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第329話 出立と再会
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ハイナンス家でのパーティーももう間もなくおひらきの時間がやって来た。
ジュリルとは一度その場で別れ、私はメイン会場に戻りお父様たちと合流し暫く歓談していると、司会者が進行をし始めた。
その後、ジュリルが軽くお礼の言葉を告げ、最後にハイナンス家の当主が締めの言葉を告げてパーティーはおひらきとなったのだった。
招待された人たちは、ハイナンス家の使用人に出口まで案内され最後まで丁重に扱われて、馬車に乗り込み始めていた。
そんな中お父様とお母様はハイナンス家の当主の方と、最後にお話をするという事で私は先に馬車へと向かい始めると、ジュリルに呼び止められる。
ジュリルの後ろにはレオンが控えており、人通りの多い所から少し外れた所に場所を移した。
「アリス、今日は改めてお父様主催のパーティーに出席していただき、ありがとうございますわ。貴方が出席してくれたお陰で、私も楽しめましたわ」
「こちらこそ、楽しい時間を過ごせて良かったわ。同年代がいれば、こういう場も少しは気持ちが楽なのよね」
「その様な機会があったとしても、顔見知りはいないのが普通ですわ。今日の様な日が、珍しいだけですわよ」
私とジュリルは互いにそこで小さく笑った。
「もうすぐ学院の第三期が始まるね。始まったらあっという間なんだろうな」
「そうですわね。イベント事もありますし、休む間もなく充実した時間が過ぎて行くと思いますわ。特に1月末から2月頭にかけての日々は一番印象に残る事になると思いますわよ」
「あれ、そこって何があったけ? 私、学院のイベントうる覚えで……」
するとジュリルは「あら、知らないのですね」と言うが全く教えてはくれなかった。
うっ……何でジュリルは教えてくれないの? アルジュとかシンリだったら、直ぐに教えてくれるのに。
ジュリルは「知らない方が楽しみが増えていいじゃないのですの」と追い打ちをかけるように言って来て、私は余計にモヤモヤとしてジュリルに詳細を訊ねる。
「私の口から言ってしまっては、楽しみを奪ってしまうので絶対に言いませんわ」
「……ジュリルのケチ。教えてくれてもいいのに」
「これも貴方のため、ですわ」
そう言うジュリルは何処か悪戯っ子の様な表情をして、小さく笑っていた。
私はその顔を見てため息をつき、学院が始まったら直ぐに誰かに訊こうと心に決めたのだった。
このほんの数日ではあるが、確実に私とジュリルの仲は以前よりも深まっていた。
それまではクリスとしてであったが、自分を偽らずアリスとして本当に心から話せているこの時間が、私にはとってはとても嬉しく楽しかったのである。
そしてジュリルとの話もひと段落した所で、私は馬車へと向かおうとした時だった。
ジュリルに再び声を掛けられた。
「アリス、最後に一つ言い忘れていましたわ」
私はそう呼び止められたので、足を止めてジュリルの方に再び体を向けると、ジュリルは笑顔で口を開く。
「お誕生日おめでとうございますわ」
「っ……ありがとうございます、ジュリル様」
私はその場で両手でスカートの裾を軽く持ち上げ、片足を斜め後ろの内側に引いて、もう一方の脚の膝を軽く曲げて感謝のあいさつをした。
ジュリルはその私の姿を見て小さく微笑んだ。
「では、また学院でお会い致しましょうアリス」
「えぇ、そうねジュリル。また学院で」
そしてジュリルもその場から離れて行くとレオンが黙って一礼した後、私に向かって口パクで「おめでとう」と言って来たのだった。
その後レオンは直ぐにジュリルの後を付いて行き、何も言い返せずに立ち去って行った。
まさかレオンにまで言われるとは、予想外だったな……学院で改めてお礼を言わなくちゃな。
そう私が思っていると、マリアが声を掛けて来たので私も馬車へと再び向かい始めたのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
パーティーから次の日、私は学院へと戻る準備を始めた。
今日の午後には王都メルト魔法学院に向けて出発するからだ。
学院は3日後から、第三期授業が始まるため帰省している学生はそれまでに寮に戻らなくてはいけないのである。
まだ日数はあるが、私はクリスとして少し生活を慣らすために早めに戻る事にしたのだ。
それに、少しでも学院での残り時間を過ごしたいとも思っていたからでもある。
そこへマリアが部屋にやって来る。
「アリスお嬢様、荷物の準備は出来ましたか?」
「えぇ、そんなに荷物もないから、これだけよ」
するとマリアは私が準備し終えた荷物を手に取り、馬車へと運び始め私もその後を付いて行く。
既に服装も男物の学院服を着て、久しぶりの自分の男装姿を鏡で見て、身だしなみは完璧にしていた。
そして玄関を出ると、そこにはお父様とお母様、そして使用人たちが待っていた。
「お父様、お母様」
「アリス、気を付けて行っておいで」
「悔いのない様に、あそこでの学院生活を過ごしてきなさい」
「はい! ありがとうございます!」
私は二人から短いながらも言葉をもらい、馬車へと乗り込んだ。
付き添いとしてマリアも王都までついて来てくれる事になり、転入初日と同じ状況となり私は屋敷を出発したのだった。
そして夕方頃には王都へと到着し、学院近くで馬車を止めてもらい私は荷物を持ち馬車から降りた。
「それじゃマリア、行って来る。マリアも私の事、よろしくね」
「えぇ、お任せ下さいクリス坊ちゃま」
何か久しぶりに訊くと、慣れないな……
そんな事を思いながら私は、深く頭をさげているマリアに別れを告げた。
そして私は王都メルト魔法学院の正門前で立ち止まり、改めて深呼吸した。
戻って来た。
私が考え深く学院を見つめて、しみじみとしていると、そこへ声を掛けて来た奴がいた。
「何正門前で突っ立ってるんだよ、お前は」
私が振り返ると、そこに居たのはルークであった。
「ル、ルーク……何であんたがいんのさ」
「そりゃいるだろ。寮に帰るんだからよ」
そう言うルークも、今日学院に戻って来たのか手には少し大きめのバックを握っていた。
よりにもよって、ルークに最初に会うとはね。
ルークともこの学院で初めて会って、第一印象は最悪だったけどあれから色々とへ経て、今じゃあの頃とは全然違う雰囲気だもんな。
そんな事を思い出して、私は笑ってしまう。
「何だよ急に笑い出して、怖いぞクリス」
「ごめん。ちょっとルークの最初の頃と今を比べたら、おかしくって」
「っ! 何変な事思い出してるんだよ! やめろ!」
「何、自分でもちょっと尖ってたあの頃が恥ずかしいのか?」
私が久しぶり会ったルークをいじる様な事を言うと、ルークも反撃をして来た。
「あーそんな事言うのかクリス。なら俺も言うが、お前最初の頃そわそわしながら寮の共用トイレ一時期使おうとしてたよな?」
「なっ!? ななな、何でその事を!」
「結局顔真っ赤にして、使わずに立ち去ってたよな」
ニヤついた顔でルークにそう言われ、私はその時の事を思い出して顔から火が出る。
「ばっ……」
「ば?」
「ルークのバーカ! バカバカ! このデリカシーのない第二王子が! バーーカ!」
私はそのまま真っ赤にした顔を片手で隠しながら、学院へと逃げ込む様にその場から走って逃げた。
ルークは驚き暫く固まっていたが、直ぐに私の事を追って来たのだった。
「お、おい! クリス? ちょっと待てって! そんなつもりじゃ」
「知るかバカ! 話し掛けんな!」
そのまま私はルークを振り切り、いち早く寮へと向かった。
ルークは途中で足を止め、軽く頭を抱えるのだった。
「(あー何やってんだ俺は……新年そうそうからアリスの好感度下げてどうすんだよ。はぁ~)」
その後ルークは再び寮へと向けて歩き始めたが、ぶつぶつと「さっきのは悪かった……いや、すまんか?」などと口にしながら歩いて行くのだった。
ジュリルとは一度その場で別れ、私はメイン会場に戻りお父様たちと合流し暫く歓談していると、司会者が進行をし始めた。
その後、ジュリルが軽くお礼の言葉を告げ、最後にハイナンス家の当主が締めの言葉を告げてパーティーはおひらきとなったのだった。
招待された人たちは、ハイナンス家の使用人に出口まで案内され最後まで丁重に扱われて、馬車に乗り込み始めていた。
そんな中お父様とお母様はハイナンス家の当主の方と、最後にお話をするという事で私は先に馬車へと向かい始めると、ジュリルに呼び止められる。
ジュリルの後ろにはレオンが控えており、人通りの多い所から少し外れた所に場所を移した。
「アリス、今日は改めてお父様主催のパーティーに出席していただき、ありがとうございますわ。貴方が出席してくれたお陰で、私も楽しめましたわ」
「こちらこそ、楽しい時間を過ごせて良かったわ。同年代がいれば、こういう場も少しは気持ちが楽なのよね」
「その様な機会があったとしても、顔見知りはいないのが普通ですわ。今日の様な日が、珍しいだけですわよ」
私とジュリルは互いにそこで小さく笑った。
「もうすぐ学院の第三期が始まるね。始まったらあっという間なんだろうな」
「そうですわね。イベント事もありますし、休む間もなく充実した時間が過ぎて行くと思いますわ。特に1月末から2月頭にかけての日々は一番印象に残る事になると思いますわよ」
「あれ、そこって何があったけ? 私、学院のイベントうる覚えで……」
するとジュリルは「あら、知らないのですね」と言うが全く教えてはくれなかった。
うっ……何でジュリルは教えてくれないの? アルジュとかシンリだったら、直ぐに教えてくれるのに。
ジュリルは「知らない方が楽しみが増えていいじゃないのですの」と追い打ちをかけるように言って来て、私は余計にモヤモヤとしてジュリルに詳細を訊ねる。
「私の口から言ってしまっては、楽しみを奪ってしまうので絶対に言いませんわ」
「……ジュリルのケチ。教えてくれてもいいのに」
「これも貴方のため、ですわ」
そう言うジュリルは何処か悪戯っ子の様な表情をして、小さく笑っていた。
私はその顔を見てため息をつき、学院が始まったら直ぐに誰かに訊こうと心に決めたのだった。
このほんの数日ではあるが、確実に私とジュリルの仲は以前よりも深まっていた。
それまではクリスとしてであったが、自分を偽らずアリスとして本当に心から話せているこの時間が、私にはとってはとても嬉しく楽しかったのである。
そしてジュリルとの話もひと段落した所で、私は馬車へと向かおうとした時だった。
ジュリルに再び声を掛けられた。
「アリス、最後に一つ言い忘れていましたわ」
私はそう呼び止められたので、足を止めてジュリルの方に再び体を向けると、ジュリルは笑顔で口を開く。
「お誕生日おめでとうございますわ」
「っ……ありがとうございます、ジュリル様」
私はその場で両手でスカートの裾を軽く持ち上げ、片足を斜め後ろの内側に引いて、もう一方の脚の膝を軽く曲げて感謝のあいさつをした。
ジュリルはその私の姿を見て小さく微笑んだ。
「では、また学院でお会い致しましょうアリス」
「えぇ、そうねジュリル。また学院で」
そしてジュリルもその場から離れて行くとレオンが黙って一礼した後、私に向かって口パクで「おめでとう」と言って来たのだった。
その後レオンは直ぐにジュリルの後を付いて行き、何も言い返せずに立ち去って行った。
まさかレオンにまで言われるとは、予想外だったな……学院で改めてお礼を言わなくちゃな。
そう私が思っていると、マリアが声を掛けて来たので私も馬車へと再び向かい始めたのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
パーティーから次の日、私は学院へと戻る準備を始めた。
今日の午後には王都メルト魔法学院に向けて出発するからだ。
学院は3日後から、第三期授業が始まるため帰省している学生はそれまでに寮に戻らなくてはいけないのである。
まだ日数はあるが、私はクリスとして少し生活を慣らすために早めに戻る事にしたのだ。
それに、少しでも学院での残り時間を過ごしたいとも思っていたからでもある。
そこへマリアが部屋にやって来る。
「アリスお嬢様、荷物の準備は出来ましたか?」
「えぇ、そんなに荷物もないから、これだけよ」
するとマリアは私が準備し終えた荷物を手に取り、馬車へと運び始め私もその後を付いて行く。
既に服装も男物の学院服を着て、久しぶりの自分の男装姿を鏡で見て、身だしなみは完璧にしていた。
そして玄関を出ると、そこにはお父様とお母様、そして使用人たちが待っていた。
「お父様、お母様」
「アリス、気を付けて行っておいで」
「悔いのない様に、あそこでの学院生活を過ごしてきなさい」
「はい! ありがとうございます!」
私は二人から短いながらも言葉をもらい、馬車へと乗り込んだ。
付き添いとしてマリアも王都までついて来てくれる事になり、転入初日と同じ状況となり私は屋敷を出発したのだった。
そして夕方頃には王都へと到着し、学院近くで馬車を止めてもらい私は荷物を持ち馬車から降りた。
「それじゃマリア、行って来る。マリアも私の事、よろしくね」
「えぇ、お任せ下さいクリス坊ちゃま」
何か久しぶりに訊くと、慣れないな……
そんな事を思いながら私は、深く頭をさげているマリアに別れを告げた。
そして私は王都メルト魔法学院の正門前で立ち止まり、改めて深呼吸した。
戻って来た。
私が考え深く学院を見つめて、しみじみとしていると、そこへ声を掛けて来た奴がいた。
「何正門前で突っ立ってるんだよ、お前は」
私が振り返ると、そこに居たのはルークであった。
「ル、ルーク……何であんたがいんのさ」
「そりゃいるだろ。寮に帰るんだからよ」
そう言うルークも、今日学院に戻って来たのか手には少し大きめのバックを握っていた。
よりにもよって、ルークに最初に会うとはね。
ルークともこの学院で初めて会って、第一印象は最悪だったけどあれから色々とへ経て、今じゃあの頃とは全然違う雰囲気だもんな。
そんな事を思い出して、私は笑ってしまう。
「何だよ急に笑い出して、怖いぞクリス」
「ごめん。ちょっとルークの最初の頃と今を比べたら、おかしくって」
「っ! 何変な事思い出してるんだよ! やめろ!」
「何、自分でもちょっと尖ってたあの頃が恥ずかしいのか?」
私が久しぶり会ったルークをいじる様な事を言うと、ルークも反撃をして来た。
「あーそんな事言うのかクリス。なら俺も言うが、お前最初の頃そわそわしながら寮の共用トイレ一時期使おうとしてたよな?」
「なっ!? ななな、何でその事を!」
「結局顔真っ赤にして、使わずに立ち去ってたよな」
ニヤついた顔でルークにそう言われ、私はその時の事を思い出して顔から火が出る。
「ばっ……」
「ば?」
「ルークのバーカ! バカバカ! このデリカシーのない第二王子が! バーーカ!」
私はそのまま真っ赤にした顔を片手で隠しながら、学院へと逃げ込む様にその場から走って逃げた。
ルークは驚き暫く固まっていたが、直ぐに私の事を追って来たのだった。
「お、おい! クリス? ちょっと待てって! そんなつもりじゃ」
「知るかバカ! 話し掛けんな!」
そのまま私はルークを振り切り、いち早く寮へと向かった。
ルークは途中で足を止め、軽く頭を抱えるのだった。
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