とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

文字の大きさ
326 / 564

第325話 年初めの来訪者

しおりを挟む
 この世界では新年を迎えた朝には、家族や親友たちなどと朝日を見ると言う習慣が昔からある。
 それはかなり昔からあるらしく、何故か詳しく言い伝えは残っていない。
 だけども、新しい一年を朝日を見ると新鮮な気持ちになるし、引き締まる感じもあって私は悪い感じはしない。
 いつから誰がこれを始め皆に伝わる様な習慣にしたのかと言うのは気にはなるが、知るすべがないのであれば仕方ない事だ。
 私はお母様たちと共に屋敷の外で昇る朝日を見つめながら、そんな事を考えていた。
 その後、私たちは屋敷に戻り使用人たちは新年に相応しい料理と仕度をし始めた。
 私は時間を忘れて朝方近くまでお母様と話をしていたので少し眠さがあったが、目を覚ます為にシャワーを浴び服装も変えた。
 それからは準備が出来るまで、自室の椅子にもたれ掛かりながらボーっと外を見つめていたが、途中からうとうとしてしまいそのまま眠りについてしまった。

「……ま……お嬢様」
「っん……マリア?」

 私はマリアの呼び掛けで目を覚ました。

「おはようございます、アリスお嬢様」
「おはよう、マリア……っあ! 私寝ちゃってた!」

 寝ボケていた私は直ぐに立ち上がり、時間を確認するとシャワーを浴び自室に戻って来てからて既に一時間半は経過していた。

「アリスお嬢様、そんなに焦らなくても大丈夫ですよ。つい先ほど準備が出来た所ですので」
「そ、そうなの?」
「はい。朝方近くまでリーリア様とお話されていましたから、寝てしまうのも仕方ない事ですよ」
「目覚ましのつもりでシャワーを浴びたんだけど、座ったら眠くなっちゃって……」
「気にしなくて良いのですよ。さぁ、新年初めの朝食の準備が出来ましたので、参りましょうアリスお嬢様」

 マリアはそう言って部屋の扉の方へと向かって行き、扉の前に立ち私を待つ。
 私は近くの鏡で軽く身なりを整えた後マリアの方へと向かって行くと、マリアは扉を開けてくれ共にリビングへと向かった。
 それからは家族で新年の朝食を食べ終え、私は徐々に眠さが襲って来たので自室にてひと眠りする事にした。
 次に私が目を覚ました時には昼下がりであった。
 その後私は目覚まし代わりに再びシャワーを浴び、屋敷内をゆっくりを歩き回った。
 新年初めの日である為、使用人たちもゆっくりとした時間を過ごしており、休憩していたイェレナとジェシカと軽く雑談をした。
 雑談を終えてから中庭に向かうとそこでは、ウィルソンとジャックとリックが鍛錬をしている所を目撃し話し掛けた。
 2人はリックの鍛錬に付き合っていたらしく、私も何となくその様子を見ていると自分も体を動かしたくなり、直ぐに着替えた後鍛錬に混じり共に体を動かしたのだった。
 鍛錬を終える頃には夕暮れとなっており、執事長のレジバルドがウィルソンたちを呼びに来て私はそこで別れ汗を流した後、書庫へと向かい気になった本を手に取り読み始めた。
 そのまま本の虫になった様に次から次へと本を漁っていると、シェラが声を掛けて来てそこで私は手を止めてた。

「失礼します、アリスお嬢様。まもなく晩御飯の時間となりますので、お呼びに参りました」
「え、もうそんな時間?」

 私はそう言われ直ぐに本をしまい、シェラと共に書庫を出てリビングへと向かい、遅刻する事無く晩御飯を家族でとった。
 そして晩御飯を終え、アフターディナーティーをリビングでしていると屋敷の門のベルが鳴らされた合図が聞こえて来た。
 するとすぐに執事長レジバルドとマリアがリビングから出て行き屋敷の門へと向かって行った。
 私は紅茶を飲みながら、新年そうそう誰が訊ねに来たのだろうと思っていると、お兄ちゃんも同じ風に思っていたのかそれを口に出していた。

「誰ですかね、新年に訊ねに来た人は」
「そうね~誰かしらね~」
「うん。予想はつくけど違う場合もあり得るからね」
「お父様、お母様。その態度は、誰か来ると知っていたのですか?」

 お兄ちゃんの問い詰めに、私も少し前のめりにお父様とお母様に視線を向けた。

「あら、アバンとアリスには以前話しているはずだから、何となく察しがついていると思ったのだけど」
「?」
「……もしかしてあの件ですか?」
「たぶんアバンが思っている事で合っていると思うよ」
「??」

 私は全く見当がつかずにハテナマークだけが増え続けていると、お兄ちゃんが小声て話し掛けて来た。

「忘れたのか、アリス? ほら、俺たちが帰って来た日にお母様から話された例の事だよ」

 え~と……全然分からないんだけどな……あの日は試験結果をバラされるとかで頭が一杯で何か話された気はしてるけど、内容が全然思い出せない。
 私は何とかしてその日の記憶を思い出そうとしていると、屋敷の門へと向かったはずのレジバルドが戻ってお父様の元へと近付き、耳打ちをした。

「分かった。通して問題ない」
「はっ。では、直ぐにマリアに案内をさせます」
「あぁ、よろしく頼むよ」

 するとレジバルドは再びリビングから立ち去って行った。

「どうやら、訪問者は私の予想通りの方だったよ。レジバルドに通すように伝えたから、時期にここへ来るよ」
「そう。思っていたより来るのが早かったですわね」
「俺も直接会うのは初めてかもしれないな」

 え、え? 皆誰が今ここに来るか分かってるの? やばい、私全然ついて行けてないし、こういう時にマリアも居ないからこっそりと聞けない。
 とりあえず、分かっている振りしてれば大丈夫よね? たぶんお兄ちゃんの口ぶりからして、私も初対面の人ぽいし礼儀正しくしてれば大丈夫……たぶん。
 そう考えて私は気を引き締めた表情をすると、お母様に何故か笑われてしまった。

「貴方がどうして、そんなに緊張した顔をしているのよ」
「え、いや、失礼がない様にと思いまして」
「何をそんな事を今更言っているのよ。あんな事をしておいて」
「え? 私もうその人に失礼な事してるんですか!?」

 その発言で、お母様たちは私が誰が来るのか分かっていないと察した時だった、リビングの扉がノックされお父様が返事をするとレジバルドとマリアが扉を開けた。
 私が開かれた扉の方を見ると、そこに立っていた人物に目を疑い誰よりも先に声を出してしまった。

「ジュ、ジュリル!?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

男女比8対1の異世界に転移しました、防御力はレベル1です

オレンジ方解石
恋愛
 結婚式の最中に、夫に他の女と逃げられた花嫁、水瀬透子。  離婚届けを出す直前に事故で瀕死となった彼女は、異世界の女神から『妾と取り引きするなら、助けてやろう』と持ちかけられる。  異世界の《世界樹》の《種》を宿す《仮枝》となった透子は、女神の世界に連れて行かれ、二年を過ごすこととなった。  そこは男女比が8対1という偏った世界であり、女性が《四気神》と呼ばれる守護者に守られる世界。  女神とはぐれた透子は、そこで美形の青年、紅霞に助けられるが……。 ※追記の追記を少し直しました。

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉

狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。 「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。 フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。 対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。 「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」 聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。 「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」 そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。 イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。 ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼ そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ! イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。 しかし……。 「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」 そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。

異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。

和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……? しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし! 危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。 彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。 頼む騎士様、どうか私を保護してください! あれ、でもこの人なんか怖くない? 心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……? どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ! 人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける! ……うん、詰んだ。 ★「小説家になろう」先行投稿中です★

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。 そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。 婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。 ・・・だったら、婚約解消すれば良くない? それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。 結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。 「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」 これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。 そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。 ※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。 ※本編完結しました。 ※後日談を更新中です。

9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです

志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑! 10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。 もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。 (頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)

処理中です...