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第415話 距離感と別れ
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さっきのって勘違いとかじゃなくて、人差し指越しにキスされたよね? そうだよね!?
私は両手で顔を覆いながら、何度も瞬きをした。
その時に軽く自分の唇を触るが、キスされた感触ではなく今の自分の手が当たっている感触と同じ感触が鮮明に甦る。
本当にキスをされた訳ではないと分かってはいるが、あの光景がどうしても頭から離れずに、脳裏に焼き付いてしまっており未だに動揺が隠せないでいる。
キスじゃないけど、キスしに来てはいたよね? え? 何? 人差し指を挟んでいれば、それはキスじゃないよね? いや、あれは間接キスに当たる? それ以前にルークのあの行動って……
私は、まだ顔を少し手を覆いながらルークの方を見るが、ルークもこちらを既に見ておらず何も話し掛けてこない為、こっちから今の事を蒸し返して訊く勇気がないので、そのまま私も黙り続けた。
そして、私とルークだけ何とも言い難いぎこちない雰囲気が続き、ただ時間が過ぎて行く。
さすがに私もこのまま黙り続けて、変になかった事にも出来ないと意を決してルークに話し掛けようとしたら、ルークがゆっくりと振り返って来る。
「クリス、さっきの事だが……」
「う、うん」
「……その、急にあんな事をしたのは謝る。俺も少し気持ちが変になっていた……反省はしている」
「うん」
ルークは私の目を真っすぐに見続けて話している訳ではなく、少しだけ視線を落として私に話し掛けて来ていた。
私もチラチラとルークの顔を見ながら返事をしていたので、お互い様である。
「ただ……いや、やっぱり何でもない」
「? な、何だよ」
「だから何でもない。これで、この話は終わりだ」
「ちょっと」
するとルークは一方的に話を切り、右手で口元を隠すと、また私から完全に視線を逸らた。
私は何を言おうとしたのか気になったが、これ以上さっきの話をすると私も思い出してルークの様な態度をとるかもしれないと思い、追求するのは止めた。
一方でルークは、そっぽを向きながらさっき言いかけた事を反省していた。
「(馬鹿か俺は! あんな事しておいて、なかった事にはしないで欲しいなんて口走りそうになって! いくらなんでもヤバい。本当にさっきから自分自身が、変な感じだ。気持ちも抑えられないであんな行動するし、後先考えない無茶もするわで、本当に変だぞ俺」
一人そんな風に考えていた直後、遠くからトウマの声が聞こえてくる。
「あー! いたいた! おーい、クリス! ルーク!」
トウマの声に二人も反応し、声が聞こえて来た方に視線を向けると、そこにはトウマ以外にシンやモーガン、それに二コルの姿があった。
その後トウマが小走りで近寄って来て、他の皆も合流して来た。
「良かった、見つかって」
「思ったより、少ししか離れていなくて安心したよ。あんな事になってしまって、本当に申し訳ない」
「謝んないで下さいよ、二コルさん。こうして直ぐに会えましたし、別に離れている時に事件とかに巻き込まれた訳じゃないんですし。なあ?」
トウマがそう私たちに問いかけて来て、ルークは「……あぁ」と少しそっけなく答え、私も「そう、だな」と少し歯切れ悪く答えてしまう。
少し違和感に思ったのか軽く首を傾げたトウマは、私とルークの微妙な雰囲気を察したのか「もしかして」と呟く。
私とルークは互いに変な態度だったのがバレて、何かあったのではと追求されてしまうと思い身構える。
「お前ら、俺たちが居ない間に変な事件に巻き込まれたりしたんじゃないのか?」
「ん?」
「え?」
「うん?」
トウマの言葉に、私とルークは同じ様な反応をし、トウマはその反応を見て私たちの奥の方で、何やら騒ぎになっているのを指さす。
「え? 違うのか? てっきり変な雰囲気だったから、あそこで騒いでいる何かに巻き込まれたのかと思ったんだが、違うのか」
「あ、あーそれか……まぁ、何て言うか間接的にだな、あれは」
「そうだな……うん、そうとしか言えない、かな」
「おいおい。何だよその言い方はよ。まさか、何かやったのか?」
その後ルークに対してトウマが追求し始め、ルークは別に隠す事でもないと判断し窃盗犯と偶然遭遇した一件をその場の皆に話すのだった。
ちなみに魔法を使用したという事と私がぶつかって怪我しそうになったは伝えずに、勝手に転んで身動きが取れなくなり、確保されほぼ無関係だと伝えるのだった。
どうしてルークがそんな風に伝えたかは分からなかったが、ルークなりに変に探られるよりも無関係だったと伝え、今のこの雰囲気はそれを見ていたからだと疑われない様にしようとしたのだと勝手に私なりに解釈し、話を合わせた。
もしかしたら、私が怪我をしそうになったという事を伝えて変に心配されるのを避けてくれたのかとも考えたが、結局はどういう意図なのかは分からずじまいである。
それから私はトウマたちと共に、二コル先導の下オーロング美術館へと向かい始めた。
その道中で、完全に顔を隠す変装をしたリーベストと合流し、目的地へと向かうがその道で私とルークは互いに距離をとって一言も話す事はなかった。
オーロング美術館に到着し作品を見て回っている時に、偶然アルジュ班と出会ったのでそのブロックの作品を一緒に見て回ったりしてから、再び別れて私たちの班はリーベストと二コルのガイドでオーロング美術館の他のブロックを見て回った。
そして、つまみつまみに案内されながらオーロング美術館を見終え外に出ると、既に空が赤くなり始めていた。
時間的にもそろそろホテルへと戻り始めないといけない時間だと時計を見て判明する。
「そうか、もうそんな時間か。楽しい時間はあっという間だな~あれ? まだ明日も居るんだっけか?」
今となってはもう誰かも少し分かりずらくなっているリーベストが訊ねて来て、トウマがしおりを見ながら「明日の午前中までですね」と答える。
「そっか。まだまだ見せてやりたい所もあるが、さすがに一日じゃ回り切れないわ。それに俺たちも明日は学院に行かなくちゃいけないし、会う事も出来ないんだよな。残念だ……いや待てよ、サボるっていうのも手だな」
「馬鹿な事言うなリーベスト。明日は大切な話し合いがあるんだから、欠席はさせられん。というより、俺がそんな事させない」
「こわ。二コル、怖いよ。冗談、冗談だって、さすがに分かってるよ俺だって。でも、こうしてまた学院交流出来て楽しかったから、名残惜しくてよ」
「まぁそれは分からなくはないが、俺たちのせいでルークたちを変な事に巻き込んだ事は、今の自分の変装で理解しているよな?」
「あ、はい。それに関しては申し訳なかった」
リーベストはそう言って、私たちに軽く頭を下げると二コルも「せっかくの修学旅行なのに、迷惑を掛けた」と一緒に頭を下げるのだった。
その姿を見て私たちは驚き、トウマがすぐに頭を上げる様に伝え、二人にはすぐに頭を上げてもらった。
迷惑どころか、案内まで買って出てもらってこちらとしてもありがたかったし、よりベンベルを見て回れて楽しかったと改めてリーベストと二コルに対して、私たちは感謝していると伝えた。
「そう思ってくれているなら良かったよ。出来れば、明日も案内してやりたかったが、あいにく予定があってそれは出来ないが、最後までベンベルを楽しんでくれ」
「そうだぞ。まだまだこのベンベルには、凄い所が沢山あるんだぞ! ガイドブックとかには乗ってない隠れた名所とか、滅茶苦茶飯が美味い隠れた名店とか、ここでしか買えない魔道具とか、話すと尽きない程にな。だから、時間は少ないかもしれないが冒険するつもりで見てくれ! 見て、行って損する場所はベンベルにはないんだからな!」
「さすがにそれは言い過ぎじゃないか、リーベスト?」
「俺にとってはそうなんだよ」
そんな二人の話を聞いて、私はハプニングもありながらも、二人と出会えたお陰でベンベルを楽しくより魅力的に観光できたと感じた。
そうして私たちはリーベストと二コルとは、オーロング美術館近くで別れを告げてホテルへと向かい始めた。
「オービンにもよろしくな~!」
遠くからリーベストが手を振って言われた事に、トウマが大声で「分かりましたー!」と返し最後にもう一度感謝の言葉を伝えて、私たちは立ち去った。
こうしてホテルへ戻り、9日目ベンベルの自由観光は、終了したのだ。
そして、次の日修学旅行最終日を迎えるのだが、その日私たちは帰路につく前に衝撃的な出来事を教員たちから告げられるとは、この時の私たちは思いもしていなかった。
私は両手で顔を覆いながら、何度も瞬きをした。
その時に軽く自分の唇を触るが、キスされた感触ではなく今の自分の手が当たっている感触と同じ感触が鮮明に甦る。
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キスじゃないけど、キスしに来てはいたよね? え? 何? 人差し指を挟んでいれば、それはキスじゃないよね? いや、あれは間接キスに当たる? それ以前にルークのあの行動って……
私は、まだ顔を少し手を覆いながらルークの方を見るが、ルークもこちらを既に見ておらず何も話し掛けてこない為、こっちから今の事を蒸し返して訊く勇気がないので、そのまま私も黙り続けた。
そして、私とルークだけ何とも言い難いぎこちない雰囲気が続き、ただ時間が過ぎて行く。
さすがに私もこのまま黙り続けて、変になかった事にも出来ないと意を決してルークに話し掛けようとしたら、ルークがゆっくりと振り返って来る。
「クリス、さっきの事だが……」
「う、うん」
「……その、急にあんな事をしたのは謝る。俺も少し気持ちが変になっていた……反省はしている」
「うん」
ルークは私の目を真っすぐに見続けて話している訳ではなく、少しだけ視線を落として私に話し掛けて来ていた。
私もチラチラとルークの顔を見ながら返事をしていたので、お互い様である。
「ただ……いや、やっぱり何でもない」
「? な、何だよ」
「だから何でもない。これで、この話は終わりだ」
「ちょっと」
するとルークは一方的に話を切り、右手で口元を隠すと、また私から完全に視線を逸らた。
私は何を言おうとしたのか気になったが、これ以上さっきの話をすると私も思い出してルークの様な態度をとるかもしれないと思い、追求するのは止めた。
一方でルークは、そっぽを向きながらさっき言いかけた事を反省していた。
「(馬鹿か俺は! あんな事しておいて、なかった事にはしないで欲しいなんて口走りそうになって! いくらなんでもヤバい。本当にさっきから自分自身が、変な感じだ。気持ちも抑えられないであんな行動するし、後先考えない無茶もするわで、本当に変だぞ俺」
一人そんな風に考えていた直後、遠くからトウマの声が聞こえてくる。
「あー! いたいた! おーい、クリス! ルーク!」
トウマの声に二人も反応し、声が聞こえて来た方に視線を向けると、そこにはトウマ以外にシンやモーガン、それに二コルの姿があった。
その後トウマが小走りで近寄って来て、他の皆も合流して来た。
「良かった、見つかって」
「思ったより、少ししか離れていなくて安心したよ。あんな事になってしまって、本当に申し訳ない」
「謝んないで下さいよ、二コルさん。こうして直ぐに会えましたし、別に離れている時に事件とかに巻き込まれた訳じゃないんですし。なあ?」
トウマがそう私たちに問いかけて来て、ルークは「……あぁ」と少しそっけなく答え、私も「そう、だな」と少し歯切れ悪く答えてしまう。
少し違和感に思ったのか軽く首を傾げたトウマは、私とルークの微妙な雰囲気を察したのか「もしかして」と呟く。
私とルークは互いに変な態度だったのがバレて、何かあったのではと追求されてしまうと思い身構える。
「お前ら、俺たちが居ない間に変な事件に巻き込まれたりしたんじゃないのか?」
「ん?」
「え?」
「うん?」
トウマの言葉に、私とルークは同じ様な反応をし、トウマはその反応を見て私たちの奥の方で、何やら騒ぎになっているのを指さす。
「え? 違うのか? てっきり変な雰囲気だったから、あそこで騒いでいる何かに巻き込まれたのかと思ったんだが、違うのか」
「あ、あーそれか……まぁ、何て言うか間接的にだな、あれは」
「そうだな……うん、そうとしか言えない、かな」
「おいおい。何だよその言い方はよ。まさか、何かやったのか?」
その後ルークに対してトウマが追求し始め、ルークは別に隠す事でもないと判断し窃盗犯と偶然遭遇した一件をその場の皆に話すのだった。
ちなみに魔法を使用したという事と私がぶつかって怪我しそうになったは伝えずに、勝手に転んで身動きが取れなくなり、確保されほぼ無関係だと伝えるのだった。
どうしてルークがそんな風に伝えたかは分からなかったが、ルークなりに変に探られるよりも無関係だったと伝え、今のこの雰囲気はそれを見ていたからだと疑われない様にしようとしたのだと勝手に私なりに解釈し、話を合わせた。
もしかしたら、私が怪我をしそうになったという事を伝えて変に心配されるのを避けてくれたのかとも考えたが、結局はどういう意図なのかは分からずじまいである。
それから私はトウマたちと共に、二コル先導の下オーロング美術館へと向かい始めた。
その道中で、完全に顔を隠す変装をしたリーベストと合流し、目的地へと向かうがその道で私とルークは互いに距離をとって一言も話す事はなかった。
オーロング美術館に到着し作品を見て回っている時に、偶然アルジュ班と出会ったのでそのブロックの作品を一緒に見て回ったりしてから、再び別れて私たちの班はリーベストと二コルのガイドでオーロング美術館の他のブロックを見て回った。
そして、つまみつまみに案内されながらオーロング美術館を見終え外に出ると、既に空が赤くなり始めていた。
時間的にもそろそろホテルへと戻り始めないといけない時間だと時計を見て判明する。
「そうか、もうそんな時間か。楽しい時間はあっという間だな~あれ? まだ明日も居るんだっけか?」
今となってはもう誰かも少し分かりずらくなっているリーベストが訊ねて来て、トウマがしおりを見ながら「明日の午前中までですね」と答える。
「そっか。まだまだ見せてやりたい所もあるが、さすがに一日じゃ回り切れないわ。それに俺たちも明日は学院に行かなくちゃいけないし、会う事も出来ないんだよな。残念だ……いや待てよ、サボるっていうのも手だな」
「馬鹿な事言うなリーベスト。明日は大切な話し合いがあるんだから、欠席はさせられん。というより、俺がそんな事させない」
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「あ、はい。それに関しては申し訳なかった」
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その姿を見て私たちは驚き、トウマがすぐに頭を上げる様に伝え、二人にはすぐに頭を上げてもらった。
迷惑どころか、案内まで買って出てもらってこちらとしてもありがたかったし、よりベンベルを見て回れて楽しかったと改めてリーベストと二コルに対して、私たちは感謝していると伝えた。
「そう思ってくれているなら良かったよ。出来れば、明日も案内してやりたかったが、あいにく予定があってそれは出来ないが、最後までベンベルを楽しんでくれ」
「そうだぞ。まだまだこのベンベルには、凄い所が沢山あるんだぞ! ガイドブックとかには乗ってない隠れた名所とか、滅茶苦茶飯が美味い隠れた名店とか、ここでしか買えない魔道具とか、話すと尽きない程にな。だから、時間は少ないかもしれないが冒険するつもりで見てくれ! 見て、行って損する場所はベンベルにはないんだからな!」
「さすがにそれは言い過ぎじゃないか、リーベスト?」
「俺にとってはそうなんだよ」
そんな二人の話を聞いて、私はハプニングもありながらも、二人と出会えたお陰でベンベルを楽しくより魅力的に観光できたと感じた。
そうして私たちはリーベストと二コルとは、オーロング美術館近くで別れを告げてホテルへと向かい始めた。
「オービンにもよろしくな~!」
遠くからリーベストが手を振って言われた事に、トウマが大声で「分かりましたー!」と返し最後にもう一度感謝の言葉を伝えて、私たちは立ち去った。
こうしてホテルへ戻り、9日目ベンベルの自由観光は、終了したのだ。
そして、次の日修学旅行最終日を迎えるのだが、その日私たちは帰路につく前に衝撃的な出来事を教員たちから告げられるとは、この時の私たちは思いもしていなかった。
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