とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第253話 シルマからの呼び出し

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 スバンからの指名依頼達成から次の日、私は授業終わりに図書館に来て勉強をしていた。
 その理由は勉強はついでで、本当の目的はモランに会う事である。
 昨日はあれから帰宅して、直ぐにも会いに行こうとかと思ったが基本的に女子寮へは男子が立ち入る事は出来なかったので諦めた。
 アルジュに頼んで呼んで来てもらう事も出来たが、それはアルジュの手間にもなるし、それで呼びかけに答えてこないと言う可能性もあったので頼まなかった。
 話すのであれば、直接会うべきだと思い、モランが来る可能性がある場所で待ち受けて話し掛ける手段を選んだのだ。
 だが、それはある意味運であり出会えない可能性の方が高いと分かりつつも、その手段を実行している。

 さすがに試験前だし、こっちから押し掛ける様に行くのもな……でも、こうやって一転に張って待つのもね。
 私はとりあえず試験に向けた勉強をしながら、モランが来ていないかを入口付近を見張り続けた。
 だが、1時間経ってもモランが現れる事はなかった。
 私はその場でひと伸びして、時計へと目を向けた。
 あれから1時間、来る人は減ったし、今じゃ帰る人の方が多いし今日は会えないかな。
 私はそう思って机の上に広げていた勉強用の教材を片付け始めた。
 とりあえずやれる範囲もひと段落したし、今日の残りは寮でやるかな。
 私は教材をカバンへと入れて、席を立った時だった。
 背後から、私の肩に手を置いて名前を小声で呼ばれたのだ。
 私は直ぐに振り返ると、そこに居たのはシルマであった。

「っ、シルマ?」
「おいクリス、ちょっと付き合え」
「え?」
「そんなに時間は取らせないつもりだ。まぁ、それはお前の返答次第だけどな」

 それだけ言うと、シルマは私より先に歩き出す。
 私はシルマの口調から、直ぐにモランの事だと思いそのままモランの後を何も言わずに付いて行った。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「この辺でいいだろ」

 とシルマは言い出して、グラウンドが見える付近の校舎近くで足を止めた。
 その場所は学院生が通る道からも少し外れており、少し校舎よりの木々で人目につかないような場所であった。
 私もシルマが足を止めた事で、そこで足を止めた。

「クリス、もう呼ばれた意味は分かっているでしょ?」
「……あぁ……モランの事だろ?」
「なら話が早いわ。単刀直入に訊くけど、昨日モランに何をしたの? 昨日あの子、目を真っ赤にして帰って来て、そのまま一言も話さなかったのよ」
「……そうか」

 私の返事に対して、シルマは小さくため息をついた。

「私もあまり頭を突っ込むのもどうかと思ったけど、さすがにあんな風に帰って来るとルームメイトとしては心配するのよ。今日もほとんど話さないし、ボーっとしてる事も多かったし、授業終わったら直ぐに寮に帰っちゃうしさ」

 そんな状態だったのね。
 それはシルマもそれ以外の人も心配するわよね。
 私はそんな状況のモランを聞いて、シルマに対して昨日のモランとの出来事を全て話す事に決め、一から状況を説明し始めた。
 そして数分掛けて、全てを伝え終わるとシルマは腕を組んで眉間にしわを寄せたり、俯いたりと何やら悩むような行動を一通り行った後大きくゆっくりと息を吐いた。

「……とりあえず昨日何があったのかは分かったし、あんたがそれについてモランと話し合いと言う意思があるのも分かった。はぁ~……思ったりモランにとっては大事ね」
「俺のせいで、すまん……」
「別にあたいに謝らなくていいよ。まぁ、あんたの言い方のせいもあるけど、全部あんたが悪い訳じゃないとあたいは思うよ」

 私はてっきり一方的に責められると勝手に思っていたので、思いもしない言葉が返って来て少し驚いてしまう。

「(モランも初めての事で、かなり動揺して変に思い詰めている感じか。にしても、どうして急にそんな事を言いだしたんだ? あの子がそんな事を急にやる積極的なタイプじゃないと思っていたんだけど)」

 シルマが腕を組んで何かを考えている様子だったが、私はシルマに試験前に会うべきかどうかをふと不安になってしまいシルマに訊ねていた。
 そんな事をするつもりはなかったが、シルマの一番近くにいる相手だと思ったら、無意識に口に出ていたのだ。

「難しい所だね……事が事だから、早く解決するのが一番な気がするけど、試験前だしモランの行動的にあんたと会うのを避けてる気もするしな」
「そう、か……」
「でもこのままじゃ、試験にも影響でそうな気もするし……よし分かった。ここは私が一肌脱ごう」
「え?」

 そう言うと、シルマはある提案を私にして来た。
 その内容は私がシルマに泣きつく様に頼んで、モランに試験後に会って直接話したい事があるとシルマが渋々伝えると言うものであった。
 その際シルマは事情を知らいふりをしてやると伝えて来た。
 う~ん……確かにそう言う手段もありだけど、状況と言うか私が泣きつくってどう言う事よ。
 シルマの提案内容に一部不満があったが、それ間接的に会う約束を取り付ければモランも今の状況から変わると、私は思っていた。
 さすがにそんなモランの状況を聞いて、そのままにしておけないが、私に出来る事は少ないのでせめて少しくらい状況が変わる様な手助けが出来ればと思い、シルマの提案に乗る事にした。

「よし、それじゃ後の事はあたいに任せとき! しっかりと完璧な演技でモランに伝えとくから」
「……本当に大丈夫か?」
「何よ、疑ってるわけ? 大丈夫心配するなよ。あたいは結構アドリブ力ある方なんだよ」

 そう言うのって自分で言うのか? と言うか、その不思議と自信満々な姿が余計に不安なんだよね~……でも信じるしかないか。
 だが、私は念の為にシルマに釘を刺す様な言葉を伝えた。

「とりあえず、話をややこしくするのだけはやめてくれよ」
「分かってるって。ひとまずまた明日、どうなったかだけは伝えるから、またここに集合ね」
「分かった」

 その後シルマは一足先に寮へと帰って行った。
 残った私はシルマの後ろ姿を見ながら、不安になり小さくため息をついた。

「……やっぱり不安だ」

 そう私はぼやいたが、ひとまずはシルマに任せて今日は寮へと帰った。
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