とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第225話 代役

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 ダンデ……何て言う格好をしているんだ……
 私はダンデの格好に面食らって顔が少し引きつってしまう。

「何だレオン、デート中か?」
「あ~うん。まぁ、そんな所だよ」
「そっかそっか。これは邪魔しちまったな」
「そうでもないけど、それよりダンデ、その格好は何だい?」

 ナイス! ナイスレオン! 私も一番それが気になってたのよ! でも、訊きたくても訊きずらいと言うか何と言うか……
 するとダンデは、片手を腰に当てて答え始めた。

「もちろん、演劇の衣装だ! どうだ? 素晴らしい筋肉が丸わかりだろ?」
「筋肉?」
「そう! レオンの彼女よ、筋肉に興味があるのかい? 筋肉はいいぞ~己の力の象徴でもあり、美学としても見られるものなんだ」
「は、はぁ……」

 私はダンデが自身の筋肉を見せつけて来ていたが、全然興味が湧かなかった。
 まぁ、凄い筋肉と言うのは分かったけど、そこまで主張してこられると少し引く。
 そうんな事を思いつつも、言葉には出さず苦笑いをしているとレオンがそんな私を見て口を開いた。

「ダンデ、初対面の女性に筋肉を見せつけるのは印象が良くないよ。誰もが筋肉に興味を持っている訳じゃないんだし、素晴らしさ伝える為に演劇をするんだろ?」
「そ、そうだな。これは失礼した」

 ダンデはレオンにそう言われるとマントで見せつけて来ていた筋肉を隠し、頭を下げてた。
 私は「気にしなくて大丈夫ですよ」と答えた。
 そしてチラッとレオンの方を見ると、私に向けて口パクで「ごめんよ」と言って来ていた。
 私はそれに対して、軽く首を横に振って反応をすると軽くレオンは申し訳なさそうに笑った。
 にしても、ダンデのクラスは演劇をするのか。
 内容がよく分からないけど、筋肉の良さを伝えるって言う目的だけは分かった。
 もしかして、クラスの皆はダンデみたいな格好をしているって事なのか? ……想像するだけで何か物凄い演劇だな。
 私は一瞬だけ想像した物を直ぐに首を横に振って、考えるのを止めた。

「あっ! ダンデ! 一大事だ!」

 と、遠くの方からダンデと同じ様にマントをした生徒が声を出して近付いて来た。

「ん? 何事だスザク?」

 スザクと呼ばれた生徒は、右耳に羽根の耳飾りを付けているのが特徴的であった。
 スザク? どっかで聞いたような、見たような……あっ!
 その時私は、第一期期末試験全寮最終成績の一覧を思い出し、私の次の順位がスザクと言う名前だったのを思い出した。

「あっレオン」

 スザクはレオンを見つけて声に出すと、レオンは軽く手を上げて反応した。

「で、そんな急いで俺の所に来て何があったんだ?」
「そうだった。大変だダンデ! あいつが逃げ出した!」
「っ! 何!?」

 あいつ? 誰の事を言っているんだ?
 私は勝手に首を傾げていると、直後ダンデから出た言葉で誰の事なのか直ぐに理解した。

「兄弟よ、何故逃げ出したんだ。何かあれば俺に言ってくれと伝えたのに」

 あ~ベックスか……ベックス結局にダンデに巻き込まれてしまったのか。
 すまんベックス、私には何も出来ない。
 だけど、このまま逃げ切れる事を私は祈っているよ。
 私は心の中でそう思いつつ、ベックスが捕まらずダンデたちと同じ衣装を着ない事を願った。

「どうするダンデ? もう開演まで時間も少ないし、これから探している時間もないぞ。最終リハーサルもあるし」
「そうだな……」

 ダンデは片手を顎に当てて考えていると、ふとレオンに目線が行く。
 そして何か思いついたのか、うっすらと笑う。

「よし、兄弟の事は俺に任せろ。だが、万全を期すためにレオン! お前にも手伝ってもらう!」
「……えっ! 僕!?」

 突然のダンデの発言に、レオンは目を見開いた。
 そのままダンデはレオンからの返答は訊かずに手を掴むと、スザクに先に戻る様に伝える。

「ちょ、ちょっと待ってダンデ!」
「大丈夫。兄弟は俺が見つけるし、お前は念の為に皆の所に居て欲しんだ。兄弟が帰ってきたら、そのまま彼女と演劇を見て行ってくれればいいじゃないか」
「もし帰って来なかったら?」
「それは、お前に出てもらうしかない。ただそれだけだ。大丈夫! 安心しろ、お前なら直ぐに代役をこなせる」

 ダンデはそう言ってレオンを引き寄せて歩き始めるが、レオンは踏ん張ってこの場で話し合いをしようとするが、ダンデの強引さに勝てずそのままズルズルと連れていかれる。

「ダンデ! ちょっと待って! 少し話を」
「大丈夫だ。俺に任せておけ。彼女さんも後から俺たちのクラスに来てくれ。ビラは置いてあるから」
「いや、そう言う問題じゃなくてだな。アリ――」

 レオンが私の名前を言おうとした直後、ダンデが走り出してしまいそのまま校舎内へと消えてってしまった。
 私はあっという間の出来事に何も出来ずに、ただポツンとその場に座っているだけだった。
 行っちゃった……あの調子だとレオンが抜け出して来るのは難しそうだな。
 私は置かれたビラを手に取って見つめた。
 う~ん……さすがにベッスクやレオンがあの服を着る可能性がある演劇を見に行く気になれないな。
 私はそのビラを小さく折ってポケットにしまい、近くにあった時計に視線を向けた。
 まだ昼下がりちょっと前か、時間はまだあるな。
 レオンがいなくなっちゃったから、これからどうするかな。
 私はひとまずこの先どう行動をしようかとベンチに座ったまま考えようとした時だった。
 近くから子供の泣き声が聞こえて来て、周囲をキョロキョロとし出し泣いている男の子を見つけた。
 周囲には親の姿がなく、どこかではぐれてしまったのだと思い、このまま放って置くのもいけないと思い、私は立ち上がり泣いている男の子へと近付き声を掛けた。

「大丈夫?」
「どうしたんだ?」

 と、私が声を掛けたのと同時に反対側から同じ様に声を掛けて来た男性がいた。
 私はその声に気付き、顔を上げて男性の方を見て驚いてしまった。
 何とそこに居た男性は、リーベストと一緒に学院祭に来ていた二コルであったのだ。
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