とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第327話 選択の結果

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 ハイナンス家別荘、私たち以外にも領地内に住む別の貴族家の方もパーティーに招待されており、お父様やお母様にも多くの方が挨拶にやって来た。
 そして当然その流れで私にも挨拶され、初めは挨拶続きであり終わる頃には私は久しぶりのこう言う感じに疲れていた。
 ハイナンス家の別荘は、三階建ての白と緑をメインとした屋敷となっており室内も豪勢に装飾されており、中央の部屋は一階と二階が吹き抜けになっていた。

 本日のパーティー会場はそこがメイン会場となっており、食事以外にも飲み物やデザートまでと充実しており、各所にハイナンス家の使用人が立っており、何か用があればその使用人に申し付けていただければ対応すると言う状況であった。
 私は自分の家とは違う状況に少し圧倒されつつも、まだパーティーが始まる前なので何処かで休みたいと付き添いのマリアに伝えた。
 するとマリアは直ぐに近くで別の貴族の方たちと話をしていた、お父様のお付きであるレジバルドに伝えるとレジバルドがお父様にさっと邪魔にならない瞬間に伝え何かを言い返してもらうと、マリアにそれを伝え私の元にマリアが戻って来た。

「エリック様からは、パーティーが始まるまで少し休んでいてよいと許可を頂きましたので、移動をしましょう」
「こんなんじゃ、令嬢としてダメね」
「久しぶりのパーティーですので、疲れてしまうのは仕方ないかと。それにリーリア様もエリック様もそちらは事前に想定はされているかと」
「そうかもね。でも、こんなので弱音を上げていては本当はダメなのよ」
「アリスお嬢様……」
「令嬢の振る舞いとかの反省は後回しね。とりあえず、脚を休ませたいわ。ヒールってこんなにつらかったけ?」

 その後、マリアがハイナンス家の使用人に個室の化粧直しする場所を教えてもらい、私は疲れたと言う表情を一切見せる事無く一旦メイン会場から離れた。
 そして個室の化粧直し部屋に案内され、ハイナンス家の使用人が出て行った直後、私は椅子へとため息をつきながら座り直ぐにヒール靴を脱いだ。

「はぁ~体力と言うか雰囲気に疲れた感じ……ごめんねマリア、練習とかにも付き合ってもらったのに、こんな結果で」
「そうですね。以前からリーリア様はパーティーの事はお話されていたので、令嬢講義を行いましたが歩き方なども入れておくべきだしたね。まさか、アリスお嬢様がパーティーの事を聞いていないとは思っていませんでしたので」
「うっ、今それ言うのマリア」

 私はまさかの追い打ちにダメージを受けていると、マリアがしゃがみ私の脚のマッサージし始めた。

「失礼しました。反省は後回しでしたね。今は一刻も早く気持ちをリフレッシュして下さい」
「うん、ありがとう」

 その後マリアと軽く話をしながら体を休め、気持ちも切り替え終わるとタイミングよく扉がノックされた。
 ノックの相手はハイナンス家の使用人であり、間もなくパーティーが始まると言う事でそれを伝えに来てくれたのだった。
 私は改めて身なりを整え、マリアにもチェックしてもらった後、私はパーティーのメイン会場へと向かった。
 そしてお父様とお母様とに合流してから暫くすると、メイン会場にて司会者が舞台の上に現れ進行し始める。
 それからはハイナンス家当主の挨拶があり、主要な来賓の紹介やハイナンス家令嬢であるジュリルからの挨拶など行われた後、当主様の乾杯で本格的にパーティーが始まるのだった。

 始まってからは、基本的には食事を楽しみながら招かれていた貴族方と話をして過ごした。
 私としては、大人の話と言う感じであまり面白いものではなかったが、お父様は領主としての立場もあり様々な人がやって来て話をしていた。
 お母様もお父様と同じくらい交友関係が広く、人だかりが多く出来ていた。
 そこで私は他の方からの話を聞いたりし、改めてお父様とお母様の凄さを実感した。
 パーティーが盛り上がっていく中で、私の元に来る人も減って来たのでテラスが解放されていたので、そこで少しゆっくりと食事をとろうと移動した。
 あれ? 外だから寒いと思っていたけど全然寒くないな。
 私が周囲を見回すと、テラスの四隅に魔道具が置かれそのお陰でこの状況が出来るのではと思っていると、マリアがデザートと飲み物を持って来てくれた。

「ありがとう、マリア。マリアも何か食べなくて大丈夫なの?」
「ご心配ありがとうございます。ですが、大丈夫ですのでお気になさらず」
「……そう」

 私はテラスの机の上に置いてもらったデザートを一口食べながら、無数の星が輝く夜空へと視線を向けた。
 マリアはそのまま何も言わずに端の方へと下がって行った。
 私は夜空を見つめながら、いずれ自分もお母様の様に誰かの妻としてあんな風に振る舞う日が来るのだろうかと思っていた。
 今の自分がお母様の様に出来るイメージが出来ないと言う事もあったが、一番は自分はきらびやかな貴族世界ではなく、もっと色んな事を知りたい、憧れた月の魔女の様にになりたいと言う気持ちが未だにあったからである。
 それもジュリルとの再戦を機に色々と考えて、ある一つの結論を出しそれをお父様、お母様には既に伝えている。
 まだ全てを決めて突き進むと言う状況ではないが、こうしたいと言う道は見えて来たと言う感じである。
 リリエルさんに将来についてバッサリと言われた時より、やっと一歩踏み出したと言えるかなって状態。
 そんな事を思いつつデザートを食べていると、声を掛けられる。

「あら、こんな所にいましたの?」
「ジュリル?」

 そこへ現れたのはジュリルと使用人のレオンだった。
 レオンは黙ったまま私に一礼した後、ジュリルに「ではあちらにいますので」と伝えるとマリアと同じ様に端へと移動し始めた。
 ジュリルはデザートが乗った皿を持っており、そのまま私の隣にやって来て机に皿を置いた。

「何をしていましたの、アリス」
「ちょっと息抜きかな。令嬢としてのパーティーって久しぶりだからさ」
「まぁ、私にそんな事を言ってしまっていいんですの? 私主催者側ですのよ」
「あ~やっぱり今のなし。忘れてください、ごめんなさい」

 私が直ぐに謝るとジュリルは小さく笑った。

「クリスにアリスと演じ分けが大変ですものね」
「痛い所を早速ついて来るな。クリスのせいで口調が男子よりになって、マリアに起こられたんだからね。今も気を抜くとこうだし。でも、慣れるとこっちの方が楽なんだよね」
「あまり他の人の前では見せない方がいいですわよ。令嬢としての品位を疑われますわよ。ましてや、フォークロス家の令嬢となると大変ですわ」
「っ……ですよね。はぁ~改めて思うけど、令嬢って大変ね。分かってはいたけど、少し離れて改めてそれをやると余計に実感する」
「令嬢が大変と言うのは共感しますけど、貴方みたいに思うのは特殊ですわよ。私からしたら、男装してバレずに半年以上も生活していた方が、令嬢よりも何倍も大変だと思いますわよ」
「あはは、確かに。結局は慣れなのかもね」
「そうかもしれないですわね」

 そんなたわいもない話を2人きりでデザートを食べながらしていた。
 大人たちは室内でパーティーを楽しんでおり、楽し気な声はテラスまで聞こえて来ていた。
 テラスには私とジュリル、そして少し離れた所にいるマリアとレオンしかいなかった。
 その後私とジュリルは黙ったままデザートを食べた所で、私が改めてジュリルに話し掛けた。

「ジュリル、ちょっと聞いて欲しい事があるんだけど」
「急に何ですの?」
「う~ん、ジュリルのお陰で色々と見つめ直せたからさ、そのお礼でジュリルには先に言っておきたいなって思って」

 するとジュリルは私の表情から何かを察したのか、小さく息を吐くと「分かりましたわ」と返してくれた。
 私は軽く息を吸って吐いてからジュリルの方を向いて、口を開けた。

「私、学院の第三期が終わったら王都メルト魔法学院を辞める事にしたわ」
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