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第303話 ネタバラシ
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私は未だに全く状況が飲み込めていなかった。
「おめでとうございます、アリスお嬢様」
「お誕生日おめでとうございます」
「アリスお嬢様、おめでとうございます」
何、何なの……さっきまで地獄の様な世界だったのに、一瞬で何故私の誕生会が行われてるの!?
私は先程まで地面に押し付けられている様な感覚であったが、既にその感覚もない事に気付き体を起こした。
するとそんな私にお兄ちゃんが近付いて来た。
「アリスおめでとう」
「……お、お兄ちゃん」
私は手を差し出して来たお兄ちゃんの手を取る事が出来ず、震えていた。
ついさっきまで血まみれで死にそうだったお兄ちゃんを見ていた為、この状況を直ぐに受け入れられなかったのだ。
「どうしたアリス? 信じられない様な顔をして」
「だ、だって……お兄ちゃんが生きてるし、お母様もお父様も生きてて、皆もいて」
「? ……」
お兄ちゃんは一瞬首を傾げたが、振り返りお母様の方へと視線を向ける。
「母上、聞いていた話と少し違うようですが?」
「どう言う事?」
私もお母様の方へと視線を向けると、お父様の隣にいたお母様はワイングラスを持ったまま私とお兄ちゃんの方へと近付いて来た。
「試作品には失敗はつきものよ。なんせ、私が学生の頃にティアたちと作った物なのだから」
「作った? 何をですか?」
「簡単に言えば眼鏡よ。さっきまで貴方がつけていた物よ、アリス。気付かなかったでしょ?」
「私がつけてた? どう言う事なんですかお母様! さっきまで見ていた光景は何だったんですか?」
お母様はワイングラスから一口だけ飲む。
「どうだった、私が考えたサプライズ。去年出来なかった分、今年の誕生日は少し思考を変えたのよ。ちょっとした意味もあったのだけどね」
「サプライズ……それじゃ、さっきまで見ていた光景は」
「私が作った魔道具で見せた夢、いや目から見ている認識を私が思った様に見せていただけよ。実際に私たちはここに居たし、聞こえていた声は本物よ。ねぇ、マリア?」
すると柱の陰に隠れていたマリアがゆっくりと現れる。
「マリア……」
私は先程まで見せられていた光景を思い出してしまい、軽く手が震えていた。
お母様の話から思うに、さっきまで見ていたのはお母様が作った世界と言う事……だと思う。
だから、あの時のマリアは嘘であんなマリアはいないし、そんな事を思っていたりはしないはず。
……はずだと分かっているけど、分かっているんだけども……あの時の恐怖が抜けない。
マリアが物凄く気まずい様な顔をしながら、私に近づいて来ると私は無意識に一歩後ずさってしまう。
それを見たマリアは、そこで足を止める。
私も無意識で後ずさっていた事に、そこで気付きマリアに声を掛けようとしたが、声が出なかった。
「……申し訳ありません、アリスお嬢様。私のせいでアリスお嬢様に恐怖を与えてしまって……」
「っ、い……いや、マリアのせいじゃ……ない」
私は咄嗟にそうは言ったものの、私を冷たく見下すマリアを思い出してしまい、声のトーンが徐々に下がっていた。
ダメだ、あのマリアは違うと分かっているのだけど、体がマリアを警戒してる感じだ。
意識と体が反対を向いてる感覚だ。
するとマリアは何ともない様に見えたが、一瞬だけマリアが前で組んでいた手が少し震えている所を見てしまう。
そうだよ、マリアだって今の私を見て怖いんだ。
関係が壊れてしまったんじゃないのか、嫌われてしまったのではないかと思っているはず。
私は勝手にマリアの気持ちを決めつけて、大きく前に一歩踏み出しそのままマリアへ抱きつきに行った。
「っ!? ア、アリスお嬢様……?」
「怖かった……怖かったよーマリア~」
その直後、私の瞳からは自然と涙が溢れ出て、マリアに抱き着いたまま泣きじゃくってしまう。
マリアはそんな私を最初は戸惑っていたが、ゆっくりと片手を私の頭に乗せて優しく撫で始めてくれた。
「私こそ、申し訳ありませんでした。私は誓ってあのような事は考えていませんし、皆も同じですのでご安心下さい」
「マリア~……ぐすっ……マリア~」
「あまり泣き過ぎますと、目元が晴れてしまいますよ」
「マリア~」
「……はい、そうですよね。私も反対はしたのですよ。ですが、リーリア様から言われてしまいまして。それであの様な事をしてしまいました」
するとそこへお母様が会話に割り込んで来た。
「あ、ずるいわよマリア。貴方、少しノリノリでやっていたじゃない」
「そんな事ありません。変な事を言うのは止めてください」
「おがぁざま……」
私は泣きじゃくった顔のままお母様の方を見ると、お母様は小さくため息をついた。
「分かったわよ……私が全部悪かったわよ。まさかそんな顔をされると思ってなかったわ。はぁ~……とりあえず、着替えてきなさいアリス。マリア後は頼んだわよ」
「はい。お任せください」
マリアはそう言って、私を優しく包んだまま別室へと連れて行ってくれた。
「母上、影響はでないとおっしゃったので俺は渋々賛同したのですよ」
「分かってるわよ。アバンまで私を責めなくていいじゃないの」
「責めているのではなく、嘘はいけないと言っているのです」
「変わらないじゃない」
「ともかく、次からはこういう事には俺は参加しませんよ。アリスをあんなに泣かせる事になって、俺の評価がガタ落ちして嫌われたらどうするのですか……」
「(アバン、貴方はそんな所を気にしていたのね)」
そう言って少しフラフラしながら離れて行く。
お母様は、お父様の隣へと戻って来て小さく愚痴り始める。
「そんなに私を責めなくてもいいじゃないの。結局は皆賛成してくれたじゃないの……」
「そうだね。でも、アリスにあんなにも泣かれてしまったらね」
「あなたまで私を悪者扱いするの?」
「悪者と言うより、やり過ぎだったね。でも大丈夫、皆君の事を本気で責めてないし、皆同じ気持ちさ」
「あなた……」
「せっかく、アリスの誕生会を開いたんだ。着替えて戻ってきたら皆で謝ろう。そして、彼女の早い誕生日を改めて祝おうじゃないか」
「……そうね」
その後、私が別室でドレスに着替え終わり戻るとお母様からの謝罪から始まり、皆も同じ様に謝って来た。
私は既にマリアから着替えている時に事情を訊いていた為、怒る事もなく頭を上げるように伝えた。
それからは気を取り直して、皆が私の誕生日を改めて祝ってくれた。
今はまだ12月であるが、私の誕生日は来年の1月3日。
しかしその頃には、お兄ちゃんが戻ってしまう為去年の誕生会も含めて、早いが今日誕生会を開いていてくれたのだった。
それからは皆で楽しく食事をした後、ウィルソンやシェラたちの隠し芸などで楽しみ、最後は使用人など関係なく皆が分け隔てなく話せ楽しめる誕生会を過ごした。
「おめでとうございます、アリスお嬢様」
「お誕生日おめでとうございます」
「アリスお嬢様、おめでとうございます」
何、何なの……さっきまで地獄の様な世界だったのに、一瞬で何故私の誕生会が行われてるの!?
私は先程まで地面に押し付けられている様な感覚であったが、既にその感覚もない事に気付き体を起こした。
するとそんな私にお兄ちゃんが近付いて来た。
「アリスおめでとう」
「……お、お兄ちゃん」
私は手を差し出して来たお兄ちゃんの手を取る事が出来ず、震えていた。
ついさっきまで血まみれで死にそうだったお兄ちゃんを見ていた為、この状況を直ぐに受け入れられなかったのだ。
「どうしたアリス? 信じられない様な顔をして」
「だ、だって……お兄ちゃんが生きてるし、お母様もお父様も生きてて、皆もいて」
「? ……」
お兄ちゃんは一瞬首を傾げたが、振り返りお母様の方へと視線を向ける。
「母上、聞いていた話と少し違うようですが?」
「どう言う事?」
私もお母様の方へと視線を向けると、お父様の隣にいたお母様はワイングラスを持ったまま私とお兄ちゃんの方へと近付いて来た。
「試作品には失敗はつきものよ。なんせ、私が学生の頃にティアたちと作った物なのだから」
「作った? 何をですか?」
「簡単に言えば眼鏡よ。さっきまで貴方がつけていた物よ、アリス。気付かなかったでしょ?」
「私がつけてた? どう言う事なんですかお母様! さっきまで見ていた光景は何だったんですか?」
お母様はワイングラスから一口だけ飲む。
「どうだった、私が考えたサプライズ。去年出来なかった分、今年の誕生日は少し思考を変えたのよ。ちょっとした意味もあったのだけどね」
「サプライズ……それじゃ、さっきまで見ていた光景は」
「私が作った魔道具で見せた夢、いや目から見ている認識を私が思った様に見せていただけよ。実際に私たちはここに居たし、聞こえていた声は本物よ。ねぇ、マリア?」
すると柱の陰に隠れていたマリアがゆっくりと現れる。
「マリア……」
私は先程まで見せられていた光景を思い出してしまい、軽く手が震えていた。
お母様の話から思うに、さっきまで見ていたのはお母様が作った世界と言う事……だと思う。
だから、あの時のマリアは嘘であんなマリアはいないし、そんな事を思っていたりはしないはず。
……はずだと分かっているけど、分かっているんだけども……あの時の恐怖が抜けない。
マリアが物凄く気まずい様な顔をしながら、私に近づいて来ると私は無意識に一歩後ずさってしまう。
それを見たマリアは、そこで足を止める。
私も無意識で後ずさっていた事に、そこで気付きマリアに声を掛けようとしたが、声が出なかった。
「……申し訳ありません、アリスお嬢様。私のせいでアリスお嬢様に恐怖を与えてしまって……」
「っ、い……いや、マリアのせいじゃ……ない」
私は咄嗟にそうは言ったものの、私を冷たく見下すマリアを思い出してしまい、声のトーンが徐々に下がっていた。
ダメだ、あのマリアは違うと分かっているのだけど、体がマリアを警戒してる感じだ。
意識と体が反対を向いてる感覚だ。
するとマリアは何ともない様に見えたが、一瞬だけマリアが前で組んでいた手が少し震えている所を見てしまう。
そうだよ、マリアだって今の私を見て怖いんだ。
関係が壊れてしまったんじゃないのか、嫌われてしまったのではないかと思っているはず。
私は勝手にマリアの気持ちを決めつけて、大きく前に一歩踏み出しそのままマリアへ抱きつきに行った。
「っ!? ア、アリスお嬢様……?」
「怖かった……怖かったよーマリア~」
その直後、私の瞳からは自然と涙が溢れ出て、マリアに抱き着いたまま泣きじゃくってしまう。
マリアはそんな私を最初は戸惑っていたが、ゆっくりと片手を私の頭に乗せて優しく撫で始めてくれた。
「私こそ、申し訳ありませんでした。私は誓ってあのような事は考えていませんし、皆も同じですのでご安心下さい」
「マリア~……ぐすっ……マリア~」
「あまり泣き過ぎますと、目元が晴れてしまいますよ」
「マリア~」
「……はい、そうですよね。私も反対はしたのですよ。ですが、リーリア様から言われてしまいまして。それであの様な事をしてしまいました」
するとそこへお母様が会話に割り込んで来た。
「あ、ずるいわよマリア。貴方、少しノリノリでやっていたじゃない」
「そんな事ありません。変な事を言うのは止めてください」
「おがぁざま……」
私は泣きじゃくった顔のままお母様の方を見ると、お母様は小さくため息をついた。
「分かったわよ……私が全部悪かったわよ。まさかそんな顔をされると思ってなかったわ。はぁ~……とりあえず、着替えてきなさいアリス。マリア後は頼んだわよ」
「はい。お任せください」
マリアはそう言って、私を優しく包んだまま別室へと連れて行ってくれた。
「母上、影響はでないとおっしゃったので俺は渋々賛同したのですよ」
「分かってるわよ。アバンまで私を責めなくていいじゃないの」
「責めているのではなく、嘘はいけないと言っているのです」
「変わらないじゃない」
「ともかく、次からはこういう事には俺は参加しませんよ。アリスをあんなに泣かせる事になって、俺の評価がガタ落ちして嫌われたらどうするのですか……」
「(アバン、貴方はそんな所を気にしていたのね)」
そう言って少しフラフラしながら離れて行く。
お母様は、お父様の隣へと戻って来て小さく愚痴り始める。
「そんなに私を責めなくてもいいじゃないの。結局は皆賛成してくれたじゃないの……」
「そうだね。でも、アリスにあんなにも泣かれてしまったらね」
「あなたまで私を悪者扱いするの?」
「悪者と言うより、やり過ぎだったね。でも大丈夫、皆君の事を本気で責めてないし、皆同じ気持ちさ」
「あなた……」
「せっかく、アリスの誕生会を開いたんだ。着替えて戻ってきたら皆で謝ろう。そして、彼女の早い誕生日を改めて祝おうじゃないか」
「……そうね」
その後、私が別室でドレスに着替え終わり戻るとお母様からの謝罪から始まり、皆も同じ様に謝って来た。
私は既にマリアから着替えている時に事情を訊いていた為、怒る事もなく頭を上げるように伝えた。
それからは気を取り直して、皆が私の誕生日を改めて祝ってくれた。
今はまだ12月であるが、私の誕生日は来年の1月3日。
しかしその頃には、お兄ちゃんが戻ってしまう為去年の誕生会も含めて、早いが今日誕生会を開いていてくれたのだった。
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