とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

文字の大きさ
464 / 564

第463話 宣言と意気込み

しおりを挟む
「皆さんお待たせいたしました! これより、王都メルト魔法学院の次期寮長副寮長の紹介イベントを始めさせていただきます!」

 司会者のその言葉に、集まった人々が歓声をあげる。
 私たちもその中に混じり、面白がって声をあげる。

「待ってました!」
「よ! 次期寮長、副寮長! いいとこ見せて!」
「調子乗ってると、後でルークとトウマに何言われるか知らないぞ」
「心配し過ぎだよクリス。バレやしないって」
「そそ、こういうのものは全力で楽しまないとね」

 とマックスとシンリは声を掛け続けるのだった。
 すると周囲の人々からも期待した声が、聞こえて来た。

「今年は珍しいな紹介なんて。一体誰が次期寮長とかになるんだ?」
「ちょっと楽しみだよな。毎年だと春とかに話題になるんだよな」
「例年の流れだと大運動会や対抗戦とかで、選ばれて個人で出てた奴がなる傾向があるから今年もそうじゃないか?」
「いや、意外と俺たちが知らない所で活躍してたり支えてる生徒がなる事もあるぞ」

 へ~意外と予想で盛り上がるんだな~ちょっと意外だったかも。
 私は人々の予想する声を聞きながら、そんな事を思っていると舞台の方で司会者が学院長を紹介すると、舞台にマイナが現れるのだった。

「皆さん、初めましての方は初めまして、私王都メルト魔法学院学院長のマイナです。本日は、我が学院の次世代を担う学院生たちのご紹介に集まっていただきありがとうございます。本日は短い時間ですが、お付き合いください」

 マイナはその場で一礼してから舞台袖へと下がって行くと、人々はマイナに拍手を送るのだった。

「マイナ学院長、ありがとうございました。ではでは、皆様お待ちかねの次期寮長副寮長の紹介と参りましょう!」

 司会者が大きく腕を上げるとカッコイイ音楽が流れ始める。
 思っていた以上の演出に私は驚いていると、司会者は音楽に合わせながら紹介を始めた。

「まず最初は、現イルダ寮の次期寮長副寮長だ。次期寮長には、ロムロス・パテオン! 次期副寮長にはゲイネス・メレンだ!」

 紹介後に、舞台袖から二人が正装の姿で現れると人々は声を上げる。

「俺あいつ知ってるぞ! 大運動会で見た事あるぞ」
「イルダ寮のイメージカラーを継承していていいわね」

 二人はそのまま舞台の奥まで行き、そこで止まる。
 司会者続けて次の紹介を始める。

「続いては現エメル寮だ。次期寮長には、スバン・レムヴレム。次期副寮長には、リーフ・グリン!」
「あの美しい人が次の寮長なんだ」
「リーフって奴は初めて見る気がするな」
「ここから後半ですよ、次は現ダイモン寮! 次期寮長はダンデ・バッグス! 次期副寮長には、スザク・フェーレンだ!」

 紹介されダンデが舞台上に現れると「オスっ!」と大きな声を上げると、スザクは一礼する。
 ダンデの声に人々は驚きつつも歓声を上げる。

「お、あの感じはザ・ダイモン寮の継承って感じだな」
「勢いがあっていい感じですね」
「そして最後を締めるは、現オービン寮だ!」

 司会者の言葉に人々はより盛り上がる。

「遂に最後の寮だな。現第一王子が務めるオービン寮の次期寮長は誰だ?」
「オービン様の後だと結構なプレッシャーになりそうね」
「いやいや、もう決まってるだろ。あそこには第二王子がいし、結構雰囲気も変わっていい感じって噂だしよ」
「あ、それ聞いた聞いた。対抗戦の時も見たけど、全然その時聞いてた噂と違ってビックリしたもん」
「まだまだオービン様には届かないが、第二王子らしくなって来てて期待できるんじゃないか?」

 そう人々が期待した目で司会者を見つめていると、遂に紹介が始まる。

「次期オービン寮寮長は、トウマ・ユーリス。次期副寮長に、ルーク・クリバンスだ!」

 そしてトウマとルークの二人が舞台に上がると、一部の人々は驚きの表情をするのだった。
 トウマは硬い笑顔で手を振りながら、ルークと共に定位置につくと司会者が最初に紹介した順に、簡単な意気込みを聞き始めるのだった。
 ロムロスから次々に人々に向けて発言していき、最後にトウマとルークに回って来る。
 そしてトウマが先に話そうとしたが、それをルークが奪い取り小声で「お前は次期寮長なんだから、締めだ」と告げ先に話し始める。

「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。私はルーク・クリバンス、皆様もご存知かと思いますがクリバンス王国第二王子ですが、皆様にはダメな第二王子として知られていたかもしれません」

 突然のルークの言葉に皆がざわつきだし、聞いていたトウマも驚くがルークはただ自分を卑下しているのではないと顔つきを見て感じ取る。

「確かに半年前までは、皆様が思うようにダメで独りよがりな、最悪な第二王子でした。ですが、とある相手と出会い私は変わるキッカケを得ました。仲間たちとも兄とも関係性が変わり、私自身も向かう道を見つけました」

 そこでルークは一息置き、自身の向かう道を皆に告げた。

「私はこの先、兄を支えられ頼られる存在を目指します。まだまだ足りない事はあると思いますが、私は必ずや達成させます。そのために私はまず、次期副寮長として学院を支え導いて行ける存在に次期寮長トウマ共になります。以上が、私ルーク・クリバンスからの意気込みとさせていただきます」

 ルークがその場で一礼し顔を上げると、それを聞いていた一人がゆっくりと拍手を始める。
 するとその拍手が連鎖する様に広がっていき、最後には大きな歓声に代わりルークに期待している声が上がるのだった。
 それに対しルークは特に対応はせず、振り返りトウマの肩を叩いた。

「おぜん立てはバッチリしておいたぞ、トウマ」
「お、お前ってやつは」
「ほら、次期寮長として一発かまして来いトウマ」

 ルークはトウマの背中を軽く押し、トウマは舞台の前に立つ。
 そして一斉に皆の視線がトウマに向けられ、トウマは一瞬身体が強張る。
 が、大きく深呼吸すると、俯いている時にうっすらと笑う。

「(ああ、やってるよルーク。やってやるよ! 今目の前にする人にどう思われようとしったこちゃねぇ! 俺は俺らしく意気込みを言ってやる!)」

 トウマは大きく息を吸いながら顔を上げ、口を開く。

「俺の名は、トウマ・ユーリス! 次期オービン寮寮長! 俺はオービン先輩みたいに万能じゃないし、ミカロス先輩みたいに頭が切れる訳でもない。そしてルークみたいに凄くもない、というより劣ってすらいる。だけど、俺は俺だ! 俺は出来ない事は皆に頼り、やれる事は全力でやる! 目指すべきところはルークと同じ、次期寮長として俺たちの学院を支え導き王国一の学院にしてみせる!」

 勢いよく言い切ったトウマに対し、人々は沈黙していた。
 トウマはそこで勢いで色々と言い過ぎたと思い、急に恥ずかしくなり始め顔が赤くなる。
 今すぐにでも逃げたいという気持ちを抑え、背を向けた時だった。

「いうじゃねえかよ! トウマ!」
「俺たちの次期寮長はいう事が違うね!」

 そう声を掛けたのは、リーガとライラックであった。

「お前ら……」

 それに続く様にマックスやフェルトたちが声を掛け続けると、人々も同じ様に応援や背を押すような声を掛け始める。

「こりゃ面白れぇ! 第二王子のルーク様が次期寮長じゃないって時は大丈夫かよって思ったが、こいつもルーク様と同じ位熱い男だぜ!」
「私、あの寮の今後気になったな。どんな事していくのか楽しみ」
「宣言したからには、絶対に達成しろよ! 応援してんぞ!」

 人々の声援に対しトウマはグッと来て泣きそうになるが、それを抑え皆に対して大きく頭を下げ「よろしくお願いします!」と告げるのだった。
 そして大きな拍手が送られ、司会者が次期寮長副寮長の紹介イベントを締めようと声を出した時だった。
 突然空中に大きな映像が映し出さ、ファンファーレの様な音楽が流れ始め皆は視線を一斉に向ける。

「何だあれ?」
「何何、まだ何かあるの?」
「何が始まるんだ?」

 人々と同じ様に私たちや舞台上のルークたちも知らない状況に映像に視線を向けていると、音が止み急に映像に目元から下で右目の目元にほくろがある人物が映る。

「あれ、近すぎたかな」

 そう映像に映った人物が後ろに下がって行くと紺色の髪で特徴の人物が映像に映り、再び口を開く。

「いや~皆さん盛り上がっていますか? ……うんうん、盛り上がっているようですね。え? 俺が誰だって? これは失礼しました、俺の名前はバベッチ・ロウ。突然ですが、これよりゲリライベントの開催を宣言いたします!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

男女比8対1の異世界に転移しました、防御力はレベル1です

オレンジ方解石
恋愛
 結婚式の最中に、夫に他の女と逃げられた花嫁、水瀬透子。  離婚届けを出す直前に事故で瀕死となった彼女は、異世界の女神から『妾と取り引きするなら、助けてやろう』と持ちかけられる。  異世界の《世界樹》の《種》を宿す《仮枝》となった透子は、女神の世界に連れて行かれ、二年を過ごすこととなった。  そこは男女比が8対1という偏った世界であり、女性が《四気神》と呼ばれる守護者に守られる世界。  女神とはぐれた透子は、そこで美形の青年、紅霞に助けられるが……。 ※追記の追記を少し直しました。

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉

狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。 「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。 フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。 対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。 「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」 聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。 「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」 そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。 イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。 ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼ そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ! イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。 しかし……。 「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」 そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。

異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。

和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……? しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし! 危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。 彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。 頼む騎士様、どうか私を保護してください! あれ、でもこの人なんか怖くない? 心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……? どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ! 人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける! ……うん、詰んだ。 ★「小説家になろう」先行投稿中です★

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです

志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑! 10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。 もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。 (頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

処理中です...