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第432話 泰然
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「どういう事? ただの一般人が簡単に倒せる相手じゃないのよ。それをあんなに手慣れた感じ相手をする、あの二人は誰なのよ!」
イラつきウェントはその場で地団駄する。
そんな真下で、次々に現れる魔物を王国軍に変わり倒し続けた二人の男の正体は、王都メルト魔法学院の第3学年寮長イルダと副寮長マルロスであった。
「イルダ、こっちは片付いたぞ」
「そうか。こっちもひとまず人々に迫る魔物の駆除は完了だ」
マルロスの呼びかけに、イルダは魔物を踏みつけて振り返る。
そのまま真上に魔物の気配を感じ見上げると、そこには宙で止まっている魔物を見つける。
「あそこにもう一体いるな。マルロス、転がっている掃除頼んでいいか?」
「自分に任せてくれ。分かっていると思うが、あそこに魔物を操っている存在がいるぞ」
「分かっているよ」
「くれぐれもやり過ぎるなよ、イルダ」
マルロスの忠告を聞いた後イルダは、軽く手足を回して柔軟した直後、正面にあった家屋目掛けて走り出す。
そのまま壁を蹴って登り始め、でっぱりなどを掴みどんどんと上へと登って行きあっという間に、ウェントが乗る魔物の元に辿り着く。
無言のまま背後から魔物に掴みかかるが、ウェントは直ぐにイルダに気付き乗っていた魔物に指示を出し攻撃させる。
が、イルダは異常な程の動体視力で魔物の攻撃を逸らして、魔物を掴むとそのまま建物の屋上へとウェントを乗せたまま投げ飛ばす。
ウェントは魔物から投げ飛ばされ建物の屋上で受け身をとり、体勢を立て直す。
一方でイルダは投げ飛ばした方へ着地し、一直線に地面に強く打ち付けられ身動きが取れなくなっている魔物に向かう。
そして脳天目掛けて掌底打ちし、魔物を駆除する。
その時イルダは返り血を浴びるが気にせず、イルダはウェントの方を見つめる。
ゆっくりとウェントの方へと歩き始めると、ウェントは「誰なんだよお前は!」と声を荒げて黒い空間を複数生成し、魔物を呼び出しイルダを襲わせる。
だが、イルダは瞬時に全魔物を把握し、一体一体確実に仕留めて行く。
その姿は魔物の殺し屋の様に正確な攻撃で、ウェントが呼び出した魔物はイルダにダメージを与えられる事無く死体となり転がるのだった。
ウェントは表情を返る事無く魔物を倒すイルダの姿に、恐怖を感じ後退し始める。
「(何だコイツ……何でそんな無表情で魔物に向き合って簡単に倒せるんだよ)」
再びイルダがウェントに向かって歩き出すと、ウェントは後退しながら魔物を放ち続ける。
しかし、展開は変わる事無く放たれた魔物は最終的にはイルダの手によって死体となり、転がってしまうのだった。
「来るな! 来るな、来るな、来るな、来るな! この化け物が!」
ウェントは下がりながら声を上げ魔物を放ち続けるも、イルダは止まる事無く向かって来る魔物を倒し、じわじわとウェントに迫って行く。
そしてウェントが遂に下がりきれない所まで来て、ウェント自身もこれ以上逃げられないと思いイルダから視線を外した時だった。
イルダは一瞬で距離を詰めウェントの前に立ちはだかる。
「ひっ!」
「……」
返り血を浴びた状態のイルダは無言のまま、怯えるウェントを見つめるとそっと手を伸ばす。
完全にイルダに恐怖を覚えてしまったウェントは瞳をギュッと閉じていると、イルダはウェントの手首に付いていた枷に触れると、それを掌底打ちで破壊する。
「えっ……」
思いもしない展開にウェントが瞳を開けてイルダの方へと視線を向けると、イルダが口を開く。
「枷なんかして、大変な目に遭ったんだな。でも、だからって魔物を使役して人を襲わせるのはよくないぞ」
「ぐっ……あんたに……あんたに何が分かるって言うんだよ!」
ウェントはイルダの言葉に反論すると、イルダの背後に魔物を放つがイルダはその場で背後に回し蹴りを叩き込み魔物を吹き飛ばし、次にウェント側からイルダの顔目掛けて口ちぎろうと魔物を呼び出す。
だが、イルダにはその魔物の存在も瞬時に感知し出現した魔物に手を伸ばし、魔物の鼻先を握りしめる。
そして振り返る勢いのまま、掴んだ鼻先を捻じりつつ掌底打ちを魔物の顎に叩き込み、頭部と胴体部分を引き離すのだった。
その時ウェントにも返り血が飛び散り、イルダはその魔物の鼻先を握ったままイルダを冷たく見つめる。
ウェントはこの時完全にイルダからは逃げられないと悟り、その場で崩れて座り込んでしまうのだった。
するとそこへ背後に人の気配を感じ、イルダが振り返るとそこにはアバンがやって来ていた。
「急に背後からすまない。俺は王国軍のアバンだ」
「アバン……どっかで聞いた気が」
「まずは、そこの人を拘束させてもらっていいかな?」
「え、あ、はい」
イルダはそこからどき、アバンがウェントに近付くと完全に戦意喪失している姿を見て、拘束魔法で完全に動きを封じる。
そしてアバンは返り血を浴びているイルダへと視線を向ける。
「それで君は大丈夫かい? かなり返り血を浴びているようだけど」
「大丈夫です。よくある事なので」
イルダはそう答えて握っていた魔物の頭部を離した。
「よくあるって、魔物に関する仕事でもしているのかい? 見た感じ慣れているのは分かるけど」
アバンは周辺に転がる死体を見て声を掛けると、そこへマルロスが普通に屋上の扉を開けて現れる。
急に鷹の仮面を付けた人物の登場に、さすがのアバンも驚いてしまう。
「驚かせてすいません。自分はマルロスって言います。そっちのイルダの付き添いです。格好から王国軍の人ですよね?」
「あ、ああ。俺はアバン。イルダのお陰で犯人を拘束できたし、君たちが魔物も倒してくれたお陰で人々も救えた。ありがとう、感謝する」
「いえいえ。それよりアバンと言いましたが、もしかしてオービンと昔学院対抗戦で戦った事があるアバンさんですか?」
「確かに昔オービンと戦った事はあるが、よく知っているな。もしかしてオービンの知り合いか?」
「あーなるほどオービンと凄い戦いをした人だったのか。だから聞き覚えがあったわけか」
「ええ、一応自分たちは王都メルト魔法学院の第3学年の寮長と副寮長なんです」
マルロスの言葉にアバンはイルダとマルロスの強さや魔物に対して動じない姿に合点がいくのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――王都メルト魔法学院内にて。
「お前、本当にオービンなのか?」
エメルがオービンに対してそう訊ねると、オービンは小さくため息をついた。
「急に何を言い出すと思ったら、何だそれは。偽者だと疑っているのか? 根拠はなんだよ、エメル。お前が何気なくそんな事いう奴じゃないのは知ってるぞ」
「雰囲気だよ。声のトーンや身なり、顔とか何処かが変とかじゃなく、ただ雰囲気がオービンじゃないと思ってるんだよ」
「それだけか? あー雰囲気って言われてもな……」
オービンは腕を組み、考え始める。
「確かに誰がどう見てもお前はオービン・クリバンスだ。だが、僕にはオービン・クリバンスの皮を被った知らない奴に見えるんだよ」
「……」
「そもそもだな、オービンは王都でそんな事態になっていたら心配だからって学院に戻って来る奴じゃないんだよ。一応第一王子だが、先頭に立って避難誘導とかする奴だ。仮にそれが終わったとしても王国軍と共に、原因調査を第一王子という権力を使ってやるだろうな」
エメルの言葉をオービンは黙って聞き続ける。
「まぁ、結局の所今のも僕の推測に過ぎないし、そんな事してないかもしれない。でも、お前は僕の知っているオービンじゃないとハッキリ分かる」
「雰囲気だけで、か?」
「ああ。もし間違っていても、別に謝るだけさ。オービンなら許してくれるだろうしな」
その言葉にオービンは眉をぴくっと動かす。
するとエメルは突然持っていた本を無作為に開いた。
急に何をし始めたのかとオービンはエメルの方に視線を向けていると、エメルはオービンの方を向いて勢いよく開いた本を閉じた。
周囲にパンッと本が閉じた音が響く。
エメルの謎の行動にオービンは軽く首を傾げた直後だった。
オービンは背後から殺気を感じ振り返ると、そこにはスニークの姿がありオービンの背目掛けて右掌底打ちを放つのだった。
イラつきウェントはその場で地団駄する。
そんな真下で、次々に現れる魔物を王国軍に変わり倒し続けた二人の男の正体は、王都メルト魔法学院の第3学年寮長イルダと副寮長マルロスであった。
「イルダ、こっちは片付いたぞ」
「そうか。こっちもひとまず人々に迫る魔物の駆除は完了だ」
マルロスの呼びかけに、イルダは魔物を踏みつけて振り返る。
そのまま真上に魔物の気配を感じ見上げると、そこには宙で止まっている魔物を見つける。
「あそこにもう一体いるな。マルロス、転がっている掃除頼んでいいか?」
「自分に任せてくれ。分かっていると思うが、あそこに魔物を操っている存在がいるぞ」
「分かっているよ」
「くれぐれもやり過ぎるなよ、イルダ」
マルロスの忠告を聞いた後イルダは、軽く手足を回して柔軟した直後、正面にあった家屋目掛けて走り出す。
そのまま壁を蹴って登り始め、でっぱりなどを掴みどんどんと上へと登って行きあっという間に、ウェントが乗る魔物の元に辿り着く。
無言のまま背後から魔物に掴みかかるが、ウェントは直ぐにイルダに気付き乗っていた魔物に指示を出し攻撃させる。
が、イルダは異常な程の動体視力で魔物の攻撃を逸らして、魔物を掴むとそのまま建物の屋上へとウェントを乗せたまま投げ飛ばす。
ウェントは魔物から投げ飛ばされ建物の屋上で受け身をとり、体勢を立て直す。
一方でイルダは投げ飛ばした方へ着地し、一直線に地面に強く打ち付けられ身動きが取れなくなっている魔物に向かう。
そして脳天目掛けて掌底打ちし、魔物を駆除する。
その時イルダは返り血を浴びるが気にせず、イルダはウェントの方を見つめる。
ゆっくりとウェントの方へと歩き始めると、ウェントは「誰なんだよお前は!」と声を荒げて黒い空間を複数生成し、魔物を呼び出しイルダを襲わせる。
だが、イルダは瞬時に全魔物を把握し、一体一体確実に仕留めて行く。
その姿は魔物の殺し屋の様に正確な攻撃で、ウェントが呼び出した魔物はイルダにダメージを与えられる事無く死体となり転がるのだった。
ウェントは表情を返る事無く魔物を倒すイルダの姿に、恐怖を感じ後退し始める。
「(何だコイツ……何でそんな無表情で魔物に向き合って簡単に倒せるんだよ)」
再びイルダがウェントに向かって歩き出すと、ウェントは後退しながら魔物を放ち続ける。
しかし、展開は変わる事無く放たれた魔物は最終的にはイルダの手によって死体となり、転がってしまうのだった。
「来るな! 来るな、来るな、来るな、来るな! この化け物が!」
ウェントは下がりながら声を上げ魔物を放ち続けるも、イルダは止まる事無く向かって来る魔物を倒し、じわじわとウェントに迫って行く。
そしてウェントが遂に下がりきれない所まで来て、ウェント自身もこれ以上逃げられないと思いイルダから視線を外した時だった。
イルダは一瞬で距離を詰めウェントの前に立ちはだかる。
「ひっ!」
「……」
返り血を浴びた状態のイルダは無言のまま、怯えるウェントを見つめるとそっと手を伸ばす。
完全にイルダに恐怖を覚えてしまったウェントは瞳をギュッと閉じていると、イルダはウェントの手首に付いていた枷に触れると、それを掌底打ちで破壊する。
「えっ……」
思いもしない展開にウェントが瞳を開けてイルダの方へと視線を向けると、イルダが口を開く。
「枷なんかして、大変な目に遭ったんだな。でも、だからって魔物を使役して人を襲わせるのはよくないぞ」
「ぐっ……あんたに……あんたに何が分かるって言うんだよ!」
ウェントはイルダの言葉に反論すると、イルダの背後に魔物を放つがイルダはその場で背後に回し蹴りを叩き込み魔物を吹き飛ばし、次にウェント側からイルダの顔目掛けて口ちぎろうと魔物を呼び出す。
だが、イルダにはその魔物の存在も瞬時に感知し出現した魔物に手を伸ばし、魔物の鼻先を握りしめる。
そして振り返る勢いのまま、掴んだ鼻先を捻じりつつ掌底打ちを魔物の顎に叩き込み、頭部と胴体部分を引き離すのだった。
その時ウェントにも返り血が飛び散り、イルダはその魔物の鼻先を握ったままイルダを冷たく見つめる。
ウェントはこの時完全にイルダからは逃げられないと悟り、その場で崩れて座り込んでしまうのだった。
するとそこへ背後に人の気配を感じ、イルダが振り返るとそこにはアバンがやって来ていた。
「急に背後からすまない。俺は王国軍のアバンだ」
「アバン……どっかで聞いた気が」
「まずは、そこの人を拘束させてもらっていいかな?」
「え、あ、はい」
イルダはそこからどき、アバンがウェントに近付くと完全に戦意喪失している姿を見て、拘束魔法で完全に動きを封じる。
そしてアバンは返り血を浴びているイルダへと視線を向ける。
「それで君は大丈夫かい? かなり返り血を浴びているようだけど」
「大丈夫です。よくある事なので」
イルダはそう答えて握っていた魔物の頭部を離した。
「よくあるって、魔物に関する仕事でもしているのかい? 見た感じ慣れているのは分かるけど」
アバンは周辺に転がる死体を見て声を掛けると、そこへマルロスが普通に屋上の扉を開けて現れる。
急に鷹の仮面を付けた人物の登場に、さすがのアバンも驚いてしまう。
「驚かせてすいません。自分はマルロスって言います。そっちのイルダの付き添いです。格好から王国軍の人ですよね?」
「あ、ああ。俺はアバン。イルダのお陰で犯人を拘束できたし、君たちが魔物も倒してくれたお陰で人々も救えた。ありがとう、感謝する」
「いえいえ。それよりアバンと言いましたが、もしかしてオービンと昔学院対抗戦で戦った事があるアバンさんですか?」
「確かに昔オービンと戦った事はあるが、よく知っているな。もしかしてオービンの知り合いか?」
「あーなるほどオービンと凄い戦いをした人だったのか。だから聞き覚えがあったわけか」
「ええ、一応自分たちは王都メルト魔法学院の第3学年の寮長と副寮長なんです」
マルロスの言葉にアバンはイルダとマルロスの強さや魔物に対して動じない姿に合点がいくのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――王都メルト魔法学院内にて。
「お前、本当にオービンなのか?」
エメルがオービンに対してそう訊ねると、オービンは小さくため息をついた。
「急に何を言い出すと思ったら、何だそれは。偽者だと疑っているのか? 根拠はなんだよ、エメル。お前が何気なくそんな事いう奴じゃないのは知ってるぞ」
「雰囲気だよ。声のトーンや身なり、顔とか何処かが変とかじゃなく、ただ雰囲気がオービンじゃないと思ってるんだよ」
「それだけか? あー雰囲気って言われてもな……」
オービンは腕を組み、考え始める。
「確かに誰がどう見てもお前はオービン・クリバンスだ。だが、僕にはオービン・クリバンスの皮を被った知らない奴に見えるんだよ」
「……」
「そもそもだな、オービンは王都でそんな事態になっていたら心配だからって学院に戻って来る奴じゃないんだよ。一応第一王子だが、先頭に立って避難誘導とかする奴だ。仮にそれが終わったとしても王国軍と共に、原因調査を第一王子という権力を使ってやるだろうな」
エメルの言葉をオービンは黙って聞き続ける。
「まぁ、結局の所今のも僕の推測に過ぎないし、そんな事してないかもしれない。でも、お前は僕の知っているオービンじゃないとハッキリ分かる」
「雰囲気だけで、か?」
「ああ。もし間違っていても、別に謝るだけさ。オービンなら許してくれるだろうしな」
その言葉にオービンは眉をぴくっと動かす。
するとエメルは突然持っていた本を無作為に開いた。
急に何をし始めたのかとオービンはエメルの方に視線を向けていると、エメルはオービンの方を向いて勢いよく開いた本を閉じた。
周囲にパンッと本が閉じた音が響く。
エメルの謎の行動にオービンは軽く首を傾げた直後だった。
オービンは背後から殺気を感じ振り返ると、そこにはスニークの姿がありオービンの背目掛けて右掌底打ちを放つのだった。
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