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第486話 歪んだ好意
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「うっ……ここは」
私が目を覚ますとそこは、3年生お疲れ様会やメルトボーイ・クイーンコンテスト会場となった2階建ての円形状の建物の中であった。
何で私はここに……そうだ、確かあのレオンに拘束されて第二の結界内に入って行く時に意識が遠のいたんだ。
徐々に意識がハッキリしだし身体を起こすと、背後からレオンの声が聞こえてくる。
「目が覚めたね、クリス」
その声に私は咄嗟に振り返ると、レオンは舞台上の一番前に座り片足を組んでいた。
レオンは私が起き上がるのを確認した後、組んでいた足を解き舞台上から降りた。
「レオン……いや、貴方は本当のレオンじゃない。貴方の正体は誰?」
「誰だと思う? 誰であって欲しい?」
「……知らないよ、貴方なんて」
「そっか。じゃ、自己紹介といこう」
するとレオンはその場で立ったまま、両手で顔を覆うとゆっくりと両手を左右にずらしていき素顔が露わになる。
紺色の髪で右目の目元にほくろがあるのが特徴的で、見た目が若く二、三歳程年上の男性であった。
「この姿が俺の本当の姿さ。クリスいや、ここには誰も来ないし本当の名で呼ばせてもらうよ、アリス」
「っ!?」
誰なのこの人……どうして私の名前を。
「どうして本当の名前をって思っているかい?」
私は思っていた事を言い当てられ動揺すると、相手は軽く微笑みながら答えた。
「それはね、俺が君の事をずっと見ていたからさ」
その言葉に私は背筋がゾッとした。
言葉だけではなく、その時の表情それに異様な雰囲気を感じ取ったからである。
誰? 誰なの、私の前にいるこの人は?
私が少し後ずさりすると、目の前の人物は「ごめん、ごめん」と口にして小さく深呼吸した。
「やっとこの時が来たと思ったら、興奮が抑えられなくてね。でも、もう大丈夫。怖がらないでアリス」
気持ち悪い、何なのよこいつ!
「ああそうだ、自己紹介だったね。俺の名前はバベッチ。バベッチ・ロウ」
「えっ」
思わぬ名前に私はその場で一度固まってしまう。
そして確認する様に私はバベッチを名乗った人物に自然と問い返していた。
「貴方がバベッチ?」
「ん? その反応、もしかして話しを聞いたのかな?」
「どうなの? 貴方は本当にバベッチ・ロウなの?」
少し声を荒げた感じで私が再度問い返すと、バベッチは「そうだよ」と返した。
この人がバベッチ・ロウ? ティア女王様やリリエルさんから聞いては居たけど、想像していたより若い。
私と同年代もしくは二つ三つ上くらいの人にしか見えない。
歳を取ってないの? いやそもそも、あの時の話しだとバベッチという人物の本体は既に死んでいて、今存在しているのは本体から生まれた分身体だったはず。
というか、分身体とかそういうのって本体があってこそなんじゃないの? 分からないけど、そういうイメージなんですけど。
「リーリア? いや、彼女ではない気がするな。だとしたら、ティアもしくはリリエル先生あたりかな? どうかな、俺の予想当たっているかなアリス?」
私はバベッチに問いかけられていたが、自分の考えでいっぱいで問いかけ自体聞こえていない状態であり、無視してしまう。
バベッチは私の態度に小さくため息をつくと、片手を勢いよく真上に振り上げた。
直後、私に向かい強い向かい風が吹いた。
突然の風に私は驚いた後、バベッチの方へと視線を向けた。
「人が話し掛けているんだから、勝手に自分の世界に入るのはよくないな」
「……今の貴方?」
「俺以外に誰が? それよりも誰から俺の話を聞いたんだい? リーリアではないだろ」
「貴方を知る人よ」
「だから、それが誰か訊いているんだよ」
「どうしてそんな事を気にするの?」
「気になるからさ。誰が俺の話をアリスにしたのか」
「っ……教えないって言ったら?」
恐る恐る私はそう答えると、バベッチは暫く黙った後口を開いた。
「はぁ~どうしてそんなに頑なに答えたがらないんだ? 俺にはそれが分からないよ。まぁ、アリスが答えなくないっていうならそれでいいや。それじゃ、話を変えて今の話しをしようか」
あっさりと引いたバベッチに少し動揺したが、私はバベッチが何を企んでいるのか分からず直ぐに動ける姿勢を崩さずに会話を続けた。
「アリス、現状君は俺に誘拐された身だ。それは分かっているね」
そうしてバベッチは私に問いかけながら現状を語り始めた。
学院外の状況から、今校舎内で起きている状況までとまるで見ていたかのように詳細に語る。
私は校舎内でそんな事が起こっているとは思わず耳を疑った。
更にはティア女王様だけでなく、お母様まで来ていた事に驚いてしまう。
そして何故校舎内に向かわずこの場所へ来たのかを明かした。
「ここは校舎側から離れていて、かつ結界内でもある。マイナたちは俺が校舎内にいると思うだろうな。だから、直ぐにここへはこないし時間も稼げる。二人っきりの時間を堪能出来るってわけさ。まぁ、あくまで時間が稼げるかは予測ではしかないが、そもそも外側の結界も内側の結界もすぐに解ける物じゃないから問題ないがな」
「どうして、どうして貴方は私を狙うの? 貴方の目的に私がどうして関係するの?」
バベッチは私の問いかけに「そんなの決まっているだろ」と口にした後、少し間を空けてから続けた。
「俺の目的はリーリアを手にすること。その為にアリス、君が必要なんだよ。君を人質にとればリーリアも俺のいうことを聞いてくれるだろ?」
「……え?」
そんな事……そんな事の為に私を狙っているの? 人質にとってお母様を言いなりにさせる? そんなの上手くいく訳ない。
でもバベッチは本気でそれを口にしているし、これまでの事件などもその為に起こしたの? うんん、彼には他の人格が混じっていて既に一人の人間ではなくなっている。
そもそも分身体を人間と呼んでいいのか分からないけれども、彼の思考は普通じゃない歪んでおかしくなっている。
「だからさアリス、俺の為におとなしく人質になってくれないか? 俺はアリスを傷つけたくないんだ」
「そんなの、従う訳ないでしょう! 貴方がこれまでどんな事をしてきたのか、どんなに人を傷つけて来たのか分かっているの? そんな人の言葉なんて誰も従わないわよ!」
「今他人がどうとか関係ないだろ。アリスも聞いた事ぐらいあるだろ、目的の為には時には犠牲も必要だって。これまでの事は、目的を達成する為の犠牲なんだよ。仕方なかったことさ」
「仕方ない、だって? ……ふざけるな! そんな言葉で片付けていい訳ないでしょが! 貴方やっぱりおかしいわ、いえおかしくなっているのよバベッチ」
「俺が? おかしい?」
するとバベッチは俯くと小さく小刻みに笑い始めると、徐々に大声で笑いながら上を向いた。
そして急に笑うのを止め、私の方に視線を向けて来た。
「どこが、何がおかしいんだ?」
私は突然真顔で訊ねて来るバベッチに対し、萎縮してしまう。
直後だった、バベッチは一瞬で私との距離を詰めて来て顔を目の前まで近付けて来た。
「俺は好きな人を手に入れる為に行動しているだけだ。それの何がおかしいんだよアリス? 好きな人の為に全力になるのは、普通だろ」
私は身体が萎縮したせいか、動く事が出来なかった。
そのままバベッチは私の両肩に手を置いて掴んだ。
「アリスなら分かってくれるだろ? だから俺に協力してくれよ。俺とリーリアの為に、さ」
そうバベッチは笑顔で口にするが、私からすればそれはもはや脅迫であった。
私が目を覚ますとそこは、3年生お疲れ様会やメルトボーイ・クイーンコンテスト会場となった2階建ての円形状の建物の中であった。
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徐々に意識がハッキリしだし身体を起こすと、背後からレオンの声が聞こえてくる。
「目が覚めたね、クリス」
その声に私は咄嗟に振り返ると、レオンは舞台上の一番前に座り片足を組んでいた。
レオンは私が起き上がるのを確認した後、組んでいた足を解き舞台上から降りた。
「レオン……いや、貴方は本当のレオンじゃない。貴方の正体は誰?」
「誰だと思う? 誰であって欲しい?」
「……知らないよ、貴方なんて」
「そっか。じゃ、自己紹介といこう」
するとレオンはその場で立ったまま、両手で顔を覆うとゆっくりと両手を左右にずらしていき素顔が露わになる。
紺色の髪で右目の目元にほくろがあるのが特徴的で、見た目が若く二、三歳程年上の男性であった。
「この姿が俺の本当の姿さ。クリスいや、ここには誰も来ないし本当の名で呼ばせてもらうよ、アリス」
「っ!?」
誰なのこの人……どうして私の名前を。
「どうして本当の名前をって思っているかい?」
私は思っていた事を言い当てられ動揺すると、相手は軽く微笑みながら答えた。
「それはね、俺が君の事をずっと見ていたからさ」
その言葉に私は背筋がゾッとした。
言葉だけではなく、その時の表情それに異様な雰囲気を感じ取ったからである。
誰? 誰なの、私の前にいるこの人は?
私が少し後ずさりすると、目の前の人物は「ごめん、ごめん」と口にして小さく深呼吸した。
「やっとこの時が来たと思ったら、興奮が抑えられなくてね。でも、もう大丈夫。怖がらないでアリス」
気持ち悪い、何なのよこいつ!
「ああそうだ、自己紹介だったね。俺の名前はバベッチ。バベッチ・ロウ」
「えっ」
思わぬ名前に私はその場で一度固まってしまう。
そして確認する様に私はバベッチを名乗った人物に自然と問い返していた。
「貴方がバベッチ?」
「ん? その反応、もしかして話しを聞いたのかな?」
「どうなの? 貴方は本当にバベッチ・ロウなの?」
少し声を荒げた感じで私が再度問い返すと、バベッチは「そうだよ」と返した。
この人がバベッチ・ロウ? ティア女王様やリリエルさんから聞いては居たけど、想像していたより若い。
私と同年代もしくは二つ三つ上くらいの人にしか見えない。
歳を取ってないの? いやそもそも、あの時の話しだとバベッチという人物の本体は既に死んでいて、今存在しているのは本体から生まれた分身体だったはず。
というか、分身体とかそういうのって本体があってこそなんじゃないの? 分からないけど、そういうイメージなんですけど。
「リーリア? いや、彼女ではない気がするな。だとしたら、ティアもしくはリリエル先生あたりかな? どうかな、俺の予想当たっているかなアリス?」
私はバベッチに問いかけられていたが、自分の考えでいっぱいで問いかけ自体聞こえていない状態であり、無視してしまう。
バベッチは私の態度に小さくため息をつくと、片手を勢いよく真上に振り上げた。
直後、私に向かい強い向かい風が吹いた。
突然の風に私は驚いた後、バベッチの方へと視線を向けた。
「人が話し掛けているんだから、勝手に自分の世界に入るのはよくないな」
「……今の貴方?」
「俺以外に誰が? それよりも誰から俺の話を聞いたんだい? リーリアではないだろ」
「貴方を知る人よ」
「だから、それが誰か訊いているんだよ」
「どうしてそんな事を気にするの?」
「気になるからさ。誰が俺の話をアリスにしたのか」
「っ……教えないって言ったら?」
恐る恐る私はそう答えると、バベッチは暫く黙った後口を開いた。
「はぁ~どうしてそんなに頑なに答えたがらないんだ? 俺にはそれが分からないよ。まぁ、アリスが答えなくないっていうならそれでいいや。それじゃ、話を変えて今の話しをしようか」
あっさりと引いたバベッチに少し動揺したが、私はバベッチが何を企んでいるのか分からず直ぐに動ける姿勢を崩さずに会話を続けた。
「アリス、現状君は俺に誘拐された身だ。それは分かっているね」
そうしてバベッチは私に問いかけながら現状を語り始めた。
学院外の状況から、今校舎内で起きている状況までとまるで見ていたかのように詳細に語る。
私は校舎内でそんな事が起こっているとは思わず耳を疑った。
更にはティア女王様だけでなく、お母様まで来ていた事に驚いてしまう。
そして何故校舎内に向かわずこの場所へ来たのかを明かした。
「ここは校舎側から離れていて、かつ結界内でもある。マイナたちは俺が校舎内にいると思うだろうな。だから、直ぐにここへはこないし時間も稼げる。二人っきりの時間を堪能出来るってわけさ。まぁ、あくまで時間が稼げるかは予測ではしかないが、そもそも外側の結界も内側の結界もすぐに解ける物じゃないから問題ないがな」
「どうして、どうして貴方は私を狙うの? 貴方の目的に私がどうして関係するの?」
バベッチは私の問いかけに「そんなの決まっているだろ」と口にした後、少し間を空けてから続けた。
「俺の目的はリーリアを手にすること。その為にアリス、君が必要なんだよ。君を人質にとればリーリアも俺のいうことを聞いてくれるだろ?」
「……え?」
そんな事……そんな事の為に私を狙っているの? 人質にとってお母様を言いなりにさせる? そんなの上手くいく訳ない。
でもバベッチは本気でそれを口にしているし、これまでの事件などもその為に起こしたの? うんん、彼には他の人格が混じっていて既に一人の人間ではなくなっている。
そもそも分身体を人間と呼んでいいのか分からないけれども、彼の思考は普通じゃない歪んでおかしくなっている。
「だからさアリス、俺の為におとなしく人質になってくれないか? 俺はアリスを傷つけたくないんだ」
「そんなの、従う訳ないでしょう! 貴方がこれまでどんな事をしてきたのか、どんなに人を傷つけて来たのか分かっているの? そんな人の言葉なんて誰も従わないわよ!」
「今他人がどうとか関係ないだろ。アリスも聞いた事ぐらいあるだろ、目的の為には時には犠牲も必要だって。これまでの事は、目的を達成する為の犠牲なんだよ。仕方なかったことさ」
「仕方ない、だって? ……ふざけるな! そんな言葉で片付けていい訳ないでしょが! 貴方やっぱりおかしいわ、いえおかしくなっているのよバベッチ」
「俺が? おかしい?」
するとバベッチは俯くと小さく小刻みに笑い始めると、徐々に大声で笑いながら上を向いた。
そして急に笑うのを止め、私の方に視線を向けて来た。
「どこが、何がおかしいんだ?」
私は突然真顔で訊ねて来るバベッチに対し、萎縮してしまう。
直後だった、バベッチは一瞬で私との距離を詰めて来て顔を目の前まで近付けて来た。
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私は身体が萎縮したせいか、動く事が出来なかった。
そのままバベッチは私の両肩に手を置いて掴んだ。
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