とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第474話 もう一人の

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「タツミ先生、見つけました」

 私は学院内にて結界を発生させている魔道具の一つを見つけ、ペアであるタツミを呼んだ。
 もう一方は、私たち以外のペアとして魔道具の位置を調査している。
 タツミは一度、第一の結界内を見ている為アシスタントとして一名私を選び、ざっくりとした地図をもう一方のペアに渡し、正確な位置を記載する用にとしてその後互いに反対方向へ進んでいた。

「そこにあったか。やっぱりざっくりとしか覚えてないから、かなり暫定位置からズレていたな」

 そう呟きながらタツミは地図へと魔道具の位置を記し直した。
 私はその姿を見ながら、視線を第二の結界の方へと向けた。
 校舎を覆う結界、中では何が今起きているの? ジュリルにモランたちは無事なのかしら?
 クリスはイベント会場で目にした映像をここに来て思い出していると、タツミが声を掛けて来た。

「気になるよな、中で何が起きているか」
「はい……内部には、あのバベッチがいるんでしょうか」
「さあ、そこまでは分からないな。だが、ここまで手が込んだ事をするという事は、その首謀者が居る可能性は高いんじゃないか」

 そっか、タツミ先生はあの時のティア王女様とリリエルさんとのやり取り全部知らないんだった。
 一緒に居たから知っているつもりで話しちゃったけど、途中で眠らされたんだった。
 私はバベッチの話を思い出し、もし彼が学院内に居るとして何が目的でこんな事をしているのか。
 その時リリエルたちが口にした、自分が狙われていると思い出しこれは、自分を狙った事なのかと頭をよぎっていた。
 考え過ぎかもしれないと思いつつも、もしかしたらこの状況は自分のせいではないかと思ってしまうのだった。

「クリス何してる、次に行くぞ」
「あ、はいタツミ先生」

 私は一旦考え過ぎるのを止め、今やるべき事をすべきと先を行くタツミの後を追った。


 ――王都メルト魔法学院内。


「リ、リーリア……」

 バベッチは自身の目を疑いつつも、口元がにやけていた。
 リーリアはティアの真横に立つ。
 すると吹き飛ばされたタツミが起き上がると、リーリア目掛けて『サンダーストライク』を放つ。
 が、リーリアは一切タツミの方を見ずに手をかざすと、向かって来る魔法が急に方向をかえ天井へと激突するのだった

「なっ」
「泥人形には退場してもらうわ」

 そう口にしティアが手を振るうとタツミの全身が一瞬で凍りつく。
 そしてリーリアが凍りついたタツミ目掛けて『ガスト』を放ち、砕くのだった。
 地面に散らばった氷の破片から、タツミだった物が泥へと変わる。

「何でここに、ティア王女がいるですか!」

 デイビッドは声を上げバベッチに問いかけるが、バベッチは何故が笑ったままデイビッドの問いかけには答えなかった。

「いい学院案内だったわ、偽者のデイビッドさん」
「そうね。昔と変わらない所もありつつ、綺麗になっている学院を見れてよかったわ」
「そういう事か、貴方たちはあの別件で来た二人でしたか。魔力の流れを変えていましたね」
「当然でしょ。バレたらお忍びなんて出来ないもの」
「ティア、もう十分よ。先に片付けるわよ」
「分かっているわ」

 直後、ティアはデイビッド目掛けて氷魔法を放ち、先程のタツミ同様に全身を一瞬で凍らせるとリーリアが風の斬撃を連続で放ち、氷を刻んだ。
 切り刻まれ砕けた氷内では、デイビッドであった物が泥へと変わるのだった。

「後は、後ろの一人と貴方だけよバベッチ」
「観念しなさい」

 するとバベッチは小さく笑い始めると、徐々に声を出して笑い始めた。

「まさか、まさかお前たちが来てるとは予想外だったよ」
「っ……」
「いやーこれは参ったな。ふふふ……嬉しくてニヤケが止まらないよ、リーリア!」

 不気味に笑い続けるバベッチに、ティアとリーリアは戦闘態勢を維持し続けた。

「そっちから会いに来てくれるなんて、最高だよ。ああ、嬉しい! 嬉しいよリーリア! 俺と一緒に来てくれる気になったのかい?」
「そんな訳ないでしょ。私は貴方との決着を付けに来たのよ、バベッチ!」

 その発言と同時にリーリアはバベッチ目掛けて魔力の弾丸を連射する『ブレットストーム』を放つ。
 それを援護する様にティアが、放った魔力の弾丸を氷でコーティングし、風魔法で更に押し威力を上げた。
 一直線にバベッチに向かって行き、例え壁で防壁を創り出したとしても防げる威力ではない為、確実に直撃し動きを止める事が出来るはずだった。
 だが、そうはならずバベッチの正面に見えない何かに吸い付くかの様に放った魔法が宙で動きを完全に止めた。
 思わぬ事態に、二人が驚いているとそのまま動きを止めてしまった魔法は見えない壁に呑まれる様に消失する。

「おいおい、急にそんな魔法放ってくるなんて酷いじゃないか。もし受けてたら、今頃俺ずたずたで倒れてるぞ」
「っ……話をしに来たわけじゃないと言ったでしょ」
「リーリア見て、あの後ろにいるフードの奴。たぶん、今はあいつの仕業よ」

 バベッチの後ろに控えていたフードを被ったもう一人が、片腕をこちらに向けていた事や異様な魔力を感じティアはそう推測するとその人物が前へと進んで来る。

「流石だよ、ティア。大正解だよ。今のは彼の魔法さ」
「さっきの偽者たちより、異常の魔力よリーリア」
「そうみたいね」

 そしてフードを被った人物がバベッチの前に立った。

「彼はもしもの時様に連れて来たのだけど、本当は出したくないんだよね。だって……」

 バベッチの言葉と同時にフードを被った人物が、フードを取り顔を見せた。
 その顔を見て、ティアとリーリアは目を疑った。
 その人物は、過去に王国転覆事件を引き起こした犯罪組織『モラトリアム』のリーダーである、ロバート・ベンズであった。

「二人が、死んじゃうかもしれない相手だからさ」
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