とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第406話 残り3日

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「クリス、温泉行かないのか?」
「ああ。少しテンション上げ過ぎて疲れたから、今日は部屋のシャワーを使うよ。ダメなのは分かってるけど、今日だけは見逃してくれ、シン」
「……はぁ~分かった。じゃ、僕は行って来るから」
「ありがとうシン」

 シンはそのまま部屋を部屋を出て行った。
 基本的に部屋にシャワー室が付いている場合が多いが、今回の修学旅行では男子側は基本的に使わず温泉に入る様にと言われている。
 理由は過去に部屋のシャワー室ではしゃいで壊した時があったらしく、それ以降も似た事故が発生した為、男子側は原則的に部屋のシャワー室は使用しない様に言われているのだ。
 だが、そうは言われているが、教員が毎回使っていないかなどと確認しに来るわけではない。
 その為、バレなければ問題はないのである。

「さてと、とりあえず先にシャワー浴びちゃうかな。この前みたいにまた誰か来たら嫌だし」

 私はそのまま準備をして、先に汗を流した。
 シャワーを浴びながら私は今日の出来事を振り返った。

「……嘘偽りなく、か……」

 そんな独り言を口にしつつ、私はシャワーで汗を流し終えシャワー室を出て洗面所で着替えや髪を乾かした。
 私は洗面所から出てベッドへと向かい、そのまま正面からベッドにうつ伏せに倒れた。
 そこで私は枕に向かって、ため息をつくように息を吐いた。
 そして顔を横に向けて、近くの机の上に置いておいた旅のしおりに手を伸ばし掴む。

「……後、3日か」

 私はそのまま体を横に向けて、しおりを開き残りの日程を確認した。

「明日も実質移動日で、明後日が最後の観光。そして最終日の午後には学院に向けて出発か」

 しおりをそこで閉じ、私は机の上に戻してそのまま仰向けになり、部屋の天井を見つめた後ゆっくりと瞼を閉じる。

「もう、そんなに時間はないな」

 そうクリスは呟くと、瞼を開け起き上がると自分の荷物を漁り始める。
 そして、一冊のノートを取り出すと椅子に座り、机でノートを開くとページをめくり始めある所で止めると、ペンを取り出して何かを書き始めるのだった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ふぅ~いい湯だったわ~」

 トウマはほっこりした気分で部屋に戻って来たが、部屋の電気は付いておらず誰も居ない事に気付き電気を付ける。

「あれ? ルークの奴、温泉にいないからてっきりまだ部屋にいると思ったんだが、いねえ」

 そんな事を呟きながらトウマは部屋の椅子に座る。

「どこ行ったんだあいつ。遊技場? いや、あいつだけで行かないだろうし、大半は同じ時間に風呂にいたし他のクラスに誘われてもないだろ。もしかして、タツミ先生の所とかか? それはあり得るな」

 と、その時部屋の扉が開きルークが帰って来る。

「ん、何だ温泉からもう帰って来てたのかトウマ」
「何だその言い方。早く帰って来ちゃまずいのかよ」
「いや、そういう訳じゃないんだが。思ったより早いと思ってな」
「今日は変にサウナ勝負とかせずに、普通に温泉を楽しんで来ただけだからな。まぁ、これが普通なんだろうが」

 トウマの話を聞き、ルークは「なるほど」と呟いて自分も温泉に向かう準備をし始める。

「ちなみだけどよ、どこ行ってたんだよルーク。タツミ先生の所か?」
「いや、タツミの所には行ってない」
「じゃ何処に行ってたんだ? はっ! まさか、ク――」
「クリスの所でもない。モーガンとちょっと話してただけだ」
「へぇ?」

 まさかの人物にトウマは気の抜けた声が出てしまう。
 ルークは温泉へ行く準備をしつつ「そんなに驚く事か?」と問いかける。

「えっ、あ~ちょっと、ビックリしただけだ」
「そうか。じゃ、行ってくるから」
「あ、ちょっと行く前にいいかルーク?」

 そう言って立ち上がりルークを追う。
 一方でトウマに呼び止められて、ルークは足を止めてトウマの方を向く。

「どうしたトウマ?」
「あー、えーっと、そのだな」
「何だよ」
「俺だけかもしれないし、気にし過ぎとも思うかもしれないんだが……」
「だから何だよ。早く言ってくれ」

 ルークに急かされて、トウマは少しきょろきょろをさせていた視線をルークに向けて口を開く。

「今日のクリスなんだけど、何て言うか、ちょっと変じゃなかったか? 具体的にって訳じゃないんだけど、こう、全体的に?」
「……?」

 トウマは両手でジェスチャーしながらルークに伝えるが、ルークはピンと来ておらず軽く首を傾げた。
 その姿を見てトウマは伝わってないと理解し、両手で頭を抱える。

「あーいや、ごめん。やっぱり何でもない。忘れてくれ、ルーク。変な事で呼び止めて悪かった。温泉楽しんで来てくれ」

 そう言ってトウマはルークに背を向けて座っていた椅子へと戻って行く。
 ルークはそんなトウマに話を訊く事はせずに「あぁ」と答えて、部屋を出るのだった。
 部屋に残ったトウマは椅子に座り、頭を抱えた。

「何言ってんだよ、俺……今日あんな事しちまったから、動揺してんのかな。あははは……はぁ~」

 トウマはそこから椅子に深く寄りかかり、天井を見上げるのだった。
 一方でルークは部屋を出て、ホテルの廊下を歩き温泉へと向かいながら考え事をしていた。

「(今日長く一緒にいたトウマも、ああ言うとなると俺の勘違いって訳でもなさそうだな。モーガンにはここ数日クリスの魔力の色を見たかと訊いたが、見てはないが、雰囲気が少し変わった様な気がするとは言っていたな。修学旅行だからかもと言っていたが、今日に関してはここ数日より落ち着いた雰囲気で、いつもの学院での感じだったと口にもしてたな……)」

 ルークはそんな事を考えながら温泉へと向かって行く。
 そして、修学旅行7日目の夜は更けて行くのだった。
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