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第495話 若返り
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――王都メルト魔法学院内、一階通路にて。
エリスは、ロバートの結界魔法にて軽く浮かせられた状態で壁に押し付けられていた。
「ぐっぅ……!」
「……」
何とか脱出しようと試みるも、完全に壁と正面からの結界に押しつぶされており、身動きが取れない状態であった。
ロバートはピクリとも表情を動かさず、口も聞かずエリスを結界で押し殺そうとしていた。
「(ま、まずい……本当に何も出来ない……声すら出せなく……なってきて……る)」
徐々にエリスが苦しみの表情を浮かべ始めると、表情を変えなかったロバートがうっすらと笑う。
その表情をエリスは、苦痛に顔を引きつらせつつ目にし「最低な奴」と思いつつ抵抗を続けていると、突然ロバートが何かに気付き廊下の奥の方へと視線を向けた。
そして何故か自身の前に結界を展開し、防御状態をとるとその直後遠くからロバート目掛け氷の礫が放たれて来たのだ。
ロバートはそれが分かっていたのか、結界を展開していた為全くの無傷であった。
そのまま氷の礫が放たれた方をロバートが見つめていると、こちらに走って向かって来る二人の人影が見えロバートを視界にとらえた所で足を止めると、声を掛けた。
「その子を今すぐ解放しなさい、ロバート・ベンズ」
しかし、その問いかけにロバートは応じずただじっと二人の方を見つめていると、ゆっくりと口を開いた。
「やっぱりお前、ティアだろ? ティア・ムーン。それに隣のお前は、リーリアか? リーリア。メイルか」
ロバートは、目の前にやって来たティアとリーリアに対し何故か初めて会ったかの様な態度をとった。
二人は、既に一度学院内にてバベッチと共にいる場面で遭遇しているはずなのに、どうしてそんな反応をするのか不思議に考えてしまう。
油断を誘う為、わざと何か考えがあってなのかと考えていると、目の前のロバートに思ってもしない変化が起こり始めた。
突然ロバートの見た目が、若返り始め徐々にその面影が昔王都転覆事件時に出会った頃への姿へと変わって行くのだった。
「(どういう事?)」
「(何が起きているの?)」
そして完全に若返ったロバートは声色まで変わっていたのだった。
「いや、懐かしいな。覚えているか、あの日の戦いを? 俺は昨日の様に覚えているよ。って、何か声も身体の調子も変だな」
ロバート自身もそこで自分の身体の異変に気付き、何かを察し小さく呟く。
「バベッチの奴、しくじったか」
「?」
「まあそんな事はどうでもいい。保険が上手く作用した事が大切だ。それにしても、今はあれから何年経った? 二十年くらいか? そうだとしたら、お前ら年齢のわりには若く見えるな」
「……」
「せっかく褒めてやってるのに黙るなよ。俺の中じゃあの日の姿のままだから、魔力を感知して現れたお前らを見て少し困惑したぞ」
そうロバートはまるで、昔のロバートが現代に突然やって来たかの様な態度をとり続けた。
ティアとリーリアはロバートの態度に驚きつつも、仮にそうだと推測をしバベッチとの契約かそれ以外でロバート自らが何か仕組んでこの状況を生み出しているのではないかと考えていた。
「ティア、今あのロバートは最初に会ったロバートと同一人物?」
「いえ、そもそも魔力量が全然違うわ。それもあの日戦ったロバートと類似している。というより、まるでその人よ。途中まで私同様の年齢で年相応のロバートだったけど、今じゃ何から何まであの頃のロバートだわ」
「……そう。それは厄介ね」
二人は気持ちを引き締め直し、戦闘態勢をとるとロバートは二人に対し自身の魔力でプレッシャーを掛け始めた。
それに対し二人は冷や汗が流れるが、初めての経験ではないので退く事なくその場に立ち続けていると、ロバートが小さく鼻で笑う。
「強がるなよ。身体の衰えには勝てないだろ? それにその状態だと、ここに来る前に一戦やって来てるだろ。そんな状態で、昔の全盛期の俺に勝てるわけないだろ」
ロバートはそう口にすると、更にプレッシャーを与える魔力を強めた。
さすがにその魔力に、ティアもリーリアも少し押されてしまう。
一方でその溢れ出る異常な魔力を、一番近くで感じたエリスは抵抗する手の震えが止まらなかった。
「(何、この魔力? 冷たくて怖くて向き合うのも苦しいって思える魔力。こんなの初めて感じた)」
「ん、あーそう言えばこっちもやってたわ」
そこでロバートはエリスの存在に改めて気付くと、今まで押し潰そうとしていた結界を解除すると、少し宙に浮いた状態でエリスを捕らえる様に結界を展開し直した。
結界内に閉じ込めらたエリスは、結界内から声を出すも外には一切聞こえていないのだった。
「別にこんなの必要ないが、とりあえず人質とさせてもらうよ。何だか大切そうにしている様だし、返して欲しければ俺と戦って奪ってみろよ」
「っ……とりあえずの人質? 本当に貴方はあの時から変わらないわね」
「相手をムカつかせて、手段なんて選ばない、人の心も弄ぶ。あいつはそういう男でしょ、ティア」
「そうそう。よく分かってるじゃないか、ティア、リーリア」
見下すような笑みを見えるロバートに、ティアは不快な表情で睨み、リーリアも睨みつけた。
「それじゃそろそろ、あの日の続きといこうか!」
そんな掛け声と共にロバートは片腕を勢いよく突きあげると、ティアとリーリアをそれぞれ閉じ込めようと真下から結界を展開させる。
しかし、二人もロバートの手口は知っていた為、すぐに反応し後退してかわすとそのままロバート目掛け、氷魔法と風魔法を互いに息を合わせて放つ。
放った魔法は互いに干渉し、合わさってロバートへと向かう。
ロバートは一度防いだ様に結界を展開し防ぐかと思われたが、途中までその動作をした所で何かを思いたのか動きを止め、突然飛び合上がって二人の魔法をかわす。
そして放たれた魔法は、ロバートの背後に浮いていたエリスが閉じ込められた結界に直撃すると、結界に閉じ込めれたエリスは突然の事に、両手を前に出して防ぐ姿勢を咄嗟にとっていた。
その光景を目にしティアは驚いてしまう。
だが、直撃した結界が破壊される事はなく、エリスも無事でありティアは安堵の息をついた。
「どうだ、驚いたか? もし俺が結界解除もしくは、強度を落としていたら今の魔法でこの子は重傷を負っていたかもしれないな。魔法を放つ先は考えましょうねって、習わなかったのか?」
ロバートは飛び上がって回避した後、エリスを閉じ込めている結界の上に降り立ち、結界をコンコンと叩きながら二人の方を見つめた。
「ロバート!」
「ティア、むやみに攻撃し――」
リーリアが止めようとしたが、既にティアはロバートに向け氷魔法を連発で放ち始める。
しかし、ロバートはティアを嘲笑いながら結界で防いだり、余裕な表情でかわし続けティアをあおり続ける。
「腕が落ちたな、月の魔女。昔はもっと凄かったろ? どうした、どうした全然当たらないぞ~ほらほら、よ~く狙って狙って」
「こっのーー!」
ティアは次にロバートが降り立つ場所を予測し、そこ目掛け鋭く高威力で創り出した氷柱を放った直後、リーリアがティアの名を叫ぶ。
「ティア止めろ! 忘れてたのか、あいつの結界は反射も出来る!」
「っ!」
「もう遅いよ。さすがにこれだけ鋭い氷柱だと、俺の結界でも耐えられないだろうな」
気付いた時には既に魔法を放っており、ロバートも反射可能な結界を展開し、反射方向をエリスへと向けるのだった。
そしてエリスの放った魔法はロバートの結界に反射し、勢いよくエリスの結界へと跳ね返される。
「月の魔女リーリア、敵に放ったはずの魔法で女子学院生を殺害。これは衝撃的だな!」
ティアは自分が一時の感情に流され視野が狭ばった事を悔いつつ、自らの魔法を破壊または方向を変えようとすぐに魔法を使用するも、ロバートが目の前に結界を展開し妨害した。
一方でリーリアは、エリスを守ろうと先に動いておりエリスの放った魔法目掛けて、自らの炎魔法を放つ。
が、それすらもロバートはティアへ展開させた結界の延長線上で結界を伸ばし、防ぐ。
「(ぐっ! こんな所まで伸ばせるのか)」
「さあ、見届けよう。彼女の命が消える瞬間を」
そして氷柱がエリスの結界へと直撃する寸前だった。
氷柱の真下の地面が槍の様に盛り上がり、氷柱をピンポイントに串刺し氷柱は結界を破りエリスの目と鼻の先で止まった。
「!?」
二人が驚いているなかで、ロバートは小さくため息をつく。
「せっかくいいところだったのによ。誰だよ、邪魔した奴はよ?」
「私よ、ロバート」
そう声を出し、リーリアとティアの背後にやって来たのはマイナであった。
エリスは、ロバートの結界魔法にて軽く浮かせられた状態で壁に押し付けられていた。
「ぐっぅ……!」
「……」
何とか脱出しようと試みるも、完全に壁と正面からの結界に押しつぶされており、身動きが取れない状態であった。
ロバートはピクリとも表情を動かさず、口も聞かずエリスを結界で押し殺そうとしていた。
「(ま、まずい……本当に何も出来ない……声すら出せなく……なってきて……る)」
徐々にエリスが苦しみの表情を浮かべ始めると、表情を変えなかったロバートがうっすらと笑う。
その表情をエリスは、苦痛に顔を引きつらせつつ目にし「最低な奴」と思いつつ抵抗を続けていると、突然ロバートが何かに気付き廊下の奥の方へと視線を向けた。
そして何故か自身の前に結界を展開し、防御状態をとるとその直後遠くからロバート目掛け氷の礫が放たれて来たのだ。
ロバートはそれが分かっていたのか、結界を展開していた為全くの無傷であった。
そのまま氷の礫が放たれた方をロバートが見つめていると、こちらに走って向かって来る二人の人影が見えロバートを視界にとらえた所で足を止めると、声を掛けた。
「その子を今すぐ解放しなさい、ロバート・ベンズ」
しかし、その問いかけにロバートは応じずただじっと二人の方を見つめていると、ゆっくりと口を開いた。
「やっぱりお前、ティアだろ? ティア・ムーン。それに隣のお前は、リーリアか? リーリア。メイルか」
ロバートは、目の前にやって来たティアとリーリアに対し何故か初めて会ったかの様な態度をとった。
二人は、既に一度学院内にてバベッチと共にいる場面で遭遇しているはずなのに、どうしてそんな反応をするのか不思議に考えてしまう。
油断を誘う為、わざと何か考えがあってなのかと考えていると、目の前のロバートに思ってもしない変化が起こり始めた。
突然ロバートの見た目が、若返り始め徐々にその面影が昔王都転覆事件時に出会った頃への姿へと変わって行くのだった。
「(どういう事?)」
「(何が起きているの?)」
そして完全に若返ったロバートは声色まで変わっていたのだった。
「いや、懐かしいな。覚えているか、あの日の戦いを? 俺は昨日の様に覚えているよ。って、何か声も身体の調子も変だな」
ロバート自身もそこで自分の身体の異変に気付き、何かを察し小さく呟く。
「バベッチの奴、しくじったか」
「?」
「まあそんな事はどうでもいい。保険が上手く作用した事が大切だ。それにしても、今はあれから何年経った? 二十年くらいか? そうだとしたら、お前ら年齢のわりには若く見えるな」
「……」
「せっかく褒めてやってるのに黙るなよ。俺の中じゃあの日の姿のままだから、魔力を感知して現れたお前らを見て少し困惑したぞ」
そうロバートはまるで、昔のロバートが現代に突然やって来たかの様な態度をとり続けた。
ティアとリーリアはロバートの態度に驚きつつも、仮にそうだと推測をしバベッチとの契約かそれ以外でロバート自らが何か仕組んでこの状況を生み出しているのではないかと考えていた。
「ティア、今あのロバートは最初に会ったロバートと同一人物?」
「いえ、そもそも魔力量が全然違うわ。それもあの日戦ったロバートと類似している。というより、まるでその人よ。途中まで私同様の年齢で年相応のロバートだったけど、今じゃ何から何まであの頃のロバートだわ」
「……そう。それは厄介ね」
二人は気持ちを引き締め直し、戦闘態勢をとるとロバートは二人に対し自身の魔力でプレッシャーを掛け始めた。
それに対し二人は冷や汗が流れるが、初めての経験ではないので退く事なくその場に立ち続けていると、ロバートが小さく鼻で笑う。
「強がるなよ。身体の衰えには勝てないだろ? それにその状態だと、ここに来る前に一戦やって来てるだろ。そんな状態で、昔の全盛期の俺に勝てるわけないだろ」
ロバートはそう口にすると、更にプレッシャーを与える魔力を強めた。
さすがにその魔力に、ティアもリーリアも少し押されてしまう。
一方でその溢れ出る異常な魔力を、一番近くで感じたエリスは抵抗する手の震えが止まらなかった。
「(何、この魔力? 冷たくて怖くて向き合うのも苦しいって思える魔力。こんなの初めて感じた)」
「ん、あーそう言えばこっちもやってたわ」
そこでロバートはエリスの存在に改めて気付くと、今まで押し潰そうとしていた結界を解除すると、少し宙に浮いた状態でエリスを捕らえる様に結界を展開し直した。
結界内に閉じ込めらたエリスは、結界内から声を出すも外には一切聞こえていないのだった。
「別にこんなの必要ないが、とりあえず人質とさせてもらうよ。何だか大切そうにしている様だし、返して欲しければ俺と戦って奪ってみろよ」
「っ……とりあえずの人質? 本当に貴方はあの時から変わらないわね」
「相手をムカつかせて、手段なんて選ばない、人の心も弄ぶ。あいつはそういう男でしょ、ティア」
「そうそう。よく分かってるじゃないか、ティア、リーリア」
見下すような笑みを見えるロバートに、ティアは不快な表情で睨み、リーリアも睨みつけた。
「それじゃそろそろ、あの日の続きといこうか!」
そんな掛け声と共にロバートは片腕を勢いよく突きあげると、ティアとリーリアをそれぞれ閉じ込めようと真下から結界を展開させる。
しかし、二人もロバートの手口は知っていた為、すぐに反応し後退してかわすとそのままロバート目掛け、氷魔法と風魔法を互いに息を合わせて放つ。
放った魔法は互いに干渉し、合わさってロバートへと向かう。
ロバートは一度防いだ様に結界を展開し防ぐかと思われたが、途中までその動作をした所で何かを思いたのか動きを止め、突然飛び合上がって二人の魔法をかわす。
そして放たれた魔法は、ロバートの背後に浮いていたエリスが閉じ込められた結界に直撃すると、結界に閉じ込めれたエリスは突然の事に、両手を前に出して防ぐ姿勢を咄嗟にとっていた。
その光景を目にしティアは驚いてしまう。
だが、直撃した結界が破壊される事はなく、エリスも無事でありティアは安堵の息をついた。
「どうだ、驚いたか? もし俺が結界解除もしくは、強度を落としていたら今の魔法でこの子は重傷を負っていたかもしれないな。魔法を放つ先は考えましょうねって、習わなかったのか?」
ロバートは飛び上がって回避した後、エリスを閉じ込めている結界の上に降り立ち、結界をコンコンと叩きながら二人の方を見つめた。
「ロバート!」
「ティア、むやみに攻撃し――」
リーリアが止めようとしたが、既にティアはロバートに向け氷魔法を連発で放ち始める。
しかし、ロバートはティアを嘲笑いながら結界で防いだり、余裕な表情でかわし続けティアをあおり続ける。
「腕が落ちたな、月の魔女。昔はもっと凄かったろ? どうした、どうした全然当たらないぞ~ほらほら、よ~く狙って狙って」
「こっのーー!」
ティアは次にロバートが降り立つ場所を予測し、そこ目掛け鋭く高威力で創り出した氷柱を放った直後、リーリアがティアの名を叫ぶ。
「ティア止めろ! 忘れてたのか、あいつの結界は反射も出来る!」
「っ!」
「もう遅いよ。さすがにこれだけ鋭い氷柱だと、俺の結界でも耐えられないだろうな」
気付いた時には既に魔法を放っており、ロバートも反射可能な結界を展開し、反射方向をエリスへと向けるのだった。
そしてエリスの放った魔法はロバートの結界に反射し、勢いよくエリスの結界へと跳ね返される。
「月の魔女リーリア、敵に放ったはずの魔法で女子学院生を殺害。これは衝撃的だな!」
ティアは自分が一時の感情に流され視野が狭ばった事を悔いつつ、自らの魔法を破壊または方向を変えようとすぐに魔法を使用するも、ロバートが目の前に結界を展開し妨害した。
一方でリーリアは、エリスを守ろうと先に動いておりエリスの放った魔法目掛けて、自らの炎魔法を放つ。
が、それすらもロバートはティアへ展開させた結界の延長線上で結界を伸ばし、防ぐ。
「(ぐっ! こんな所まで伸ばせるのか)」
「さあ、見届けよう。彼女の命が消える瞬間を」
そして氷柱がエリスの結界へと直撃する寸前だった。
氷柱の真下の地面が槍の様に盛り上がり、氷柱をピンポイントに串刺し氷柱は結界を破りエリスの目と鼻の先で止まった。
「!?」
二人が驚いているなかで、ロバートは小さくため息をつく。
「せっかくいいところだったのによ。誰だよ、邪魔した奴はよ?」
「私よ、ロバート」
そう声を出し、リーリアとティアの背後にやって来たのはマイナであった。
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