とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第279話 再契約

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「えっと……どうして急に謝ってるんだルーク?」

 私は思った事を口にだすとルークは下げていた頭を上げて、理由を話し出した。
 それを聞いた私は謝られた理由に納得した。
 私としては全力でぶつかった勝負であり、少しくらい怪我はすると想定していた。
 だが、あれほどの威力とは想定していなかったので、もしゴーレム武装でなかったらルークの言う通り大怪我をしていたかもしれないと思ってしまう。
 とは言っても、私もそれに突っ込んで行った訳だしルークも私に大怪我をさせようとして放った訳でもないので、どっちが悪いとかではなく互いに悪い点があったわけだし、次から気を付ければいいと私は思う。
 ルークも自分の力の怖さに気付き、こうして私に謝罪までして来たのだから、今回の様な事はルークならば繰り返す事はないはずだ。
 それに私だって、失敗をしたのだから同じ様な失敗をしない為に反省し、次に活かす。
 そもそもそれは私たちだけでなく、誰しも似たような事はしているはずだ。
 勉強だけでなく、子供の時に親に叱られ次に叱られない様にするにはどうするかとか、極端だがいたずらに失敗し次はどうすればバレずに成功できるかと言う事だ。
 私はそれと同じ事を常にやって来て今の私になっている。
 人によっては意外と気付いてないだけで、無意識にそれをやっている人もいると思っている。

「自分の力の強さに気付けたのは良かったんじゃないの? 次からは俺が勝てるくらいに手加減してくれればいいよ」
「それ、許してくれてるのか? 根に持ってないか?」
「持ってないよ。俺はてっきり約束の話だと思ったのに、ルークが急に謝りだすから訳分かんなかっただけ」

 私がそう言うと、ルークはそれもあったなと思い出したかの様な表情をする。
 そんな顔するって事は、かなりさっきの事で頭が一杯だったって事?
 私はルークの表情を見て首を傾げていると、ルークがその事について口にし出した。

「それじゃ、その件もここで片付けるか。ここには俺たち以外に、気絶してるトウマしかいないし」
「……まぁ、いいけど」

 気絶してるトウマが居るってどう言う事? て言うか、どう言う状況なの今?
 私はそう思いルークの話を聞く前に、軽く近くのカーテンに手をかけて部屋の状況を見渡し、ルークの言った通りピクリとも動かないトウマ以外に誰も居ない事を確認し、カーテンから手を離した。
 するとルークは言った通りだろと言う表情をしていた。

「別に疑ってた訳じゃねぇし。気になっただけだから」
「何も言ってないだろ」
「そう言う顔をしたたんだよ」
「そりゃ悪かったよ。で、昨日の話だが」

 そう言ってルークは昨日呼び出して告白した時の話に相違がないかを確認しながら、話を進めた。
 私もそれを聞きながら認識間違いがないかを頷きながら聞いた。

「それでこっからだが、俺はお前に返事はいらないと言ったが、あれは今返事はいらないと言う意味で言ったんだ」
「はぁ? 何それ? て言うか、それならそう言ってよ。何でもかんでも、結論か言えばいいって思ってるでしょ!」
「っ……確かにこれは俺の言葉が足りなかった……でも、あんなに怒ることはなかったろ」
「いやいや。人に告白しておいて、私がどんだけ悩んだと思ってるの? こう言っちゃなんだけど、物凄く頭悩ましたんだからね! それで答えをだしていざ伝えようと思ってた時に、いらないとか聞いたら怒るでしょ普通!」
「俺はあの後に、普通にそう言う理由でいらないと話していたんだよ。それをお前が勝手に」
「何、いい訳? 完全にあれはルークが悪くない?」
「いや、話を最後まで聞かないお前も悪いだ……いや、やめよう。これを言ったらずっと同じ事の繰り返しだ」
「……そうだね。ごめん」

 ルークが思い留めてくれた事で、最悪などっちが悪かったループに入らずに済んだ。
 その後暫く沈黙が続いたが、ルークがその沈黙を破った。

「まぁなんだ、俺はあの時告白の返事は欲しいが、直ぐにじゃなくてある条件を達成したら教えて欲しいと言おうとしたんだ」
「え、ある条件?」
「あぁ。お前と最初にかわした契約の試験3本勝負だよ。それに俺が全勝したら、その時に告白の返事をして欲しいと改めて言うつもりだったんだ」
「そう、なんだ……ん、てっ事はだ。もしそれをやるなら、もう今回の勝負も私の負けだから、最後の試験に私が負けたら返事を言うってこと?」
「そうなるな。まぁ、お前がそれに了承してくれればだけど」

 ルークの問いかけに、私は直ぐに答えを出さずに少し考える時間を貰う。
 確かに最初の契約はまだ生きてるし、突然作り出したもんじゃないけど、あれって確か私が3敗したら婚約とかそんな事言ってなかったけ? それに、私もあの時頭に血が上ってたから勢いで返事を言わない的な事言ってたけど、こうなると今言うのはダメかな?
 私は昔の約束を思い出しつつ、もう答えが出てる返事を今伝えてしまいたいと思い始め、それを口に出した。

「あ~、その私が言っといてなんだけど、今告白の返事をするのはダメ、なの?」
「……ふぅ~、さっきの俺の印象から考えるに、お前は断るつもりだったんじゃないのか」
「っ!?」
「やっぱりな」

 ルークの言葉に私は図星を突かれてしまう。
 そう、私は悩みに悩んだ結果ルークからの告白を断る答えをだしていたのだ。
 嫌いだからとかではなく、付き合うという想像が出来ず、私とルークの関係は恋人と言うよりライバルと言う認識が私の中で強かった為だ。
 私が何も言えずにいるとルークが続けて話し続けた。

「あくまで予想だったが、色々と考えてくれた結果なら受けとめるし、あの日の告白の答えはそれでいいよ。それを踏まえて、俺はお前に改めて告白するよ」
「? どう言う事?」
「俺はアリス、お前の事が好きだ。今は嫌わられているかもしれないが、これから好感度を上げる為にどんどんとアタックしていくからな」
「ちょちょちょ、ちょっと! 何、何が始まってるの?」
「2度目の告白だよ。あ、返事はさっき言った通り、試験勝負で第三期期末試験で俺が勝って全勝したら答えてくれ。気持ちが変わってなかったら、今日と同じ返事でも構わない。それにもし、俺が負けた時は返事はいらない」
「いや、今私断ったよね。それでルークはそれを受け入れたよね? なのに、また告白!?」
「これが最後だ。これで断られたら、もう諦める。残り数カ月、お前の中の俺の印象を変えてみせる」

 ルークの真っ直ぐな視線に私は押されて、これはからかってるんじゃなくて本気なんだと理解した。
 て言うか、断った直後にまた告白する人とかいるの? いや、分からないんだけどさ、普通に考えたらいないよね? 私がおかしいわけじゃよね?
 私は混乱し始め軽く頭を抱えた。
 その時突然私は、誰かしらからルークには婚約者がいると言う話を聞いた事を思い出す。

「あっ! と言うかそもそも、ルークお前には婚約者が――」
「婚約者? そんなの居る訳ないだろ。兄貴ならまだしも、俺も昔聞かれた事があったが、その時は追求されるのも面倒だったから、適当に嘘でいるっていったらそれが広まっただけだろ」

 えー何それ……

「話を逸らそうとしても無駄だぞ。後、試験勝負契約の婚約だがあれを告白の返事に変更な」
「ちょ、勝手に」
「ん? それとも婚約の方が良かったか?」
「んなわけないでしょ!」
「じゃ、再契約成立だな」
「っ……卑怯だ」
「卑怯で結構。不利なのは俺なんだし、お前は次の勝負に勝てばいいだけだぞ。簡単で分かりやすいだろ?」

 するとルークは立ち上がり、一度背伸びをする。

「伝える事も伝えたし、次の勝負に向けてあの技の改良を始めるかな」
「あーもう! 訳わかんなくて、ルーク嫌いだわ! 相性最悪だよ! 答えも変わる訳ないじゃんか!」
「今はそれでいいよ。答えを言うかも、どうするかも、結局は次の期末試験での勝負次第なんだし。ごちゃごちゃと考えないで、アリスお前は俺に勝てる様に頑張ればいいんだよ」
「ほっんと、ムカつく言い方。昔よりはマシだけど」

 私はそこで大きくため息をつき、ルークにビシッと指を差す。

「ぜっっっったいに次は勝つ! そして、告白の返事もしてやんねぇかんな!」

 私はルークに対してベーっと舌をだし、人差し指で目の下を抑えて下に引っ張った。
 それに対しルークは軽く笑い、片手を腰にそえる。

「やれるもんならやってみろ。お前の印象も変えて、勝負に勝つのも俺だ。アリス、覚悟しとけよ」
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