とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第245話 女子としての休日

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 次の日、私はエリスの言われた通りに外出権を買い、噴水の時計台下でエリスが来るのを待っていた。
 結局昨日は、あの後エリスを追いかけたが見つける事が出来ず、時間的に女子寮へと行く事も出来なかったので、すっぽかす事も出来ずに私は言われた通りの場所へと来ていたのだ。
 はぁ~結局来てしまった……と言うか、行かないで無視するとかはさすがに胸が痛むからな。
 私はクリスとして男子用の私服を着ていた。
 こう言う時くらいしか、この服着てない気がするな。
 せっかく買ったし、もう少し着ないと勿体ない気がする。
 私は自分の服を見ながらそんな事を思っていると、そこへエリスの声が聞こえて来たので顔を上げた。

「ごめん~」

 そう言って近寄って来たエリスの姿は、黒いブーツにワインレッドのTシャツと紺のスカートとロングコートを羽織り、黒いサングラスとイヤリングをしていた。
 その姿に私は、カッコいい女性だなと思い見惚れていた。

「遅れちゃっ……え?」
「……ん? どうしたんですか?」

 エリスは私の姿を見て動きを止め、掛けていたサングラスをとった。
 そのままエリスはじっと私の姿を上から下までじっと見ていた。

「あ、あのエリス先輩?」
「……」

 何で黙ってるんだエリス先輩は?
 私はよく分からないエリスの行動に、どうしていいか分からずにいるとエリスが急に私との距離を詰めて来た。
 エリスは止まることなく、私の顔寸前まで近付いて来た。

「な、ななな、何ですか急に!?」
「……何で」
「はい?」
「何でその格好なの?」
「何でって言われましても、これが私服で――」

 と私が答えた所で、エリスはそれに被せる様に話して来た。

「私はクリスじゃなくて、アリスでって言ったでしょ?」
「……え、そう言う事なんのですか?」

 私はそこでよくやく昨日エリスが言っていた意味を理解した。
 いや、さすがにあれじゃ分からないですよ。
 と、私は心の中で思っていると、エリスは小さくため息をついた。
 そして、私の肩手首を掴んで来た。

「っ!?」
「今日はクリス禁止。と言う訳だから、まずはその服からね」
「ちょっ、エリス先輩!?」

 エリスは私の手首を握って引っ張って歩き始めた。

「わざわざ正体を知っている人、しかも私の前で男装とかしなくていいの。女子がおしゃれしないでどうするの? 若さは一瞬よ」
「うっ……俺だって気にしてない訳じゃ」

 そう呟くと突然エリスが止まって、私の方を向いて来て両手で頬を挟む様にして来た。

「っ!? は、はにするんです?」
「言ったよね、今日はクリス禁止。だからその俺もダメ。いい?」

 私はじっと見て来るエリスにただ頷く事しか出来なかった。
 頷いた後にエリスは、私の両頬から両手を離してくれ、また肩手首を引っ張って歩き出した。

「今日は女子同士、休日を楽しむの。いい、アリス?」
「……分かりました、エリス先輩」
「うん。素直でよろしい」
「あっ、でも名前はアリスはやめて下さい。誰が居るか分からないですし」
「そうね。それは私も悪かったわ。そうすると、どう呼ぶかね」

 そんな話をしながら歩いていたが、私は以前にマリアの名前を使って自分を偽った事をふと思い出した。

「マリアって呼んで下さい。前にその名前で女子として街を歩いた事もあるので」
「分かったわ、マリア」

 その後私は、エリスに服屋へと連れて行かれ女性物の服をたくさん試着させられて、私に似合う物をエリスが選んでくれた。
 そのままその服をエリスがお金まで払い出してしまう。
 さすがにそこまでしなくていいと、私は言ったがエリスは「買うんじゃないわ」と言って来て、私は首を傾げた。
 するとエリスは店内のある方向を指さしたので、その方向を向くとそこには「レンタルしてます」と言う文字が出ていた。

「珍しいでしょ。最近コスプレがちょっと流行ってるから、それに似た商売を始めたらしいのよ」
「そ、そうだったんですね。私はてっきり購入までするのかと」
「欲しかったら買ってあげてもいいわよ」
「冗談はやめてくださいよ。恐れ多いですよ」

 私が少し怯えた表情をすると、エリスは軽く笑っていた。
 そしてエリスは小物などもレンタルしてくれて、私はエリスと共に店を出た。
 最終的に私の格好は、青いパンツにグレーのタートルネック、そしてベージュのコートに小物でネックレスとショルダーバッグと言う格好である。
 髪型はクリスの時より少し長めのショートカットヘアーがいいと、エリスが推して来たのでその髪型にしている。
 私は店を出て、店の鏡にうっすらと映る自分を見た。

「これが、私……」
「そうよマリア。似合っているわよ」
「そうですか?」
「もしかして、あんまりした事ない格好だった?」
「それもありますけど、女子の服装でショートカットはした事ないので、それが新鮮で」

 その後私はエリスおすすめのお店に行って食事をとったり、雑貨屋や化粧品など色々な店をエリスと周った。
 会話もその時に偏ったもので、楽しく面白い時間を過ごせた。
 そしてそんな時間はあっという間に過ぎて行き、夕方になっていた。
 私とエリスは街が一望出来る丘で飲み物を買って、近くのテーブルがある席に座り夕日が当たる街を眺めていた。

「あ~楽しかった~。マリアはどうだった?」
「楽しかったですよ。こんなに色んな所を見れて、久しぶりに何も気にせずに自由に出来て良かったです」
「そう。それなら良かった」

 そう言ってエリスは飲み物を手に取って口を付ける。
 本当、久しぶりにこんなに自由に周りを気にせずに過ごしたな。
 こんなのいつ以来だろ? 対抗戦の時も元に戻ったり、学院祭でも女子として行動してたけど、その時は結局バレない様にとか気を張ってたから、凄く大変だったな。
 そこでふと、私はルークの告白の事を思い出してしまう。
 ……もうあれから明日で2週間か……答え、か……
 そんな事を考えて私は、少し俯いた。
 するとエリスが話し掛けて来た。

「それで、何を悩んでいるのマリア?」
「え?」
「何か悩み事があるんでしょ? 隠しても無駄よ。顔にハッキリと出てるから」
「いや、別に対した悩みじゃ……」
「それなら、どうしてそんな苦しそうな顔をしているの?」
「っ!?」

 その言葉に一瞬、私の体がビクッとなる。
 エリスは持っていた飲み物を机に置くと、座ったまま椅子を私の真横に移動して来た。

「もうここまで来たら、全部吐き出しちゃいなさい」
「……いや、でも、個人的な事ですし、それをエリス先輩に言うのも……」

 するとエリスは肩肘を机に付けて、その手を顔に添えて私の方を覗き込んで来た。

「ふ~ん、逃げられると思ってるんだ?」
「そんな事は」
「なら、話してくれるんだよね?」
「うっ……」

 エリスはにこやかな顔をして覗いて来ていたが、私はそんなエリスから静かなる圧を感じて、少し萎縮した感じで「は、はい……」と返事をした。
 そして私は、エリスに今抱えている悩み事を隠さずに一から話し出した。
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