395 / 564
第394話 塀を超えたその先には
しおりを挟む
「で、自分を縛って何を宣言してたんだよ?」
クリスは冷たい目でロープを解いて自由になったトウマを見ながら、改めて問いかけた。
「それはだな」
トウマは誤解を解く為と思い、これまでの事情を話そうとしたがそれをすると自分も一緒に女湯を覗こうとしていたと教えてしまうと気付く。
そんな事をすれば、関係性が終わってしまうと思い直ぐに口をつぐむ。
「? それは、何だよトウマ」
「……いや、あのだな、その……やっぱり言えん」
そのまま軽く俯くトウマに対して、クリスはジト目で見つめるが直ぐに小さくため息をつく。
「まあ、何でもいいけどさ。誰しも言えない事の一つや二つはあるもんだし」
「(あー言いたい、この場で次期寮長として頑張っている事を伝えれば変な誤解も解けるのに。だがそれを言うと、クリスの中で俺の立ち位置が暴落するから言えない。あーもどかしい! こうなったのもライラックが変な事企むからだ!)」
トウマは少しやけくそ気味に全てをライラックのせいにするのだった。
その後トウマは、さっさとこの一件を片付けてしまうと立ち上がり、ライラックの後を追う為に部屋の出口へと向かう。
「トウマどこ行くんだ?」
「それは言えない。が、一つだけ一つだけ言える」
クリスがその場で軽く首を傾げると、トウマは立ち止まり顔だけクリスに向けて言い放つ。
「さっきのあれは、決して趣味とかじゃないから! 絶対に勘違いしないでくれー!」
「……あ、ああ」
「今俺が言えるのはそれだけだ」
トウマは何かを言いたいが言えない表情をチラッと見せた後、走ってその場から立ち去って行くのだった。
残されたクリスは一人状況が理解出来ず、少し開いた口が塞がらない表情をしていた。
「な、なんだったんだ今の時間は……よく分かんないけど、トウマにも色々あるんだろうな」
クリスはそう呟いた後、部屋から出て自室へと戻り始めた時にふとある事を思い出す。
「(そう言えば、ルークの奴途中まで皆と遊技場に居たのに、途中からいなくなっていたな。どこ行ったんだ? まぁいっか。それより、あのマッサージしてくれる最新の椅子型の魔道具凄かったな~また明日行こうかな)」
そんな事を思いつつ、クリスはホテルの廊下を歩いて行くのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「よしお前ら、心の準備はいいか?」
ライラックは男湯の脱衣所にて服を全て脱ぎ腰にタオルだけを巻いた状態で、同じく状態の同志たちに声を掛けると騒がしくせず「おー!」と返事をする。
「それでは突入だ!」
その言葉と共に皆が温泉へと入って行く。
今回のライラックが立てた作戦は至ってシンプルであった。
男湯と女湯は少し離れているが露天風呂からだと塀を数枚超えると繋がっている事を、ライラックはリーガと共に事前に調べて見つけていたのである。
その為、今回は怪しまれる事無く露天風呂から数名で協力し塀を超えた後、楽園への道を確保し、小さな隙間を見つけそこを目に焼き付けようという作戦であった。
元々は外側から進行し、直接反対側の露天風呂近くまで接近しそこで同様の作戦を行う予定であったが、それは密告者のトウマにより事前に教員たちへと伝わっていると考えたライラックは、代理案として用意していた内部からの進行に変更したのだった。
「(作戦が漏れたのは残念だが、逆に外側に目が行きやすくなった分こちらからの進行は誰も予期していないものだろう。この勝負、俺たちの勝利だ!)」
ライラックは心の中で既に勝利宣言をし、お風呂を抜け露天風呂へと移動する。
そこは複数の露天風呂からの湯気で周囲が見えずらくなっていたが、彼らは前日に道筋を把握している為真っすぐに塀の方へと進んで行く。
「よし、それじゃ早速作戦開始だ」
ライラックの言葉で、数名が塀の前で座るとその上へと別の人が乗り始める。
そして組体操の様に次々と安定させつつ人が乗りあがって行く。
「(そう、これが地味だが確実に塀を乗り越える方法! 周囲の湯気のお陰で俺たちも隠してくれており最高の状況だ。いける、いけるぞこれは!)」
既にライラックから笑みがこぼれ始めていたが、リーガに軽く肘を突かれて「まだ気を抜くのは早い」と小声で注意される。
リーガの言葉にライラックは「悪い」と返し、直ぐに真剣な表情へと戻す。
その後、遂に塀を乗り越えられるまでの足場が完全に完成し、ライラックが一歩踏み出した時だった。
「は~い、全員そこで止まれ」
「っ!?」
突然の声にその場の全員が一斉に振り返ると、湯気の中から現れたのは腰にタオル一枚だけ巻いたタツミであった。
「な、何でここにタツミ先生が!?」
「そんなの決まってるだろ、お前らを現行犯で捕まえる為だ」
「馬鹿な! この作戦は漏れてないはず! どうして!」
「いや、普通に周辺で警戒するし、お前らならこんなバカな事も考えるかもと思って俺がここで見張ってたって訳。風呂にも入れるしな」
「っぐ……くそ!」
「(そんな悔しがる所か?)」
ライラックを筆頭に、その場にいた数名が同じ様に見つかってバレてしまった事にとてつもない悔しさを表していた。
「とりあえず、未遂だがお前らがやろうとしてることは分かってる。このまま全員連行だからな」
タツミがそう言って近付き始めると、ライラックは「ここまでなのか……」と葛藤した表情を見せるとリーガが肩を叩いて来た。
するとリーガはライラックを庇って前に立つ。
「リーガ、お前」
「ここは俺に任せて、行けライラック」
「何を!?」
「皆で命がけで作った道だ。誰も使わずにこのまま終わる訳には行かないだろ! だから行け! ライラック!」
「っリーガ」
リーガの言葉に後ろで塀を乗り越えられる為に乗りあがっていた人らも、ライラックに声を掛け始める。
「そうだ! お前だけでも行ってくれライラック!」
「俺たちの分まで楽園を見て来てくれ!」
「何も成し遂げずに終わる僕たちじゃないだろ!」
「皆……」
そんな光景を目の当たりにしたタツミは小さくため息をつく。
「(何なんだ、この状況? こいつら覗きをしようとしているんだよな)」
タツミはそのまま気にせずに取り押さえようと手を伸ばして魔法で身動きを止めようとしたが、その前にライラックが動き始め、リーガがタツミへと突っ込んで来たのだ。
「行けライラック!」
「っ!?」
「皆! すまない!」
「行け!」
「行ってくれライラック!」
ライラックはそのまま足場となっている皆を乗り越えて塀の頂点を目指す。
一方でリーガはタツミの足止めとして動きを止めていたが、タツミは直ぐにリーガに手をつき、そのまま風魔法で近くの露天風呂へと押し入れる。
更には、足場になっている奴らを全員身動きさせない為に突風を塀目掛けて放ち、塀に押し付ける。
しかしそんな中ライラックは突風にも負けずに、登り続ける。
「後、少し。後少しなんだ! 行け俺!」
「(全く懲りない奴だ)」
タツミが再び魔法を使おうとした瞬間だった。
背後から声を上げながら近付いて来る人に気付く。
「やめーろーライラック!」
「?」
直後、タツミの背後にトウマが動きを止める様に両腕を掴む。
「早まるなライラック! まだ、まだ戻るれるんだ!」
「おい」
「大丈夫! 俺も一緒に謝ってやるから!」
「おい、聞け」
「俺がもっと早くこう言ってればよかったんだ」
「聞けって言っているだろ、トウマ!」
「へぇ?」
そこでようやくトウマが顔を上げ、自分が取り押さえているのがライラックではなくタツミだと理解する。
「あれ? 何でタツミ先生が?」
「はぁ~お前な……」
するとその間にライラックは塀の頂上付近に辿り付くのだった。
「トウマ! お前のお陰で助かった! ありがとう!」
「!? え? ちょ、ちょっとどういう状況!?」
「お前がライラックに時間を与えて、今塀を乗り越える所だ」
「えー!? それってやばいじゃないですか! どうするんですか?」
そのままライラックはトウマとタツミに背を向けて、塀を乗り越える為に飛び上がった。
「逃がしたのはお前のせいでもある」
「うっ……」
「が、心配いらん。あそこから先には絶対に行けないからな」
「へぇ?」
その直後、飛び越えた塀の先からライラックが吹っ飛んで来たのだ。
タツミをそれを見て風魔法でライラックを受けとめ、そのままリーガを放った露天風呂へと叩き落とす。
「え? え!? 何が起きてるんですか?」
「助っ人さ」
トウマの疑問にタツミはそれしか答えず、塀に押し付けられている皆を一人ずつ捕まえるために歩き出す。
一方で露天風呂へと落とされたライラックは風呂で浮かびながら小さく呟く。
「何で、何でお前がそこにいるんだよ、ルーク……」
そう呟き風呂に沈むのだった。
その後、タツミ以外の教員もやって来て女湯除き未遂事件として関わった全員が連れていかれ、こっぴどく全員が教員から叱られるのであった。
幸いこの事件は女子側には漏れておらず男子側だけの問題になり、大事にならずに済んだのだった。
そしてタツミは、全員を捕らえた後に塀の奥に潜んでもらっていた助っ人の元へと行き声を掛ける。
「お疲れ、ルーク」
「お疲れじゃない。何で俺がこんな寒い所で、あんな事をしないといけなかったんだよ、タツミ」
「いや~人手が足りなくてな。念の為だったが、居てもらって良かったよルーク」
「はぁ~全く何やってるんだよあいつ等は……」
ライラックの行動に呆れるルークに対し、タツミが軽く肩を叩く。
「何にせよ事件解決だ。本当に助かったよ、次期副寮長」
「調子いい事言うな」
タツミはその後、ルークに対して温かい飲み物を奢る為にホテルの中へと共に戻って行くのだった。
そんな未遂事件が解決した頃、とあるホテルに一室にてクリスが待たされていると、部屋の扉が開き二人の人物が入ってくる。
「悪い、待たせたなクリス」
そう声を掛けて来たのは、レオンでありその後ろに立っていたもう一人の人物は、ジュリルであった。
クリスは冷たい目でロープを解いて自由になったトウマを見ながら、改めて問いかけた。
「それはだな」
トウマは誤解を解く為と思い、これまでの事情を話そうとしたがそれをすると自分も一緒に女湯を覗こうとしていたと教えてしまうと気付く。
そんな事をすれば、関係性が終わってしまうと思い直ぐに口をつぐむ。
「? それは、何だよトウマ」
「……いや、あのだな、その……やっぱり言えん」
そのまま軽く俯くトウマに対して、クリスはジト目で見つめるが直ぐに小さくため息をつく。
「まあ、何でもいいけどさ。誰しも言えない事の一つや二つはあるもんだし」
「(あー言いたい、この場で次期寮長として頑張っている事を伝えれば変な誤解も解けるのに。だがそれを言うと、クリスの中で俺の立ち位置が暴落するから言えない。あーもどかしい! こうなったのもライラックが変な事企むからだ!)」
トウマは少しやけくそ気味に全てをライラックのせいにするのだった。
その後トウマは、さっさとこの一件を片付けてしまうと立ち上がり、ライラックの後を追う為に部屋の出口へと向かう。
「トウマどこ行くんだ?」
「それは言えない。が、一つだけ一つだけ言える」
クリスがその場で軽く首を傾げると、トウマは立ち止まり顔だけクリスに向けて言い放つ。
「さっきのあれは、決して趣味とかじゃないから! 絶対に勘違いしないでくれー!」
「……あ、ああ」
「今俺が言えるのはそれだけだ」
トウマは何かを言いたいが言えない表情をチラッと見せた後、走ってその場から立ち去って行くのだった。
残されたクリスは一人状況が理解出来ず、少し開いた口が塞がらない表情をしていた。
「な、なんだったんだ今の時間は……よく分かんないけど、トウマにも色々あるんだろうな」
クリスはそう呟いた後、部屋から出て自室へと戻り始めた時にふとある事を思い出す。
「(そう言えば、ルークの奴途中まで皆と遊技場に居たのに、途中からいなくなっていたな。どこ行ったんだ? まぁいっか。それより、あのマッサージしてくれる最新の椅子型の魔道具凄かったな~また明日行こうかな)」
そんな事を思いつつ、クリスはホテルの廊下を歩いて行くのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「よしお前ら、心の準備はいいか?」
ライラックは男湯の脱衣所にて服を全て脱ぎ腰にタオルだけを巻いた状態で、同じく状態の同志たちに声を掛けると騒がしくせず「おー!」と返事をする。
「それでは突入だ!」
その言葉と共に皆が温泉へと入って行く。
今回のライラックが立てた作戦は至ってシンプルであった。
男湯と女湯は少し離れているが露天風呂からだと塀を数枚超えると繋がっている事を、ライラックはリーガと共に事前に調べて見つけていたのである。
その為、今回は怪しまれる事無く露天風呂から数名で協力し塀を超えた後、楽園への道を確保し、小さな隙間を見つけそこを目に焼き付けようという作戦であった。
元々は外側から進行し、直接反対側の露天風呂近くまで接近しそこで同様の作戦を行う予定であったが、それは密告者のトウマにより事前に教員たちへと伝わっていると考えたライラックは、代理案として用意していた内部からの進行に変更したのだった。
「(作戦が漏れたのは残念だが、逆に外側に目が行きやすくなった分こちらからの進行は誰も予期していないものだろう。この勝負、俺たちの勝利だ!)」
ライラックは心の中で既に勝利宣言をし、お風呂を抜け露天風呂へと移動する。
そこは複数の露天風呂からの湯気で周囲が見えずらくなっていたが、彼らは前日に道筋を把握している為真っすぐに塀の方へと進んで行く。
「よし、それじゃ早速作戦開始だ」
ライラックの言葉で、数名が塀の前で座るとその上へと別の人が乗り始める。
そして組体操の様に次々と安定させつつ人が乗りあがって行く。
「(そう、これが地味だが確実に塀を乗り越える方法! 周囲の湯気のお陰で俺たちも隠してくれており最高の状況だ。いける、いけるぞこれは!)」
既にライラックから笑みがこぼれ始めていたが、リーガに軽く肘を突かれて「まだ気を抜くのは早い」と小声で注意される。
リーガの言葉にライラックは「悪い」と返し、直ぐに真剣な表情へと戻す。
その後、遂に塀を乗り越えられるまでの足場が完全に完成し、ライラックが一歩踏み出した時だった。
「は~い、全員そこで止まれ」
「っ!?」
突然の声にその場の全員が一斉に振り返ると、湯気の中から現れたのは腰にタオル一枚だけ巻いたタツミであった。
「な、何でここにタツミ先生が!?」
「そんなの決まってるだろ、お前らを現行犯で捕まえる為だ」
「馬鹿な! この作戦は漏れてないはず! どうして!」
「いや、普通に周辺で警戒するし、お前らならこんなバカな事も考えるかもと思って俺がここで見張ってたって訳。風呂にも入れるしな」
「っぐ……くそ!」
「(そんな悔しがる所か?)」
ライラックを筆頭に、その場にいた数名が同じ様に見つかってバレてしまった事にとてつもない悔しさを表していた。
「とりあえず、未遂だがお前らがやろうとしてることは分かってる。このまま全員連行だからな」
タツミがそう言って近付き始めると、ライラックは「ここまでなのか……」と葛藤した表情を見せるとリーガが肩を叩いて来た。
するとリーガはライラックを庇って前に立つ。
「リーガ、お前」
「ここは俺に任せて、行けライラック」
「何を!?」
「皆で命がけで作った道だ。誰も使わずにこのまま終わる訳には行かないだろ! だから行け! ライラック!」
「っリーガ」
リーガの言葉に後ろで塀を乗り越えられる為に乗りあがっていた人らも、ライラックに声を掛け始める。
「そうだ! お前だけでも行ってくれライラック!」
「俺たちの分まで楽園を見て来てくれ!」
「何も成し遂げずに終わる僕たちじゃないだろ!」
「皆……」
そんな光景を目の当たりにしたタツミは小さくため息をつく。
「(何なんだ、この状況? こいつら覗きをしようとしているんだよな)」
タツミはそのまま気にせずに取り押さえようと手を伸ばして魔法で身動きを止めようとしたが、その前にライラックが動き始め、リーガがタツミへと突っ込んで来たのだ。
「行けライラック!」
「っ!?」
「皆! すまない!」
「行け!」
「行ってくれライラック!」
ライラックはそのまま足場となっている皆を乗り越えて塀の頂点を目指す。
一方でリーガはタツミの足止めとして動きを止めていたが、タツミは直ぐにリーガに手をつき、そのまま風魔法で近くの露天風呂へと押し入れる。
更には、足場になっている奴らを全員身動きさせない為に突風を塀目掛けて放ち、塀に押し付ける。
しかしそんな中ライラックは突風にも負けずに、登り続ける。
「後、少し。後少しなんだ! 行け俺!」
「(全く懲りない奴だ)」
タツミが再び魔法を使おうとした瞬間だった。
背後から声を上げながら近付いて来る人に気付く。
「やめーろーライラック!」
「?」
直後、タツミの背後にトウマが動きを止める様に両腕を掴む。
「早まるなライラック! まだ、まだ戻るれるんだ!」
「おい」
「大丈夫! 俺も一緒に謝ってやるから!」
「おい、聞け」
「俺がもっと早くこう言ってればよかったんだ」
「聞けって言っているだろ、トウマ!」
「へぇ?」
そこでようやくトウマが顔を上げ、自分が取り押さえているのがライラックではなくタツミだと理解する。
「あれ? 何でタツミ先生が?」
「はぁ~お前な……」
するとその間にライラックは塀の頂上付近に辿り付くのだった。
「トウマ! お前のお陰で助かった! ありがとう!」
「!? え? ちょ、ちょっとどういう状況!?」
「お前がライラックに時間を与えて、今塀を乗り越える所だ」
「えー!? それってやばいじゃないですか! どうするんですか?」
そのままライラックはトウマとタツミに背を向けて、塀を乗り越える為に飛び上がった。
「逃がしたのはお前のせいでもある」
「うっ……」
「が、心配いらん。あそこから先には絶対に行けないからな」
「へぇ?」
その直後、飛び越えた塀の先からライラックが吹っ飛んで来たのだ。
タツミをそれを見て風魔法でライラックを受けとめ、そのままリーガを放った露天風呂へと叩き落とす。
「え? え!? 何が起きてるんですか?」
「助っ人さ」
トウマの疑問にタツミはそれしか答えず、塀に押し付けられている皆を一人ずつ捕まえるために歩き出す。
一方で露天風呂へと落とされたライラックは風呂で浮かびながら小さく呟く。
「何で、何でお前がそこにいるんだよ、ルーク……」
そう呟き風呂に沈むのだった。
その後、タツミ以外の教員もやって来て女湯除き未遂事件として関わった全員が連れていかれ、こっぴどく全員が教員から叱られるのであった。
幸いこの事件は女子側には漏れておらず男子側だけの問題になり、大事にならずに済んだのだった。
そしてタツミは、全員を捕らえた後に塀の奥に潜んでもらっていた助っ人の元へと行き声を掛ける。
「お疲れ、ルーク」
「お疲れじゃない。何で俺がこんな寒い所で、あんな事をしないといけなかったんだよ、タツミ」
「いや~人手が足りなくてな。念の為だったが、居てもらって良かったよルーク」
「はぁ~全く何やってるんだよあいつ等は……」
ライラックの行動に呆れるルークに対し、タツミが軽く肩を叩く。
「何にせよ事件解決だ。本当に助かったよ、次期副寮長」
「調子いい事言うな」
タツミはその後、ルークに対して温かい飲み物を奢る為にホテルの中へと共に戻って行くのだった。
そんな未遂事件が解決した頃、とあるホテルに一室にてクリスが待たされていると、部屋の扉が開き二人の人物が入ってくる。
「悪い、待たせたなクリス」
そう声を掛けて来たのは、レオンでありその後ろに立っていたもう一人の人物は、ジュリルであった。
0
あなたにおすすめの小説
王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~
しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。
豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。
――食事が、冷めているのだ。
どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。
「温かいごはんが食べたい」
そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。
地下厨房からの高速搬送。
専用レーンを爆走するカートメイド。
扉の開閉に命をかけるオープナー。
ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!?
温かさは、ホッとさせてくれる。
それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。
冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、
食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ!
-
悪役令嬢はやめて、侯爵子息になります
立風花
恋愛
第八回 アイリス恋愛ファンタジー大賞 一次選考通過作品に入りました!
完結しました。ありがとうございます
シナリオが進む事のなくなった世界。誰も知らないゲーム後の世界が動き出す。
大崩落、王城陥落。聖女と祈り。シナリオ分岐の真実。
激動する王国で、想い合うノエルとアレックス王子。
大切な人の迷いと大きな決断を迫られる最終章!
ーあらすじー
8歳のお誕生日を前に、秘密の場所で小さな出逢いを迎えたキャロル。秘密を約束して別れた直後、頭部に怪我をしてしまう。
巡る記憶は遠い遠い過去。生まれる前の自分。
そして、知る自分がゲームの悪役令嬢であること。
戸惑いの中、最悪の結末を回避するために、今度こそ後悔なく幸せになる道を探しはじめる。
子息になった悪役令嬢の成長と繋がる絆、戸惑う恋。
侯爵子息になって、ゲームのシナリオ通りにはさせません!<序章 侯爵子息になります!編>
子息になったキャロルの前に現れる攻略対象。育つ友情、恋に揺れる気持<二章 大切な人!社交デビュー編>
学園入学でゲームの世界へ。ヒロイン登場。シナリオの変化。絆は波乱を迎える「転」章<三章 恋する学園編>
※複数投稿サイト、またはブログに同じ作品を掲載しております
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
断罪された挙句に執着系騎士様と支配系教皇様に目をつけられて人生諸々詰んでる悪役令嬢とは私の事です。
甘寧
恋愛
断罪の最中に前世の記憶が蘇ったベルベット。
ここは乙女ゲームの世界で自分がまさに悪役令嬢の立場で、ヒロインは王子ルートを攻略し、無事に断罪まで来た所だと分かった。ベルベットは大人しく断罪を受け入れ国外追放に。
──……だが、追放先で攻略対象者である教皇のロジェを拾い、更にはもう一人の対象者である騎士団長のジェフリーまでがことある事にベルベットの元を訪れてくるようになる。
ゲームからは完全に外れたはずなのに、悪役令嬢と言うフラグが今だに存在している気がして仕方がないベルベットは、平穏な第二の人生の為に何とかロジェとジェフリーと関わりを持たないように逃げまくるベルベット。
しかし、その行動が裏目に出てロジェとジェフリーの執着が増していく。
そんな折、何者かがヒロインである聖女を使いベルベットの命を狙っていることが分かる。そして、このゲームには隠された裏設定がある事も分かり……
独占欲の強い二人に振り回されるベルベットの結末はいかに?
※完全に作者の趣味です。
異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。
和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……?
しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし!
危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。
彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。
頼む騎士様、どうか私を保護してください!
あれ、でもこの人なんか怖くない?
心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……?
どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ!
人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける!
……うん、詰んだ。
★「小説家になろう」先行投稿中です★
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
山賊な騎士団長は子にゃんこを溺愛する
紅子
恋愛
この世界には魔女がいる。魔女は、この世界の監視者だ。私も魔女のひとり。まだ“見習い”がつくけど。私は見習いから正式な魔女になるための修行を厭い、師匠に子にゃんこに変えれた。放り出された森で出会ったのは山賊の騎士団長。ついていった先には兄弟子がいい笑顔で待っていた。子にゃんこな私と山賊団長の織り成すほっこりできる日常・・・・とは無縁な。どう頑張ってもコメディだ。面倒事しかないじゃない!だから、人は嫌いよ~!!!
完結済み。
毎週金曜日更新予定 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる