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第421話 進撃
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「お、お前は……」
ザベッシュが驚いていると、ウェントが一瞬でアバンとの距離を詰め、殴り掛かるがアバンは横にかわす。
が、かわした方面の背後に突然熊の魔物が現れ、アバンの背後目掛けて鋭い爪で襲い掛かる。
しかし、その爪はアバンに届く事なく、見えない壁に弾かれ攻撃したその手は切り刻まれた様な切り傷を負う。
痛みで叫ぶ熊の魔物に、アバンは振り返り指先に凝縮させた魔力の塊を頭部目掛けて打ち放ち、熊の魔物を一撃で倒す。
「くまちー! この野郎!」
ウェントは奇声の様な声を上げ、両手を勢いよく真上へと突き上げると、アバンの周囲の地面が黒くなるとそこから無数の魔物が襲いかかって来る。
完全に逃げ道がなく絶体絶命の状況であるが、アバンは焦る事無く力強く飛び上がり更に、足元から『ガスト』を使用し一気に空中へと逃げる。
そしてアバンは空中で、魔力創造で地面にいる魔物たちの足元を拘束し身動きを封じるのと同時に、魔力を片手に集めると威力の強い『フレイム』を魔物たち目掛けて放ち、灰燼に帰す。
通常の『フレイム』では対象を灰燼にするなどあり得ない威力だが、アバンは魔力質量、制御、力を一瞬で切り替え威力を数倍にも上げた『フレイム』を放ったのであった。
強い熱気の近くにいた、ウェントとザベッシュは熱さを両手で防ぐよう。
アバンは地面へと降り立つと、ウェントに対して声を掛ける。
「いくら魔物を出そうとも無駄だ。観念しろ、侵入者」
「っぐぅう……」
ウェントはアバンの方を睨みつけながら、強く奥歯を噛みしめ歯ぎしりを小さくし始める。
「お前、うざ」
「どう思われようと結構。お前を拘束する!」
直後アバンは魔力技量で、ウェントの足元を削り取り地面へと落とす。
そのまま魔力創造で削り取った部分を埋めて、不意打ちの拘束を行う。
ウェントもまさか足元が急に消えるとは思っていなかった為、目を見開き真下を見る。
「(魔法や道具だけが拘束、捕縛じゃない。周囲の物を使い不意打ちで捕らえる)」
一度きりだが、不意打ちならば捕らえられる確率は高いと考え咄嗟にその行動に出たのだった。
が、アバンは未だにウェントの能力を把握していなかったのが、この作戦の唯一の欠点となってしまう。
「やるな、お前!」
そう口にするとウェントは自分の真上に黒い空間を出現させ、そこから魔物に自分の手を加えさせ、真上へと放り投げさせた。
「っ!?」
「さあ! 大解放といこうじゃないの! 出ておいで、私の可愛い魔物ちゃんたち!」
すると周囲一帯の様々な場所に、黒い空間が沢山出現する。
黒い空間からは、大小さまざまな魔物たちが現れると周囲の建物や負傷した王国兵たちへと襲い掛かる。
アバンは咄嗟に襲われそうになっていた王国兵を護るために、魔力創造で防壁を創ったり、得意の風魔法で自身に襲い掛かって来る魔物を吹き飛ばす。
一方でウェントは、家屋の屋根に着地すると狼の魔物を呼びつけ、背中に乗る。
「あ~お前と遊ぶとつまらないから、ここでお別れね。あとその辺にいるおもちゃは、他の子たちが遊ぶと思うけど護れるものなら護ってみれば?」
それだけ言い残すとウェントは狼の背に乗り、人々や一部の王国兵が向かった王城方面へと移動し始める。
本来ならばウェントを追うべきなのだが、アバンは負傷しているザべッシュたちを見捨てる事が出来ず、ウェントから視線を外し負傷者の人数や場所を把握し始める。
既に無数の魔物たちが周囲に溢れておりアバンは全員を更に傷を負わさずに助け出すのは難しいと思い、一瞬思考が止まってしまう。
「(まずい……考えて動いては被害が大きくなる。ここは、近い人から助け出――)」
アバンがそう思考している最中にも、再び魔物がアバン目掛けて飛び掛かって来るが、魔物を薙ぎ払いアバンは、近くに見えたザべッシュを魔物から護ろうと魔法を発動させる。
が、再びそこへ魔物が飛び込んで来てアバンは避けきれないと理解する。
「しまっ」
しかし、襲い掛かって来た魔物は急に魔法が直撃して吹き飛んで行く。
アバンは魔法が離れた方へと視線を向けると、それを放ったのはザべッシュであった。
「舐めてもらっては困る。私は部隊長だ」
するとザベッシュは地面から魔力創造で槍を創り出し、周囲の魔物を串刺しにする。
そのまま負傷していた王国兵たちを魔力創造でこちらへと引き寄せたのだった。
そして、自分も付近へと全兵士を集めた後、再び魔力創造でアバンを含め自分たちを地面で囲うと、全体に地面から逃げ場がない様に槍を無数に創り出し、周囲一帯の魔物を全て串刺しにする。
直後、ザべッシュは膝から崩れ落ち、自分たちを囲っていた壁も崩れる。
壁が消えて周囲の光景を見たアバンと王国兵たちは、その凄さに目を疑った。
「(す、凄すぎる……なんて量の槍の数だ。見渡す限り全ての箇所から魔力創造で槍を創り出し、魔物を突き刺している。こんな事出来る方が異常だ)」
アバンは初めてザべッシュが隊長である理由を目の当たりにしたと思い、ゆっくりとザべッシュへと視線を向ける。
ザべッシュは近くの王国兵たちが駆け寄り、肩をかしていた。
「周辺に生きている魔物の姿はあるか?」
「い、いえ。この位置からは確認出来ません」
「そうか。なら、一気に魔力を消費した理由はあるな。だが、まだあの侵入者を捕らえない限り危機は続く」
「はい……直ぐに私たちだけでもあの侵入者を追います」
「それは今の状態では難しいだろ。私も言えた状態ではないが」
そう口にしザべッシュは、アバンの方へと視線を向ける。
「お前は、サスト隊の」
「はい! アバン・フォークロスです」
「そうか。何故この場にいるのか理由を訊きたい所だが、こんな状況だ。外も想定外の事態があったのだろう」
そしてアバンは簡易的に外での出来事をザべッシュに伝えた。
「なるほど状況は理解した。もしかしたら、他の担当地区でもあいつの様な奴が現れているかもしれない」
「はい。可能性はゼロではないですね」
「本来ならば、この場は任せてもらい、君には王城へと向かって状況を確認と報告をしてもらいた所なんだが、私や他の主戦力の兵士たちが負傷していて、現状あの侵入者を捕らえるのは厳しい。だが先程の君の戦いを見て君ならば、あいつを止められる事が出来ると思っている。だから、力を貸してくれないだろうかアバン・フォークロス」
「はい。この状況を放ってはおけません。早急にあの侵入者を捕らえ、他の地区や王城の状況確認と情報伝達を行います」
「すまない」
「いえ。王国軍兵士ならば、市民を護るのが何よりも最優先すべき事でありますので」
ザべッシュはその言葉を聞き、小さく笑うと自分で立ち上がり、ウェントの後を急いで皆と一緒に追いながら作戦を組み立て始めるのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
西地区で戦闘が起こっていた同時刻、東地区、南地区でも同じく侵入者が現れ担当部隊の兵士たちと戦闘が始まっていた。
東地区担当はグーゲンベル隊であり、現れた侵入者はジーニンと名乗る鎧姿の男であった。
グーゲンベル隊は人々を避難させつつ、ジーニンの進行を食い止めようと立ち向かうが、ジーニンには相手にされず投げ飛ばされたりしてしまう。
一方で特に人々に被害は出ていないのが幸いしており、ジーニンは人々よりも立ち向かって来る王国兵の相手を楽しむ様に戦い続けていた。
南地区担当は、ポーレスト隊だったが王都全域を囲う様に結界が出た時点で人々の避難を始めており、既に大半の人々は避難し終わり周囲を警戒していた。
そんな中でポツンと大通りに軽い猫背でニット帽を被った人が現れる。
「貴様、そこで何をしている?」
「……あ~嫌だ嫌だ」
「ん? 何をぶつぶつと」
王国兵がそう問いかけた直後、目の前の人物が二人になり、目を疑いこすってもう一度見ると次は三人になっていた。
直後、その王国兵は三人に押し倒されて短剣で各部位を刺されてしまうのだった。
その後付近にいた王国兵がやって来るも、相手はまた一人また一人と増え、手に負えなくなり始めるのだった。
「あ~あ、こういう単独潜入とか苦手なんだけどな……ペルトグレットもういい、戻って来いとか言われないかな~……言われないだろうな~……はぁ~しんど」
そう呟きながら、ゆっくりと王城目指し進行し始めるのだった。
ザベッシュが驚いていると、ウェントが一瞬でアバンとの距離を詰め、殴り掛かるがアバンは横にかわす。
が、かわした方面の背後に突然熊の魔物が現れ、アバンの背後目掛けて鋭い爪で襲い掛かる。
しかし、その爪はアバンに届く事なく、見えない壁に弾かれ攻撃したその手は切り刻まれた様な切り傷を負う。
痛みで叫ぶ熊の魔物に、アバンは振り返り指先に凝縮させた魔力の塊を頭部目掛けて打ち放ち、熊の魔物を一撃で倒す。
「くまちー! この野郎!」
ウェントは奇声の様な声を上げ、両手を勢いよく真上へと突き上げると、アバンの周囲の地面が黒くなるとそこから無数の魔物が襲いかかって来る。
完全に逃げ道がなく絶体絶命の状況であるが、アバンは焦る事無く力強く飛び上がり更に、足元から『ガスト』を使用し一気に空中へと逃げる。
そしてアバンは空中で、魔力創造で地面にいる魔物たちの足元を拘束し身動きを封じるのと同時に、魔力を片手に集めると威力の強い『フレイム』を魔物たち目掛けて放ち、灰燼に帰す。
通常の『フレイム』では対象を灰燼にするなどあり得ない威力だが、アバンは魔力質量、制御、力を一瞬で切り替え威力を数倍にも上げた『フレイム』を放ったのであった。
強い熱気の近くにいた、ウェントとザベッシュは熱さを両手で防ぐよう。
アバンは地面へと降り立つと、ウェントに対して声を掛ける。
「いくら魔物を出そうとも無駄だ。観念しろ、侵入者」
「っぐぅう……」
ウェントはアバンの方を睨みつけながら、強く奥歯を噛みしめ歯ぎしりを小さくし始める。
「お前、うざ」
「どう思われようと結構。お前を拘束する!」
直後アバンは魔力技量で、ウェントの足元を削り取り地面へと落とす。
そのまま魔力創造で削り取った部分を埋めて、不意打ちの拘束を行う。
ウェントもまさか足元が急に消えるとは思っていなかった為、目を見開き真下を見る。
「(魔法や道具だけが拘束、捕縛じゃない。周囲の物を使い不意打ちで捕らえる)」
一度きりだが、不意打ちならば捕らえられる確率は高いと考え咄嗟にその行動に出たのだった。
が、アバンは未だにウェントの能力を把握していなかったのが、この作戦の唯一の欠点となってしまう。
「やるな、お前!」
そう口にするとウェントは自分の真上に黒い空間を出現させ、そこから魔物に自分の手を加えさせ、真上へと放り投げさせた。
「っ!?」
「さあ! 大解放といこうじゃないの! 出ておいで、私の可愛い魔物ちゃんたち!」
すると周囲一帯の様々な場所に、黒い空間が沢山出現する。
黒い空間からは、大小さまざまな魔物たちが現れると周囲の建物や負傷した王国兵たちへと襲い掛かる。
アバンは咄嗟に襲われそうになっていた王国兵を護るために、魔力創造で防壁を創ったり、得意の風魔法で自身に襲い掛かって来る魔物を吹き飛ばす。
一方でウェントは、家屋の屋根に着地すると狼の魔物を呼びつけ、背中に乗る。
「あ~お前と遊ぶとつまらないから、ここでお別れね。あとその辺にいるおもちゃは、他の子たちが遊ぶと思うけど護れるものなら護ってみれば?」
それだけ言い残すとウェントは狼の背に乗り、人々や一部の王国兵が向かった王城方面へと移動し始める。
本来ならばウェントを追うべきなのだが、アバンは負傷しているザべッシュたちを見捨てる事が出来ず、ウェントから視線を外し負傷者の人数や場所を把握し始める。
既に無数の魔物たちが周囲に溢れておりアバンは全員を更に傷を負わさずに助け出すのは難しいと思い、一瞬思考が止まってしまう。
「(まずい……考えて動いては被害が大きくなる。ここは、近い人から助け出――)」
アバンがそう思考している最中にも、再び魔物がアバン目掛けて飛び掛かって来るが、魔物を薙ぎ払いアバンは、近くに見えたザべッシュを魔物から護ろうと魔法を発動させる。
が、再びそこへ魔物が飛び込んで来てアバンは避けきれないと理解する。
「しまっ」
しかし、襲い掛かって来た魔物は急に魔法が直撃して吹き飛んで行く。
アバンは魔法が離れた方へと視線を向けると、それを放ったのはザべッシュであった。
「舐めてもらっては困る。私は部隊長だ」
するとザベッシュは地面から魔力創造で槍を創り出し、周囲の魔物を串刺しにする。
そのまま負傷していた王国兵たちを魔力創造でこちらへと引き寄せたのだった。
そして、自分も付近へと全兵士を集めた後、再び魔力創造でアバンを含め自分たちを地面で囲うと、全体に地面から逃げ場がない様に槍を無数に創り出し、周囲一帯の魔物を全て串刺しにする。
直後、ザべッシュは膝から崩れ落ち、自分たちを囲っていた壁も崩れる。
壁が消えて周囲の光景を見たアバンと王国兵たちは、その凄さに目を疑った。
「(す、凄すぎる……なんて量の槍の数だ。見渡す限り全ての箇所から魔力創造で槍を創り出し、魔物を突き刺している。こんな事出来る方が異常だ)」
アバンは初めてザべッシュが隊長である理由を目の当たりにしたと思い、ゆっくりとザべッシュへと視線を向ける。
ザべッシュは近くの王国兵たちが駆け寄り、肩をかしていた。
「周辺に生きている魔物の姿はあるか?」
「い、いえ。この位置からは確認出来ません」
「そうか。なら、一気に魔力を消費した理由はあるな。だが、まだあの侵入者を捕らえない限り危機は続く」
「はい……直ぐに私たちだけでもあの侵入者を追います」
「それは今の状態では難しいだろ。私も言えた状態ではないが」
そう口にしザべッシュは、アバンの方へと視線を向ける。
「お前は、サスト隊の」
「はい! アバン・フォークロスです」
「そうか。何故この場にいるのか理由を訊きたい所だが、こんな状況だ。外も想定外の事態があったのだろう」
そしてアバンは簡易的に外での出来事をザべッシュに伝えた。
「なるほど状況は理解した。もしかしたら、他の担当地区でもあいつの様な奴が現れているかもしれない」
「はい。可能性はゼロではないですね」
「本来ならば、この場は任せてもらい、君には王城へと向かって状況を確認と報告をしてもらいた所なんだが、私や他の主戦力の兵士たちが負傷していて、現状あの侵入者を捕らえるのは厳しい。だが先程の君の戦いを見て君ならば、あいつを止められる事が出来ると思っている。だから、力を貸してくれないだろうかアバン・フォークロス」
「はい。この状況を放ってはおけません。早急にあの侵入者を捕らえ、他の地区や王城の状況確認と情報伝達を行います」
「すまない」
「いえ。王国軍兵士ならば、市民を護るのが何よりも最優先すべき事でありますので」
ザべッシュはその言葉を聞き、小さく笑うと自分で立ち上がり、ウェントの後を急いで皆と一緒に追いながら作戦を組み立て始めるのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
西地区で戦闘が起こっていた同時刻、東地区、南地区でも同じく侵入者が現れ担当部隊の兵士たちと戦闘が始まっていた。
東地区担当はグーゲンベル隊であり、現れた侵入者はジーニンと名乗る鎧姿の男であった。
グーゲンベル隊は人々を避難させつつ、ジーニンの進行を食い止めようと立ち向かうが、ジーニンには相手にされず投げ飛ばされたりしてしまう。
一方で特に人々に被害は出ていないのが幸いしており、ジーニンは人々よりも立ち向かって来る王国兵の相手を楽しむ様に戦い続けていた。
南地区担当は、ポーレスト隊だったが王都全域を囲う様に結界が出た時点で人々の避難を始めており、既に大半の人々は避難し終わり周囲を警戒していた。
そんな中でポツンと大通りに軽い猫背でニット帽を被った人が現れる。
「貴様、そこで何をしている?」
「……あ~嫌だ嫌だ」
「ん? 何をぶつぶつと」
王国兵がそう問いかけた直後、目の前の人物が二人になり、目を疑いこすってもう一度見ると次は三人になっていた。
直後、その王国兵は三人に押し倒されて短剣で各部位を刺されてしまうのだった。
その後付近にいた王国兵がやって来るも、相手はまた一人また一人と増え、手に負えなくなり始めるのだった。
「あ~あ、こういう単独潜入とか苦手なんだけどな……ペルトグレットもういい、戻って来いとか言われないかな~……言われないだろうな~……はぁ~しんど」
そう呟きながら、ゆっくりと王城目指し進行し始めるのだった。
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