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第359話 冬の修学旅行
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王都メルト魔法学院には、修学旅行が二回ある。
一度目が夏の修学旅行であるが、こちらは別名地獄の夏合宿と呼ばれている。
が、二度目の冬の修学旅行は観光がメインとなり第三期学院生活の中での一番のイベントである。
私は今回に関しては既にアルジュから話を事前に訊いており、驚く事なく受け入れられた。
何故アルジュに確認したのかと言うと、年明けのパーティーにてジュリルから言われた事を覚えており、直ぐにアルジュに第三期学院生活での大きなイベントを教えてもらったからである。
冬の修学旅行は、毎年1月末から2月上旬にかけての10日間かけて行われる。
対象は第2学年の男女全員である。
しかし、男女一緒に行動するのではなく、別々で同一ルートを辿るらしい。
私も訊いた話だからその辺はよく分からないが。
そう思い出している間に、担当教員が冬の修学旅行についての説明をし始めていた。
「今年の修学旅行先は、ベンベルを中央都市とする北の地域へと決まった。北の地域と言えば、芸術の都など美しい都市も多くその辺を中心にルークが組まれる予定だ」
担当教員は未だ詳しいルークは発表出来ないと口にしつつも、私たちにそろそろ準備をし始める様に伝えてくれた。
ルートに関しては来週には伝える予定とし、ひとまず着替えなど出来る範囲の準備から始める事を勧められた。
「日付けとしては、1月29日週の始めから10日間の日程なので2月8日までとなる。直前には休日もあるので、計画的に行動する様に。他に何か現時点で質問あ」
「女子とは一緒に回れないのですか!」
「毎年別々行動と聞いていますが、そこんところどうなんですか!」
と、食い気味に質問したのはライラックとリーガだった。
担当教員はそんな質問が来ると分かっていたが、ため息などつかずに少し間を空けてから答えた。
「例年通り女子とは別々行動だ。男子は男子、女子は女子のルートを辿る」
その答えに二人は「やっぱり」と口にして大きく肩を落とす。
が、担当教員は続けて口を開いた。
「お前たちも先輩たちから聞いているかもしれないが、完全な別々行動ではない。男子のルートと女子のルートは簡単に言えば真反対から辿る形になる」
真反対から辿る?
すると担当教員が黒板に1から5の数字を書き出し、説明を始めた。
「要するにお前たちのルートがこの1から5のルートだとして、女子は5から1のルートを辿ると言う事だ」
その説明にライラックとリーガが盛り上がる。
「そ、それはつまり、3の場所で交流する事があると言う事ですよね! ね!」
「ですよね!」
「まぁ、そう言う事だ。それ以外に何か質問はあるか? 詳しくはまた来週時間をとって連絡等をする予定だから、その時も同様に質疑は作る予定だ」
担当教員のその言葉以降、特に質問がなかった為冬の修学旅行についての連絡は一旦終了となった。
その後は明日の授業に関する変更や冬の時期なので夜間の行動注意など、細かい連絡事項をされ帰りの連絡事項は終了するのだった。
担当教員が去った後の教室では、皆は各所で冬の修学旅行について盛り上がっていた。
心配していたトウマも、ライラックとリーガと共に楽しそうに話していた。
ちょっと心配のし過ぎだったかな? あの感じだと昼に話していた通り少し様子を見るで良かったのかもね。
「いや~そう言えば冬の修学旅行の時期だったね。寮長選挙で盛り上がってたから、すっかり抜けてたよ」
「確かにそうかもな。まだ次期寮長選挙してない所もあるし、立て続けのイベントだもんな」
「うんうん。でも、一番のイベントだぞ。これが終わったら後はもう……いや、それを今考えるのは止めよう」
私はシンリが何を言おうとしていたのか何となく察していた。
まぁ時期的に、最終期末試験がある時期になるしその事でも頭によぎったんだろうね。
私もあんまり浮かれていられる時間は少ないけど、修学旅行は思いっきり楽しもう。
にしてもベンベル方面に行くのか。
あの方面は芸術もそうだけど、有名な城とか建設物なども有名だったからその辺も回ったりするのだろうか?
私は今から期待に胸を膨らませた。
それから私は大図書館へと向かい、昼にエメル寮長と話した時の事を思い出しながら卒業生の進路先や世の中の仕事を改めて調べ、気になった物は借りて寮にて読むことにした。
私が将来に対して向き合い始めた頃、トウマは自室の椅子に座りぼけーっと天井をただ見つめていた。
そこへルークが部屋に戻って来る。
ルークはトウマの様子を見て声を掛けるか迷ったが、特に声は掛けずに「ただいま」とだけ口にし自分の机へと向かった。
するとトウマは天井を見つめながら「おかえり~」と口にするのだった。
「……」
トウマの返事にルークは一度トウマの方へと視線を向けたが、特に何も言わずにバックから教材を取り出し始め、ノートを開き魔力に関する本を開いて何かを書き始める。
部屋にはルークがノートにペンで書く音が響くのだった。
そして暫くの間そんな状態が続くと、突然トウマがルークに対して問いかけた。
「なぁ、ルーク」
トウマの呼びかけにルークは手を止めて「何だ?」と返事をする。
「……何か俺さ、勝手に思い詰めてた気がするわ」
「急にどうした」
「いやな、今日ライラックたちと話してさ、いつもの俺じゃないって言われたんだよ。最初は意味が分からなかったんだが、何かを勝手に抱え込んで、疲れる顔をしているのは俺らしくないって事だったんだよ」
ルークはトウマの話を黙ったまま聞き続ける。
「寮長って事に対して責任を持たなきゃ、しっかりやらなきゃって勝手に何処かで思い込んであんな風に資料に対して一直線だったんだと、思う……たぶん」
「……そうだな。全くその通りだ」
「うっ……改めてお前から言われると、酷い俺だったんだな」
「あれは酷かった。皆が寮長に選んだお前じゃなかったよ」
「似たような事をライラックたちにも言われたよ」
そこでトウマは苦笑いをすると、大きく背伸びをした。
「で、ぼーっと考えたけど、一人で悩んでいるのも変だし、もう少し皆を頼って行く事にしたよ。俺頭良くないし、要領もそこまでいいって訳じゃないから、困ったら迷わず頼らせてもらう事にしたわ」
「俺は今まで通り、次期寮長候補代理の延長の気持ちでいいと思うぞ。意見を聞き、まとめ上げ、発言して行く。お前は兄貴と同じじゃないんだ、お前らしい寮長像を作って行けばいいさ」
「頼もしい事を言ってくれるな、次期副寮長は~」
「あー今の言葉でやる気なくしたわ。心配していたのも馬鹿らしくなったわー」
「ごめんって、本当に悪かったよ。心配をかけたのも分かってるし、色々と考えてくれてたんだろ?」
「っ……」
そこでルークはトウマから視線を逸らす。
「本当にありがとうルーク。もうあんな風にはならないから、これからも頼むよルーク」
するとトウマはルークに対して片手を出し、握手を求める。
ルークはそれを見て、トウマへと視線を向けた。
「……はぁ~、今日の朝まで変だったのに、もう立ち直るとか凄いよトウマ」
「褒めてるの、かな?」
「関心しただけさ。変に寮長に押しつぶされなくて良かったよ。でも覚えておけよ、寮長を支える副寮長の俺の言葉も次からは素直に聞けよ、トウマ」
「肝に銘じておくよ」
その返事を聞き、ルークはトウマの出した手を握り返すのだった。
一度目が夏の修学旅行であるが、こちらは別名地獄の夏合宿と呼ばれている。
が、二度目の冬の修学旅行は観光がメインとなり第三期学院生活の中での一番のイベントである。
私は今回に関しては既にアルジュから話を事前に訊いており、驚く事なく受け入れられた。
何故アルジュに確認したのかと言うと、年明けのパーティーにてジュリルから言われた事を覚えており、直ぐにアルジュに第三期学院生活での大きなイベントを教えてもらったからである。
冬の修学旅行は、毎年1月末から2月上旬にかけての10日間かけて行われる。
対象は第2学年の男女全員である。
しかし、男女一緒に行動するのではなく、別々で同一ルートを辿るらしい。
私も訊いた話だからその辺はよく分からないが。
そう思い出している間に、担当教員が冬の修学旅行についての説明をし始めていた。
「今年の修学旅行先は、ベンベルを中央都市とする北の地域へと決まった。北の地域と言えば、芸術の都など美しい都市も多くその辺を中心にルークが組まれる予定だ」
担当教員は未だ詳しいルークは発表出来ないと口にしつつも、私たちにそろそろ準備をし始める様に伝えてくれた。
ルートに関しては来週には伝える予定とし、ひとまず着替えなど出来る範囲の準備から始める事を勧められた。
「日付けとしては、1月29日週の始めから10日間の日程なので2月8日までとなる。直前には休日もあるので、計画的に行動する様に。他に何か現時点で質問あ」
「女子とは一緒に回れないのですか!」
「毎年別々行動と聞いていますが、そこんところどうなんですか!」
と、食い気味に質問したのはライラックとリーガだった。
担当教員はそんな質問が来ると分かっていたが、ため息などつかずに少し間を空けてから答えた。
「例年通り女子とは別々行動だ。男子は男子、女子は女子のルートを辿る」
その答えに二人は「やっぱり」と口にして大きく肩を落とす。
が、担当教員は続けて口を開いた。
「お前たちも先輩たちから聞いているかもしれないが、完全な別々行動ではない。男子のルートと女子のルートは簡単に言えば真反対から辿る形になる」
真反対から辿る?
すると担当教員が黒板に1から5の数字を書き出し、説明を始めた。
「要するにお前たちのルートがこの1から5のルートだとして、女子は5から1のルートを辿ると言う事だ」
その説明にライラックとリーガが盛り上がる。
「そ、それはつまり、3の場所で交流する事があると言う事ですよね! ね!」
「ですよね!」
「まぁ、そう言う事だ。それ以外に何か質問はあるか? 詳しくはまた来週時間をとって連絡等をする予定だから、その時も同様に質疑は作る予定だ」
担当教員のその言葉以降、特に質問がなかった為冬の修学旅行についての連絡は一旦終了となった。
その後は明日の授業に関する変更や冬の時期なので夜間の行動注意など、細かい連絡事項をされ帰りの連絡事項は終了するのだった。
担当教員が去った後の教室では、皆は各所で冬の修学旅行について盛り上がっていた。
心配していたトウマも、ライラックとリーガと共に楽しそうに話していた。
ちょっと心配のし過ぎだったかな? あの感じだと昼に話していた通り少し様子を見るで良かったのかもね。
「いや~そう言えば冬の修学旅行の時期だったね。寮長選挙で盛り上がってたから、すっかり抜けてたよ」
「確かにそうかもな。まだ次期寮長選挙してない所もあるし、立て続けのイベントだもんな」
「うんうん。でも、一番のイベントだぞ。これが終わったら後はもう……いや、それを今考えるのは止めよう」
私はシンリが何を言おうとしていたのか何となく察していた。
まぁ時期的に、最終期末試験がある時期になるしその事でも頭によぎったんだろうね。
私もあんまり浮かれていられる時間は少ないけど、修学旅行は思いっきり楽しもう。
にしてもベンベル方面に行くのか。
あの方面は芸術もそうだけど、有名な城とか建設物なども有名だったからその辺も回ったりするのだろうか?
私は今から期待に胸を膨らませた。
それから私は大図書館へと向かい、昼にエメル寮長と話した時の事を思い出しながら卒業生の進路先や世の中の仕事を改めて調べ、気になった物は借りて寮にて読むことにした。
私が将来に対して向き合い始めた頃、トウマは自室の椅子に座りぼけーっと天井をただ見つめていた。
そこへルークが部屋に戻って来る。
ルークはトウマの様子を見て声を掛けるか迷ったが、特に声は掛けずに「ただいま」とだけ口にし自分の机へと向かった。
するとトウマは天井を見つめながら「おかえり~」と口にするのだった。
「……」
トウマの返事にルークは一度トウマの方へと視線を向けたが、特に何も言わずにバックから教材を取り出し始め、ノートを開き魔力に関する本を開いて何かを書き始める。
部屋にはルークがノートにペンで書く音が響くのだった。
そして暫くの間そんな状態が続くと、突然トウマがルークに対して問いかけた。
「なぁ、ルーク」
トウマの呼びかけにルークは手を止めて「何だ?」と返事をする。
「……何か俺さ、勝手に思い詰めてた気がするわ」
「急にどうした」
「いやな、今日ライラックたちと話してさ、いつもの俺じゃないって言われたんだよ。最初は意味が分からなかったんだが、何かを勝手に抱え込んで、疲れる顔をしているのは俺らしくないって事だったんだよ」
ルークはトウマの話を黙ったまま聞き続ける。
「寮長って事に対して責任を持たなきゃ、しっかりやらなきゃって勝手に何処かで思い込んであんな風に資料に対して一直線だったんだと、思う……たぶん」
「……そうだな。全くその通りだ」
「うっ……改めてお前から言われると、酷い俺だったんだな」
「あれは酷かった。皆が寮長に選んだお前じゃなかったよ」
「似たような事をライラックたちにも言われたよ」
そこでトウマは苦笑いをすると、大きく背伸びをした。
「で、ぼーっと考えたけど、一人で悩んでいるのも変だし、もう少し皆を頼って行く事にしたよ。俺頭良くないし、要領もそこまでいいって訳じゃないから、困ったら迷わず頼らせてもらう事にしたわ」
「俺は今まで通り、次期寮長候補代理の延長の気持ちでいいと思うぞ。意見を聞き、まとめ上げ、発言して行く。お前は兄貴と同じじゃないんだ、お前らしい寮長像を作って行けばいいさ」
「頼もしい事を言ってくれるな、次期副寮長は~」
「あー今の言葉でやる気なくしたわ。心配していたのも馬鹿らしくなったわー」
「ごめんって、本当に悪かったよ。心配をかけたのも分かってるし、色々と考えてくれてたんだろ?」
「っ……」
そこでルークはトウマから視線を逸らす。
「本当にありがとうルーク。もうあんな風にはならないから、これからも頼むよルーク」
するとトウマはルークに対して片手を出し、握手を求める。
ルークはそれを見て、トウマへと視線を向けた。
「……はぁ~、今日の朝まで変だったのに、もう立ち直るとか凄いよトウマ」
「褒めてるの、かな?」
「関心しただけさ。変に寮長に押しつぶされなくて良かったよ。でも覚えておけよ、寮長を支える副寮長の俺の言葉も次からは素直に聞けよ、トウマ」
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