とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

文字の大きさ
215 / 564

第214話 特異体質

しおりを挟む
 リリエルはそう告げた後、再びマイナの前にあるスイーツへと手を伸ばすが、それはマイナに手を掴まれて止められる。

「リリエル先生、もう少し具体的に訊かせて下さい!」
「具体的にって、何を訊きたいのよマイナ」
「モーガンさんの特異体質についてもそうですが、モーガンさんの入学時に送られてきた手紙はリリエル先生が出した物なんですか?」
「手紙?」

 モーガンは聞いた事のない内容に少し困惑していた。
 さっきの何とかタイプの件もそうだけど、マイナ学院長はモーガンに関する何かを入学時に既にその手紙で知っていたって事?
 私はそんな事を思いつつ、マイナとリリエルの方を見つめた。

「あ~あの手紙無事に付いていたのか。それは良かった」
「やっぱり、あれはリリエル先生からでしたか。字から何となくそうかと思っていましたが、何であんな重要な事を名前もなしで出すんですか? もし、私でない相手に渡っていたらと考えないんですか?」
「そこは心配してないよ。この学院の学院長以外の者が手紙を見たら、全て燃えてなくなる様にしてあったし」
「貴方って言う人は……」

 すると、そこでモーガンが会話に入って行く。

「すいません、さっきから手紙って何のことですか? 話から僕に関する事の様ですけど」
「それはな、私がお前がこの学院に入学すると分かって学院長宛てに、お前の特異体質の事を伝えたんだ」
「なっ」
「だから、こいつはお前が特異体質である事を、既に入学時には知っていたんだよ」
「そ、そうなんですか、マイナ学院長?」

 モーガンがマイナを方を見て、問いかけるとマイナは申し訳なさそうに頷いた。

「確かにリリエル先生からの手紙で、モーガンさんの力については知ってはいましたが、本人には言っていないなどとあったのでこちらから話す訳には行きませんでしたので黙っていました」
「それじゃ、マイナ学院長はリリエルさんからの手紙でモーガンの特異体質は、既に国に申請を出している事も知っていたんですか?」

 私からの問いかけに、マイナは首を横に振った。

「知りませんでしたよ。ですから、先程言った事に驚いたんです。リリエル先生、いつそれを国に伝えていたんですか?」
「そうか。そう言えばあれは、手紙を出した後だったな。私がたまたまこの国近くに居た時に、ふらっと王城へ忍び込んで国王のハンスと直接会って話したんだよ。それで、ハンス直々にやってもらったんだ」
「はぁ~……リリエル先生、忍び込んだって見つかったら一大事になっていましたし、ハンスもよく応じましたね」
「流石に最初は驚いていたが、何故か納得した様な顔をしていたわね。まぁ、ともかくその時にモーガンの特異体質については届を出したのよ。一応、監視などの細かい所は私が責任者としてあるから、他の誰かがモーガンに関わる事はないわ」
「なるほど。納得しがたいですが、納得しました。確かにリリエル先生ならば、監視や力の保証などについては問題ないですね」

 マイナは椅子の背もたれに寄りかかり、小さくため息をついた。
 その隙にリリエルは、マイナが注文しまだ残っていたスイーツに手を伸ばしひとかけらを食べた。

「師匠、それじゃ僕の魔力を見る力は特異体質で間違いって事ですよね? なら、何で嘘を僕に言い続けて来たんですか?」
「そんなの決まっているだろ。特異体質持ちって言うのは、この世の中であまりよく見られないからだよ。そんなのあったとしても、知らない方がましだと私が判断したからだ。それに、お前の特異体質は珍しいタイプで気付かれる事もないと思ったから魔法だと言い通したんだよ」
「なるほど……でも、少しぐらい僕に言ってくれても良かったじゃないですか」
「それは悪かったと思っているわ。だから、念の為にハンスの奴に直接会って申請とやらもしておいたのよ。何があってもいいように」
「一方的に何かを決められるのって言うのは、あまり気持ちが良くないものですよリリエル先生」
「私もやってから後悔したから、こうやって色々と動いたのよ。モーガン、貴方の事を隠したままにして本当にごめんなさいね。と言う訳で、この話はおしまい。モーガン、マイナが頼んだスイーツ私にもお願い」

 リリエルの言葉にモーガンは小さくため息をつくが、モーガンもそこまで引きずっている訳ではなく、何かスッキリした様な表情をしておりスイーツの注文を厨房へと伝えに行った。

「リリエル先生、弟子に対してさっきの話雑に終わらせ過ぎじゃないですか?」
「そう? モーガンもそこまで重く思い詰めていた感じじゃなかったし、大丈夫よ。彼ももう大人のだから。それで、貴方はまだ何か訊きたい事があるのかしらクリス?」

 リリエルは私の心を見透かしている様な発言をして来たので、私はそのまま気になっていた事を問いかけた。

「は、はい。その先程の特異体質の件で、何とかタイプと言っていましたが、そんなの存在するんですか? 俺、聞いた事も本で見た事もないんですけど」

 私からの問いかけにリリエルは一度、マイナの方を見るとマイナは軽く頷いた。
 その反応を見てリリエルは私の方を再度見て、話し始めた。

「特異体質についての詳しい書物などは、一定の者しか見れないから知らないのも当然よ。詳しくは話す事は出来ないけど、タイプについては問題ない様だから特別に教えてあげるわ」

 そう言ってリリエルは特異体質のタイプについて語り始めてくれた。
 そもそも特異体質と言うには、それぞれタイプが存在しているらしい。
 私としては、そのこと自体が初耳であった。
 現状大きく3つのタイプに分かれているらしい。

 1つ目は、常時発動タイプと呼ばれそのままの通り、常に特異体質の異常な力が発動している状態の事である。
 その様な人は、自身で制御などは出来ない為抑制する魔道具が配布されているらしい。
 この学院で言うと、第3学年のイルダ寮副寮長のマルロスだとリリエルが教えてくれると、急にマイナが立ち上がりリリエルに迫った。
 どうやら、その事は秘密にされている事らしくマイナは偶然とは言え知ってしまったので、マルロス副寮長の件については秘密にしておいて欲しいと言われたので私はその約束を破らないと誓った。
 リリエルはマイナに謝った後、2つ目のタイプについて話し始めた。
 2つ目は、操作可能タイプで1つ目とは異なり自身で特異体質の力を制御できる人の事を言うらしい。
 私は自分の中で、トウマがその類似タイプなのではないかと思い浮かべていた。
 国からは操作可能タイプの人にも、制御用の魔道具を配布しているとマイナは補足的に教えてくれた。
 そして最後の3つ目は、特定条件下タイプであり先程モーガンに伝えていたものだ。
 3つ目のタイプの人はほとんどいないらしく、特定条件下タイプと言うのはとある条件下のみにおいて、自身が持つ特異体質の力を発動させられるものであるとリリエルは語った。
 確かにモーガンはいつも他人の魔力を見るとは、同じ様な動作をして見ていたと私は思い出した。
 リリエルは、それがモーガンの特異体質発動のトリガーになってると言い、それが特定条件でありそれをしなければモーガンの特異体質は発動しないと教えてくれた。
 私が知らないだけで、特異体質にも色々な種類とかがあるのか。
 私は相槌を打ちながら話を聞いていると、マイナがリリエルに話し掛けた。

「リリエル先生、それ以上は話し過ぎになるのでもう止めて下さい」
「そうね。少し話過ぎたわね。クリス、もし興味があるのなら研究者か地位ある者になる事を勧めるわ」
「検討しておきます」

 するとそこに、リリエルが先程注文したスイーツをモーガンが運んで来た。
 リリエルはそのスイーツに興味が映り、そのままスイーツの眺めつつ美味しそうに食べ始めた。
 そこで、再びお客さんが増え始めたので私たちはマイナとリリエルに「ごゆっくり」と伝えて他のお客さんの所を周り始めた。
 その後私たちのクラスの出し物は大反響となり、1日目の学院祭終了時間までお客さんが途切れる事はなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

男女比8対1の異世界に転移しました、防御力はレベル1です

オレンジ方解石
恋愛
 結婚式の最中に、夫に他の女と逃げられた花嫁、水瀬透子。  離婚届けを出す直前に事故で瀕死となった彼女は、異世界の女神から『妾と取り引きするなら、助けてやろう』と持ちかけられる。  異世界の《世界樹》の《種》を宿す《仮枝》となった透子は、女神の世界に連れて行かれ、二年を過ごすこととなった。  そこは男女比が8対1という偏った世界であり、女性が《四気神》と呼ばれる守護者に守られる世界。  女神とはぐれた透子は、そこで美形の青年、紅霞に助けられるが……。 ※追記の追記を少し直しました。

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉

狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。 「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。 フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。 対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。 「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」 聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。 「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」 そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。 イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。 ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼ そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ! イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。 しかし……。 「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」 そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。

異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。

和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……? しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし! 危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。 彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。 頼む騎士様、どうか私を保護してください! あれ、でもこの人なんか怖くない? 心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……? どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ! 人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける! ……うん、詰んだ。 ★「小説家になろう」先行投稿中です★

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。 そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。 婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。 ・・・だったら、婚約解消すれば良くない? それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。 結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。 「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」 これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。 そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。 ※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。 ※本編完結しました。 ※後日談を更新中です。

9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです

志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑! 10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。 もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。 (頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)

処理中です...