とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第237話 ダンスパーティー

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「おい、アリ……はぁ~、でさっきの話は本当なんですよね、フェン先輩」

 ルークの問いかけにフェンは、近くにあった椅子に座って答えた。

「本当も何も、データ上の話をしただけですよ。と言うより、それは貴方の方がよく分かっているんじゃないんですか?」
「っ……俺の話はいいんで」
「いやいや、このデータは貴方の物なんですか貴方の経験次第じゃないですか」

 フェンはそう言って、食べていた軽食の残りを一口で食べた。

「嫌な事を思い出させないで下さいよ」
「意外と似合っていましたよ、女性の姿も」

 ルークはフェンの言葉に机を強く叩いて立ち上がった。

「もう俺の話はいいでしょ。今はアリスの話ですよ。本当に戻るんですよね?」
「ですから、貴方がそれを証明してるって事ですよ。そんなに心配なら早く追いかけて昨日の経験を活かして手伝ってあげればいいんじゃないですか?」

 するとフェンも立ち上がると、ルークの耳元に顔を近付け囁いた。

「一番の効率方法としては、男女の関係となる事ですよ」
「っ!」

 ルークは一瞬目を見開いた表情をしてから、直ぐにその場から離れた。
 そして立ち止まりフェンの方に視線を向ける。

「やっぱり、俺は貴方の事が苦手です」
「そうですか。人間誰しも得手不得手がありますから仕方ない事です」
「……それじゃ、失礼します。もし、アリスが元に戻らない時は」
「分かってますよ。でも、大丈夫ですよ。必ず今日中には戻りますから」

 そのままルークはフェンの事を見つめた後、アリスの後を追いかけて行った。

「はぁ~やっぱり人間関係って言うのは面倒ですね。でも、さっきの2人は見ている分には飽きませんね」

 するとフェンの白衣のポケットから機会音が鳴りだし、それに気付いたフェンがポケットから取り出したのは無線機型の魔道具であった。

「フェンさん、準備出来ました」
「分かりました。準備ありがとうございます。今からそちらに向かいます」

 そう答えた後、取り出した無線機型の魔道具をポケットにしまって歩き出した。

「さて、私の魔道具たちをもっと沢山の人に見てもらうとしますか」

 フェンは不敵な笑みを浮かべながら人混みへと消えて行った。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 う~ん、勢いよく来て見たはいいけど、1人で踊れる場所じゃないじゃん! 何してるの私ー!
 私はダンスパーティー会場に着いたはいいが、そこでは既に2人1組でダンスを踊っている人たちが多くいて、それを周囲の人たちが楽しそうに見ていた。
 音楽も一定的に変わっておりその音にあったダンスを皆がしていた。
 こんな中に1人で飛び込んで行く勇気は私にはないし、それこそ白い目で見られるからやらないけど、どうしよう。
 私が周囲をキョロキョロと見ていると、近くからトウマにライラックとリーガの声が聞こえて来た。

「おいトウマ、お前今日どこに居たんだよ?」
「そう言えばシンが、お前がなんか走り回っているのを見たって言ってたな」
「え、何お前なんかやってたの?」
「いやちょっとな、色々とあったんだよ」

 そう言ってトウマは軽くため息をついた。

「何だが分からんが、後夜祭くらい楽しもうぜ! ほら、誰か相手探して一緒に踊ってもらおうぜ!」
「いいなそれ!」
「俺はいいや。そんな気分じゃないし」
「おいおい、つれない事言うなよ。こういう出会いの場を逃したら、勿体ないだろ」
「そうだぞトウマ。何かお前らしくないぞ」

 そんな会話をしながら3人は私の背後を通り過ぎて行った。
 私は人混みで、息を殺して存在を消してバレない様にして何とかその場をしのいだ。
 ふぅ~あぶなっ……気付かれてなくて良かった。
 てか、よく考えれば後夜祭には生徒たちが集まっているから、さっきみたいにトウマたちや知っている人に会う確率が上がっているんだよね。
 私は一度この場を離れようとした時だった。

「ん? お~よく見たらいい姉ちゃんじゃねぇか。俺たちと遊ばねぇか?」

 と、私に声を掛けて来たのは3人組の男たちだった。

「1人だろ? なぁ、俺たちと最後に楽しい時間過ごそうぜ」
「いえ、私は用事があるので」

 私はそのまま面倒な奴らから離れようとしたら、1人の男に手首を掴まれてしまう。

「つれねぇ事言うなよ。ちょっとくらいは、顔見て話そうぜ」
「っ! ちょっと、離して下さいよ」
「俺たちと遊んでくれるなら、離してやるぜ」

 あ~面倒な奴らに絡まれた……ん? あれ、この3人組の男たちどこかで見たような……
 私はじっと手を掴んで来た男の顔を見つめて、過去の記憶を呼び起こしていると一致する記憶がふっと出て来た。
 あっ! そうだ、こいつら学院対抗戦前に街に出た時にナンパしてて、ヒビキ先輩にビビって逃げた奴らだ。
 それは以前偽デート決行前に、軽く下見に街へと出た時に偶然変にナンパされている人を見つけて、助けに入った時に遭遇した3人組であった。
 何だコイツら、全然懲りてないのかよ。
 てか、学院祭まで来て強引なナンパとか上手く行くわけないって分からないのかな?

「何だよさっきから、俺の事じっと見て。もしかして惚れちまったか?」

 そんな訳あるか! あ~本当に面倒臭い。
 あの時はヒビキ先輩が偶然来たけど、今回は誰か呼んで騒ぎになって目立つのも避けたいから、どうにか自力で逃げるか。
 まぁ、さすがにこんな奴らに捕まれただけだし、それも直ぐに振り払えるだろうし。
 そう思い、グッと力を入れて手を振り払おうとしたが、振り払う事が出来なかった。
 その後も何度か振り払おうとするも、振り払う事は出来なかったのだ。
 なっ……思っていた以上に力が強い。
 それになんか思っていた以上の力が出てない気がする。

「おいおい、そんなに動くと痛いだろ。じっとしてろって」
「私はアンタらと遊んでいる暇はないの。だから、離しなさいよ」
「いやいや、離すわけないだろ。こんないい女」
「抵抗しても無駄だぜ。大丈夫、痛い事はしないからさ、ただ俺たちと遊んでくれればいいんだよ」
「そうそう。なぁ、ちょっとだけ遊ぼうぜ」

 くっそ、コイツら私を逃がす気がない。
 助けを呼ぶ? でも、もう周囲の人は関わるのを避けて見ないふりしているし、ここで叫んで変な事になるのも……いや、ここはあえてコイツらの気を向けさえる為に声を出すか。
 そう考えて軽く息を吸った時だった。
 1人が私のやろうとしている事を見抜いたのか、片手で私の口元を抑えて来た。

「おっと、急に大声だしたら周りに迷惑だろ」
「うっううん! ううっ!」
「さてと、少し場所を変えるか」

 そう言って私の手首を捕まえた1人がそのまま歩き始め、私は口を塞がれたまま連れて行かれ始める。
 マズイ! この状況はやばい! どうにかしないと。
 私はその場でジタバタするも、3人組は私を囲う様に立って抑えつけて逃がさない様にする。

「女の子がそんなはしたなく暴れちゃダメだろ~」
「っ……」

 その時私は笑いかけて来た男の顔が怖くなり、体が強張ってしまう。
 え……私この後どうなっちゃうの? 体が動かない……どうして……
 そのまま私は男たちに連れて行かれてしまうと思われた瞬間だった。

「おい、止まれお前」
「ん、何だよお前。急に前に出てきやがって、あぶねぇだろうが」
「お前らどこに行くんだ?」
「おいおい、まさかナンパか? 俺たち男だぞ? ナンパする相手間違えてるだろ?」

 突然話し掛けて来た男に対して、私を連れ去ろうとしている3人組は笑いながら馬鹿にした。
 私は誰かがその前に居るのだと思い、助けを求めて動くがその様子が伝わる事はなかった。

「まぁいい。とりあえず、お前らが連れ去ろうとしている女を離せ」
「っ!? な、何の事だ? お前が何を言っているのか分からねぇな」
「そうか。なら、力ずくで分からせてやろうか?」
「ひっ……わ、分かった。俺が悪かった」

 そう言って私を連れて行こうとした奴らは、私から手を離してすぐさま立ち去っていた。
 私はその場で軽く両手を付いて、恐怖から解放されて安堵の息をついてから助けてくれた人の方に顔を上げた。

「助けてくれてありがとうございます……」
「本当だよ。お前誘拐される癖でもあるのか?」
「えっ」

 私にそう言って来たのは、呆れた顔をしたルークであった。
 そのままルークは私に手を差し伸べて来た。

「ほら、手を掴め」
「う、うん……」

 私はルークの手を取って立ち上がった。

「とりあえず、少し場所を移動するぞ。ちょっと目立っているからな」
「分かった」

 そのまま私はルークの手を握ったまま、ダンスパーティー会場から少し離れた。
 その場所は、ダンスパーティー会場の音楽が聞こえる場所であるが、少し人から目が付きにくい場所であった。
 私はそこで改めてルークにお礼を言った。

「でも、どうして私の事が分かったの?」
「ほんの一瞬見えたんだよ、お前の事が」
「っ……そ、そう……」

 私はルークから顔を逸らしていると、ルークが私に向かって手を差し出して来た。

「な、何?」
「何だよ、分からないのか?」

 ルークに言われて私は分からず首を傾げていると、ルークは小さくため息をついた。

「お前は何しにあそこに行ったんだ?」
「何しにってダンスパーティーに参加する為……えっ、もしかして」

 私はそこでやっとルークが手を差し出して来た意味を理解すると、ルークは恥ずかしくなったのか軽く顔をそむけた。

「令嬢なんだろ。そこは直ぐに分かってくれよ。それに元に戻る為に体を動かすんだろ? ダンスするなら相手は必要だろ」
「ごめん。そうだね、ありがとう。でもルーク、踊れるの?」
「俺を誰だと思ってるんだ?」
「自信満々じゃん。それじゃ、見せてもらおうかな王子のダンス」

 私はそう言ってルークの手を取った。

「お前こそ、つまずくなよ」

 そして私たちはダンスパーティー会場から聞こえる音楽に合わせて踊り始めた。
 私はこの時、ただ自分の体を元に戻すためにと言う感情が強くこの状況を深く考えていなかった。
 だけども、この時ルークと踊った時は軽やかに楽しく踊れた事を覚えていた。
 そのまま私たちは2曲続けて踊り、3曲目のバラードな局がゆっくりと始まりだした。

「何か、体の方が元の感じに戻りつつある気がする」
「そうか。それは良かった」
「うん。これもルークのお陰だね。もう少し動いたら、元に戻れるかも」
「それはいい事だ」

 私たちは軽く会話した後、また黙って3曲目に合わせて踊り続けた。
 そして終盤に差し掛かった時に、ルークが話し掛けて来た。

「なぁアリス、今日一つお前に言い忘れてた事があるんだ」
「言い忘れてた事? 何?」

 そう私が言い返した直後、流れていた曲がちょうど音が下がる所で急に静かになりルークの声だけがクリアに私に聞こえた。

「アリス、俺はお前の事が好きだ」
「……え」

 その後、再び曲の下がった音が上がり始めるのだった。
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