも言わないでくれない?」
「え!? っ??? お、おう……俺は良いけどルークは……」
とトウマがルークの方を見るとルークは全く驚いていなかった事から、事情を知っていたのだと悟った。
すぐさまトウマは私の方へと顔を戻して来た。
「1つだけ確認させてくれ。それだけでいいから。な」
「え、まぁいいけど」
するとトウマは唾を飲み込んだ後それを口に出した。
「クリスは男じゃなくて、女性なのか?」
「……うん」
私の回答にトウマは一気に顔が明るくなった。
何でそれを聞いただけそんな事になったのかは、私にも理解出来なかったがトウマはそれを聞いただけで満足したのか、それ以上の事は聞いてこずそのまま背を向けて何かをしていた。
その時トウマは、皆に背を向けて小さくガッツポーズをしていたのだった。
その時サストが声を掛けて来て、自己紹介と簡単に今後の流れを説明した後、この場からの撤収を指示して来た。
私たちはサストの指示に従って動き始めた。
その後、私たちは安全に洞窟内を歩き続け、外へと出ると既に空は茜色であった。
また外には、先に外に出ていたもう1つの王国軍兵たちがいて、そこにオービンとヒビキの姿もあったが何やら話している様子だったので声は掛けなかった。
そしてアバンはサストと更には3名の王国軍兵と少し離れた所で、話をした後戻って来て私たちは街への帰路へと着いたのだった。
この日、私たちが街に戻って来たころには夕日も沈みかけており、街は収穫祭のフィナーレを飾るイベントが行われいる最中であった。
しかし私たちは、そのまま王城へと行き手当を受けた後、今日の出来事について緘口令を敷かれた。
一国の第一王子であるオービンが収穫祭に誘拐されたと知れたら、王国がパニックになる可能性がある為と説明され、一方で犯罪組織『モラトリアム』が関わっていたとなると更にパニックになると言われた。
だが、今回『モラトリアム』のリーダーであるロバート・ベンズの拘束に成功した事で、大きな犯罪などが終息し始めると語るのだった。
そして私たちは、王城内で収穫祭フィナーレメインイベントの花火が良く見える部屋に案内され、そこで花火を堪能したのだった。
と声を掛けたのはサストであった。
その声に気付きアバンは、振り返り「サスト隊長……」と呟いた。
サストは同行して来た王国兵に、ルークたちの方へと向かわせるよう指示を出し、自分はアバンの元へと近寄って行く。
「アバン、まさかお前の家族が誘拐された1人だったとはな。そこまでの情報を得られずに、今回の同行を許可した俺にも責任がある」
アバンが単独行動した事は既にペイルから聞いたのか、全てを知った上でサストは話し掛けているとアバンは分かった。
「いえ、今回の違反行動は全て俺の自己判断でした事です。サスト隊長に可能性として話していなかった俺が悪いです」
「……そうかもしれないが、俺はこの部隊の隊長だ。隊長は、部隊の中で起きた全ての事に対し責任を持たなければいけないものなんだ。ひとまず、今どうこう言うのはもう終わりだ。詳しくは帰還してからだ」
するとサストは、アバンが戦っていた相手の事について話し始めた。
そこでアバンは初めて今回の首謀者が犯罪組織『モラトリアム』である事を知り、先程まで戦っていたのがそのリーダーであるロバート・ベンズであったと教えられる。
容姿が若返ってはいるものの、サストが直接その顔を確認し間違いなく本人であると告げた。
その場でサストは直ぐに意識を失っているロバートを拘束し、アバンにどう言う経緯でロバートを倒したのかを聞きだす。
アバンはサストに近付き、少し小声で全てを話すとサストは少しため息を漏らすも、怒っている訳ではなかった。
「分かった。それについても帰還してから話そう。アバン、お前まだ隠している事はないか? ここまで来たら全て言ってもらいたいものだ」
「いえ、これ以上の秘密はありません」
「ならいい。ひとまずこちらの対処などは、他の兵たちと行うからお前は家族の所に行って話して来い」
サストの心遣いに感謝し、アバンは言われた通りにその場を軽く一礼してから離れる。
そして私の元へとやって来て、腰を下ろしていつもの兄としての顔で話し掛けて来た。
「大丈夫か、アリス?」
「お兄ちゃんこそ、大丈夫なの? 違反行動とか聞こえたけど……もしかして私の為に」
するとアバンは首を軽く横に振った。
「家族より大切なものはないんだよ、アリス。今は俺の事より、お前が無事で安心したよ。でも、母さんや父さんに今回の件を知ったら、何を言うか」
「……そうだね」
私はお兄ちゃんは自分の事は気にするなと言ってるが、私のせいでお兄ちゃんの将来を台無しにしてしまったのではないかと気が気でなかった。
このままお兄ちゃんは、せっかく入隊出来た王国軍を退くはめになってしまったらどうしようと私は考えてしまっていた。
するとお兄ちゃんは、そんな私の内心を読み取り俯く私の顔を両手で掴み上げて来た。
「俯くな、アリス。俺は俺がやるべき事をやる為に選択した結果だから、後悔はしてない。だからそんな顔するな、眉間にしわの跡が残るぞ」
「お兄ちゃん……」
そう私に優しく微笑みかけた後、私の後ろに回り拘束具を破壊してくれた。
そしてそのままルークたちの方に視線を移した。
「さて、ルーク。俺はお前に言いたい事はさっき言ったが、もう1つだけ言わせろ」
そう言ってアバンはルークの耳元に迫った。
「今回の行動は、アリスの為だったのは分かる。お前がここまでしてアリスを助け出したかった気持ちは分かるが、前にも言った通り俺の気持ちは変わらなぞ。兄貴との関係にも終止符が着いたようだが、今のままじゃまだ世間の目は変わらないぞ」
「っ……」
そう言った後アバンはルークから離れると、ルークは少し俯いた。
そんなルークを見てアバンは言葉を付け加えた。
「だが、今回はお前が行動してくれたからアリスを助けられた。ありがとう」
深く頭を下げるアバンの姿に、ルークは少し驚きの表情をするも直ぐにいつも通りの表情をして「いや、俺は……」とだけ呟くのみだった。
アバンは頭を上げると、こちらをずっと見ている視線に気付きルークの後ろにいたトウマに視線を移す。
「え~と……君は……」
「俺はトウマです。ルークたちと同じ王都メルト魔法学院の第2学年で、貴方の事も知ってますよアバンさん。昔オービン先輩に圧勝したと言う、あのアバンさんですよね」
「トウマね。覚えたよ。いや~よく言われるけど俺あんまり覚えていないんだよね」
「いや、それはそれでいいんですけど……その~何て言うか~……」
急にトウマが周囲をキョロキョロとしつつ、アバンに話し掛けて来たが中々本題に入らずにいた。
その行動にアバンは首を傾げているとトウマはアバンの方へと近付いて来て、耳打ちする様に聞きたかった事を口に出した。
「あの、そのクリスの事なんですが。さっき妹とか、アリスとか呼んでましたけど、どう言うことですか?」
「え? ……あっ……あはははは……」
トウマの問いかけにアバンは乾いた笑いでその場をやり過ごし後、私の方を向いて来て手で私の事を呼んでいたので近寄る。
「何、お兄ちゃん」
「すまん。彼にバレちゃった」
「え? あっ!」
その時私は色んな事が起き過ぎていたので、完全に気が抜けていた状態でありトウマの前でクリスのふりをするのを少し忘れていたと思い出した。
それに先程のロバートとの戦いの中で、アバンがはっきりと妹と口にしていた事や、先程の会話も聞こえていたのだとすると、もう言い訳するわけにもいかなったので素直に私はトウマに両手を合わせてお願いをした。
「トウマお願い! それについては必ず説明するから、誰にも言わないでくれない?」
「え!? っ??? お、おう……俺は良いけどルークは……」
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私たちはサストの指示に従って動き始めた。
その後、私たちは安全に洞窟内を歩き続け、外へと出ると既に空は茜色であった。
また外には、先に外に出ていたもう1つの王国軍兵たちがいて、そこにオービンとヒビキの姿もあったが何やら話している様子だったので声は掛けなかった。
そしてアバンはサストと更には3名の王国軍兵と少し離れた所で、話をした後戻って来て私たちは街への帰路へと着いたのだった。
この日、私たちが街に戻って来たころには夕日も沈みかけており、街は収穫祭のフィナーレを飾るイベントが行われいる最中であった。
しかし私たちは、そのまま王城へと行き手当を受けた後、今日の出来事について緘口令を敷かれた。
一国の第一王子であるオービンが収穫祭に誘拐されたと知れたら、王国がパニックになる可能性がある為と説明され、一方で犯罪組織『モラトリアム』が関わっていたとなると更にパニックになると言われた。
だが、今回『モラトリアム』のリーダーであるロバート・ベンズの拘束に成功した事で、大きな犯罪などが終息し始めると語るのだった。
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