とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第365話 辿り着いた場所

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「だって、何か二人のやり取りとかが、恋人ぽく見えたから」
「いやいやいや! 俺男だし、ルークも男だぞ! 付き合うとかあり得ないから!」
「そうなの? 私はクリスが男には見えないんだけど」

 えっ……それはどう言う意味なのエル?
 一方でルークもその場で足を止めて、エルに言葉を返していた。

「クリスは男だぞ。もしかしたら、エルのお姉ちゃんにでも雰囲気が似ていてそう言ったんじゃなのか?」
「う~ん……確かにお姉ちゃんと同じ位の身長で髪も短いから、そうかも」
「俺はな、クリスも好きだが、それ以上に好きな相手がいるんだ」
「え! 誰なのルーク?」
「アリスって言う令嬢さ」

 私はルークが口にした名前に、顔から火が出そうになった。
 そそ、そんな事をこんな所で言う普通!? 何考えてるのよ、ルーク!
 私は直ぐにルークから顔を逸らした。

「あれ? クリスどうしたの?」
「目にゴミでも入ったんだろう。先に行くぞ、クリス」

 そう言ってルークは私を置いて先に歩き始めた。

「ねぇねぇ、ルークはそのアリスって人のどう言う所が好きなの?」
「そんな事が気になるのか?」
「うん! 教えて、教えて」
「そうだな……」

 え、そんな事まで言うつもりなの!? どうしたのルーク! そんな事言う様な性格じゃなかったじゃん! てか、そんな事話されたら私聞いてられないよ!
 私は直ぐにそんな事を辞めさせようとルークに駆け寄って、服を引っ張った。
 するとルークは私に気付き顔を向けて来たので、私は口にせずに強く首を横に振って訴えた。
 絶対にそんな話をしないで! ルーク!
 私はそんな念を込めながら首を横に振っていると、エルが私が首を振っている事に気付きルークより先に口を開いた。

「ん? 何でクリスが顔赤くしているの? 熱でもあるのクリス?」
「い、いや、これは……だね……」
「大丈夫?」

 うっ……子供からの純粋な目線が辛い。
 私が困った態度をとっているとルークがエルに話し掛けた。

「エル、クリスは大丈夫さ。追いつくのに少し走って来たから、顔が赤いだけさ。それに言い淀んでいるのは、姉のアリスの話をされるが嫌なんだろうさ」
「えー!? ルークの好きな人はクリスのお姉ちゃんだったの!?」
「ああ。だよな、クリス?」

 ここでその設定を出してくるか、ルーク。
 私はひとまずルークの話に乗ると、エルが遠くで人だかりを見つけそこで大道芸をしているのが気になり、ルークにあっちに行くように言い始めるのだった。
 ルークは肩車させたエルに軽く髪の毛を引っ張られ、その方へと向かって行った。
 その姿を見て私は深く息を吐いた。
 ふぅー……興味が別の方に移ったのは助かった。あれ以上何か追求とかされていたらどうしようかと思った。
 そして私は、はぐれない様に遅れてルークとエルが行った先へと向かうと、エルがルークから降りて大道芸に夢中になっている姿が目に入って来た。
 あれ、ルークの肩車から降りたんだエル。じゃ、ルークは何処に?
 私は足を止めてルークを探していると、突然真横に誰かに手を引かれて、そのまま引っ張って来た誰かに軽く抱き寄せられた。
 直ぐに私は顔を上げ誰に引っ張られたのか確認すると、その人物はルークであった。

「ルっ!?」
「何急に止まってるんだよ、クリス。危ないだろ」
「え、えっ?」
「え? じゃねぇよ。後ろから悪酔いした相手が来てたんだ。急に止まってあんなのにぶつかって絡まれたら、人探しどころじゃなくなるだろ」
「ごめん……全然気付かなかった」

 するとルークは私を抱き寄せていた手を離した。

「……いや、俺もエルに引っ張られて、急にクリスから離れたせいでもあるな」
「そんな事ないって。俺がちょっと、考え事してたからだし」

 私は少し俯いた状態で答えた直後、ルークが突然私の片手を優しく握って来たのだ。

「なら、それが終わるまでは俺がお前の手を掴んでいてやるから、変に離れるなよ」
「っ!」

 そのままルークは私に背を向けて、私の片手を握ったままエルが見える所まで移動し始めた。
 私と突然の事に驚き何も言えず、ただルークに引っ張られるまま後を付いて行った。
 突然握られた事に私の鼓動が速くなっており、じっと握られた手を見つめた後ルークの方へと視線を向けた。
 すると前から吹いた風でルークの髪がなびくと、ルークの赤くなった耳が見え私は口を開け言葉を掛けようとしたが、それが出来ず冬の外のはずなのに顔が熱くなって来たので、軽く俯いたまま無言で歩き続けるのだった。
 その頃、噴水の時計台前に残ったガードルはじっとトウマの事を待っていた。

「(う~ん、さすがに動かずにここにいると、そろそろ寒くなって来たな)」

 ガードルは軽く手をこすり始めると、そこへ遠くから何から騒がしく向かって来る人影が見え始める。
 その存在に気付きガードルが目を細めると、その人影がトウマだと分かり無事に抜けてこられたのだと安心したが、トウマの近くにもう一つ人影がある事に気付く。

「(ん? 誰だ、トウマの近くに居る奴は? それに何かそいつと言い合いしてる?)」

 そしてトウマとその人物が噴水の時計台前に辿り着くと足を止めた。

「だから、何でついて来てんだよ」
「別にいいじゃないか。それと僕がいると、やりずらい事でも?」
「うっ……そ、そんな事はないが……」
「ならいいじゃないか。ダンデの話を途中で切り上げて、何処に行くのか気になっただけで分かったら、帰るからさ」

 その答えにトウマが苦い顔をしていると、ガードルがトウマに声を掛けた。

「ガードル!」
「……どうしてレオンと一緒に居るんだ、トウマ?」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 一方で、ピースとフェルト班はエルが持っていたメモに書かれた場所へと辿り着こうとしていた。

「この辺のはずだけど……って、ピースお前も食い物屋に目をやってないで探してくれよ~」
「ごめん、ごめん。新しい店の新商品が気になって」
「たっく……あ、ここ……か?」

 フェルトはメモに書かれた場所に辿り着いたが、その場所を見て目を疑っていた。
 ピースも遅れてフェルトが見つけて場所を見て、本当にここなのかと改めてフェルトに問いかけた。

「間違ってないはずだ。ここが、このメモに書かれた位置で間違いない……間違いないんだが」
「いや、僕もフェルトを疑っている訳じゃないけど、さすがにここは違うんじゃないかな。ここに、あの子のお姉ちゃんが居る訳ないよ」
「そうだよ、な……」

 二人が辿り着いたその場所は、既に廃業となり誰もいるはずのないさびれかけたある飲食店の前であった。
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