とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第274話 第二期期末試験⑳~最後の~

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「「タ、タツミ先生!?」」

 暫くしてからトウマたちが大きく声を上げると、タツミは「お前らは後回しだ」と言ってオービンと何やら2人で話し始めるのだった。
 全く状況が理解出来ないトウマたちは、ただ呆然とその場に立ち尽くすのであった。

「……タツミ先生。どうしてここに?」
「どうしてだと? オービン、それ本気で言ってるのか?」

 タツミの問いかけにオービンはそっと目を逸らした。
 その態度にタツミは呆れた様にため息をついた。

「約束、忘れたのか?」
「……そうじゃないですけど、まだ約束以内だと思いますよ……」
「なわけあるか。あんだけ魔法連発しておいて、更に今まで以上に強い魔法を放とうとしたろ」
「っ……それは、その~未来ある若者にあてられてと言いますか、期待に答えて上げたくなったと言いますか」
「要は、テンションが上がったんだろ。久々に魔法を自由に使えて、立ち向かって来てくれる相手によ」

 図星をつかれたオービンは、タツミに反論できずに黙ってしまう。
 するとタツミがオービンの両手首に、リング型の魔道具を付けた。

「とりあえず、お前は俺と一緒に退場。欠乏症が治ってる訳じゃないんだから、一定量の魔力を使わない約束をしたのに、破ったのはお前だから文句は言うなよ」
「分かってますよ。それで、この腕輪みたいのはなんです?」
「最新の医療用魔道具だ。設定した魔力量以上が使えない様にする物だ。最近、魔力のコントロール用としても使われているもんだ」
「そうなんですね」

 そう言いながらオービンが魔力を使い試すと、確かに思っている以上の魔力が使えないと実感し「おぉ~」と関心する。
 と、タツミが軽くオービンのチョップする。

「おい、ただでさえ魔力使い過ぎなんだから、興味で試すんじゃない。病人だと言う事を忘れるな。言う事が聞けないなら、もっと厳しい監視におくぞ」
「……すいません。それはやめて下さい」

 タツミの脅しにオービンは反省した態度をとる。
 そしてそのままタツミは、オービンと共にトウマたちの方へと向かった。

「大丈夫か、お前ら?」
「え、あ、はい。とりあえずは……で、どう言う状況なんです、これ?」

 トウマがタツミに問いかけると、リーガとライラックもそれが気になりトウマの後ろで強く頷いていた。

「それはな、こいつが約束を破ったから止めに来たんだ。オービンはこのまま退場になる」
「えー!? た、退場!? 何やったんすかオービン先輩!」
「いや~ちょっとはしゃぎ過ぎて、色々と影響が出ちゃったんだよ」
「マジか……」

 リーガとライラックは、そのままオービンの言葉を真に受けていたが、トウマはその言葉を疑っていた。

「(影響が出た? 壊し過ぎとか? いや、それだけで退場になるか? と言うか、そもそもタツミ先生が来たって事は)」

 と、トウマがその辺でオービンの病気に関係があるんじゃないかと思った直後に、タツミがトウマに対して軽く目配せし軽く頷いて来た。
 その反応でトウマは、自分の考えた通りの事でタツミがやって来たのだと理解する。

「と言う訳だ。だから、お前らも少し体休めたら、早く試験に戻れよ」

 そうタツミが言葉にした直後、遠くから何かが砕けたり破裂音などが響きて来た。

「どっかの奴らが戦い始めたのかもな。あんまりのんびりしてると、メダル取られるぞ」
「分かってますよ。でも、こっちはオービン先輩とやり合ってかなり限界なんですよ」

 そう言ってトウマたちは力が抜けたように、その場に座り込んだ。
 タツミはそんなトウマたちを見て、何もせずにその場から離れだす。

「本来は俺が応急処置とかしたいが、今は試験中だから、誰かに肩入れは出来ない。したとしたら、お前の評価が下がるから、自力で頑張れ。見た所、死にはしないから大丈夫だ」

 そう言うって離れて行くとオービンもタツミに付いて行くが、途中で足を止めてトウマたちに声を掛ける。

「トウマリーダー、頑張ってね。応援してるよ。それにリーガ君とライラック君も、未熟なトウマリーダーと一緒に試験乗り越えてね」

 オービンは優しい表情でそう伝えて立ち去って行くのだった。
 その後トウマたちは完全に仰向けになる様に倒れた。

「なぁ、何かオービン先輩って二重人格なのか?」
「はぁ? 何急に言い出してんだよライラック」
「いやだってよ、さっまでの言葉と今の発言が全然違うじゃんかよ。すげぇ否定してたのに、急に応援してるとか言い出すし」
「確かに」
「二重人格なわけないだろ。あれはたぶんだけど、あえて強く俺たちに当たったんじゃないのか? よく分からないけど、そのお陰でチーム感も強くなったしオービン先輩の攻撃も防げたんじゃないかと思う」
「確かに」
「リーガ、お前は確かにしか言わんのか」
「いや~もう急に戦闘が終わって、どっと疲れが来て頭が回らんのだ」
「「……それは、分かるわ」」

 トウマとライラックが同時に答えると、その後3人は暫くその状態で休んだ後、ボロボロの体に鞭を打って立ち上がり試験の目的であるメダルへと急ぐのだった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「たぶん地図的に、この先にメダルがあるはずだけど」

 私はそう言いながら先頭を歩いていた。
 後ろにはベックスとガードルが私に付いて来ていた。

「それにしても、あれから他のチームとも邪魔者とも会わないのは、運が良かったな」
「あぁ、確かにな。そのお陰で、体も回復したし意外と一番乗りなんじゃないのか俺たち?」
「そうかもな。最初はどうなるかと思ったが、ここに来てスムーズに言ってるし、ベックスの言う通り一番乗りかもな」

 と、私たちはそんな話をしながら少し急ぎ足で通路を進むと、大きく開けた場所へと辿り着く。
 そこには、四方八方に道が続いていたが中心には台座の様な物が立っていた。
 そして私はその中心の台座に金色に輝くメダルを見つめた。

「あっ、これじゃない?」
「本当だ! メダルだ」
「ん? でも、1枚しかなくないか?」

 そのベックスの言葉に、私たちも言われてみてメダルが1枚しかないのに気付く。
 あれ? 確か3枚あるとか言ってた気がしたけど……別の場所にあるのかな?
 私はそう思って周囲を探したが、他にそんな物が置かれている場所もなかった。
 だが普通に考えれば分かる事であったが、そんな事を私たちはあり得ないと始めから考えていなかったのだ。
 そしてその事に気付いたのは、私たちが台座に近付いた時だった。

「……なぁこれって、最後の1枚だよね」

 私が恐る恐る言うと、2人もそこで状況を理解した。
 そう、その台座にはメダルが3枚置かれていた形跡が見られ、既にそのうちの2枚はその場から無くなっていたと近付いて分かったのだった。
 つまりは私たちよりも前に既に2組がメダルを手にしている状況であり、私たちは運よくギリギリで最後の1枚を手にしたのだ。
 思っていたより、かなりヤバい状況じゃないこれって?
 私たちは自分たちが置かれていた状況を改めて理解し、暫く意識を切り替えるのに時間がかかっていると、そこへルーク班が現れる。

「っ、クリス」
「ルーク……」
「あれ? クリスの所で出くわした感じか」
「タイミングが悪いな。こんな時にルークたちと出くわすとは」
「でも、まだ向こうは最後のメダルに気付いてない。このまま僕たちが先にとって逃げ切ればいい話だ」

 だがしかし、直ぐにルークがメダルの存在に気付き、それが最後の1枚だと気付くのだった。

「フェルト! ケビン! あいつ等を止めるぞ! あそこのメダルが、最後の1枚だ!」
「!?」

 直後ルークが私たちに向かって来たので、私は咄嗟にメダルを取りベックスに渡した。

「ベックス、ガードルはこのまま行け! 俺がルークたちを止める」
「クリス、そんな無茶な!」
「っ……分かった」
「ベックス!?」

 そのままベックスはガードルを軽く引っ張り、スタート地点へ向かい走り出した。
 しかし、その前をルークが魔力創造で壁を創り足止めをし、そこにフェルトが『ガスト』を放ちベックスとガードルを突き飛ばす。
 その衝撃でベックスはメダルを手放してしまい、地面へと転がる。

「しまった」

 直ぐに取りに向かうベックスだったが、それをルークが『バースト』で防ぎその間にケビンがメダルを拾う。
 私はすぐさま『スパーク』を放つも、ルークに相殺されてしまう。
 その後ケビンはフェルトと共に来た道を戻り始めた。

「後は任せとけルーク」
「あぁ、頼むぞフェルト、ケビン」
「行かせるわけないだろ!」

 私は粗くゴーレムを2体創り出し、ルークへと突進させた。
 ルークはそれに対抗する様にゴーレムを創り出しぶつけて来た。
 私はその間にベックスたちに目配せをすると、2人は直ぐにフェルトたちを追って行った。
 ルークはあえてそれを素通りさせた様に私には映っていた。
 その後、この場に私とルークだけになり私のゴーレムが破壊されてしまい、私は一度距離をとった。
 するとルークは何故か、創り出したゴーレムをただの土塊へと戻した。

「どう言うつもりだルーク?」
「約束忘れたのか? 俺はお前もそのつもりだと思ったから、あの2人をわざと行かせたんだぞ」
「やっぱり、止められるのにわざと行かせたのか」
「あぁ。ベックスと正面から戦うのは厳しいが、逃げるだけなら問題ないと思うし、仮に戦う事になったとしても負傷してるベックス相手なら大丈夫と判断したんだ」
「ベックスだけ注意してるのか? うちはガードルも――」
「分かってるぞ。だが、かなり疲弊してる感じで動くので精一杯な感じだろ。誰と何回戦ったかは分からないが、相当お前たちは疲労してる状態だと判断しただけだ」
「っ……」

 あの一瞬でそこまで見抜かれてしまった事に、私は言い返す事が出来なかった。
 するとルークは腕をクロスする様に組み、ストレッチを始め軽く終わらせるとゴーレムを1体創り出した。

「それじゃクリス、そろそろ俺たちの勝負を始めようぜ。例の件、ここで決着をつけようぜ」
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