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第435話 遡及
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「マイナ!?」
「お久しぶりです、ハンス国王、ティア女王」
そうマイナは口にし、礼儀正しく頭を下げて顔を上げると部屋にリリエルがいる事に気付き、二度見をしてしまう。
「リ、リリエル先生!?」
「学院祭以来だな、マイナ」
「ななな、何でリリエル先生がここに?」
マイナは動揺し二人の方を見ると、ティアは小さく笑う。
「あ、あのこちらの方とご知り合いなのですか?」
「そうだ。このまま彼女を通してもらって構わない。先程の報告は彼女から直接訊くから大丈夫」
「承知いたしました。では、私はこれで」
兵士は一礼し部屋から出て行き扉を閉めていくのだった。
「さてとマイナ、リリエル先生の事は説明するけど、王城に来た理由から教えてもらってもいいかい?」
「分かりましたハンス国王」
「あ~ここには俺たち以外に誰もいないから、呼び捨てでいいよ」
「そうよマイナ。他に誰の目がない時は、昔のままでいいと言っているでしょ」
「そうだったわね」
その後マイナが学院にて、オービンの姿をした偽物が現れた事を話し始める。
王城に来た目的は、その偽者を王国軍に引き渡した上で直接報告しようと輸送と共にやって来たのだった。
現状学院は、副学院長であるデイビッドを筆頭に教員たちが対処しているのであった。
「学院側は他に被害は出てないのか?」
「生徒が二名負傷したわ。でも、直ぐに病院へ運んでもらい、命に別状はないわ。外出していた生徒の安否確認も終えて全員無事を確認したわ」
「そう、負傷者が出てしまったのね。学院にも侵入するなんて……しかも息子の姿でなんて」
ティアの苦虫を噛み潰したよう顔しているのをハンスは横目で見て、マイナに話し掛ける。
「学院も例の事件以来警戒を強めていたはずだ。姿だけを似せても内面の魔力までは真似る事は出来ないはずで、それも感知する様な物ではなかったか?」
「ええ、学院の入口でスキャンされ判定されるはずよ。でも、何故か反応せずにすんなりと偽者は入って来た」
「確かそれって、学院側で操作が出来る物よね。誰かが装置をオフにしていたという事は?」
「可能性としては考えられるわね。ただ、装置のオンオフは私以外には出来ないの。鍵と私の魔力の二重認証で切り替える物だし」
「なら既に登録している人間の魔力を書き変えたのだとしたら?」
リリエルが突然会話に参加して来て、三人はその言葉にハッとする。
「確かにそれが可能なら、学院に何の問題なく侵入は可能だ」
「書き変えるって言いましても、確かに出来なくはないですが、学院でもそんな事が出来る人物は絞られてくるわけで」
「……誰かがバベッチと繋がっている」
ティアの呟きにマイナはティアに視線を向ける。
「何でここでバベッチの名前が出て来るのよ」
「それは……」
「ティア、その話は私がしよう」
リリエルがそう言ってマイナに近寄る。
「ハンスとティアには簡易的にだが話しているが、改めて二人も聞いて欲しい」
「どういう事なんですが、リリエル先生。何で20年以上も前に死んだバベッチの名が、今出るんですか?」
「それはなマイナ、バベッチ・ロウは20年以上も前のあの日に死んではなかったからさ」
「えっ……」
衝撃の告白にマイナは言葉を失うと同時に自分の耳も疑った。
「正確に言うとバベッチは今回の襲撃事件の中心人物でもある」
「リリエル先生! それはまだ」
「隠しても意味はないだろ、ハンス。いずれ知る事だ。それにこれから話す事にもそれを知った上の方が話しやすい」
「……そんな……バベッチが生きていて、この襲撃の犯人?」
すでにマイナの頭は理解出来ずにパンク寸前となり、軽くよろけて机に手をつく。
ティアはマイナに駆け寄り手をとり、近くの椅子へと座らせた。
「ありがとう、ティア」
「ううん。そうなるのは当然よ。リリエル先生、もう少しマイナの事も考えてください」
「そんな悠長な事を言っている場合じゃない。バベッチは既に王都をこんなにも混乱させられる力を得ていると考えろ。しかも簡単に王都に侵入も出来るんだぞ。再び襲撃されてもおかしくない状況だぞ」
「っ……」
その言葉を聞きマイナはティアに声を掛けた。
「私は大丈夫よ、ティア。リリエル先生、突然の事で驚いただけですので話を続けて下さい」
「マイナ」
「これでも学院長よ。一国の危機にうろたえてられないわ」
そう振る舞うマイナの手は少し震えていたが、ティアはその事は口にせず軽く唇を噛みリリエルの方を向くのだった。
リリエルは二人の顔を見てからハンスの方を向く。
「ハンスも、いいな」
「……分かりました」
三人の覚悟した顔を見て、リリエルは以前学院祭でリーリアを含め同じ話をした時の事を思い出す。
「(そう言えば、この話をするのは二度目だな。あの時は介入し過ぎたと思い後悔して、全員の記憶を消して別の記憶を埋めたが、今回はもうそんな事はしない)」
そうしてリリエルは、24年前に起きた王国でのクーデター事件まで遡って話を始めるのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
時間は、冬の修学旅行最終日に衝撃的な話をされたアリスたちへと戻る。
「これが現時点で分かっている、王都襲撃事件の全貌だ」
教員の言葉に私を含め全員が言葉を失っていた。
私自身もどう受け入れればいいのか、分からなくなっていた。
そんな中で教員は話し続けた。
「王都は厳戒態勢中の為、本日戻る予定であったが一日延期し王都近くの街で一泊し、翌日王都に戻るスケジュールとなった」
この日私たちは最高の旅行気分から、一気に奈落の底へと突き落とされたのだ。
それから私たちは、暫く出発までの時間まで考えを整理するや気持ちを落ち着ける時間として部屋で待機する事になった。
その場から動かない者や、とりあえず話して気を紛らわそうとする者、王都の知り合いを心配する者などと様々な行動をとっていた。
私は自由に閲覧して良いとされた、王都襲撃事件の資料を手にとり恐る恐る中身を読み始めた。
「(各所で被害が出ているのね。でも、復興も進んでる感じよね……で、これが学院にも被害が出た箇所ね)」
資料をめくり私は学院の被害報告の箇所で止め、改めて報告内容に目を通した。
「(死者はいないものの、生徒二名が負傷。学院長と副学院長により、侵入者を拘束し被害が大きくならずに済む。未だ侵入者は黙秘を続けており、目的は不明か……)」
そこまで読み私は資料を閉じ、資料を机へと戻した時「クリス」と背後から声を掛けられ私は振り返る。
「ルーク」
「その資料、俺に見せてくれないか?」
「あ、ああ」
私は机に置いた資料をルークに渡すと「ありがとう」と言われ、ルークは資料を持ってその場から立ち去って行くのだった。
そんなルークに私は何も声を掛ける事が出来ず、ただ立ち去って行くルークを見る事しか出来なかった。
するとそんな私の元へ、タツミがやって来るのだった。
「お久しぶりです、ハンス国王、ティア女王」
そうマイナは口にし、礼儀正しく頭を下げて顔を上げると部屋にリリエルがいる事に気付き、二度見をしてしまう。
「リ、リリエル先生!?」
「学院祭以来だな、マイナ」
「ななな、何でリリエル先生がここに?」
マイナは動揺し二人の方を見ると、ティアは小さく笑う。
「あ、あのこちらの方とご知り合いなのですか?」
「そうだ。このまま彼女を通してもらって構わない。先程の報告は彼女から直接訊くから大丈夫」
「承知いたしました。では、私はこれで」
兵士は一礼し部屋から出て行き扉を閉めていくのだった。
「さてとマイナ、リリエル先生の事は説明するけど、王城に来た理由から教えてもらってもいいかい?」
「分かりましたハンス国王」
「あ~ここには俺たち以外に誰もいないから、呼び捨てでいいよ」
「そうよマイナ。他に誰の目がない時は、昔のままでいいと言っているでしょ」
「そうだったわね」
その後マイナが学院にて、オービンの姿をした偽物が現れた事を話し始める。
王城に来た目的は、その偽者を王国軍に引き渡した上で直接報告しようと輸送と共にやって来たのだった。
現状学院は、副学院長であるデイビッドを筆頭に教員たちが対処しているのであった。
「学院側は他に被害は出てないのか?」
「生徒が二名負傷したわ。でも、直ぐに病院へ運んでもらい、命に別状はないわ。外出していた生徒の安否確認も終えて全員無事を確認したわ」
「そう、負傷者が出てしまったのね。学院にも侵入するなんて……しかも息子の姿でなんて」
ティアの苦虫を噛み潰したよう顔しているのをハンスは横目で見て、マイナに話し掛ける。
「学院も例の事件以来警戒を強めていたはずだ。姿だけを似せても内面の魔力までは真似る事は出来ないはずで、それも感知する様な物ではなかったか?」
「ええ、学院の入口でスキャンされ判定されるはずよ。でも、何故か反応せずにすんなりと偽者は入って来た」
「確かそれって、学院側で操作が出来る物よね。誰かが装置をオフにしていたという事は?」
「可能性としては考えられるわね。ただ、装置のオンオフは私以外には出来ないの。鍵と私の魔力の二重認証で切り替える物だし」
「なら既に登録している人間の魔力を書き変えたのだとしたら?」
リリエルが突然会話に参加して来て、三人はその言葉にハッとする。
「確かにそれが可能なら、学院に何の問題なく侵入は可能だ」
「書き変えるって言いましても、確かに出来なくはないですが、学院でもそんな事が出来る人物は絞られてくるわけで」
「……誰かがバベッチと繋がっている」
ティアの呟きにマイナはティアに視線を向ける。
「何でここでバベッチの名前が出て来るのよ」
「それは……」
「ティア、その話は私がしよう」
リリエルがそう言ってマイナに近寄る。
「ハンスとティアには簡易的にだが話しているが、改めて二人も聞いて欲しい」
「どういう事なんですが、リリエル先生。何で20年以上も前に死んだバベッチの名が、今出るんですか?」
「それはなマイナ、バベッチ・ロウは20年以上も前のあの日に死んではなかったからさ」
「えっ……」
衝撃の告白にマイナは言葉を失うと同時に自分の耳も疑った。
「正確に言うとバベッチは今回の襲撃事件の中心人物でもある」
「リリエル先生! それはまだ」
「隠しても意味はないだろ、ハンス。いずれ知る事だ。それにこれから話す事にもそれを知った上の方が話しやすい」
「……そんな……バベッチが生きていて、この襲撃の犯人?」
すでにマイナの頭は理解出来ずにパンク寸前となり、軽くよろけて机に手をつく。
ティアはマイナに駆け寄り手をとり、近くの椅子へと座らせた。
「ありがとう、ティア」
「ううん。そうなるのは当然よ。リリエル先生、もう少しマイナの事も考えてください」
「そんな悠長な事を言っている場合じゃない。バベッチは既に王都をこんなにも混乱させられる力を得ていると考えろ。しかも簡単に王都に侵入も出来るんだぞ。再び襲撃されてもおかしくない状況だぞ」
「っ……」
その言葉を聞きマイナはティアに声を掛けた。
「私は大丈夫よ、ティア。リリエル先生、突然の事で驚いただけですので話を続けて下さい」
「マイナ」
「これでも学院長よ。一国の危機にうろたえてられないわ」
そう振る舞うマイナの手は少し震えていたが、ティアはその事は口にせず軽く唇を噛みリリエルの方を向くのだった。
リリエルは二人の顔を見てからハンスの方を向く。
「ハンスも、いいな」
「……分かりました」
三人の覚悟した顔を見て、リリエルは以前学院祭でリーリアを含め同じ話をした時の事を思い出す。
「(そう言えば、この話をするのは二度目だな。あの時は介入し過ぎたと思い後悔して、全員の記憶を消して別の記憶を埋めたが、今回はもうそんな事はしない)」
そうしてリリエルは、24年前に起きた王国でのクーデター事件まで遡って話を始めるのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
時間は、冬の修学旅行最終日に衝撃的な話をされたアリスたちへと戻る。
「これが現時点で分かっている、王都襲撃事件の全貌だ」
教員の言葉に私を含め全員が言葉を失っていた。
私自身もどう受け入れればいいのか、分からなくなっていた。
そんな中で教員は話し続けた。
「王都は厳戒態勢中の為、本日戻る予定であったが一日延期し王都近くの街で一泊し、翌日王都に戻るスケジュールとなった」
この日私たちは最高の旅行気分から、一気に奈落の底へと突き落とされたのだ。
それから私たちは、暫く出発までの時間まで考えを整理するや気持ちを落ち着ける時間として部屋で待機する事になった。
その場から動かない者や、とりあえず話して気を紛らわそうとする者、王都の知り合いを心配する者などと様々な行動をとっていた。
私は自由に閲覧して良いとされた、王都襲撃事件の資料を手にとり恐る恐る中身を読み始めた。
「(各所で被害が出ているのね。でも、復興も進んでる感じよね……で、これが学院にも被害が出た箇所ね)」
資料をめくり私は学院の被害報告の箇所で止め、改めて報告内容に目を通した。
「(死者はいないものの、生徒二名が負傷。学院長と副学院長により、侵入者を拘束し被害が大きくならずに済む。未だ侵入者は黙秘を続けており、目的は不明か……)」
そこまで読み私は資料を閉じ、資料を机へと戻した時「クリス」と背後から声を掛けられ私は振り返る。
「ルーク」
「その資料、俺に見せてくれないか?」
「あ、ああ」
私は机に置いた資料をルークに渡すと「ありがとう」と言われ、ルークは資料を持ってその場から立ち去って行くのだった。
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