とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第464話 ゲリライベント

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「え、何? 何が始まるの?」
「何かの余興か? こんなイベント予定にあったけ?」

 周囲の人々と同じく私たちも動揺していると、映像のバベッチが王都の地図を取り出してゲリライベントの説明を始めた。
 バベッチはまず先にこれは王都イベントを更に盛り上げる為に企画されたものだと前置きをする。
 そして現在行っていた王都メルト魔法学院の次期寮長副寮長たちを巻き込んだものだと明かす。
 まさかの指名にルークたちも互いに顔を見合わせると、皆軽く首を横に振る。

「(どういう事だ? こんな事何も聞いていないぞ)」
「(俺たちにも内緒のイベント? ていうか、あのバベッチとかいう人誰なんだ?)」

 ルークとトウマが互いに宙に映し出された映像を見て思っていると、舞台袖からマイナが険しい顔をしてバベッチを見つめていた。

「(バベッチ! こうも大胆に動いて来るなんて)」
『驚いたか、マイナ』
「(っ!? バベッチ?)」
『そうだよ。お前にだけ直接話しているんだ。ああ、映像とは別の俺だぞ』
「(……次は何を企んでいるの? 何が目的でこんな事をしているの?)」
『どうせハンスやティア、もしくはリリエル先生から聞いているんだろ。だから、それについて改めていう必要はないな。そもそもマイナにこうして話し掛けたのは、先に謝っておこうと思ってな』
「(どういう事?)」

 そしてマイナは、バベッチがこれからやろうとしている一部の事を知る。
 直後バベッチとの会話は一方的に終了されてしまい、マイナはその場を離れるのだった。
 一方で宙に映っているバベッチが、陽気な感じや柔らかい雰囲気での会話から人々はゲリライベントに興味を持ち始めていた。
 ゲリライベントの概要は次の様にバベッチは説明するのだった。
 今回のゲリライベントの主役は、王都メルト魔法学院の次期寮長副寮長たちであり、彼らの活躍を生で魅せるべきものである。
 その為に、現在四カ所にて一部地域に結界を張っており、内側からの外側へ出る事が不可能になっている地区が存在している。
 その各所の結界内には、王国軍8部隊の四名の隊長が結界を解除するコードを持ち、次期寮長副寮長たちを待ち構えおり、隊長たちと戦い解除コードをとり結界を解除するのが目的だと説明するのだった。

「ほぉ~面白いイベントじゃないか」
「でも、街内での戦闘とか大丈夫なの?」
「安心して下さい皆さん、戦闘時には更に周囲に結界を張りますので皆様や街への被害は一切でません。近くで生の戦いを見られるチャンスですので、ぜひその目に焼き付けて下さい」
「なるほどね。それなら安心だな」
「それに王国軍の隊長たちの戦う姿なんて滅多に見れないし、逆にこっちがメインなんじゃないか?」

 バベッチのイベントに人々は王国軍も協力していると知ったのと同時に、更にそちらに興味が大きく向き始めていた。
 この時、バベッチの映像はルークたちの会場だけではなく、王都内の各所で同時に流れており、突然として結界が張られた地区にも同じ様に説明がされていた。
 そしてバベッチの言葉通り、結界内には王国軍の隊長四名が各結界内にて姿を現すのだった。


 ――同時刻、王城にて。

 一室にてハンスと数人の大臣たちが話し合いをしている所に、慌てて兵士がやって来て報告を始める。

「大変です、ハンス国王! 王都の数カ所の地区にて何者かにより、結界が張られました!」
「結界だと? どういう事だ?」
「それが――」

 と、その兵士が説明しようとした直後、部屋内の宙にバベッチの映像が映し出され、バベッチがハンスに声を掛けた。

「やあハンス、俺だよ。分かるよね?」
「っ!?」
「な、何だこれは!」
「一体何処から?」

 慌てる大臣に対し、ハンスは強くバベッチを睨みつける。

「……バベッチ」
「そう睨むなよ、ハンス。わざわざ状況を教えに来てやったんだからさ。というか、分かってたろ? 俺がこうやって何か仕掛けることくらいはさ」
「ハンス国王! この者は何者なのですか? 知り合いなのですか?」
「どういう事なんですか? 知っていたのですか?」

 ハンスに向かい追求し始める大臣たちを、ハンスは片腕を振り払い一度黙らせる。

「説明は必ずする。だから、今は黙っていてくれ」
「っ……は、はい」

 憤りを隠しているが漏れ出ているハンスの声や表情に大臣たちは気圧され一斉に黙ると、一歩下がるのだった。

「それでバベッチ、今この王都に何をしているんだ?」

 バベッチはハンスの問いかけに対し、王都内で行っているゲリライベントの説明を同じ様にし始めるのだった。


 ――同時刻、王都メルト魔法学院にて。

 学院案内にて二チームにて分かれていたが、昼食時刻となった為その二チームが合流し大食堂へと向かっていた。
 先頭にはデイビッドと二名の教員が歩き、その後ろにジュリルとモランが付いて行き、学院案内の参加者たちを挟む様にして後方にマートルとミュルテ、そして四名の教員が後を付いて歩いていた。

「モラン、お昼は何を食べるのか決めましたの?」
「まだ決めてないよ。メニューを見てから決めようと思ってね。ほら、祝日だと提供しているメニューが一部違ったりするから、その日だけしか食べられない物があればそれにしようかなって思って」
「そうでしたわね、忘れていましたわ。そうしましたら、私もそうしましょうかしら」
「限定とか、その日だけとかの言葉に弱いのよね、私」
「あら、それは私もですわよ」

 二人がそんな会話をしていると、参加者の方から大食堂で食べられる食事について訊ねられると、二人は歩きながら参加者たちに丁寧に答えるのだった。
 そのまま一行は大食堂へと向けて歩いていると、突然先頭のデイビッドと教員が足を止めた。
 急に止まった事に後ろにしたジュリルやモラン、そして参加者たちも疑問に思っていると進行方向から三名がこちらに向かって来るのが目に入る。
 近付いて来る三名は格好からして、教員ではなく中央を歩く一人以外は全身をマントで覆っており明らかに不審者であると分かる風貌であった。
 すると教員二名がデイビッドの前に出て行き、近付いて来る者たちに止まる様に警告すると、その場で歩みを止めた。
 まさかの状況に緊張が走り、ジュリルたちは参加者たちを護るように警戒する。

「お前たち、この学院の関係者じゃないな。何処から侵入して来た?」
「それと名を名乗り、マントを被っている者はそれも脱ぎなさい」

 教員二人が不審者に指示すると、中央に立っていた奴が口を開く。

「これは失礼しました。俺の名前は、バベッチ・ロウといいます、隣の二名はお付きなので気になさらずに。それと俺は、この学院の卒業生でもあります」
「卒業生だろうと関係はない。本日は卒業生が来る申請など出ていないし、不審な人物を学院に居させておくわけにはいかない」
「おとなしく、我々と一緒に来てもらおうか」

 そう告げて二名の教員がバベッチと名乗る卒業生にゆっくりと距離を詰めていくと、突然背後からデイビッドがやって来て二人の肩に手を乗せた。
 急に肩に手を乗せられて二人も驚き、振り返りデイビッドである事に安堵する。

「どうされましたか、デイビッド副学院長?」
「ここは、いい……」
「はい? どういう意味ですか?」
「いい、とは?」

 その直後だった、突然今までいた二名の教員の姿がその場から消えたのだった。
 その光景を目の前で見ていたジュリルは自分の目を疑い、モランは瞬きしただけの一瞬の出来事に理解が追い付かずに気の抜けた小さな声が出るのだった。

「え?」
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