とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第348話 新たなライバル

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「あの日以来だね、クリス」
「うん。あの時は祝ってくれてありがとうレオン。改めてお礼を言うよ」
「誕生日だったんだし、祝うのは当然の事だろ? まぁ、口パクでしか言えなかったが」
「いいや、それでも嬉しかったよ。ありがとう」

 私が笑顔でお礼を伝えると、レオンは私から少しだけ目線を逸らした。
 何故目線を逸らしたのか分からなかったが、直ぐにレオンは私の方へと視線を戻して来た。

「そう言えば、クリスはルークでもトウマでもどちらにも属していないんだね」
「まぁね。俺なりに色々と考えた結果なんだ」
「そうだったのか。にしても、こうクリスと会うとちょっと違和感があるな」
「どう言う事だよ」
「ちょっと前には、あの姿で会っていたからさ」
「ちょ! そういう事はここで言うなよな」

 私はそっぽを向きながら怒っているとレオンは、すぐに謝って来た。
 もう、何かレオンのいじり方がルークに似てるな。
 その後私は機嫌を直して、そっぽを向くのを辞めた。

「レオン、もう辞めてくれよああいうの」
「本当に悪かったよクリス。もうしないよ」
「あ~ここにジュリルがいればなぁ~」
「それは言わないでくれ」
「執事姿のレオンがジュリルに尽くしている姿見てたいな~」
「うっ……」

 私は仕返しのつもりでそう口に出すと、レオンは少し耳を赤くしていた。
 レオンもそれを言われると恥ずかしいのかと私は改めて実感した。

「レオンも俺の感じた気持ちが分かっただろ?」
「あぁ、いじられる恥ずかしさを体験したよ。これはけっこうくる」
「だろ? 俺のはちょっと違うけど、似た感じだからもう互いに言うのはなしな」
「うん。それは約束しよう」

 と、私とレオンで互いに変にいじらない約束をかわした後、私はハイナンス家の執事についてどんな人がいるのか問いかけた。
 その後レオンの大変さやうちのマリアたちとの違いなどの執事メイド話で密かに二人で盛り合った。
 するとそこへルークが近付いて来て声を掛けて来た。

「何だか楽しそうじゃないか、二人とも」
「あ、ルーク。お疲れ」
「お疲れ様、次期寮長候補ルーク」
「これはどうも、レオン。ねぎらいの言葉嬉しいよ」

 そこでルークはレオンを軽く睨むと、レオンも目を逸らす事無く真っすぐとルークの方を見る。

「クリスと何を楽しそうに話していたんだ? 俺にも教えてくれよレオン」
「大した事じゃないよ。ちょっとクリスの誕生日や互いの共通点で盛り上がっただけさ」
「なっ……クリスの誕生日、だと?」
「?」

 私はレオンの言葉に動揺しているルークに首を傾げていると、レオンが畳みかける様に話し続けた。

「あ、もしかして知らなかったのか。クリスの誕生日」
「うっ」
「あんなに一緒に居ながら、誕生日を知らない仲だったとは意外だな」
「レオン、何か今日はやけに攻撃的じゃないか?」
「そんな事ないさ。ただ、僕の事も相手として見て欲しいと思ってね」

 するとルークはその言葉で何かを悟ったのか、小さくため息をついた。

「え~と、喧嘩じゃないんだよな?」

 私は二人の会話が一区切りついた所で問いかけると、二人は喧嘩ではないとハッキリと答えてくれた。
 その答えに安堵の息をつくと、遠くからガウェンに呼ばれる声が聞こえた。

「おーい、クリス。ちょっと来てくれるか? 最終競技でオービン先輩が俺たち中立派に、中央舞台の準備を手伝って欲しいと頼まれたからいいか?」
「分かった! すぐに行く。っていう訳だから、俺は行くな」

 そう言い残し、私はルークとレオンの元からガウェンのいる方へと向かって行った。
 そして残された二人は、暫く黙ってクリスが向かった方を見ていたが先にルークが口火を切った。

「レオン、さっきの言葉はそういう意味で受け取っていいんだよな」
「もちろん」

 レオンはそう答えるとルークの方へと視線を向けた。

「前にも伝えた事があったかもしれないが、改めて伝えるよ。僕はアリス・フォークロスの事が好きだ」
「……はぁ~面倒な相手が増えた……今からでも諦めてくれるという事は?」
「ないね。僕も彼女が好きなんだと分かってしまったんだから、何もしないで引き下がる事はしないよ」
「そうかよ」
「ルークとは立ち位置が違うけども、これからは僕も攻めさせてもらうよ。もしかしたら、僕の方がルークよりも上にいるかもしれないけど、そこは恨みっこなしで頼むよ」
「言うじゃねぇかよ、レオン。お前がどう言う風にクリスに思われているか知らないが、譲るつもりはない」
「なら、この第三期学院生活で勝負だな。でもその前に、次期寮長選挙を頑張ってくれよ。個人的にはルークの事を応援しているかなら」
「応援感謝するよ、レオン」

 ルークがそう答えた後、レオンは「じゃ、また」と言い残しその場から離れて行くのだった。
 一人残ったルークは腕を組み、レオンの後ろ姿を見つめるのだった。

「(トウマの次はレオンか。どうしてこう、新しい相手が出て来るかな。全く想像してなかった訳じゃないが、ここで宣戦布告をされるとは予想外だ)」

 ルークは前々からレオンがクリスに好意があると薄々感じてはいたが、表に出して来ることは低いと思っていたのだった。

「(それにこの冬休みの期間に、レオンとクリスの関係が少し変わっている感じがするんだよな。冬休み中に、何かあったと考えるのが普通か……)」

 と、ルークが考え始めるとそこへニックがやって来た。

「ここに居たのか、ルーク」
「ニック。どうした?」
「次の最終競技の事で、再度確認しようと思ってな」
「分かった。少し場所を変えようか」

 そのままルークとニックはその場から離れて自分たちの派閥の元へと戻って行った。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 私はガウェンと共に『三番勝負』の最終競技の準備として、中央舞台から少しだけ離して見物人たちが見る様に柵などを用意した。
 柵の内側には基本的に各派閥の人と私やガウェンなどの関係者のみが入れるのみとするらしい。
 最終競技は『実力勝負対決』の為、互いに魔法などを使う事から安全性を確保するために会場の感じを変えたのだった。
 また、怪我なども考慮して後からタツミや教員も数名やって来る予定だとオービンは教えてくれた。

「それじゃ、俺はタツミ先生などを迎える為に表に行って来る」
「ミカ、よろしく頼むよ。会場の方は俺が説明しておくから」
「変な事だけはするなよ」
「分かってるよ」
「ガウェンにクリス、手伝ってくれてありがとう。後できれば、オービンの行動も見張っていてくれるとありがたい」
「信頼ないな」
「念の為だよ。頼めるかな」

 ミカロスの言葉に私はガウェンの方を見ると、ガウェンも私の方を見て来た。

「何かされたとしても、どうする事も出来ないかもしれませんけど」

 ガウェンの返事に私も頷くと、ミカロスは「見張っているだけでいいよ」と言って来たので「それでもいいなら」と引き受けた。
 そのままミカロスは競技場の外へと向かって通路を歩いて行く。
 そして私たちがオービンと共に中央舞台へと向かう。

「ミカの事は気にしなくてもいいよ。本当に変な事はしないし、予定通りに進めるからさ。さすがにさっきのはやり過ぎたと思ってるからね」
「あの審判者を選ぶのは、あの場で決めたんですか?」
「いや、事前に提案したけど却下されたんだ。でも、伝えた通りヒビキが捕まらなかったから、咄嗟に変えたんだよ。ミカには捕まえたと嘘を言ったんだ」
「それは信頼をなくしますよ」

 ガウェンの返事にオービンが「だよね」と答えた。

「さて、これから最終競技だ。遂に次期寮長が決まる瞬間だね。誰が出て来るんだろうね」

 まぁ普通に考えれば、トウマとルークの一騎打ちなのかと思うけど。
 私はそんな事を思いながら、中央舞台近くへと辿り着くとオービンはそのまま中央舞台へと上がり口を開くのだった。

「ではこれより、オービン寮次期寮長選挙『三番勝負』の最終競技を開始します!」
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