とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第266話 第二期期末試験⑫~意見の対立から解散~

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 ヴァンがマルロスに答えた瞬間、その場が一瞬静寂に包まれた。

「(置いて来た? どう言う事だ? チームは3人1組って聞いていたが、喧嘩でもしたのか?)」

 マルロスはただじっとヴァンとシンリの方を見ていた。
 するとヴァンが、そっぽを向きながら大きくため息をついた。

「あ~もうあいつの事を思い出すだけで、気分が最悪になるよ」
「ヴァン、そこまで言わなくても」
「シンリはそう思わないのか?」
「いや、僕はそんなに……と言うか、ヴァンとヒビキ先輩の相性が最悪なだけの様な」

 シンリは最後に小さく愚痴を吐いた。

「て言うか! あいつの話はもういいんだよ! 今はあんただよ、あんた」

 ヴァンはそう言ってマルロスを指さし、宣戦布告をし始めた。

「あんた邪魔者だろ? 僕たちを邪魔しに来たってことなら、受けて立つ! ちょうどイラついていた所だったし」
「えっ!? い、いやヴァン何言ってるんだよ! 無理に決まってるだろ。て言うか、勝手に突っ走らないでくれよ!」
「弱腰になるなよシンリ。いずれはぶつかる運命なんだから、いいだろ」
「全然良くないよ!」

 2人はマルロスを前にして言い合いを始めてしまう。
 それを目の前にマルロスは少し困惑していた。

「(これはどうしたのもか? 止めるべきか? いや、既に宣戦布告されているから、攻撃をしてもいいのか? ……何だか調子が狂うな)」

 とマルロスが一瞬ヴァンたちから目を離した直後だった。
 シンリがマルロス目掛けて手を突きだし『アイス』を放つと、瞬時にヴァンが氷の塊を魔力技量で形を変え、鋭い数本の刃へと変えた。
 不意を突かれたマルロスは、反応が遅れたが『ストーム』を盾の様にして放ち、氷の刃を弾いた。
 そのまま一旦距離を取るためにマルロスは後退した。

「(いや、驚いた。さっきの演技だったのか? いや、そんな風には見えなかったが、急に阿吽の呼吸の様に連携するとはね)」

 マルロスは2人の行動に驚き、少し関心していたが、その2人は何故かまた言い合いをしていた。

「おいシンリ、もっと早く出せなかったのかよ!」
「あれでも十分早かったろうが。文句言うなよ。咄嗟に合わせてやったんだから」
「嫌々な感じで言っているが、おまえも賛成した事だろうが」
「(またか……だが、もう構いはしない。邪魔者として彼らの足止めを始める)」

 するとマルロスは、力強く地面を蹴ってヴァンたちとの距離を一瞬で詰める。
 そしてヴァン目掛けて左足蹴りを繰り出す。

「っ!? うっぅはぁ!」

 何とか咄嗟に両手で防ぐヴァンであったが、そのまま振り抜かれてしまい吹き飛ばされてしまう。
 そのままマルロスは流れる様に隣にいたシンリの腹部目掛けて、右肘打ちを繰り出した。
 シンリはそれを防ぐことが出来ずに、もろにうけてしまいその場に膝から崩れ落ちる。
 すると先程蹴り飛ばしたヴァンが『ガスト』を放って来たが、マルロスはすぐさま後退し避けると、そのままマルロスとの距離を再び詰めると両襟を掴み壁へと押し付けた。
 その時ヴァンは少し地面から浮いた状態であった。

「くそ! 離せ!」
「えぇ、もちろん。直ぐにでも離しますよ」

 そう言ってマルロスは両手を離すと、少し落下してくるヴァンの腹部目掛けて左腕を勢いよく食い込ませた。
 ヴァンは防ぐことが出来ずに、そのまま崩れ倒れうめき声を出していた。

「うぅぐぅ……戦闘が……苦手なんじゃ……」
「苦手ですよ。だって、弱いからね」
「どこが……」
「イルダと比べたら、自分なんて下の下だからね」

 するとマルロスは地面にうずくまる様になっているヴァンの両手首を掴むと、そのまま壁に押し当て魔力技量で手枷を作り、壁と繋いだ。

「暫くすれば外れる様にしているか、ここで暫く休んでいてね」

 そうヴァンに伝えると立ち上がり、うずくまっているシンリの方を向く。

「(さて、あと彼も同じ様に繋いでおしまいだな)」

 マルロスはそんな事を思いつつ一歩踏み出すと、そこへある人物がやって来た。

「おいおい、何だよもうやられているのかよ。ダセェな」
「ぐぅ……な……何しに来た……んだよ、あんた」
「何って、ただ歩いていたらここに着いただけだ」

 そう呆れた様に話すのは、ヴァンとシンリの助っ人としてチームの1人であるヒビキであった。

「ヒビキ」
「ん? マルロスか」

 マルロスがそこへ現れたヒビキの名を呼ぶと、ヒビキはマルロスの顔を見て片手をポケットに突っ込み、倒れているヴァンの方へと視線を向けた。

「だから言ったろ、オービンを支持してる奴は大した事ないって」
「ふざける……な! オービン先輩を馬鹿にするんじゃない! あの人は凄いんだ!」
「はっ、どこが凄いんだが。ただのお節介野郎に過ぎねぇよ。勝手にオービンに自分の理想を乗せるな。あいつは凄くねぇんだよ」
「まだ言うのかよ! 同じ寮で同じ学年の癖に、目が曇ってるんじゃないのか、先輩!」
「そんな訳ねぇだろ。あ~あ、まさかオービンに陶酔している奴がメンバーとか、マジで無理だわ」
「それはこっちのセリフだ! 僕こそ、オービン先輩を貶すあんたとチームとか願い下げだね!」

 マルロスは、またしても言い合いを見せられて呆れていた。
 そしてマルロスは一応念の為、ヒビキに問いかけた。

「ヒビキ。一応訊くが、お前はこの2人のチームでいいのか?」
「違う。と、言いたいが試験上はそうなってる。俺がこいつら2人の助っ人として入ってるんだよ。まぁ、こいつとはオービンとの事で意見も考えも会わねぇから、解散状態だ」

 それを聞きマルロスは片手を仮面に付けて、軽く首を振った。

「(何なんだこのチームは……協調性と言うのがないのか? チームとして崩壊してないか、これ?)」

 すると突然ヒビキがマルロスに話し掛けた。

「そうだマルロス。俺お前と一緒に行動してもいいか? こんな奴らと居ても嫌だし、1人もつまらないしよ」
「いや、ダメだろ。お前はそのチームのメンバーとしての役割があるんだからよ」
「おいおい、ケチ言うなよ~いいだろ?」
「ダメだ」
「ちょっとくらいいいじゃねぇかよ」
「しつこいぞ、ヒビキ。それ以上言うと、お前も同じ様に張り付けるぞ」
「へぇ~やれるもんなら、やってみろよ。お前ごときに出来るならだけどよ」

 ヒビキの挑発的な言葉に、マルロスは仮面越しにヒビキの事を睨みつける。
 それに対しヒビキはマルロスを挑発する様に、少し見下す様に見つめ続けた。
 直後、マルロスはヒビキの懐に入り込み顎下目掛けて掌底打ちを放つが、ヒビキに当たる直前に真横から片手で突き飛ばされる。
 そして、ヒビキは懐にいるマルロス目掛けて左足を振り抜いた。
 だが、マルロスはそれを右足で受け止めると、直ぐに振り払って距離をとった。

「おいおいマルロス。あんなもんでやれるのは、そこでへばってる奴くらいだぞ。俺をこいつらと同じに見るのは、傷つくな~」
「自分の記憶が間違ってなければ、ヒビキは体術は苦手だったはずだが?」
「いや~最近落としたい女子が、体術出来る人が好きみたいだからさ。ちゃちゃっとマスターしたのよ」
「そんな気軽に取得した動きには見えなかったがな」
「気のせい……いや、お前の質が落ちたんじゃないのか、マルロス?」

 ヒビキは更にマルロスを挑発する様に言葉を掛けるが、姿勢はだらっと立ているだけであった。
 一方でマルロスは、戦闘態勢をとっており、ヒビキとマルロスの同学年同士の戦いが始まったのだった。
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