とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第361話 トウマ幼女連れ込み事件発生

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 その日事件は突然起こった。
 私は用事があり、ルークとトウマの部屋を訪ねに行き、扉をノックし返事があり待っていたが、中で大きな物音がしたので何事かと思い扉を開けた時だった。

「なっ……」

 私は部屋の中での光景を見て絶句した。
 そこでは、上半身裸のトウマがベッドで見知らぬ幼女を襲おうとしている姿であったのだ。


 ――遡る事1時間前。
 私はいつもの様に早朝のエリス先輩との朝練を終え、競技場で汗を流した後寮へ戻っていた時だった。
 偶然学院の廊下で担当教員に声を掛けられた。

「クリス休日に悪い、今いいか?」
「はい、別に大丈夫ですけど何ですか?」
「大した事じゃないんだが、この用紙をルークとトウマに渡してくれないか? 新学期からの現状のスケジュール表だ。ルークに昨日頼まれてな」

 担当教員から渡された紙には、4月からの簡易的なイベント一覧などが記載されていた。

「あの、これ俺が見てもいいやつなんですか?」
「問題はない。毎年この時期には、共有スペースに来年の予定スケジュールを張り出しているからな」

 そうなんだ。知らなかった。

「それはそこで張り出している縮小版だ。来年に向けて何か相談で使うと言っていたから、早めに準備して渡しに行こうとしていたが、昨日は会議が急に入って渡せなかったんだ」
「なるほど。それで今日それを渡しに行こうとしていたんですね」
「ああ。でも教員が急に寮に行くのもどうかと思ってた所に、クリスが現れてくれたから頼んだと言う訳だ。一応二人は外出する予定はないから、渡せば分かると思うが頼めるか?」
「はい、そう言う事なら分かりました。たぶんまだ朝の時間ですし、部屋にいると思うので渡しておきますよ」
「すいまない。それじゃ頼んだよ」

 そして私は担当教員から資料を受け取り、別れた後寮へと戻った。
 帰る途中で外出しに行く何人かとすれ違い、挨拶をしてちょっとした雑談をしたりして寮へと辿り着いたのだった。

「さてと、先に頼まれた資料を渡しに行こうかな」

 そう思い朝食を食べる前にルークとトウマの部屋に向かおうとした時だった。
 正面からルークとガウェンが話しながら向かっていたのだ。
 私は直ぐにルークに声を掛けた。

「どうしたクリス?」
「ごめん、話しているところ割り込んで」

 ガウェンは私の言葉に軽く首を横に振って「気にするな」と言葉を掛けてくれた。

「さっき先生に会ってな、ルークが頼んでいた資料出来たから渡しといてくれって言われてさ」
「あーあの資料か。今受け取りたいが、ちょっとガウェンと行く所があってな」
「そうなのか。じゃ、トウマに渡しとけばいい? 部屋にはいるんだろ?」
「あいつはまだ部屋で寝てたはずだから、クリスがノックでもすれば飛び起きると思うから渡しといてくれるか」
「分かった。それじゃ、後でトウマの部屋に行って渡しとくよ」
「悪いなクリス」
「気にするなって」

 そこで私はルークとガウェンと別れた。
 そのままトウマの部屋に向かおうと思ったが、まだトウマが寝ていると言っていたから先に朝食を食べてもいいかと思い、食堂兼リビングへと向きを変えて歩き始めた。
 そして休日メニューから少し遅めの朝食を、食堂兼リビングにいたガードルとベックスと軽く話ながらとり終え、私はトウマの部屋へと向かい始めた。
 へぇ~新学期からのスケジュールはあまり今年のと変わらないんだな。
 私は歩きながら担当教員から渡された資料に目を通していた。
 今が1月下旬だから、2月は特に学院としてのイベントはなく、そのまま3月の上旬から中旬頃に最終期末試験が始まって、下旬には卒業式か。
 こう見ると冬の修学旅行が学院としてのイベント的には最後の方なのかな? 試験とか除いてだけど。
 そっか、冬の修学旅行が終わると後は試験と卒業式か……早いな。
 もしかしたら変なイベントとか誰かがやるかもしれないけど、こういうスケジュールを見ると残されている時間はそう多くないと突きつけられている気がするな。
 ふと私はそんな事を思ってしまったが、直ぐに後ろ向きな考えは止めて、資料から目を離してトウマの部屋へと向かった。

「着いたけど、何かこうして部屋に来るのは久しぶりな感じがするな。さて、トウマはもう起きているかな」

 私は部屋の扉をノックしようとした時だった、中から何か物音が聞こえたのでトウマは起きているのだと思いノックをし声を掛けた。

「トウマ、起きているか? クリスだけど、頼まれて資料を持って来たんだが」
「え、え!? クリス!?」
「お、おう。そうだけど」
「ちょちょちょっと、今行くから」

 ? 何か慌ててるのか? タイミング悪い時に来ちゃったかな。
 部屋の中で何かバタバタとしている音が微かに聞こえ、私はただ扉が開くのを待っていた。
 その時だった、突然部屋の中から大きな物音が聞こえて来て、何かあったのかと思いトウマに声を掛けたが返事がなかったので、一声かけて直ぐに部屋の扉を開けた。

「トウマ! 大丈夫か? 何か凄い物音が……」
「……え、クリス」
「なっ……」

 私は部屋の中での光景を見て絶句してしまった。
 そこでは、上半身裸のトウマがベッドで見知らぬ幼女を襲おうとしている姿であったのだ。
 私は部屋へと踏み入れた足を一歩下げた時だった、直ぐにトウマが声を掛けて来た。

「ま、待ってくれ! 違う! これは違うぞ! 何か誤解している!」

 トウマは幼女に覆いかぶさっていた状態からすぐに起き上がり、上半身裸のまま私の方へと近付いて来た。

「いやいやいや! トウマ、それはやばいって!」
「だから違うんだって! まずは俺の話を聞いてくれ、クリス!」

 そのまま私は部屋から後ずさりしながら出て、窓側へと下がりきってしまう。
 トウマも誤解を解こうと必死で、自分が上半身裸の事など忘れて、部屋から出て来ていた。

「何であんな子を連れ込んでいるのさ、トウマ」
「いや、それには訳があって、長い経緯が」
「まさかトウマが犯罪に手を出すとは……」
「違うんだって! これはだな」

 するとそこへ偶然フェルトが通りかかる。

「ん? おークリス、トウマ。おは――えっ!? トウマ何してんだ!? 上半身裸で!」
「フェルト!? って、うわぁ! 忘れてた!」
「トウマ今から自首しに行こう。俺も付いて行くから……まさか、トウマが幼女を連れ込むなんて」
「待て待て、これには深い訳が」
「何だって!? トウマが幼女を誘拐してきただと!?」
「おい! フェルト! 聞き間違えてるぞ! って、何処に行くんだフェルト! 待て! そんな事を寮で――」

 と、トウマがフェルトが次に何をするのか察し、止めようとしたがそれは間に合わず、フェルトは走りながら大声で叫ぶのだった。

「大変だー! トウマ幼女連れ込み事件発生だー!」
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