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第477話 バベッチという人物の正体②
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バベッチは瀕死寸前に新たな魔法『分身』を身に宿したが、既に自身の意識は遠くなり始めていた。
この時バベッチにあったのは、ただ死にたくないという感情であった。
その感情が引き金となったのかは今にしては誰にも分からないが、バベッチは死にたくないという一心で腕を伸ばし、自身に新しく宿った魔法を使用した。
そして怪我など一切していない、瓜二つ自分自身の分身を誕生させた。
薄れいく意識のなか、バベッチは自分自身を下から見上げて、うっすらと笑い力尽きるのだった。
バベッチのオリジナルが息を引き取ったのと入れ替わる様に分身体であるバベッチに意識が芽生える。
ゆっくりと瞳をあけ、周囲を見回し足共に自分の変わり果てた姿を目にし、その場で腰を抜かす。
頭の中にそれまでの記憶が激しく駆け巡り、自分が死んだ事を理解すると同時に自分を殺した相手に復讐したいという気持ちが芽生える。
そしてバベッチは立ち去ろうとしているロバートを見つめ、自身が身に付けていた短剣を握りしめ、ロバートの背後に忍びより心臓目掛けて押し倒して突き刺す。
ロバートをうつ伏せにしたままバベッチは何度も何度も短剣をロバートへと刺し続けた。
泣きながら叫びながら、返り血を浴びようとロバートが抵抗して来ようと、バベッチはロバートの全身を短剣で刺し続ける。
ロバートが動かなくなってもバベッチはそんな事には気付かずに、腕を振り続けた。
そして最後には両手で短剣を握り、勢いよくロバートの頭部目掛けて短剣を振り下ろし、突き刺した所で動きを止めた。
暫く馬乗り状態でいたが、ゆっくりと立ち上がるとうつ伏せのロバートを足でひっくり返す。
バベッチはロバートの苦しみながら息絶えた顔を見て、その顔を足で踏みにじった。
「お前のせいで俺は死んだ、お前のせいで俺は死んだ、お前のせいで俺は死んだ、お前のせいで俺は死んだ、お前のせいで俺は死んだ――」
そう呟き続けたのち、自分の死体を見てからロバートから足を退けると自身の腕に魔力を集め出す。
直後、ロバートの心臓目掛けてその腕を突き刺した。
再びバベッチに返り血が飛び散るが目を背けず、ゆっくりと突き刺した腕を抜く。
「……これでお相子な」
バベッチの瞳にはロバートの胸に開けた穴が映っていた。
直後、再び魔力反応が起こりバベッチの全身に衝撃が走り、その場で膝をついて倒れてしまう。
身体全身が沸騰しているかの様に熱く、電撃を受けた様に痺れており動く事も出来なかったのだ。
その時バベッチの身体では魔力反応により、二度目の新たな魔法が組み上がっていた。
そして身体の異常が治まり、立ち上がったバベッチは自身の隣に『分身』魔法で、もう一人の自分を創り出す。
バベッチはそこからロバートの死体を一度触り、もう一度自分の分身体に手を触れ離した。
すると突如分身体の足元に何処からともなく泥が集まり始め、一瞬で分身体を飲み込み人型の泥の塊が出来上がる。
暫くすると泥の塊が崩れ、中から現れたのはロバートであった。
そう、バベッチが二度目の魔力反応にて宿った新たな魔法は『擬態』である。
こうして新たな力を手にしたバベッチは、自身の願いであり夢がこの力なら叶えられるのではと思い始めた。
皆が平等でチャンスが与えられる世界に出来ると。
それと同時に、自分が思うままの世界に出来る、今まで見下して来た奴らに憎い貴族らを醜く殺せると。
「……え? いや、俺はそんな事考えた事なんて……いや、ある。あるよ、あったじゃないか。それにこの力があれば、リーリアも手に出来るじゃないか」
この時バベッチでさえも理解してない異変が起きていた。
それは、魔法の副作用というべきか、偶然の産物というべきなのか断言は出来ないが、紛れもなくそれは新たに身に付けた二つの魔法によるものであった。
最初に身についた『分身』魔法は、もう一人の自分自身を創り出せ、更には記憶や意識さえも共有しているという特性があった。
分身体が見て感じた事は、もう一人の自分も共有するという事であり、生み出された時点で独立しているので術者が死亡しても分身体はもう一つの命として残り続けるのである。
分身体に制限などなく、いくらでも自分自身を創り出す事は出来るがその分、意識や記憶は共有されていくデメリットがあった。
そして二つ目に身についた『擬態』は、対象の人物になり変われる魔法であった。
どんな相手だろうが瓜二つとなり、その人物の記憶すらも引き継ぐことが出来完璧にその人物になりきる事が可能である。
記憶自体は擬態を解く事で消えるが、一時的にその記憶や意思などが残りそれが自分の記憶だったか意思なのか分からなくなるデメリットが存在していた。
そんな二つの魔法の特性を全て知らないバベッチは、二つを組み合わせた事により自身の中に対象の記憶や意思が混じってしまったのだ。
しかもその相手が犯罪組織『モラトリアム』のリーダーであるロバートであった事で、記憶や意思が歪み始めていた。
その時のバベッチは、ロバートという人格を宿して仕切りなどの隔たりのない二重人格者であった。
そんな混乱している所へ、遅れてティアやリーリアたちが合流してきてバベッチとロバート死体、そして瓜二つの生きている二人を目撃してしまう。
「えっ……何、どういう、事?」
「何だよ、これ……」
「皆! 違うんだこれは! これは……うっ……」
「バベッチ」
リーリアが頭を抑え倒れるバベッチに近付いて来ようとすると、そこで後ろで立っていたロバートがリーリアたちに片手を向けると、結界で全員を閉じ込めた。
「お前、何してるんだ」
「……何って、面倒だから捕らえただけだ」
「そうか、よくやっ――違う! そんな訳ないだっうっ……」
頭痛により立ち上がれないバベッチを見て、ロバートがため息をつきバベッチに囁く。
「ひとまずこの状況は面倒だ。一旦奴らの記憶を適当に改ざんして、離れようじゃないか」
「記憶を改ざん、だと?」
するとロバートは懐から正方形の箱を取り出し、それを結界内で閉じ込められているリーリアたちへと投げ込んだ。
直後、その箱が結界内で光り輝くとリーリアたちはその場で倒れる。
「何を」
「記憶を改ざんする為に、意識を失わせただけだ」
そういってロバートはバベッチから離れ、結界へと向かうとそのまま何かを結界外から書き込むような動作をし終えると、結界を解除する。
そのままバベッチの元に戻って来ると、バベッチに手を貸して立ち上がらせる。
「起きる前に行くぞ」
「ちょっと待て……どうして俺がお前となん――」
直後ロバートをバベッチのみぞおちを殴り気絶させ、抱えるとバベッチのオリジナルの死体は残し、ロバートのオリジナルの死体だけを抹消してその場を立ち去った。
その後リリエルの視点は、そのままリーリアたちが目を覚ますまで続き、王国軍が合流してきてバベッチの死を悲しむ姿が映るのだった。
そこで一度リリエル視点は終わり、皆自身の視界が戻る。
リーリアたちは先程のリリエルの視点を見た事で、記憶の奥底に埋もれていた本当の記憶が甦り先程のものが嘘ではなく、今まで自分たちが思っていた記憶が改ざんされたものだと理解するのだった。
「そうだ、そうだった」
「バベッチがあんな……」
皆は直ぐには受け入れらない状態であった。
そんな中リーリアはリリエルに対して「バベッチは、あの後どうしていたのか知っているんですよね?」と口にした。
「ええ。あの後、どういう経緯で彼が今の様になってしまったのか知っているわ。薄々分かっているとは思うけれどね」
「見せてください。彼の、いえ彼の分身体のその後を」
リリエルは強く手を握りしめるリーリアを見た後、ティアたちの方を見つめた。
彼女らも未だ動揺していたが、最後まで彼がどうしたのかを知ろうと小さく頷いた。
そしてリリエルは、再びリーリアたちの視界に過去の自身の視点を共有するのだった。
この時バベッチにあったのは、ただ死にたくないという感情であった。
その感情が引き金となったのかは今にしては誰にも分からないが、バベッチは死にたくないという一心で腕を伸ばし、自身に新しく宿った魔法を使用した。
そして怪我など一切していない、瓜二つ自分自身の分身を誕生させた。
薄れいく意識のなか、バベッチは自分自身を下から見上げて、うっすらと笑い力尽きるのだった。
バベッチのオリジナルが息を引き取ったのと入れ替わる様に分身体であるバベッチに意識が芽生える。
ゆっくりと瞳をあけ、周囲を見回し足共に自分の変わり果てた姿を目にし、その場で腰を抜かす。
頭の中にそれまでの記憶が激しく駆け巡り、自分が死んだ事を理解すると同時に自分を殺した相手に復讐したいという気持ちが芽生える。
そしてバベッチは立ち去ろうとしているロバートを見つめ、自身が身に付けていた短剣を握りしめ、ロバートの背後に忍びより心臓目掛けて押し倒して突き刺す。
ロバートをうつ伏せにしたままバベッチは何度も何度も短剣をロバートへと刺し続けた。
泣きながら叫びながら、返り血を浴びようとロバートが抵抗して来ようと、バベッチはロバートの全身を短剣で刺し続ける。
ロバートが動かなくなってもバベッチはそんな事には気付かずに、腕を振り続けた。
そして最後には両手で短剣を握り、勢いよくロバートの頭部目掛けて短剣を振り下ろし、突き刺した所で動きを止めた。
暫く馬乗り状態でいたが、ゆっくりと立ち上がるとうつ伏せのロバートを足でひっくり返す。
バベッチはロバートの苦しみながら息絶えた顔を見て、その顔を足で踏みにじった。
「お前のせいで俺は死んだ、お前のせいで俺は死んだ、お前のせいで俺は死んだ、お前のせいで俺は死んだ、お前のせいで俺は死んだ――」
そう呟き続けたのち、自分の死体を見てからロバートから足を退けると自身の腕に魔力を集め出す。
直後、ロバートの心臓目掛けてその腕を突き刺した。
再びバベッチに返り血が飛び散るが目を背けず、ゆっくりと突き刺した腕を抜く。
「……これでお相子な」
バベッチの瞳にはロバートの胸に開けた穴が映っていた。
直後、再び魔力反応が起こりバベッチの全身に衝撃が走り、その場で膝をついて倒れてしまう。
身体全身が沸騰しているかの様に熱く、電撃を受けた様に痺れており動く事も出来なかったのだ。
その時バベッチの身体では魔力反応により、二度目の新たな魔法が組み上がっていた。
そして身体の異常が治まり、立ち上がったバベッチは自身の隣に『分身』魔法で、もう一人の自分を創り出す。
バベッチはそこからロバートの死体を一度触り、もう一度自分の分身体に手を触れ離した。
すると突如分身体の足元に何処からともなく泥が集まり始め、一瞬で分身体を飲み込み人型の泥の塊が出来上がる。
暫くすると泥の塊が崩れ、中から現れたのはロバートであった。
そう、バベッチが二度目の魔力反応にて宿った新たな魔法は『擬態』である。
こうして新たな力を手にしたバベッチは、自身の願いであり夢がこの力なら叶えられるのではと思い始めた。
皆が平等でチャンスが与えられる世界に出来ると。
それと同時に、自分が思うままの世界に出来る、今まで見下して来た奴らに憎い貴族らを醜く殺せると。
「……え? いや、俺はそんな事考えた事なんて……いや、ある。あるよ、あったじゃないか。それにこの力があれば、リーリアも手に出来るじゃないか」
この時バベッチでさえも理解してない異変が起きていた。
それは、魔法の副作用というべきか、偶然の産物というべきなのか断言は出来ないが、紛れもなくそれは新たに身に付けた二つの魔法によるものであった。
最初に身についた『分身』魔法は、もう一人の自分自身を創り出せ、更には記憶や意識さえも共有しているという特性があった。
分身体が見て感じた事は、もう一人の自分も共有するという事であり、生み出された時点で独立しているので術者が死亡しても分身体はもう一つの命として残り続けるのである。
分身体に制限などなく、いくらでも自分自身を創り出す事は出来るがその分、意識や記憶は共有されていくデメリットがあった。
そして二つ目に身についた『擬態』は、対象の人物になり変われる魔法であった。
どんな相手だろうが瓜二つとなり、その人物の記憶すらも引き継ぐことが出来完璧にその人物になりきる事が可能である。
記憶自体は擬態を解く事で消えるが、一時的にその記憶や意思などが残りそれが自分の記憶だったか意思なのか分からなくなるデメリットが存在していた。
そんな二つの魔法の特性を全て知らないバベッチは、二つを組み合わせた事により自身の中に対象の記憶や意思が混じってしまったのだ。
しかもその相手が犯罪組織『モラトリアム』のリーダーであるロバートであった事で、記憶や意思が歪み始めていた。
その時のバベッチは、ロバートという人格を宿して仕切りなどの隔たりのない二重人格者であった。
そんな混乱している所へ、遅れてティアやリーリアたちが合流してきてバベッチとロバート死体、そして瓜二つの生きている二人を目撃してしまう。
「えっ……何、どういう、事?」
「何だよ、これ……」
「皆! 違うんだこれは! これは……うっ……」
「バベッチ」
リーリアが頭を抑え倒れるバベッチに近付いて来ようとすると、そこで後ろで立っていたロバートがリーリアたちに片手を向けると、結界で全員を閉じ込めた。
「お前、何してるんだ」
「……何って、面倒だから捕らえただけだ」
「そうか、よくやっ――違う! そんな訳ないだっうっ……」
頭痛により立ち上がれないバベッチを見て、ロバートがため息をつきバベッチに囁く。
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「記憶を改ざん、だと?」
するとロバートは懐から正方形の箱を取り出し、それを結界内で閉じ込められているリーリアたちへと投げ込んだ。
直後、その箱が結界内で光り輝くとリーリアたちはその場で倒れる。
「何を」
「記憶を改ざんする為に、意識を失わせただけだ」
そういってロバートはバベッチから離れ、結界へと向かうとそのまま何かを結界外から書き込むような動作をし終えると、結界を解除する。
そのままバベッチの元に戻って来ると、バベッチに手を貸して立ち上がらせる。
「起きる前に行くぞ」
「ちょっと待て……どうして俺がお前となん――」
直後ロバートをバベッチのみぞおちを殴り気絶させ、抱えるとバベッチのオリジナルの死体は残し、ロバートのオリジナルの死体だけを抹消してその場を立ち去った。
その後リリエルの視点は、そのままリーリアたちが目を覚ますまで続き、王国軍が合流してきてバベッチの死を悲しむ姿が映るのだった。
そこで一度リリエル視点は終わり、皆自身の視界が戻る。
リーリアたちは先程のリリエルの視点を見た事で、記憶の奥底に埋もれていた本当の記憶が甦り先程のものが嘘ではなく、今まで自分たちが思っていた記憶が改ざんされたものだと理解するのだった。
「そうだ、そうだった」
「バベッチがあんな……」
皆は直ぐには受け入れらない状態であった。
そんな中リーリアはリリエルに対して「バベッチは、あの後どうしていたのか知っているんですよね?」と口にした。
「ええ。あの後、どういう経緯で彼が今の様になってしまったのか知っているわ。薄々分かっているとは思うけれどね」
「見せてください。彼の、いえ彼の分身体のその後を」
リリエルは強く手を握りしめるリーリアを見た後、ティアたちの方を見つめた。
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