とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第467話 箱の中身

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「何なんだよアイツは! 好き勝手言いやがって!」

 ダンデが離れた場所で近くの大きめな箱を力強く殴りつけると箱の上に積んであった荷物が、殴った衝撃でいくつか地面に落ちる。
 黙り込んでいたルークたちの方を見てダンデは声を掛ける。

「何黙ってるんだよ、お前ら。もうやる事は決まってるだろ? アイツに一泡吹かせに行くぞ」
「ダンデ何処に?」
「何処って決まってるだろスザク、結界張られている所見つけて隊長倒すんだよ!」
「いやいや、こういうのは王国軍に任せるべきだろ」
「その王国軍の隊長が協力してるんだぞ? 任せるもなにもないだろうが!」

 スザクの発言にダンデは止まらずにその場から立ち去ろうとしたが、ルークがダンデを呼び止める。

「何だよルーク」
「少し落ち着け、ダンデ」

 ダンデはその場で振り返りルークの方へと近付いて行き、胸ぐらを掴んだ。

「落ち着け? 落ち着いてどうなるんだよルーク! お前も見たろあの映像。俺たちの行動に人の命が掛かってるんだぞ! 時間も限られてるんだ、悠長にしてる暇はねえだろうが!」

 ルークはダンデに捕まれながらも慌てる様子はなく言葉を聞いていたが、周りはダンデがこのままルークに殴り掛かるのではないかとダンデを離そうと間に入ったりし始めるとルークが口を開く。

「ダンデ、そもそもさっきの映像が本当かどうかも俺たちには分からないんだ」
「あれが嘘だっていうのかよ!」
「その可能性もあるっ話だ。そもそも、あのバベッチと名乗った相手が特にこだわりもない俺たちにこんな事をさせる?」
「そんなのアイツの気まぐれだろうが! そんな口ぶりだったしな」
「それに王国軍があんな奴と協力してるとは思えないし、判断材料の情報が足りてない。まずは状況を把握するのが――」
「だから! そんな事してる間に、誰かに何かあったらどうするんだよ!」
「事態を把握して動いた方が、むやみに動くよりもましだろ!」
「とりあえず何処かにいる隊長を倒して、あの時間を止めるべきだろ! それから事態把握してもいいだろが!」
「お前な王国軍の隊長がどれだけ強いか分かってるのか? 俺たち学院生が相手になる訳ないだろうが!」
「そんなのやってみないと分からないだろうがよ!」
「相手は、日々訓練しているんだぞ? 俺たちとは環境が違うんだ! そこでまずは判断出来るだろうが!」

 ルークとダンデは互いに止められながらも、言い合いをし始めてしまい皆も「止めろ」と二人を落ち着かせようとするが一向に落ち着く気配がなかった。
 ちょっと、ちょっと、こんな所で言い合いしてる場合じゃないんじゃないの?
 私もどうしていいか分からないものの、ひとまずは二人を止めるべきだと思い皆と同じ様に間に入った時だった。

「お前らうるせーーー!」

 そこで急に大声を出したのは、トウマだった。
 思わぬ出来事に私たちも含めルークとダンデも驚きトウマの方へと視線を向けた。

「はぁー、はぁー、もう分けわかんねえよ、これ」
「ト、トウマ?」

 私が声を掛けると、トウマは両手で自身の髪をぐちゃぐちゃにした。

「分けわかんねえ上に喧嘩までするなよ、お前ら……俺は頭もキレないし、力も凄くない。でもよ、ここにはそれぞれに凄い奴が揃ってるんだ。反発するより合わさった方がもっと凄くなるだろ? だから、そのだな、えーと……」
「皆でどうするべきか、話し合いましょうって事でしょ?」
「その上で、この人数なら分担して多くの事は出来るだろうね。そういうことだろ、トウマ?」

 言葉に詰まったトウマにスバンとロムロスが続けてトウマに訊ね返す。

「え、あ、ああ。そう! そういうことよ! うん」

 トウマは慌てて二人に話を合わせるように返事をすると、二人は小さく笑う。
 ダンデは「何かそれ、言わされてないか?」と呟きルークはその間に大きく深呼吸をしていた。

「ち、ちげえよ! 俺もそういう事がいいたかったんだ!」
「そういう事って、お前な……いや、何か今の事で気が抜けたわ。頭に血が上り過ぎてたかもしれない。ルーク、つっかかって悪かった」

 トウマがキッカケでダンデが落ち着きルークに対して謝罪すると、ルークも「俺もあんな事を言いながら冷静じゃなかった」と口にし謝罪するのだった。
 その後リーガとライラックがトウマを軽く肘で突き「やるじゃん」などと声を掛けたり、シンリたちもルークとダンデが落ち着いた事に安堵の息をつく。
 だが、私たちが置かれている状況が変わった訳ではないので改めて、どうするべきなのかの話し合いを始めようとすると先程ダンデが殴りつけた箱がガタガタと動き始める。
 突然動き始めた箱に、私たちは少し体を引いて見つめていると動きが大きくなり私の方へと倒れて来た。

「うぁ!? 倒れたぞ!」
「もしかして何か凶悪な動物とか入ってたりするんじゃねぇか?」
「これも、あのバベッチとかいう奴の仕業だったりして……」

 シンリたちが後ろで慌てていると、倒れた箱のふたが取れ中身が見えて私たちは目を疑うとトウマが最初に驚きの声を上げた。

「デ、デイビッド副学院長!?」

 なんと箱の中には、何故か口と両手足首を縛られたデイビッドが私たちに何かを訴える様な目をして、箱の中でもぞもぞとしていたのだった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「思ったり飛び散ったな」

 そうバベッチは口にしながら、服についたデイビッドであった物を払った。
 一方でジュリルたちは、目の前でデイビッドが爆散した光景を目の当たりにし完全に硬直してしまっていた。

「(何ですの? ……今デイビッドが破裂しましたわよね?)」
「(え、何? 何が起きてるの?)」
「(デイビッド副学院長が……爆発した……)」

 するとミュルテが自身の近くまで飛んで来て、地面に落ちていた物体を見つめていると、とある変化に気付く。

「(……あれ、何か動いて、る?)」

 直後周囲に大小とバラバラに飛び散った物体の色が、突然色あせ始める。
 そして生き物の様に一点の場所に向かって、動き始めるのだった。
 モランはその光景を目にすると、気味悪くなり一歩下がり手で口元を覆う。

「何なの、何なのよこれ」

 ジュリルたちも目を疑いながら、その光景をただ見てると物体がバベッチの真横に集まり始め、一つの塊になって行く。
 その段階で先程までの物体は泥の様に変わっており、塊が大きくなるにつて形が上に伸びて行き人の形へと変わり始める。
 そして、完全に人の形になると泥の塊が一気に剥がれ落ち中から爆発により弾け散ったデイビッドが無傷の状態で姿を現すのだった。
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