とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第450話 『恋愛必勝法』本

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「っ!?」

 突然の事に私は驚いて固まっているとレオンが安堵の息をつく。
 そして私の方へと視線を下ろして来る。

「大丈夫だったかい、クリス?」
「っう、うん」

 私は視線を逸らしながら答えると、レオンは直ぐに私から手を離して解放してくれた。

「ごめん。咄嗟にこんな事しちゃって」
「た、助けてくれたんだし、気にしてないから」

 と、自分では言いつつ私の心臓は音が聞こえるんじゃないかというくらいドキドキしていた。
 レオンも少し耳を赤くしながら私から視線を外していた。
 互いにちょっと気まずい雰囲気になった所で、さっきの本などが落ちた影響なのか別の所でも何かが落ちる音か聞こえてきた。

「え、えっと……と、とりあえず続きやろうか、レオン」
「そう、だね。うん、そうしようか」

 私の提案にレオンも賛同し私たちは少しだけ距離をとって先程までとは変わって無言で残った本や資料を本棚へと入れる作業を行った。
 その後再び入口付近へと戻り、残っているのは一人で出来る量ばかりの物であったので分担し作業を続けることにした。
 私も運びきれるだけの本や資料を持ち、該当箇所へと辿り着き荷物を置いて小さくため息をついた。

「さっきのは、何て言うか、ちょっと変だったかな……」

 明らかに互いが動揺している状態でちょっと避けている雰囲気が出てしまったのではないかと少し後悔していた。
 あー……でもあれはタイミングが悪いよね。だって、丁度あの時の事を思い出しちゃったわけで、その後にあんな展開になるなんて思わないし、それに……
 私は心の中で「あー!」と叫びながら髪をぐしゃぐしゃにした。
 そしてその場でしゃがみ込んで、小さくため息をつく。
 告白……告白か……
 しゃがんだまま暫く考え続けた後、私はある答えを出し「よし」と口に出し立ち上がる。
 そのまま一度意識を切り替えて持ってきた本や資料へと手をつけ始めた。
 一方でレオンは無言で淡々と作業を続けており、あっという間に持ってきた分の作業が終わってしまう。
 が、それに気付かずレオンは持ってきた箱へと手を伸ばすも、もう何も入っていないので伸ばした手は空振る。

「あれ?」

 そこでようやく自分が持ってきた分の作業が終わっている事に気付く。
 そしてふと前を見て、やっていた作業が雑過ぎてぐちゃぐちゃに整理していた事に気付くのだった。
 レオンは自分がぼーっと作業していた事に頭を抱えもう一度作業をやり直す為に、本棚に入れた本や資料を一度取り出し始める。

「(ダメだ、全然動揺が抜けてない。さっきの事は事故に巻き込まれない様に助けただけだからそんなにだが、あのクリスの反応。それに、床に落ちていたニンレスの本。状況から見て、あの日の事を思い出した感じだった)」

 そう考えていると手に持った本が滑り、レオンの頭に当たり下へと落ちる。

「いった……」

 自身の頭に当たり下へと落ちた本を見てレオンは、本を拾おうと手を伸ばす。

「(勝手に僕がそう判断しているだけで違うかもしれない。でも、もしそうならあの日の返事があるって事になる、はず……)」

 そして手に取った本を見るとそこには『恋愛必勝法』と書かれていた。
 レオンはその表紙を見て動きが止まり、ふと左右を確認してから、唾を飲み込んだ。

「これはちょっと、ちょっとだけ気になったから、開くだけであって、決してそういうあれじゃ……」

 何故か自分に対しての言い訳を口にしながら本を開くと、そのままレオンは黙って本を読み始めるのだった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ふーここも完了っと。ついでに少ないやつも持ってきたから、後はそっちね」

 私は作業を進めており、二ヵ所分の軽い箱を持ってきて一ヵ所は終わったので、次の場所へと向かい始める。
 そして該当場所に到着し、持っていた箱を下ろし作業を始める。

「そう言えば、あれから全然レオンと会わないけど、ここにいるんだよね?」

 何度か作業を終え入口付近へと戻るが、レオンと会う事はなかった。
 最初は隠れながら入口付近にいないかを確認していたが、何度か戻っても置かれいてる作業分の箱の数が変わらない事や、他に作業している雰囲気がない事から私はそんな風に思い始めていた。

「箱も俺が行って帰って来ても数変わってないし、何してるんだレオンの奴?」

 その頃レオンは、読み始めた本に夢中になっており作業の手が止まっていた。
 レオンがそんな状態とはつゆ知らず、一人で黙々とクリスは作業を進めるのだった。

「よし、こんなもんかな。うーーっん、何か達成感があるな。でも、周りはまだ散らかってたりするんだけど。にしても、デイビッド副学院長全然来ないな」

 作業を終え私は入口付近へと戻ろうとした時、ふと近くの本棚に「学院生研究内容資料」という箇所を見つける。

「もしかしてこれって」

 私は作業も頑張ってるし、少しなら見てもいいだろと思い、しゃがんで下段にあったそれらの資料へと手を伸ばし目を通し始める。

「おーこれこれ。ちょっと古いけど、昔の学院生たちの研究内容だ」

 文字が少しかすれていたり、汚れているのはかなり前のこの学院の生徒たちの物だろうと思いつつ私は丁寧に扱いながら中身を読み始めた。
 そのままクリスは夢中になってそれらを読んでいると、そこへとゆっくりと音もたてずに近付く者がいた。
 普段のクリスであれば、直ぐに気付く様なものであったが今は目の前の物に夢中になっていた為全く気付いていなかった。
 その者は油断して隙だらけのクリスを見て、不敵に笑いクリスに対し手を伸ばし近付いて行く。
 そしてその手がクリスの後頭部に触れそうになった時であった。
 クリスの背後から半透明の魔人の様なものが現れ、手を伸ばして近付く者をそいつが殴り飛ばすのだった。
 直後、クリスの背後で大きく何かが崩れる音が響き、クリスは驚き振り返る。
 それと同時にクリスの背後から出ていた半透明の存在は消えてしまう。

「な、何!? 何か崩れた?」

 クリスは立ち上がって音がした方を見ていると、遠くから物凄い音が聞こえて同じく驚いたレオンが声を掛けて来る。

「何だ今の音。クリスの方か?」
「そ、そう見たい。何か崩れたっぽい」
「分かった。今僕もそっちに行く」

 そう言ってレオンは動き始めたのか、声は聞こえなくなった。
 私は周囲に待ったほこりや煙を払いながら音がした方へと近付いて行くと、そこから声が聞こえ始め驚く。

「いてて……」
「? ……えっ!? デイビッド副学院長?」
「っ……あ、クリス君」
「どうしたんですか?」

 倒れているデイビッドを見て私は直ぐに手を伸ばして、デイビッドを立たせた。

「いや~君を見つけて声を掛けようと思ったら、つまずいてしまってこのありさまさ」
「そう、だったんですか。ビックリしましたよ、急に物凄い音がしたんで」
「悪かったね」

 するとそこにレオンも合流してくる。

「デイビッド副学院長」
「っ! レオン君? どうしてここに?」

 その後レオンは自分がここにいる経緯を話した後、私がレオンを手伝って本などの整理などをしていたと説明した。
 デイビッドは納得した表情をしてから、私に対して遅くなってしまった事を謝罪し始めた。

「謝らないで下さい。デイビッド副学院長もお忙しいと分かっていて、俺が無理に頼んだ事ですので」
「本当にすまないね。それで片付けなんだけど、今日はもう時間も遅くなって来たし、また後日でもいいかい?」
「はい、それは全然かまいません」
「それでレオン君の方の仕事は終わりそうかい?」
「え、あ~えっとですね」
「もう俺ので最後ですから、レオンがやっている方が終わっていれば終わりですよ」

 レオンは驚いた顔をしてから自分の作業状況を伝えた。
 それからデイビッドは先に図書館倉庫から出て行き、残っていたレオンの作業を私は手伝い終わらせてから、私は図書館倉庫を後にした。
 レオンは一冊戻す本を忘れていたとし、図書館倉庫に残った。
 そしてレオンは持っていた本を該当箇所へと戻した後、デイビッドたちと合流した場所へと向かいその現場を見回すのだった。

「……微かに魔力を感じるな。話ではデイビッド副学院長が倒れたって事だけど、クリスも知らない何かが起こっていた可能性がある気がするな」

 そんな事を呟きながら、レオンは周囲を歩き続けるのだった。
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