とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第248話 指名メンバー集結

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「今からって、今から!?」
「そう言ってるじゃない」
「いや、スバン。さすがに今からって急すぎない? それに第二期期末試験前だし」
「ずっと試験勉強していても辛いでしょ? だから、息抜きよ、息抜き。さぁ、善は急げよ!」

 そうスバンが言うと、トウマの手首を掴み走り出した。

「えっ!? ちょっ、クリス!」

 トウマは咄嗟に私の手首を掴んで来た。

「え?」

 そしてそのまま私はトウマに引っ張れて、トウマはスバンに引っ張れて強制的に連れて行かれてしまった。

「うん。何とか間に合ったわね」
「何が、間に合った、だ、はぁー、はぁー、はぁー」
「トウマ、何で俺、まで、はぁー、はぁー」

 スバンは共有スペースに着くと、立ち止まり掴んでいたトウマを離した。
 その時点でスバンのペースに合わせて走らされたので、私とトウマは完全に息切れしていた。
 スバンが早い訳ではなかったが、自分のペースで走れず、相手に捕まれて変な状態で逃げらない状況だったので、余計に体力消費が激しく息を切らしていた。
 私は息を整えながらトウマに話し掛けた。

「何で俺の手首掴んだんだよ、トウマ」
「いや~咄嗟に手が出たとしか……あははは」

 引きつったトウマの笑いに、私は冷たい目でトウマを見つめた。

「悪かったて。でもよ、どっちにしろ指名依頼ならいずれスバンに捕まって、同じ運命だったと思うぞ」

 確かに、それはトウマの言う通りかもしれない。
 指名依頼はほとんどないけど、指名された以上必ず受けなければいけないし、受けられないならそれを発注者に直接伝えなければいけないと言うルールがあるのよね。
 と言うか、猫探しに指名依頼ってどうなの? 確か指名依頼って、かなりのポイントを使わないと出来なかったはず……しかも、それを2人分とか、どんだけポイント使ったのよスバン。
 私は途中から、スバンがこの掲示板依頼書作成にどれくらいのポイントを使ったのか気になってしまった。
 まぁ、試験勉強の方は日々やっているし、今日やらなければやばいって感じでもないから私はいいけど。
 そう考えながら私は、トウマへと視線を向けると「ん、何だよクリス?」と言って首を傾げた。
 スバンに関しては、第一期期末試験全寮最終成績で3位だったから気にはしてはないけど、トウマは試験勉強の方は大丈夫なのかな? 試験の事を私が心配するのも変だけど、最悪成績が悪いと補習とかもあるらしいし、下手すると冬休みもないって聞いたからな……
 私はシンリから聞いた事を思い出して、少しだけ自分がそうなった姿を想像してしまい震え上がってしまう。
 休みの間も毎日勉強とか、ちょっと無理……

「どうしたんだクリス、何震えてるんだ?」

 と、そこにトウマが私を心配した様に声を掛けて来た。
 私はトウマを見て、そっと両手を肩に置いて真剣な顔をして見つめた。

「なっ、なな、何だよ、急に……」
「トウマ。勉強はしっかりした方がいいよ。冬休みも毎日勉強漬けは辛いと思うが、まぁ、頑張ってくれ……陰ながら応援してる」
「おい、何で俺が次の試験で補習確定の点数取る前提で話してるんだよ!」
「え、だってトウマ、前回の学科試験運で乗り切ったじゃん。だから、今回はそう前回みたいに上手く行かないだろうから、先にエールを送ろうかと」
「っ……た、確かに前回は運もあったかもしんねえけど、毎回運だよりじゃねぇから。俺だって勉強してるし、今まで補習になった事なんてねえんだからな」
「大丈夫だトウマ。骨は拾ってやるから」
「あれ? 人の話が聞こえてないのかな~クリス~!」

 そんなやり取りを、私たちがしているとそこへある人物が声を掛けて来た。

「何だか楽しそうだけど、何の言い合いをしてるんだい?」

 私は声が聞こえて来た方を向くと、そこにはレオンが立っていた。

「レオン」
「お~レオンじゃん。どうしたんだよ」
「やぁ、クリス。それにトウマも」

 するとスバンがレオンを見て、話し掛けて来た。

「お~レオン、来てくれたのね」
「うん。指名依頼とあっては来ないと行けないからね」

 ん? 今レオン、指名依頼とか言わなかった?
 私は一瞬のその言葉を聞き流しそうになったが、通り過ぎるのを自分の中で引き留めた。

「それで、依頼の方は受けてくれるの?」
「もちろん。試験勉強の息抜きにもなると思うからね」
「レオン、それにスバンもちょっといいか?」

 そこでトウマも同じ様に疑問に思ったのか、私より先に2人に話し掛けて疑問をぶつけた。

「スバン、まさかレオンも指名依頼してるのか? 俺たちだけじゃないのか?」
「そうよ」
「じゃ、レオンはそのスバンの依頼を受ける為にここに来たの?」

 レオンは私の問いかけに、当然かの様に「そうだよ」と答えた。

「あれ? 2人は違うの?」

 それに対して私とトウマは、首を小刻みに横に振って返事をした。

「別に貴方たちだけとは言ってないわよ。私はさっき、貴方たち2人もって言ったのよ」
「って事は、まだ他にも指名した人がいるって事か?」
「もちろんじゃない。私は以前の依頼を受けたメンバーは全員指名しているのだから」

 以前依頼を受けたメンバーって、確か私とトウマにレオン、それにモランだったよね。
 それじゃ、後ここにモランも来るってこと? え、こんな試験前に来る? ……いや、レオンが来てるくらいだし、もしかしたらモランも息抜きに、とか言って来るかもしれない。
 そう思っていると、遠くの廊下からこちらに来る人影をスバンが見つけて声を掛けた。

「あ、来た来た。お~い、こっちよ。他のメンバーはもう集まっているわ」

 するとその人影は、急ぎ足でこちらに向かって来た。
 そして少し息を切らしてやって来たのは、予想通りモランであった。

「遅れてごめんさない。まさか、最後になるとは思っていなくて」
「ごめんなさい。急がせるつもりはなかったのよ。まさか、走って来るとは思わなくて」
「いいえ、私で大切な時間をとらせる訳には行かないので」

 私は久しぶりに会ったモランに声を掛けようとした時だった、モランが来た方からもう1人こちらに近付いて来たのだ。

「モラン、どうして急に走り出すのよ。ビックリするじゃない」
「あ、ごめん。呼ばれたからつい、急いでるのかなって思って」

 そうモランが謝った人物を見て、私は驚いてしまった。

「えっ!? ジュリル!?」
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