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第310話 レ、レ、レアチーズケーキと言うデザート食べた?
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「私が誰でもいい事じゃなくて、犯罪さん?」
ジュリル!? どうしてここにジュリルがいるの?
私がジュリルの姿に驚いていると、リーダー的な男が舌打ちし背後にいた用心棒に声を掛ける。
「おい! いつまで突っ立ってるんだ、てめぇは! さっさとあのガキ黙らせろ」
するとフードを被った人物は小さく頷くとジュリルの方を向き、勢いよく突っ込んで行く。
が、ジュリルは焦る事無く『レッグホールド』の魔法でフードを被った人物の足を止め、そこへ『ウイップ』にて相手を叩き突き飛ばす。
しかし、フードを被った人物はそれでひるむことなく体勢を立て直し、再びジュリルへと迫る。
「しつこいわね」
そう呟いた直後、ジュリルは『アイスピラ』にてフードを被った人物の顎下目掛けて発動し、氷柱直撃し宙へと舞う。
その光景を見ていた男たちはジュリルの強さに怖気づいてしまい、私から手を離しその場から逃げ出す。
「使えねぇ用心棒だ! おい、ここは逃げるぞお前ら! 捕まらなければいつでもまだやりようはあるんだ!」
「兄貴待って!」
「兄ちゃん、1人だけ逃げるの早いって~」
男たちは用心棒のフードを被った人物を置いて行くが、暫くしてフードを被った人物も起き上がり男たちを追いかけて立ち去って行く。
私は一難去った事にその場で崩れてしまい、少し呆然としているとジュリルが近寄って来てくれた。
「大丈夫?」
「え、えぇ」
ジュリルが私に手を差し出して来てくれたので、私はその手を握り立ち上がり改めて助けてくれたお礼をする。
「助けてくれてありがとう、ジュリル」
「……っ、よく見たら貴方アリスじゃない」
「え、気付いてなかったの?」
「えぇ。誰かが裏路地に連れて行かれる所を偶然目撃したから、何事かと思って来ただけなの。にしても、まさかアリスが攫われるとはね。対抗戦で私に勝ったくせに」
「それは……何も言い返せないです……」
私がジュリルの言葉に肩を落としていると、マリアが物凄い形相でジュリルに掴みかかろうとしに来ていた事が目に入り、咄嗟にジュリルを引っ張り庇った。
「待ってマリア! この子はジュリルよ! 助けてくれたの」
「っ!?」
「急に何ですの?」
マリアは私の顔の目の前で手を止め、ジュリルは私が急に引っ張った事に驚いていた。
そしてマリアは手を下ろし、小さく息をつくと表情がいつも通りに戻り口を開いた。
「申し訳ありませんでした、アリスお嬢様。私が離れたばかりにこのような事に巻き込ませてしまい、全て私の責任です」
「ううん、そんな事ないわ。私も気を抜いていたのが悪いの」
「いえ! 全てはわ――」
「あの、割り込んで悪いのだけど、話すなら別の場所にしません? こんな所にずっと居たいというのなら、別だけども」
私とマリアはその言葉で互いに頷き、一度場所を移す事に賛同した。
それから私たちは裏路地から出て、ジュリルが警備もされかつ個室のある高級店を見つけたのでそこへと入る事になった。
また襲撃を受ける可能性も考えられ、仲間もいるかもしれないと思い容易に手が出せない所に入り、一度ゆっくりと話をする事にしたのだ。
「なるほどね、アリスはあの犯罪者共に見覚えはないと。それじゃ、最近ここらへんで誘拐や窃盗と言った事件が起きていた事は?」
「初耳よ。マリアは?」
「知ってはいましたが、昨日それを仕切っていた組織が警備団に捕まっている所を見ていた。そのため、もう解決したのだと思っていアリスお嬢様にはお伝えしませんでした」
「そうなの?」
「アリスの使用人さんが言う様に、確かに昨日その組織は壊滅したわ。でも、まだ残党が残っていたみたいね。さすがにそこまでは、まだ警備団の手がまだ回ってないようね」
そう言ってジュリルが目の前の紅茶を一口飲む。
「(今回は私の失態です……周囲にあまり警戒していなかったのが原因でもありますが、勝手に安全だと思い込んでいたのが要因でした。それよりも、どうしてここにジュリル様がいらっしゃるですかね?)」
すると近くに立っていたマリアが私に向けて目配せして来たので、私はその視線を察してジュリルに問いかけた。
「話は変わるんだけど、ジュリルはどうしてこの街に?」
「別荘が近くにあって、今年はそこで年越しする事になったのよ。それで今日はこの街を散策しようかと思って歩いていたのよ」
「そうだったのですね。ハイナンス家の別荘があるとは、知りませんでした」
「そうでしたの? アリスならともかく、フォークロス家の使用人さんならば知っていると思っていたのですが。一度土地を買い取る際に伺ったと聞いていましたので」
マズイ……マリアは私としてクレイス魔法学院に通っていたし、ほとんど屋敷にはいなかったから認識がないんだ。
と思い、私が咄嗟にフォローしようとしたが、マリアが先に口を開いていた。
「申し訳ありません。暫くの間私用でお休みを頂いておりましたので、私の情報不足でした。大変失礼致しました」
「いいえ、そんな謝る必要はありませんわ。お休みしていたのでしたら仕方ない事ですし、全てを使用人に伝えている訳でもありませんものね。私こそ意地悪な事を言いましたわ。ごめんなさい」
自身の非を認め謝罪して来たジュリルにマリアは、直ぐに顔を上げるように伝えた。
令嬢と言う身分で、他人の使用人に頭を下げるなどあり得ない事であり、どの様な理由であろうと外でそのような姿を見られれば一大事である。
幸いこの部屋には、私たち以外に誰も居ないため問題はないが、私は直ぐにジュリルの名を呼んだ。
「ジュリル! 何してるの!? あんなの誰かに見られたら」
「大丈夫ですわ。他に誰も居ませんし、貴方たちが今の事を誰かに言いふらす様な方でもないでしょう? なんせ、クリスのお姉さんにお姉さんの使用人さんですもの」
それは少し私たちを信用し過ぎなのでは? 何か学院でのジュリルと少し印象が違うな。
学院内でないし、プライベートな時間だからかな?
そう思った時、ジュリルが来ているなら使用人でもあるレオンも居るのでは思い、それを訊ねようとし「レ――」と言いかけた。
が、今の私はアリスでありアリスとしてはレオンがジュリルの使用人である事は知らないので、それを口にするという事は自分がクリスだと言っているものだと分かり頭をフル回転させた。
「レ?」
「レ、レ、レアチーズケーキと言うデザート食べた? この辺で最近人気なのよ」
「へぇ~スイーツはあまり食べないから、頼んでみようかしら」
そう言うってジュリルはメニュー表を手に取って目を向けた。
あ、あぶな~~い……ナイス私、ナイスレアチーズケーキ。
街に着いた時に偶然大人気と言う張り紙を見た事を思い出し、レオンからレアチーズケーキへと何とか舵を切れたのだ。
帰りに沢山レアチーズケーキ買って帰ろ……あれ見てなかったら、やばかった。
私が小さく安堵の息を付いていると、マリアがスッと近付いて来て小声で話し掛けて来た。
「発言には気を付けてください、アリスお嬢様。クリスで得た情報は全て忘れてジュリル様とお話ください」
「分かってるわ」
私はアリス、私はアリス、クリスじゃなくてアリス、アリス、アリス……
「今日はクリスは一緒じゃないのね」
「クリっ!? クリスは、屋敷で勉強しているわ」
「そうなのですか。では、今日はアリスと使用人さん……ではなくて、マリアさんとお2人だけなのですね」
そこにジュリルが店員を呼ぶベルを鳴らし、店員が部屋をノックし入って来る。
ジュリルは店員に私が咄嗟におすすめしたレアチーズケーキを頼み、私たちにも何か注文があるかと問いかけて来たが特になったので「ないわ」と返した。
その後店員が一礼してから部屋から出て行く。
「さて、一通りお話も終わった所で――」
そうジュリルが言いかけた時だった、再び部屋の扉がノックされた。
ジュリルが返事をすると部屋に入って来たのは、先程とは別の店員であった。
「失礼します。ジュリル様、入店時におっしゃっていたお客様がお見えになりました」
「そうですか。では、通してください」
「承知いたしました」
店員はそう言って部屋から出て行き、私はジュリルに誰が来るのかと訊ねると私の「荷物持ちよ」と答えた。
するとそこで再び部屋の扉がノックされジュリルが返事をし扉が開かれ、入って来たのは執事服を着たレオンであった。
ジュリル!? どうしてここにジュリルがいるの?
私がジュリルの姿に驚いていると、リーダー的な男が舌打ちし背後にいた用心棒に声を掛ける。
「おい! いつまで突っ立ってるんだ、てめぇは! さっさとあのガキ黙らせろ」
するとフードを被った人物は小さく頷くとジュリルの方を向き、勢いよく突っ込んで行く。
が、ジュリルは焦る事無く『レッグホールド』の魔法でフードを被った人物の足を止め、そこへ『ウイップ』にて相手を叩き突き飛ばす。
しかし、フードを被った人物はそれでひるむことなく体勢を立て直し、再びジュリルへと迫る。
「しつこいわね」
そう呟いた直後、ジュリルは『アイスピラ』にてフードを被った人物の顎下目掛けて発動し、氷柱直撃し宙へと舞う。
その光景を見ていた男たちはジュリルの強さに怖気づいてしまい、私から手を離しその場から逃げ出す。
「使えねぇ用心棒だ! おい、ここは逃げるぞお前ら! 捕まらなければいつでもまだやりようはあるんだ!」
「兄貴待って!」
「兄ちゃん、1人だけ逃げるの早いって~」
男たちは用心棒のフードを被った人物を置いて行くが、暫くしてフードを被った人物も起き上がり男たちを追いかけて立ち去って行く。
私は一難去った事にその場で崩れてしまい、少し呆然としているとジュリルが近寄って来てくれた。
「大丈夫?」
「え、えぇ」
ジュリルが私に手を差し出して来てくれたので、私はその手を握り立ち上がり改めて助けてくれたお礼をする。
「助けてくれてありがとう、ジュリル」
「……っ、よく見たら貴方アリスじゃない」
「え、気付いてなかったの?」
「えぇ。誰かが裏路地に連れて行かれる所を偶然目撃したから、何事かと思って来ただけなの。にしても、まさかアリスが攫われるとはね。対抗戦で私に勝ったくせに」
「それは……何も言い返せないです……」
私がジュリルの言葉に肩を落としていると、マリアが物凄い形相でジュリルに掴みかかろうとしに来ていた事が目に入り、咄嗟にジュリルを引っ張り庇った。
「待ってマリア! この子はジュリルよ! 助けてくれたの」
「っ!?」
「急に何ですの?」
マリアは私の顔の目の前で手を止め、ジュリルは私が急に引っ張った事に驚いていた。
そしてマリアは手を下ろし、小さく息をつくと表情がいつも通りに戻り口を開いた。
「申し訳ありませんでした、アリスお嬢様。私が離れたばかりにこのような事に巻き込ませてしまい、全て私の責任です」
「ううん、そんな事ないわ。私も気を抜いていたのが悪いの」
「いえ! 全てはわ――」
「あの、割り込んで悪いのだけど、話すなら別の場所にしません? こんな所にずっと居たいというのなら、別だけども」
私とマリアはその言葉で互いに頷き、一度場所を移す事に賛同した。
それから私たちは裏路地から出て、ジュリルが警備もされかつ個室のある高級店を見つけたのでそこへと入る事になった。
また襲撃を受ける可能性も考えられ、仲間もいるかもしれないと思い容易に手が出せない所に入り、一度ゆっくりと話をする事にしたのだ。
「なるほどね、アリスはあの犯罪者共に見覚えはないと。それじゃ、最近ここらへんで誘拐や窃盗と言った事件が起きていた事は?」
「初耳よ。マリアは?」
「知ってはいましたが、昨日それを仕切っていた組織が警備団に捕まっている所を見ていた。そのため、もう解決したのだと思っていアリスお嬢様にはお伝えしませんでした」
「そうなの?」
「アリスの使用人さんが言う様に、確かに昨日その組織は壊滅したわ。でも、まだ残党が残っていたみたいね。さすがにそこまでは、まだ警備団の手がまだ回ってないようね」
そう言ってジュリルが目の前の紅茶を一口飲む。
「(今回は私の失態です……周囲にあまり警戒していなかったのが原因でもありますが、勝手に安全だと思い込んでいたのが要因でした。それよりも、どうしてここにジュリル様がいらっしゃるですかね?)」
すると近くに立っていたマリアが私に向けて目配せして来たので、私はその視線を察してジュリルに問いかけた。
「話は変わるんだけど、ジュリルはどうしてこの街に?」
「別荘が近くにあって、今年はそこで年越しする事になったのよ。それで今日はこの街を散策しようかと思って歩いていたのよ」
「そうだったのですね。ハイナンス家の別荘があるとは、知りませんでした」
「そうでしたの? アリスならともかく、フォークロス家の使用人さんならば知っていると思っていたのですが。一度土地を買い取る際に伺ったと聞いていましたので」
マズイ……マリアは私としてクレイス魔法学院に通っていたし、ほとんど屋敷にはいなかったから認識がないんだ。
と思い、私が咄嗟にフォローしようとしたが、マリアが先に口を開いていた。
「申し訳ありません。暫くの間私用でお休みを頂いておりましたので、私の情報不足でした。大変失礼致しました」
「いいえ、そんな謝る必要はありませんわ。お休みしていたのでしたら仕方ない事ですし、全てを使用人に伝えている訳でもありませんものね。私こそ意地悪な事を言いましたわ。ごめんなさい」
自身の非を認め謝罪して来たジュリルにマリアは、直ぐに顔を上げるように伝えた。
令嬢と言う身分で、他人の使用人に頭を下げるなどあり得ない事であり、どの様な理由であろうと外でそのような姿を見られれば一大事である。
幸いこの部屋には、私たち以外に誰も居ないため問題はないが、私は直ぐにジュリルの名を呼んだ。
「ジュリル! 何してるの!? あんなの誰かに見られたら」
「大丈夫ですわ。他に誰も居ませんし、貴方たちが今の事を誰かに言いふらす様な方でもないでしょう? なんせ、クリスのお姉さんにお姉さんの使用人さんですもの」
それは少し私たちを信用し過ぎなのでは? 何か学院でのジュリルと少し印象が違うな。
学院内でないし、プライベートな時間だからかな?
そう思った時、ジュリルが来ているなら使用人でもあるレオンも居るのでは思い、それを訊ねようとし「レ――」と言いかけた。
が、今の私はアリスでありアリスとしてはレオンがジュリルの使用人である事は知らないので、それを口にするという事は自分がクリスだと言っているものだと分かり頭をフル回転させた。
「レ?」
「レ、レ、レアチーズケーキと言うデザート食べた? この辺で最近人気なのよ」
「へぇ~スイーツはあまり食べないから、頼んでみようかしら」
そう言うってジュリルはメニュー表を手に取って目を向けた。
あ、あぶな~~い……ナイス私、ナイスレアチーズケーキ。
街に着いた時に偶然大人気と言う張り紙を見た事を思い出し、レオンからレアチーズケーキへと何とか舵を切れたのだ。
帰りに沢山レアチーズケーキ買って帰ろ……あれ見てなかったら、やばかった。
私が小さく安堵の息を付いていると、マリアがスッと近付いて来て小声で話し掛けて来た。
「発言には気を付けてください、アリスお嬢様。クリスで得た情報は全て忘れてジュリル様とお話ください」
「分かってるわ」
私はアリス、私はアリス、クリスじゃなくてアリス、アリス、アリス……
「今日はクリスは一緒じゃないのね」
「クリっ!? クリスは、屋敷で勉強しているわ」
「そうなのですか。では、今日はアリスと使用人さん……ではなくて、マリアさんとお2人だけなのですね」
そこにジュリルが店員を呼ぶベルを鳴らし、店員が部屋をノックし入って来る。
ジュリルは店員に私が咄嗟におすすめしたレアチーズケーキを頼み、私たちにも何か注文があるかと問いかけて来たが特になったので「ないわ」と返した。
その後店員が一礼してから部屋から出て行く。
「さて、一通りお話も終わった所で――」
そうジュリルが言いかけた時だった、再び部屋の扉がノックされた。
ジュリルが返事をすると部屋に入って来たのは、先程とは別の店員であった。
「失礼します。ジュリル様、入店時におっしゃっていたお客様がお見えになりました」
「そうですか。では、通してください」
「承知いたしました」
店員はそう言って部屋から出て行き、私はジュリルに誰が来るのかと訊ねると私の「荷物持ちよ」と答えた。
するとそこで再び部屋の扉がノックされジュリルが返事をし扉が開かれ、入って来たのは執事服を着たレオンであった。
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