とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第360話 あの日の説教臭い言葉

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 次の日の朝、私がシンと共に寮のリビング兼食堂にて朝食を食べているとそこへトウマが元気よく現れる。

「おはよう! 二人とも! 昨日は何か俺の事で迷惑かけて、すまなかった! でも、もう大丈夫だ! トウマ復活したぜ!」

 突然のテンションと頭を下げて来たトウマに私とシンは食事の手を止める。

「……お、おはようトウマ」
「急にどうしたんだよ、トウマ」

 トウマはそこで下げていた顔を上げた。

「俺の事で色々と心配してくれたんだろ? だから、そのお詫びとお礼だ」

 そこへマックスとケビンが通りかかると、トウマはその二人に対しても今私たちにしたのと同じ対応をし始めた。
 もちろん二人も私たちと同じ様に驚いた反応をしていた。
 私が状況に少し追いついて行けずにいると、そこへルークが少し眠そうな顔してやって来た。

「おはよう二人とも」
「おはよう、ルーク」
「おはよう」

 ルークは軽くあくびをしながら朝食を机の上に置き、近くの椅子へと座った。

「寝不足なのか、ルーク?」
「まあ、ちょっとな」
「珍しいな。あ、それよりもトウマ、どうしたんだ? 朝からあんなんで驚きなんだが」

 シンからの問いかけにルークはちらっとトウマの方に視線を向けた。

「あー簡単に言えば、元に戻った」
「え?」

 私が首を傾げると、ルークは朝食を一口食べた後答えた。

「昨日の件が解決したんだよ。自分でってより、ライラックたちと話して気付いて解決したらしい」
「そう……それは良かった」

 トウマが元に戻れたのだと思い安心し、私は安堵の息をついた。

「解決したのなら、良かった。これで元通りに楽しく冬の修学旅行を迎えられるな」
「……そうだな」
「ん?」

 私は一瞬ルークが私の方を見ている気がしたが、私がルークの方を向いたがこちらなど向かずにただ朝食を少し不機嫌そうに食べていた。
 寝起きだから、少し不機嫌そうに見えるのだと私は勝手に思った。
 するとトウマが私たちの所へと戻って来た。

「悪い、話が途中だったな」
「大丈夫だぞトウマ、ルークから話はだいたい聞いたから」
「そ、そうか」
「うんうん、何かちょっと面倒な所がいつものトウマって感じだな」
「クリス、それ馬鹿にしてなか?」
「そんな事ないぞ。心配してたんだぞ」

 その後トウマとも共に朝食をすまし、教室へと向かった。
 教室へと向かう道で、ライラックとリーガが私たちに合流して来て、昨日のトウマについて教えてくれた。
 ちょっとだけくよくよしていたり、はっきりしない所だったりと話してくれたがトウマはそれを知られたくなかったのか、全力で二人の邪魔をしていた。
 私はそんな一面を見た事がなかったので、興味を持ちながら聞き楽しい時間を過ごした。
 教室に到着するとトウマは一目散に先に教室に居た、ニックの元へと駆け寄り朝の行動をし始める。
 ニックが面倒そうな態度をとっていたが、トウマは退く事なく続けているとフェルトとピースが教室へとやって来てトウマに巻き込まれる。
 と言う感じで、クラスの皆にトウマは頭を下げこれからもよろしく頼むと口にするのだった。
 トウマの行動に皆も動揺しつつも、最後はいつも通りのトウマだと思い受け入れて『トウマ人騒がせ事件』は終わったのだ。
 ちなみにその名称をつけたのはルークであり、ライラックとリーガが面白半分でそれを広めたのだった。
 そんないつもの様に騒がしい日常が戻り、冬の修学旅行が迫っている事で妙にテンションが高い皆と過ごす学院生活は、あっという間に時間が過ぎて行った。
 週末の19日を迎えると、遂に全寮の次期寮長選挙が終了したと学園中に放送と代表者たちが改めて発表されるのだった。


【各寮次期寮長・副寮長一覧】
 『ダイモン寮』
   次期寮長  ダンデ・バッグス
   次期副寮長 スザク・フェーレン

 『オービン寮』
   次期寮長  トウマ・ユーリス
   次期副寮長 ルーク・クリバンス

 『エメル寮』
   次期寮長  スバン・レムヴレム
   次期副寮長 リーフ・グリン

 『イルダ寮』
   次期寮長  ロムロス・パテオン
   次期副寮長 ゲイネス・メレン


 なるほどね、エメル寮はスバンがイルダ量はロムロスが次期寮長になったのか。
 リーフって言うのは確かスバンの右腕とか言われて、全寮の期末試験結果でも上位の人だったね。
 一番意外だったのは、ゲイネスかな。
 最初の時はあんなんで辞めるとか言ってたのに、まさか次期副寮長になったちゃんだもんな~ビックリだよ。
 私は放送と共に、大食堂付近の掲示板に張り出された一覧表を見つめながら寮対抗魔力腕比べの事を思い出していた。
 すると突然後ろから声を掛けられ振り返るとそこには、ゲイネスがいたのだった。

「ゲイネス!?」
「よお、クリス」
「どうしたんだ、急に声を掛けて来るなんて」
「いやな、ふとクリスの姿が目に入ったらあの日の事を思い出して、声を掛けていたんだ」
「もしかして、学院を辞めるとか口にした日?」

 私は少し驚きつつ問い返すと、ゲイネスも驚いた顔をしたが直後小さく笑った。

「その口ぶりだと、クリスも思い出していたのか?」
「あぁ。まかさあのゲイネスが次期副寮長になるとは思ってなかったな~ってさ」
「確かにな。あの一件がなければ、俺は次期副寮長になんてなってなかったし、変に鼻につく様な嫌な奴のままだったかもしれない。改めてだが、あの時は本当に申し訳なかった」
「もうその話はなしって話しただろ。でも俺も、ゲイネスをあの日止められて良かったよ。もし、仲直りとか出来てなかったら、今の状況はなかったしさ」
「クリス……あの一件で俺は色々と見直す事が出来た。本当に感謝している」
「それなら良かったよ。変な説教じみた発言が、恥ずかしい過去にならずにすんで」
「そんな事ない、あれは俺を変えてくれた言葉だ。これからは失敗した経験を活かしつつ、ロムロスを支え寮の皆と共によりよい学院にする為に、次期副寮長としてやっていく」
「おう、頑張れよゲイネス副寮長!」

 私は笑顔で片手で親指だけを上へと突き出した握りこぶしのポーズを向けると、ゲイネスも笑顔で同じポーズで返してくれるのだった。
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