とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

文字の大きさ
471 / 564

第470話 作戦会議場

しおりを挟む
「やっと学院が見えて来たぞ」
「何か人だかり出来てない?」
「とりあえず行けば分かるでしょ」
「急ぐぞ、諸君」

 そう口にしたのは、私たちの先頭を行くデイビッドであった。
 現在私たちは、デイビッドを含めルークたちと共にイベント会場ではなく学院近くまでやって来ていた。


 ――遡る事二十分前。


 私たちは舞台裏で、箱の中で縛られているデイビッドを見つけ、縛られていた箇所を解き箱の中から出す手伝いをし事情を訊いた。

「というと、デイビッド副学院長はマイナ学院長に拘束されて後に意識を失って、次に気付いたらその箱に閉じ込められてたと?」
「ええ、そうなりますね」

 デイビッド曰く、先程のバベッチの映像が始まった後にマイナの所へと向かった時に突然魔法で拘束され、意識を失ったと語った。
 意識を失う前にマイナが学院へ急がなければと口にしていたのは覚えており、これまでの状況も含めデイビッドは現状を把握するのならマイナに会いに学院へと向かい話を訊くのがいいと提案した。

「マイナ学院長がデイビッド副学院長にそんな事をした理由が分からないね」
「その行動からして学院長は、こうなる前にこんな状況になると分かっていた行動したという事じゃないか? デイビッド副学院長の件は分からないが」
「とりあえず、俺たちが置かれている状況もデイビッド副学院長の件もどっちも学院に行けば何かしらは分かるんじゃないか?」

 フェルトがそう皆の口にした事を簡単にまとめ、提案するとデイビッドが賛同する。

「諸君らの状況も理解している。だが、この場で散り散りになり行動するのは賛同できない。学院に関わる事であるならば、事態を見極める必要がある」
「デイビッド副学院長もこう言ってるし、とりあえず皆で学院に行こう」

 そこでトウマがそう告げると、ルークも「そうだな」と賛同しこの場で悩んでいるよりかは、事態解決の手掛かりにも状況把握も行える学院へと私たちは向かうことに決めたのだ。
 そうして私たちは急いで学院へと向かい、到着した。

「どういう事だよ、これ」

 学院の前には何故か教員たちや学院生たちが周囲に集まっており、更には学院全体に結界が張られており、中へと入れない状況であった。
 その光景に私たちは息を整えながら驚いていると、デイビッドだけは正門へと向かって生徒をかきわけて進んで行く。

「学院長は? マイナ学院長はいらっしゃるか?」

 生徒たちも含め教員たちがデイビッドの声に反応し、デイビッドの姿を見て数人の教員が驚く。

「デ、デイビッド副学院長!? どうしてこちらに?」
「学院内にいらっしゃるのでは?」
「何を言っているのだ。私は学院長と共にイベント会場にいたぞ。それより、マイナ学院長を見ていないか?」

 デイビッドの返答に困惑する教員たちの所に、学院の外周を回ってマイナと数人の教員が戻って来た。
 それを見つけデイビッドはマイナの元へと近付いて行くと、マイナの周囲にいた教員は驚いていた。

「マイナ学院長」
「っ、デイビッド副学院長」

 マイナは少し驚いた顔をしたが、遠くにルークたちの姿を目にしデイビッドがこの場にいる状況を理解する。
 するとマイナは周囲にいた教員に、正門の方にて警戒を続けるように指示すると教員たちは離れていく。

「私の件は後回しでいいですが、状況を教えていただけますか?」
「ええ。では、貴方と共に来た彼らも呼んで向こうで話しましょう」

 その後私たちの元にデイビッドがやって来ると、この場から少し離れた天幕内にてマイナから状況について説明してくれると伝えられ、私たちはその場から移動した。
 天幕はイベントの為に、荷物を一時的に置く様として作っていたものだったが、現状は作戦会議室の様になっていた。
 中は急きょスペースを確保したのか、荷物などが端にやられており中央部に机が置かれており、そこには王都の全体地図が広げられていた。

「マイナ学院長ここは?」

 トウマの問いかけにマイナは「作戦会議場ですよ」と答えた後、ルークが続けて口を開く。

「どういう状況なんですか?」

 そしてマイナが簡易的に、現在起きている学院の状況を話し始めた。
 現在学院の全体は何者かによって生成された結界に覆われており、中への侵入は不可。
 学院外周を確認し結界の抜け道なども数名で確認したが、それも現在見つかっておらず正門付近は教員により一時的に封鎖状態にしていた。
 学院生たちも既に異変には気付いているが、これも現在行われているゲリライベントの一環だと思っている者が大半だが、時間が経つにつれそうではなくなるだろうとマイナは口にする。
 内部では本日開催していた学院案内の参加者と数名の女子学院生が取り残されている事は確認できており、更にはそれまで共にいた教員の証言によるとデイビッドが裏切り者とし侵入者と共に内部にいると明かした。

「え? え? いや、デイビッド副学院長はここに」
「そうですよ、ここにいますよ。え?」

 とデイビッドも驚き反応に困っており同じ様に皆が混乱する中で私は、これはオービン誘拐事件に起きたタツミの偽者と同じなのではと思っていると、ルークも似た様に考えていたのか軽く目が合い頷いた。

「私たちの目の前にいるデイビッドは本物だ。中にいるのは、たぶんデイビッドの姿をした偽物だろう」

 そこでデイビッドは王都襲撃時に学院で戦闘したオービンの事を思い出し理解する。
 そのままマイナは、結界が張られる前まで学院内にいた教員の話を私たちに共有してくれた。

「気付いたら学院の外だったとか、何だよそれ」
「それじゃ、俺たちが見せられたあの学院内映像は嘘じゃなかったって事か?」
「おいおい、じゃ速くぶっ倒しに行かねえとやばいじゃないかよ!」
「どういう事? 学院内の状況を知っているの?」

 そこで私たちはマイナにルークたちが置かれている状況を改めて説明した。
 各所にて発生している結界と、王国軍隊長から解除コードを入手する事、更にはそのコードにて学院内部にて爆発物を付けられている皆を助けられると簡単にルークたちが説明した。

「バベッチの奴……何てことを」

 そうマイナが呟いた後、ルークたちの方に視線を向ける。
 内部にいた教員からの証言と合わせ、その可能性が濃厚だと判断したマイナは解除コード奪取の意志を決める。

「現状こちらは内部に入れませんが、あのカウントダウンは無視できなくなりました。バベッチがこれを仕組んでいるのなら、その発言通りルークさんたちにしかその資格はないのでしょう」
「それじゃ、彼らに」
「ええ、そうなりますデイビッド副学院長。本来は私たちが出向きたい所ですが」
「話の途中で申し訳ないのですが、いいですかマイナ学院長」

 と、マイナがそう口にしていると突然、天幕内に入って来て会話に割って入って来た人物がいた。
 その場の全員が声の主へと視線を向けるとそこにいたのは、タツミであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

男女比8対1の異世界に転移しました、防御力はレベル1です

オレンジ方解石
恋愛
 結婚式の最中に、夫に他の女と逃げられた花嫁、水瀬透子。  離婚届けを出す直前に事故で瀕死となった彼女は、異世界の女神から『妾と取り引きするなら、助けてやろう』と持ちかけられる。  異世界の《世界樹》の《種》を宿す《仮枝》となった透子は、女神の世界に連れて行かれ、二年を過ごすこととなった。  そこは男女比が8対1という偏った世界であり、女性が《四気神》と呼ばれる守護者に守られる世界。  女神とはぐれた透子は、そこで美形の青年、紅霞に助けられるが……。 ※追記の追記を少し直しました。

異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。

和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……? しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし! 危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。 彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。 頼む騎士様、どうか私を保護してください! あれ、でもこの人なんか怖くない? 心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……? どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ! 人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける! ……うん、詰んだ。 ★「小説家になろう」先行投稿中です★

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜

矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】 公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。 この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。 小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。 だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。 どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。 それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――? *異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。 *「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。

処理中です...