とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第275話 第二期期末試験㉑~必ずしも対等とは限らない~

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「っ……あいつ等、思っていたより足が速い……」

 ベックスは逃げるフェルトたちを追いかけていたが、ガードルが途中から遅れだした事に気付き声を掛けた。
 するとガードルは、斜めがけのバックから指輪の魔道具を取り出しベックスへと投げ渡した。

「僕はもう限界だ。ベックス、その魔道具から魔力を補給出来るから、それを使ってフェルトたちを追ってくれ」

 ガードルは苦しそうな表情でそう言い切ると、ベックスは頷き貰った指輪を右手親指にはめ、全身に魔力を纏わせ勢いよく地面を蹴ってフェルトたちを追うのだった。
 それを見送ったガードルはゆっくりと減速し、壁にもたり掛かるとそのまま座り込んだ。

「はぁー、はぁー、思っていたより体への負荷が大きいな……ベックス、すまないが頼んだ」

 そう呟くとガードルは、座り込んだまま呼吸を整えるのだった。
 そしてベックスは、回復した魔力によってフェルトたちの後ろ姿を捉えるのだった。

「(このまま追いつける!)」

 ベックスはそのまま纏っている魔力を右手に集中させ手を伸ばすが、そこでフェルトが急に振り返り『バースト』を放ち防ぐのだった。
 そのままフェルトは立ち止まりベックスの相手をし始め、ケビンはそのまま1人で走り続けその場から離れて行く。

「お前が足止めか、フェルト」
「まぁね。メダルを誰かが持ち帰ればいい訳だし、君の足止めは俺が引き受けたのさ」
「なら、さっさとどいてもらおうか!」
「俺が何の策もなく、残る訳ないだろ」

 その後、ベックスとフェルトの戦闘が始まるのだった。
 そして1人逃げるケビンは、メダルを握り締め後ろを振り返らず全力でスタート地点へと向かっていた。

「(あー、辛い! 止まりたり! 休みたい! 苦しい! でも、僕だけが辛い訳じゃないんだから、我慢しろケビン!)」

 ケビンはそのまま走り続けると、開けた場所に辿り着きそこに目印がある事に気付く。
 そこへ近寄り地図と照らし合わせ、自分たちのスタート地点への道へと進んで行った時だった。
 その道には、ニックが道を塞ぐように待ち伏せていたのだった。
 ケビンはニックを見つけ、急ブレーキをかけた。

「な、何でニックがここに!?」
「最後の賭けをしただけさ……さぁケビン、そんなに急ぐって事はメダルを持ってるんだろ?」
「っ……」
「当たりだな。悪いが、そのメダル奪わせてもらうぞ!」

 そしてニックは、ケビンへ向かって走り出すがケビンもメダルを渡す訳には行かないので、全力で逃げ始めるのだった。

「(絶対にこれは誰にも渡すもんかー!)」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ぐっ!」
「俺にあんなに大口叩いておいて、そんなもんかクリス?」
「……くそっ!」

 私は弾き飛ばされたゴーレムを立て直し、剣と盾を武装をさせて再びルークのゴーレムへと突き進ませた。
 するとルークのゴーレムは、先程と同じ様に私のゴーレム目掛けて魔力凝縮した弾丸を放とうとしたので、咄嗟に私は武装させた剣を投げつけた。
 投げ飛ばした剣はそのままルークのゴーレムの腕に突き刺さり、破壊に成功し少し退けぞるルークのゴーレム。
 その隙に私は、ゴーレムに盾をかまえた状態で突進させた。
 このまま『エクスプローション』で吹き飛ばし、瞬時に『サクション』でルークからは見えないゴーレムの背後に付けた塊から、小型ゴーレムを創り出し『ブレイクオフ』で二段攻撃を仕掛ける。
 そして、私のゴーレムがルークのゴーレムに突っ込み相手が受けとめた所で、私は「ここだ!」と思い直ぐに『エクスプローション』を唱える。
 だが、何故か魔法が発動しなかった。

「!? どうして……」
「変わらないな、その攻め方」

 そうルークが言った後、私とルークのゴーレムの間が氷漬けにされていた事に気付く。
 っ……発動直前に攻撃が読まれた? あえて取っ組み合ってそう誘導された? いや、何にしろ氷らされて防がれた事に代わりない。
 でも、まだ終わりじゃない!
 私は直ぐさまゴーレムの背後から、小型のゴーレムを数体創り出しそのままルークへ向かわせつつ『ブレイクオフ』を唱えた。
 そのまま私の小型ゴーレムは破裂し始める様に膨らみ、大きく破裂したが一瞬でゴーレムの周囲が大きく水で覆われたのだ。
 そして、その大きく囲まれた水の塊が一瞬で氷漬けになってしまう。
 想像もしていなかった状況に、私は言葉を失ってしまう。
 するとその奥で、ルークが両手を突きだし勢いよく握る様な動作をすると、巨大な氷が爆破し粉々になるのだった。
 その時、私はルークの両手の中指に指輪の様な物がはまっており、それに魔力が微かに纏っている事に気付いた。

「試作としては十分だな」
「……ルーク、今のは」

 私は恐る恐る訊ねると、ルークは指輪をはめた片手を見せながら答えた。

「魔道具さ。今の火力も、この指輪型魔道具のお陰さ。魔力出力上昇とより緻密な魔力操作を可能にしてくれる物だ」
「そんなにペラペラと相手に話すのはどうなんだよ?」
「問題ない。違反でもないし、試験で使用する届もだしている。まぁ、初めて試作品を実戦で使うがな。卑怯とか思うか?」
「……別に。試験での勝負だし、必ずしも相手と対等とは限らないだろ。だから――」

 私はそう言ってゴーレム武装を発動させ、全身に魔力創造・技量・質量・制御で創り出した鎧を身に付けた。

「俺のこれも、卑怯とか言うなよルーク」

 直後ルークがうすら笑いを浮かべる。

「そこ来なきゃな、クリス」

 するとルークは両手の指輪型魔道具を光らせ、両手を近付け凝縮した魔力を創り出しそのまま、その魔力を引き延ばし始め、1本の魔力の剣を創り出した。
 ルークが創り出したその剣は、対抗戦の時にラーウェンが使っていた『魔力剣』に類似していた。
 そして私たちは同時に地面を蹴って、互いに相手へと突っ込んで行くのだった。
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