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第184話 親として友として
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会場では現在、ミドルランクの女子第3試合が行われていた。
バーグベル魔法学院とシリウス魔法学院の対戦であったが、観客たちの大半の男性たちはバーベル魔法学院の代表者であるシルビィ・スオールに目を奪われていた。
試合の展開も徐々に彼女の優勢へと変わって行き、最終的にはシルビィが勝利し第3試合は終了した。
試合終了後には、彼女の妹感に見惚れて応援していた男性たちが大きな声援を送っていた。
シルビィ自身はと言うと、特にそう言う感じで戦っていた訳でもなかったので、普通に声援に答えていたのだった。
そしてその試合を持ってミドルランクの全試合が終了した為、改めて結果が反映された順位が宙に表示される。
ミドルランク試合終了時点
メルト魔法学院 4戦3勝1敗 +20ポイント
シリウス魔法学院 4戦2勝2敗 ±0ポイント
バーグベル魔法学院 4戦1勝3敗 -10ポイント
クレイス魔法学院 4戦1勝3敗 -10ポイント
ネアルガ魔法学院 4戦1勝3敗 ±0ポイント
特別枠選手 4戦4勝0敗
※特別枠選手に負けた学院はポイント減少なし
ミドルランク終了後、ルーキーランク同様に会場点検の為暫くの休憩時間となる。
観客たちも残す所シニアランクの試合のみとなり、最終結果の予想で盛り上がり始めていた。
そんな休憩時間に、とある観戦室の一室にある人物が訪ねていた。
「ん? ハンス。国王のお前が直々に私の所に来るとは、どう言う用件だい?」
「リーリア、急に訪ねてすまないね。いやなに、ちょっと子供について話そうと思ってな」
「とか言って、お前はただルークの自慢をしに来たんじゃないのか?」
「あははは……ま、まぁ、それは否定しないよ。そう言えば、エリックさんの姿が見えないけど今日は来ていないのか?」
「私の夫の事を気にするとはハンス、さてはお前私に変な事をしに来たのか?」
「おいリーリア、昔みたいに俺をからかうな」
ハンスが少し呆れて答えると、リーリアは笑いながら夫エリックの事を話す。
今日の学院対抗戦にはフォークロス家は夫婦で来ており、エリックは今会場外の出店を見に行って席を外しているだけであるとリーリアは話す。
「そうだったか。にしても、お前の娘のアリスとの試合は凄かったな。まるで、昔のリーリアとティアの試合を見ている様だったよ」
「そりゃ、私の娘だからと言いたいが、あれはあの子が頑張った結果だよ。私がどうこうと言うのは関係ないさ。メルトに強引だったが入れた事で、あの子に良くも悪くもいい刺激を与えてくれたんだと思うよ」
「なるほどな。それに関しては俺も納得だ。ルークもアリスと久しぶりに出会った事で、変わり始めている。あの仲が悪かったオービンとの関係も元に戻りつつあり、俺は凄く嬉しいよ」
「ハンスお前、親バカだな」
「うるせぇ、自分の子供が成長してる事に喜ばない親がいるかよ」
リーリアは嬉しそうな顔をするハンスを見て、クスッと笑うと思い出したかの様にハンスへと問いかけた。
「そう言えば、アバンの方はどうしているんだ?」
「彼か。今は訓練兵としてではなく、ちょっと雑用的な事をしてもらっているよ。一応、命令違反をしてしまったからそれの罰的な事さ。あの日同行した部隊の隊長たちから色々と状況を聞いての判断さ」
「そうか。うちの息子が迷惑かけたな」
「迷惑なんて事あるかよ。彼がいなければ今頃うちの子供たちもお前の娘も、無事ではなかったかもしれないんだからな……」
犯罪組織『モラトリアム』による誘拐事件の事を思い出させる様にハンスが口を開くと、リーリアは黙ってしまう。
リーリアも事件の真実をハンスからあの後教えられており、過去に死んだはずのバベッチが関わっていた事に衝撃を受けていた。
この事は他にもハンスの妻であり、リーリアの同級生であるティアもマイナも同時に教えられていた。
バベッチはリーリアたちと同級生であり、仲が良かった1人であり過去のクーデターの事件時にリーリアを庇って死んでしまった為、その事実に驚きを隠しきれなかったのであった。
「ハンス、その話は……」
「すまない。その話がしたかった訳じゃないんだ」
「分かってる。私が少し過敏になってるだけで、ハンスは悪くないわ」
リーリアたちは、バベッチの姿を直接見た訳ではなく誘拐事件に関わっていた人物たちの話を聞いた中に、同性同名であり昔写真に写した姿のバベッチがいた事で整理がついていないのである。
現在は死んでいるはずの人間が、まだ生きていたとなれば誰しも動揺はするが、リーリアたちは生きているはずがないとし、誰かがバベッチの姿で悪事を働いていると一旦割り切っていた。
だがリーリアだけは、心の中でどこか割り切れていなかったのであった。
「(リーリア、やはりお前はまだ割り切れてないのか……バベッチはあの日お前を庇って重傷を負って、俺たちが看取って死んだ。そして俺たち自身で埋葬までしているんだ。あいつが生きているなんてあり得ない事なんだ。だが、お前にはそう言っても自分を命を懸けて救ってくれた相手が生きているかもと知ったら、割り切れないよな……)」
するとそこへ部屋の扉がガチャと開いた。
「おや、ハンス国王ではありませんか」
「え、ハンス? どうしてここに?」
そこにやって来たのは、リーリアの夫であるエリックと、学院長姿であるマイナであった。
ハンスはエリックに挨拶をした後、マイナに対してもここへ訪れた理由を話し納得してもらう。
話し終えるとハンスはマイナにも同じ問いかけをすると、マイナはちょうど外でエリックと出会い、リーリアとも話したらどうだと言う事で招待されたと答える。
その後4人は、試合の話や自分の子供たちの話で盛り上がった。
そして話もひと段落した所で、ハンスとマイナは部屋を後にするのだった。
「ハンス、リーリアに何か変な事でも話した?」
「えっ、何だよ急に」
「いやリーリア、どこか元気がない様な感じがしたから」
「あ~いや、そのちょっと例の話に偶然行きついてな……」
「なるほど、そう言う理由だったのね。まぁ、悪気はないんだろうけど、リーリアの前では気をつけてよ国王様」
ハンスは反省した表情で「分かってるよ」と答えた。
「そう言えば、ティアの姿がなかったけど一緒に行かなかったの?」
「ティアは疲れ果てて休んでるよ。久々に白熱してたからな」
「ふ~んそっか。それじゃ、私は他の学院長たちがいる部屋に戻るから、ティアによろしくね」
「お前も大変だなマイナ」
「ハンスやティア程じゃないよ。それじゃ」
軽く手を振ってマイナはハンスと別れ、ハンスはマイナの背を見ながら「またな、マイナ」と答え自身の観戦室へと戻って行くのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
私は代表選手用の観戦室の隅の方で椅子に座り、深いため息をついた。
「はぁ~……何か凄く疲れた……」
試合が終わり帰って来たから、他の人からも質問攻めにされており、何とか核心は避けつつ逃げ切ったが、そんな事をしていたので全く休めた感じがしていなかった。
「あそこまで隠さないで話せば、そんな事にならずに済んだのにさ~意外とアリスって口硬いよね」
メイナの言葉に隣でジェイミが頷く。
「こればっかりは言えないの」
さすがにダンデたちとの特訓を経て思い付き、身に付けた物だって言えるわけないじゃんよ。
下手に話すとどこかで絶対に私はボロを出すと思うし、この話は何が何でも答える訳には行かないんだよね。
あ~何か少し1人でゆっくりしたい気分だ……
私が再度小さくため息をつくと、会場にてアナウンスが流れ始める。
その内容はシニアランクの試合を開始すると言う内容であった。
バーグベル魔法学院とシリウス魔法学院の対戦であったが、観客たちの大半の男性たちはバーベル魔法学院の代表者であるシルビィ・スオールに目を奪われていた。
試合の展開も徐々に彼女の優勢へと変わって行き、最終的にはシルビィが勝利し第3試合は終了した。
試合終了後には、彼女の妹感に見惚れて応援していた男性たちが大きな声援を送っていた。
シルビィ自身はと言うと、特にそう言う感じで戦っていた訳でもなかったので、普通に声援に答えていたのだった。
そしてその試合を持ってミドルランクの全試合が終了した為、改めて結果が反映された順位が宙に表示される。
ミドルランク試合終了時点
メルト魔法学院 4戦3勝1敗 +20ポイント
シリウス魔法学院 4戦2勝2敗 ±0ポイント
バーグベル魔法学院 4戦1勝3敗 -10ポイント
クレイス魔法学院 4戦1勝3敗 -10ポイント
ネアルガ魔法学院 4戦1勝3敗 ±0ポイント
特別枠選手 4戦4勝0敗
※特別枠選手に負けた学院はポイント減少なし
ミドルランク終了後、ルーキーランク同様に会場点検の為暫くの休憩時間となる。
観客たちも残す所シニアランクの試合のみとなり、最終結果の予想で盛り上がり始めていた。
そんな休憩時間に、とある観戦室の一室にある人物が訪ねていた。
「ん? ハンス。国王のお前が直々に私の所に来るとは、どう言う用件だい?」
「リーリア、急に訪ねてすまないね。いやなに、ちょっと子供について話そうと思ってな」
「とか言って、お前はただルークの自慢をしに来たんじゃないのか?」
「あははは……ま、まぁ、それは否定しないよ。そう言えば、エリックさんの姿が見えないけど今日は来ていないのか?」
「私の夫の事を気にするとはハンス、さてはお前私に変な事をしに来たのか?」
「おいリーリア、昔みたいに俺をからかうな」
ハンスが少し呆れて答えると、リーリアは笑いながら夫エリックの事を話す。
今日の学院対抗戦にはフォークロス家は夫婦で来ており、エリックは今会場外の出店を見に行って席を外しているだけであるとリーリアは話す。
「そうだったか。にしても、お前の娘のアリスとの試合は凄かったな。まるで、昔のリーリアとティアの試合を見ている様だったよ」
「そりゃ、私の娘だからと言いたいが、あれはあの子が頑張った結果だよ。私がどうこうと言うのは関係ないさ。メルトに強引だったが入れた事で、あの子に良くも悪くもいい刺激を与えてくれたんだと思うよ」
「なるほどな。それに関しては俺も納得だ。ルークもアリスと久しぶりに出会った事で、変わり始めている。あの仲が悪かったオービンとの関係も元に戻りつつあり、俺は凄く嬉しいよ」
「ハンスお前、親バカだな」
「うるせぇ、自分の子供が成長してる事に喜ばない親がいるかよ」
リーリアは嬉しそうな顔をするハンスを見て、クスッと笑うと思い出したかの様にハンスへと問いかけた。
「そう言えば、アバンの方はどうしているんだ?」
「彼か。今は訓練兵としてではなく、ちょっと雑用的な事をしてもらっているよ。一応、命令違反をしてしまったからそれの罰的な事さ。あの日同行した部隊の隊長たちから色々と状況を聞いての判断さ」
「そうか。うちの息子が迷惑かけたな」
「迷惑なんて事あるかよ。彼がいなければ今頃うちの子供たちもお前の娘も、無事ではなかったかもしれないんだからな……」
犯罪組織『モラトリアム』による誘拐事件の事を思い出させる様にハンスが口を開くと、リーリアは黙ってしまう。
リーリアも事件の真実をハンスからあの後教えられており、過去に死んだはずのバベッチが関わっていた事に衝撃を受けていた。
この事は他にもハンスの妻であり、リーリアの同級生であるティアもマイナも同時に教えられていた。
バベッチはリーリアたちと同級生であり、仲が良かった1人であり過去のクーデターの事件時にリーリアを庇って死んでしまった為、その事実に驚きを隠しきれなかったのであった。
「ハンス、その話は……」
「すまない。その話がしたかった訳じゃないんだ」
「分かってる。私が少し過敏になってるだけで、ハンスは悪くないわ」
リーリアたちは、バベッチの姿を直接見た訳ではなく誘拐事件に関わっていた人物たちの話を聞いた中に、同性同名であり昔写真に写した姿のバベッチがいた事で整理がついていないのである。
現在は死んでいるはずの人間が、まだ生きていたとなれば誰しも動揺はするが、リーリアたちは生きているはずがないとし、誰かがバベッチの姿で悪事を働いていると一旦割り切っていた。
だがリーリアだけは、心の中でどこか割り切れていなかったのであった。
「(リーリア、やはりお前はまだ割り切れてないのか……バベッチはあの日お前を庇って重傷を負って、俺たちが看取って死んだ。そして俺たち自身で埋葬までしているんだ。あいつが生きているなんてあり得ない事なんだ。だが、お前にはそう言っても自分を命を懸けて救ってくれた相手が生きているかもと知ったら、割り切れないよな……)」
するとそこへ部屋の扉がガチャと開いた。
「おや、ハンス国王ではありませんか」
「え、ハンス? どうしてここに?」
そこにやって来たのは、リーリアの夫であるエリックと、学院長姿であるマイナであった。
ハンスはエリックに挨拶をした後、マイナに対してもここへ訪れた理由を話し納得してもらう。
話し終えるとハンスはマイナにも同じ問いかけをすると、マイナはちょうど外でエリックと出会い、リーリアとも話したらどうだと言う事で招待されたと答える。
その後4人は、試合の話や自分の子供たちの話で盛り上がった。
そして話もひと段落した所で、ハンスとマイナは部屋を後にするのだった。
「ハンス、リーリアに何か変な事でも話した?」
「えっ、何だよ急に」
「いやリーリア、どこか元気がない様な感じがしたから」
「あ~いや、そのちょっと例の話に偶然行きついてな……」
「なるほど、そう言う理由だったのね。まぁ、悪気はないんだろうけど、リーリアの前では気をつけてよ国王様」
ハンスは反省した表情で「分かってるよ」と答えた。
「そう言えば、ティアの姿がなかったけど一緒に行かなかったの?」
「ティアは疲れ果てて休んでるよ。久々に白熱してたからな」
「ふ~んそっか。それじゃ、私は他の学院長たちがいる部屋に戻るから、ティアによろしくね」
「お前も大変だなマイナ」
「ハンスやティア程じゃないよ。それじゃ」
軽く手を振ってマイナはハンスと別れ、ハンスはマイナの背を見ながら「またな、マイナ」と答え自身の観戦室へと戻って行くのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
私は代表選手用の観戦室の隅の方で椅子に座り、深いため息をついた。
「はぁ~……何か凄く疲れた……」
試合が終わり帰って来たから、他の人からも質問攻めにされており、何とか核心は避けつつ逃げ切ったが、そんな事をしていたので全く休めた感じがしていなかった。
「あそこまで隠さないで話せば、そんな事にならずに済んだのにさ~意外とアリスって口硬いよね」
メイナの言葉に隣でジェイミが頷く。
「こればっかりは言えないの」
さすがにダンデたちとの特訓を経て思い付き、身に付けた物だって言えるわけないじゃんよ。
下手に話すとどこかで絶対に私はボロを出すと思うし、この話は何が何でも答える訳には行かないんだよね。
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