とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第231話 お嬢様と執事

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「あ、もうすぐ学院祭もおしまいか……」
「そうだな。で、お前の今の状態はいつ戻るんだ?」
「いつって、夕刻……あれ、学院祭が終わりに近いって事はそろそろだよね。あれ?」

 私はルークに背を向けて自分の体を触り、戻っていない事を改めて理解する。
 何で戻ってないの? もうそろそろ戻ってもいい時間だと思うんだけど。
 フェンさん、どう言う事ですか!? まさか、元に戻らないとかいう事はないよね?
 私が1人で少し焦りだしていると、ルークが声を掛けて来た。

「まだ時間が掛かるんだろ」
「そんな悠長な事言って。自分の体じゃないから、そう言えるんでしょ」
「まぁ、そうかもしれないな。でも、このままずっとここに居る訳には行かないぞ。さっきの合図があったて事は、ここに演劇をしてた奴らが帰って来るって事だしな」
「あ~そうか……そしたら、別の所に移動して身を潜めるか? いや、フェンさんの所に行って原因でも追求するのもありか?」

 そうやって自分一人で呟いていると、ルークが私の名前を呼ぶが私はこの後どうするかを考えており、全く聞こえていなかった。
 その後も何度かルークが呼んで来ていたが、私には聞こえておらず無視をしていると、ルークも怒ったのか少し大きな声で私をアリスと呼んで来た。
 さすがにその呼び掛けは私にも聞こえ、考え事などその場で止まりルークの方を向いた。

「やっと反応したな、アリス」
「ちょっと、何でその名前で呼ぶのよ! 誰かに聞かれたらどうするのよ!」

 私は小声であるが少し怒った口調でルークに言うと、ルークは「お前が無視するからだろ」と言い返して来た。
 それに対して私は、呼ばれていた事に気付いていなかったので少しとぼけた様な顔をするとルークは呆れた様にため息をついた。

「マジかよ。聞こえてなかったのか? あんなに呼んでいたのに」
「ご、ごめん……考え事に集中してて」
「こんな距離で無視されたの初めてだわ~」
「ごめんって、わざとじゃないんだよ」
「傷ついたわ~」
「……ごめんって言ってるじゃん。本当に面倒臭い所あるよね……」

 私は最後の方はボソッと小さく呟くと、ルークは「面倒臭くて悪かったな」と言って来た。
 まさか聞こえていたとは思わず、私は咄嗟に苦笑いをして誤魔化した。

「はぁ~まぁそれについてはもういい。それより、アリスこの後どうせ移動するなら俺の提案に乗らないか?」
「提案?」

 私はルークから言葉に首を傾げる。

「まだその状態からの回復には時間がかかる。なら、まだ学院祭も少しだけ時間があるから、お前が好きそうな所で人が少なそうな所に行くって言う提案だ」
「私が好きそうな所で人が少ない所? そんな所ある? 学院祭終盤でどこも人で賑わってるでしょ」
「いいや、一ヵ所だけそうじゃない所がある」
「え? そんな所ある?」

 私は腕を組んでルークが言っている場所を考え始めるが、そんな場所の検討が付かなかった。
 ルークはどこの事を言っているんだ? 私が好きそうな所って、大図書館とか? でも大図書館なんてやってないし、出し物をやってる教室は論外だし……なくない?
 まさか適当な言ってる? そんな場所考えても出てこないし、それはあり得るぞ。
 私はそう思いルークに対して、適当言った事を見抜いてやったと言う少し自信気な表情をして「適当な事言ってるでしょ」と返した。
 するとルークは、今まで見た事ない気の抜けた様な表情で「そんな訳あるか」と言い返して来た。

「えっ……違うの?」
「違うわ。適当な事を提案するか。アリス、お前は俺をどんな奴だと思ってるんだよ」
「いたずら好きの性格悪王子……」
「そんな事真正面から言って来るの、本当にお前だけだぞ」

 私はルークからの言葉にそっと視線をズラした。

「話を戻すぞ。俺が提案した場所は、卒業生研究発表資料室だ。アリス、お前はもう行ったか?」
「あっ、そう言えば結局まだ行ってなかった」

 初日に行く予定だったけど、色々あって結局行けてなくて今日も変な目にあって結局行けずしまいだったんだよね。
 色々あり過ぎて忘れてた。

「まだ行っていないならちょうどいいな。時間的にもまだ入れるだろ。行くだろ?」
「行く! 行くよ! 卒業生研究発表資料室で、色々見て回りたかったんだ! 見れる時間あるかな?」
「行ってみないと分からないな」
「そうだよね。それじゃ、早く行こう! 今すぐ向かおう!」

 私は急に行きたかった所へと行けると思い、テンションが上がっていた。
 そんな私をルークは優しい顔で見つめていた。

「ちょっと待てアリス。行く前に、変装を変えよう」
「え?」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ねぇ、やっぱり注目されてない?」
「人の目なんてそこまで気にするな。堂々としてれば問題ないし、後夜祭に向けたドレスコードと思われるだろ」
「そうなの? て言うか、慣れない服で少しそわそわするんだけど」
「スカートはあまり身に付けてこなかったか? アリス?」
「久しぶりで慣れないだけよ」

 私はルークに対して舌を少し出して、言い返した。
 私とルークは教室にあった衣装を借りて、新しく変装をし直した。
 ルークは、執事服ぽい服装で髪型もオールバックにし、スタイリッシュな眼鏡まで付けた。
 一方で私は、シルクのスカートに上半身も少しぴっちりとした服装をしたが、さすがにこれで外を歩くのは厳しかったので独断でジャンパーを羽織った。
 その為少し異様な服装であったが、じろじろとぴっちりとした服を見られるよりましだと私は思っていた。
 更に髪型も変えて、一本の三つ編み状に変えた。
 髪型までは変えなくても大丈夫と言ったが、ルークは念には念をと言う事で三つ編みを手伝ってくれた。
 意外にもルークは器用であったので、そこまで時間がかからずに準備が出来た。
 そして私たちは変装をしてから教室を出て、卒業生研究発表資料室へと向かって廊下を歩いていた。

「て言うかさ、ルークまで変装する必要あったの?」
「他の奴に見つかったら声を掛けられるだろ。それを避ける為なのと、後は俺も変装して見たくなったのが理由だ」
「後半の方が本音だな」
「別人になった感じを味わえるし、俺も執事風の服装狙ってたんだよ。国王風とか王子なのに似たような格好してもつまらなかったしな」
「そこなの?」
「いいだろ、別に。それにもしかしたら、傍から見たら俺はお前に仕える執事にも見えるかもしれないだろ」
「えっ、アンタが執事とか嫌よ」
「そんな事言わないで下さいよ、アリスお嬢様」
「うわっ……何か鳥肌立ったかも」
「そんなに嫌なのかよ」

 私たちはそんな会話をしながら、卒業生研究発表資料室がある校舎へと向かった。
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