とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第330話 波乱の第三期学院生活の始まり?

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 私は王都メルト魔法学院のオービン寮、部屋番号202で第三期学院生活開始日の朝を迎えた。
 いつもの様にベッドから起き上がり、ルームメイトであるシンがまだ寝ているうちに、シャワーから着替えまでを静かにそして素早く済ませた。
 そして机の上に昨日のうちに準備をし終えているバックを置き、再度中身を確認しているとシンが目を覚まし、準備をゆっくりと始める。

「今日から第三期もスタートだね」
「あぁ、そうだな」
「何か久しぶりで、まだ気持ちが切り替わってない感じ。この体がだるい感じとか」
「教室に行けばスイッチが入るかもよ」
「それはあるかも」

 私とシンはそんな会話をした後、朝食をとるためにリビング兼食堂へと向かった。
 すると既に朝食を食べている者や、そのまま寝ている者、朝食をとり終え優雅に読書をしている者と様々な人がいた。
 やっぱり、誰かしらここにはいつもいるよね。
 これがオービン寮の朝って感じなのよね~本当に自由。
 私はシンと共に朝食を選択しに向かった。
 今日の気分は、トーストだったのでそれに合ったメニューを選択し受取り、空き席へと向かった。
 シンはサンドイッチを主食とした朝食を選択していた。
 私たちはそのまま朝食を食べ始めた時だった、背後から誰かがやって来て挨拶をした。

「おはよう二人とも」
「おはよう」
「あ、あは……よう」

 シンが挨拶を返した後私も振り返り返事をしようとしたが、その人物を見てゆっくりと顔を戻しながら挨拶を返した。
 その相手はルークである。

「はぁ~まだ怒ってるのか、クリス?」
「別に。何の事? 怒ってなんてないけど?」
「? 何かあったの二人とも?」

 シンは私とルークの間に学院に帰って来てから何があったかを知らないので、サンドイッチを食べながら首を傾げていた。
 その後ルークも朝食を選択すると、わざわざ私の前へと座って来た。
 私はルークが選択したパスタが主食の朝食を見た後、視線を上げた。

「朝からパスタってよく食べられるな」
「いいだろ、好きなんだからよ」

 そう言ってルークはパスタを食べ始める。

「て言うか、何で俺の前で食べてるんだよ。別の所でもいいだろが」
「怒っているなら、早く許して欲しいからだよ。このまま第三期を始めたくないんだよ、俺は」
「だから、別に怒ってないって」
「いや、怒ってるだろその感じ」
「怒ってないって!」

 するとそこへ朝食を持ってやって来たのは、トウマだった。

「何だ、何だ、喧嘩してるのかルーク?」
「トウマ! いつ寮に?」
「よ! クリス、あけおめ。寮には昨日の夜にな」
「……トウマ。何で少しニヤついてんだ」
「え? いや、そんな事ねぇけどな」

 そう言いつつ、トウマの口角は上がっていた。
 それにルークはため息をつき、パスタを食べる。
 私はというと、トウマの朝食に目を疑っていた。

「……えっと、トウマ? それ、本当に朝食?」
「ん? あぁそうだけど? どうした急に」
「いや、何て言うか、それ朝から食べる人いるんだな~って」

 私のその意見に、隣でシンが頷いていた。
 その時、トウマが持ってきた朝食は分厚い肉がメインの食事だったのだ。
 トウマは私たちの視線など気にせずに朝食を食べ始めると、その姿に私たちは気圧されてしまうのだった。
 その後何だかんだで朝食を終え、ルークとの関係もとりあえずは、もうあの日の事は言わないと言う事で決着させて部屋に戻りバックを持って教室へと向かったのだった。
 教室に到着すると、既に半分程の生徒は教室におり歓談をしていたりしていた。

「お、トウマ! いつ帰って来たんだよ!」
「俺の成長した筋肉を見るか、トウマ?」
「お前ら年明けても全然変わらないな!」

 トウマはそう言って、ライラックとリーガの元へと向かう。
 ルークは挨拶をした後、自席へと向かい近くのガウェンに声を掛けていた。
 シンも自席へと向かい、私も席へと着きバックから荷物を出していると、シンリがニック、ピース、フェルトたちと共に教室へとやって来た。
 そしてシンリが私の前の席にやって来た。

「おはよう、クリス」
「おはよう、シンリ。珍しいねニックたちと来るなんて」
「あ~偶然廊下で会ってね、そのまま来たって感じ」
「そうだったのか」

 その後、私はクラスの皆と久しぶりに話をしていると、朝のチャイムが鳴り響き席へと戻った。
 暫くすると担当教員が教室へとやって来て、新年の挨拶から入り話を始め、私は改めて第三期学院生活の始まりを実感した。
 第三期初日に関しては、感覚を慣らすために昼まで授業を行うが、午後に関して自習という形で本格的な授業は明日からとなっていると説明をそこで受けた。
 そして担当教員からの話もそろそろ終わるとなった時だった。

「そう、それとだが毎年恒例のアレも今年もやるから、各自どうするか決めておけよ。まぁ、言われなくても分かってると思うが……以上だ。それじゃ、最初の授業まで休憩」

 そう言って担当教員が教室から出て行くと、突然ライラックとリーガを筆頭にテンション高く声を上げた。

「うっしゃーー! 来たぜ、来たぜ! 今年も恒例のあの時期だぜー!」
「いや~今年はうちの寮が一番盛り上がるに決まってるもんなー!」

 え、急に何?
 私は突然の出来事について行けず少し引いていた。
 どうせ授業始まり出し、テンションが下がった感じになるかと予想していたので、まさかの真逆の展開に驚きなのだ。
 私はとりあえず、前の席のシンリに声を掛け、状況を教えてもらう事にした。

「あ~はいはい。何に盛り上がっているかでしょ?」
「さ、察しがいいなシンリ」
「ふふ~ん、どれだけクリスの前の席にして、似た状況を体験していると思っているんだい?」

 あ~確かに、大抵前の席のシンリに教えてもらってたな。あはは……
 するとシンリは胸を張ると、グッと私に近付いて来て口を開いた。

「クリス、この盛り上がりはね……」
「盛り上がりは……」
「代理戦争が勃発するんだよ~!」
「だ、代理戦争!?」

 と、言葉を返した直後シンリの頭部を軽く叩き「言い方」と言って来て、私が視線を向けるとそこにはアルジュがいたのだ。

「いった~……叩かなくてもいいだろ、アルジュ~」
「クリスに変な風に教えるな。その誤解を結局解くのは誰だ?」
「え、アルジュでしょ」

 そう返すとシンリはアルジュにデコピンを食らう。

「分かっていて、僕の手を焼かせるな」
「あ、あの~アルジュ?」

 私が恐る恐るアルジュに問いかけると、アルジュはシンリの言葉を訂正し、本当は何で盛り上がっているのかを教えてくれた。

「あれはね、次期寮長選挙で盛り上がっているんだよ」
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