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第431話 疑念
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「まずは生徒の安全第一だ! 学院の結界展開急げ!」
「教員は副学院長の指示に従い、順次行動を!」
王都メルト魔法学院内では、冷静に教員たちが各自対応に急いでいた。
更に学院にも逃げるように人々が流れ始めており、その対応も行っていた。
学院長のマイナは、数名の教員共に逃げ込んで来た人々を順次学院へと入れ競技場へと案内していた。
一方で副学院長のデイビッドを中心に生徒の安全や外に外出している生徒を確認していた。
「デイビッド副学院長、今日の外出者リストです」
デイビッドは教員が持ってきたリストを受け取り、目を通す。
「……今日に限って外出者が多いな。幸い第2学年が修学旅行中なのは良かったか。第1、第3学年の確認はどうなっている?」
「現在学院にやって来ている第3学年は確認中です」
「第1学年につきましても、確認中です」
「なるべく急いで確認しろ。生徒に何かあってからでは遅いからな」
デイビッドの指示に教員が力強く返事をすると、その場から立ち去る。
残ったデイビッドは外出者リストに再び目を通し現状把握に努めるのだった。
その頃、オービン寮に向かう道をオービンが一人で歩いていると、ある人物が後ろから声を掛けた。
「偶然だなオービン」
そう声を掛けられオービンは足を止めて振り返る。
そこに居たのは、本を片手に持ったエメルであった。
「……何だエメルか。急に声を掛けられて驚くだろ」
「それは悪かったよ。で、お前は何してるんだオービン」
「寮に帰る所だよ。お前こそこんな所で何してるんだ、エメル」
オービンはエメル寮から離れたこの場所にいるエメルに対して、当然の疑問を問いかけた。
するとエメルは片手に持っていた本を軽く上げた。
「たまには、違う場所で本を読もうと思ってな。この辺は木陰でベンチもあって、前から一度ここで本を読もうと思っていたんだよ」
「そうか……それより、今王都が襲撃を受けているの知っているか?」
「異変が起きているのは何となく分かるが、そんな事になっているのか? だから学院中で教員たちが慌ただしくしているのか」
「慌てないのか、エメルは?」
「慌てても仕方ないだろ。知った所で、僕には何も出来ないしな。それに学院にいればひとまず安全だろうし、慌てる事はないだろ? その襲撃している奴が学院に入って来ない限りはだけど、な」
そう言ってエメルは、横目でオービンの方を見る。
エメルの言葉にオービンは「確かにな」と答える。
「それでもう一度訊くが、どうしてお前はここにいるんだ?」
「? 外出中にその襲撃に巻き込まれて、皆が心配で戻って来たんだよ」
「なるほどね。心配で戻って来たにしては、あまり息が荒くないな」
「……何だエメル? 何が言いたいんだ?」
「いや別に、ちょっと気になっただけさオービン」
そう告げるとエメルは身体をオービンの方へと向けて、少し鋭い目で見つめる。
「言いたい事があるならそんな態度取らないで早く言えよ、エメル」
オービンもエメルの態度が気になり少し態度を変える。
するとエメルは少し驚いた顔で「あ、そう。じゃ」と呟き思っていた事を口にした。
「お前、本当にオービンなのか?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――王都内西地区。
「うわぁー! 魔物だ! 逃げろー!」
「早く何とかしてよ、王国軍!」
「何で王都に魔物がこんなにいるんだよー!」
人々は迫り来る魔物に対し怯え、逃げていた。
そして人々を避難誘導しつつ、王国軍兵が迫る魔物に向かい足止めをしていた。
だが、一人また一人と魔物に倒れて行き徐々に兵士の数が減っていく。
「くっ! 何とか持ちこたえろ! ザべッシュ隊長が必ず来る! それまで持ちこたえろ!」
唯一小隊長である兵士がそう鼓舞し、兵士の士気を上げ少し押し返すも、魔物は何処からともなく増える一方であった。
「(何なんだ、これは……)」
「やっと追い付いたわ」
「!?」
その女性の声に兵士たちが上を見上げると、そこには空飛ぶ魔物に座り見下すウェントの姿があった。
ウェントは苦しむ兵士や人々を見下し、息を荒くする。
「いい……いいわ! 最高よ! もっと! もっとその姿を私に見せて!」
その声に反応するかの様に、魔物たちは大きく雄叫びを上げ兵士や逃げる人々に襲い掛かる。
周囲には攻撃音や悲鳴が響き渡り、そこは地獄と化していた。
「あははは! もっと、もっとよ! 私を満たして!」
ウェントが興奮を抑えきれず、高揚した直後だった。
周囲の魔物たちが、地面から突然生成された槍に貫かれる。
「っ!?」
直ぐにウェントは背後を振り返り、そこにアバンとザべッシュに数名の兵士たちの姿が目に入り舌打ちをする。
「(あいつ等! 生きていたのね)」
ウェントは立ち上がり、両腕を勢いよく横に伸ばすと向かって来るアバンたちの周囲に複数の黒い空間を生成する。
アバンたちはそれを見るなり足を止め、警戒し始める。
その姿を見てウェントはうっすらと笑い、生成した空間から魔物たちを放出した。
「どれだけ頑張っても無駄よ! 私の可愛い魔物ちゃんたちは、まだまだいるのだからね!」
しかし次の瞬間には、周囲の建物から魔力創造で槍を無数に生成し、新たに出現した魔物のほとんどを貫き仕留める。
そして生き残った魔物は、中隊長や小隊長が主導となり魔法で仕留め、アバンは建物に登ると一気にウェント目掛けて距離を詰め始める。
「っ! 無駄って言っているでしょ!」
ウェントは空中に黒い空間を生成し、アバン目掛けて魔物を放つのと同時残ったザべッシュたちの周囲にも再び魔物を放つ。
アバンは振り返る事無く、迫る魔物を魔法で次々に仕留め、足を止めずに走り続ける。
ザべッシュたちも持てる力を全て使い、迫る魔物を狩り続ける。
「ぐっ! 何なのよ、あんた!」
「王都を護る王国軍として、ウェントお前を拘束する」
そう告げてアバンはウェントが乗っている魔物目掛けて飛び掛かる。
ウェントは追加で魔物を出し、乗っていた魔物から降りながらアバンへと攻撃する指示を出す。
宙にいるアバンの周囲に空を飛ぶ魔物が追加で出現するが、アバンは動揺する事無く周囲の魔物を真下からの『ガスト』で打ち上げた。
そのまま『フローズンストーム』で魔物を一気に仕留め、ウェントを追い地面へと降りて行く。
「うっ……」
「一度言ったろ、いくら魔物を出そうと無駄だ、ウェント。観念しろ」
苦しい顔をするウェントだったが、次の瞬間には薄笑いを浮かべる。
「……それはお前にだろ? だったら、お前を無視して後ろにいる奴らから襲わせればいい!」
「っ!」
すると未だ逃げ惑う人々の周囲に黒い空間が生成され、魔物を放とうとする。
アバンは咄嗟にウェントを取り押さえようと魔法を放つが、真横から魔物が盾になる様に飛び込んで来て防がれ、再びウェントは飛ぶ魔物を呼び出し空へと逃げる。
「あははは! あんたは傷つく人を放って置けないのでしょ! だったら、私なんかよりも助ける人がいるんじゃないの? それに一緒に来た老人もヤバいんじゃないの?」
その言葉にアバンが振り返ると、ザべッシュが魔力の連続使用で動けなくなっており、兵士たちも追い込まれ始めているのが目に入る。
「ザべッシュさん!」
アバンが助けに行こうとするが、一方で逃げる人々の悲鳴も聞こえ足が止まる。
「さぁーどうするの? どっちをあんたは助けて、どっちを見捨てるのかしら? 何だか面白い展開じゃない?」
「(ぐっ……今はザべッシュさんよりも人々の助けに行かないと被害が大きくなる……けど、ザべッシュさんたちの方もそんなにもたない……どうする)」
決断しかね苦悶しているアバンを見て、ウェントは空中から嘲笑う。
「早くしないとどっちも助けれないわよ~ほら、それにどんどん魔物ちゃんも出続けてピンチだよ~助けて王国軍さ~ん。ぷっ! あははは!」
するとアバンは苦渋の決断で、先に襲われている人々を助けるとし地面を強く蹴るが、その前を新たな魔物たちが壁の様になり塞ぐ。
「っ! この!」
魔法で一掃し道を開くも、再び魔物が道を塞ぎ足止めをくらうアバン。
「残~念~。私が、そう簡単に行かせる訳ないじゃん。さてと、今頃あっちは真っ赤に染まってる頃かな?」
と、ウェントが逃げ惑う人々の方へと視線を向けた時だった。
何故か数体の魔物が宙へと浮かんでいたのだ。
いや、正確には吹き飛ばされていたのだった。
「何? 何が起こってるの? あそこにはもう戦える奴はいないはずなのに」
ウェントは直ぐに移動し、現場を確認すると確かにそこには疲弊した王国軍がいたが、そんな中で一般人二名が魔物を次々に撃退している姿があった。
一人は変な目隠しを首に下げており、蛇の耳飾りを右耳にしている男で、もう一人は目元を鷲の仮面で隠している男であった。
「教員は副学院長の指示に従い、順次行動を!」
王都メルト魔法学院内では、冷静に教員たちが各自対応に急いでいた。
更に学院にも逃げるように人々が流れ始めており、その対応も行っていた。
学院長のマイナは、数名の教員共に逃げ込んで来た人々を順次学院へと入れ競技場へと案内していた。
一方で副学院長のデイビッドを中心に生徒の安全や外に外出している生徒を確認していた。
「デイビッド副学院長、今日の外出者リストです」
デイビッドは教員が持ってきたリストを受け取り、目を通す。
「……今日に限って外出者が多いな。幸い第2学年が修学旅行中なのは良かったか。第1、第3学年の確認はどうなっている?」
「現在学院にやって来ている第3学年は確認中です」
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「なるべく急いで確認しろ。生徒に何かあってからでは遅いからな」
デイビッドの指示に教員が力強く返事をすると、その場から立ち去る。
残ったデイビッドは外出者リストに再び目を通し現状把握に努めるのだった。
その頃、オービン寮に向かう道をオービンが一人で歩いていると、ある人物が後ろから声を掛けた。
「偶然だなオービン」
そう声を掛けられオービンは足を止めて振り返る。
そこに居たのは、本を片手に持ったエメルであった。
「……何だエメルか。急に声を掛けられて驚くだろ」
「それは悪かったよ。で、お前は何してるんだオービン」
「寮に帰る所だよ。お前こそこんな所で何してるんだ、エメル」
オービンはエメル寮から離れたこの場所にいるエメルに対して、当然の疑問を問いかけた。
するとエメルは片手に持っていた本を軽く上げた。
「たまには、違う場所で本を読もうと思ってな。この辺は木陰でベンチもあって、前から一度ここで本を読もうと思っていたんだよ」
「そうか……それより、今王都が襲撃を受けているの知っているか?」
「異変が起きているのは何となく分かるが、そんな事になっているのか? だから学院中で教員たちが慌ただしくしているのか」
「慌てないのか、エメルは?」
「慌てても仕方ないだろ。知った所で、僕には何も出来ないしな。それに学院にいればひとまず安全だろうし、慌てる事はないだろ? その襲撃している奴が学院に入って来ない限りはだけど、な」
そう言ってエメルは、横目でオービンの方を見る。
エメルの言葉にオービンは「確かにな」と答える。
「それでもう一度訊くが、どうしてお前はここにいるんだ?」
「? 外出中にその襲撃に巻き込まれて、皆が心配で戻って来たんだよ」
「なるほどね。心配で戻って来たにしては、あまり息が荒くないな」
「……何だエメル? 何が言いたいんだ?」
「いや別に、ちょっと気になっただけさオービン」
そう告げるとエメルは身体をオービンの方へと向けて、少し鋭い目で見つめる。
「言いたい事があるならそんな態度取らないで早く言えよ、エメル」
オービンもエメルの態度が気になり少し態度を変える。
するとエメルは少し驚いた顔で「あ、そう。じゃ」と呟き思っていた事を口にした。
「お前、本当にオービンなのか?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――王都内西地区。
「うわぁー! 魔物だ! 逃げろー!」
「早く何とかしてよ、王国軍!」
「何で王都に魔物がこんなにいるんだよー!」
人々は迫り来る魔物に対し怯え、逃げていた。
そして人々を避難誘導しつつ、王国軍兵が迫る魔物に向かい足止めをしていた。
だが、一人また一人と魔物に倒れて行き徐々に兵士の数が減っていく。
「くっ! 何とか持ちこたえろ! ザべッシュ隊長が必ず来る! それまで持ちこたえろ!」
唯一小隊長である兵士がそう鼓舞し、兵士の士気を上げ少し押し返すも、魔物は何処からともなく増える一方であった。
「(何なんだ、これは……)」
「やっと追い付いたわ」
「!?」
その女性の声に兵士たちが上を見上げると、そこには空飛ぶ魔物に座り見下すウェントの姿があった。
ウェントは苦しむ兵士や人々を見下し、息を荒くする。
「いい……いいわ! 最高よ! もっと! もっとその姿を私に見せて!」
その声に反応するかの様に、魔物たちは大きく雄叫びを上げ兵士や逃げる人々に襲い掛かる。
周囲には攻撃音や悲鳴が響き渡り、そこは地獄と化していた。
「あははは! もっと、もっとよ! 私を満たして!」
ウェントが興奮を抑えきれず、高揚した直後だった。
周囲の魔物たちが、地面から突然生成された槍に貫かれる。
「っ!?」
直ぐにウェントは背後を振り返り、そこにアバンとザべッシュに数名の兵士たちの姿が目に入り舌打ちをする。
「(あいつ等! 生きていたのね)」
ウェントは立ち上がり、両腕を勢いよく横に伸ばすと向かって来るアバンたちの周囲に複数の黒い空間を生成する。
アバンたちはそれを見るなり足を止め、警戒し始める。
その姿を見てウェントはうっすらと笑い、生成した空間から魔物たちを放出した。
「どれだけ頑張っても無駄よ! 私の可愛い魔物ちゃんたちは、まだまだいるのだからね!」
しかし次の瞬間には、周囲の建物から魔力創造で槍を無数に生成し、新たに出現した魔物のほとんどを貫き仕留める。
そして生き残った魔物は、中隊長や小隊長が主導となり魔法で仕留め、アバンは建物に登ると一気にウェント目掛けて距離を詰め始める。
「っ! 無駄って言っているでしょ!」
ウェントは空中に黒い空間を生成し、アバン目掛けて魔物を放つのと同時残ったザべッシュたちの周囲にも再び魔物を放つ。
アバンは振り返る事無く、迫る魔物を魔法で次々に仕留め、足を止めずに走り続ける。
ザべッシュたちも持てる力を全て使い、迫る魔物を狩り続ける。
「ぐっ! 何なのよ、あんた!」
「王都を護る王国軍として、ウェントお前を拘束する」
そう告げてアバンはウェントが乗っている魔物目掛けて飛び掛かる。
ウェントは追加で魔物を出し、乗っていた魔物から降りながらアバンへと攻撃する指示を出す。
宙にいるアバンの周囲に空を飛ぶ魔物が追加で出現するが、アバンは動揺する事無く周囲の魔物を真下からの『ガスト』で打ち上げた。
そのまま『フローズンストーム』で魔物を一気に仕留め、ウェントを追い地面へと降りて行く。
「うっ……」
「一度言ったろ、いくら魔物を出そうと無駄だ、ウェント。観念しろ」
苦しい顔をするウェントだったが、次の瞬間には薄笑いを浮かべる。
「……それはお前にだろ? だったら、お前を無視して後ろにいる奴らから襲わせればいい!」
「っ!」
すると未だ逃げ惑う人々の周囲に黒い空間が生成され、魔物を放とうとする。
アバンは咄嗟にウェントを取り押さえようと魔法を放つが、真横から魔物が盾になる様に飛び込んで来て防がれ、再びウェントは飛ぶ魔物を呼び出し空へと逃げる。
「あははは! あんたは傷つく人を放って置けないのでしょ! だったら、私なんかよりも助ける人がいるんじゃないの? それに一緒に来た老人もヤバいんじゃないの?」
その言葉にアバンが振り返ると、ザべッシュが魔力の連続使用で動けなくなっており、兵士たちも追い込まれ始めているのが目に入る。
「ザべッシュさん!」
アバンが助けに行こうとするが、一方で逃げる人々の悲鳴も聞こえ足が止まる。
「さぁーどうするの? どっちをあんたは助けて、どっちを見捨てるのかしら? 何だか面白い展開じゃない?」
「(ぐっ……今はザべッシュさんよりも人々の助けに行かないと被害が大きくなる……けど、ザべッシュさんたちの方もそんなにもたない……どうする)」
決断しかね苦悶しているアバンを見て、ウェントは空中から嘲笑う。
「早くしないとどっちも助けれないわよ~ほら、それにどんどん魔物ちゃんも出続けてピンチだよ~助けて王国軍さ~ん。ぷっ! あははは!」
するとアバンは苦渋の決断で、先に襲われている人々を助けるとし地面を強く蹴るが、その前を新たな魔物たちが壁の様になり塞ぐ。
「っ! この!」
魔法で一掃し道を開くも、再び魔物が道を塞ぎ足止めをくらうアバン。
「残~念~。私が、そう簡単に行かせる訳ないじゃん。さてと、今頃あっちは真っ赤に染まってる頃かな?」
と、ウェントが逃げ惑う人々の方へと視線を向けた時だった。
何故か数体の魔物が宙へと浮かんでいたのだ。
いや、正確には吹き飛ばされていたのだった。
「何? 何が起こってるの? あそこにはもう戦える奴はいないはずなのに」
ウェントは直ぐに移動し、現場を確認すると確かにそこには疲弊した王国軍がいたが、そんな中で一般人二名が魔物を次々に撃退している姿があった。
一人は変な目隠しを首に下げており、蛇の耳飾りを右耳にしている男で、もう一人は目元を鷲の仮面で隠している男であった。
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