とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第501話 国王の我儘

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 王都メルト魔法学院内でマイナやデイビッドの辞職騒動や今後の方針会議が行われた翌日、王都ではハンス国王から今回の事件について公の場にて今後の話しが行われた。
 場所は王城内にて行われ、王城内に入れない人に対しても王都内全域に放送にて映像付きでそれは行われた。
 警備に関しては王国軍が厳重態勢が行い、暴動が起きないように目を光らせており隊長格のメンバーが会場、王城周辺、王都各所を担当するのだった。
 会場にはハンス国王、ティア王女はもちろん端に第一王子オービン、第二王子ルーク、そして大臣らと重鎮となっているメンバーも全員姿を現していた。
 更には各地より交流のある貴族に役人らなどもやって来ていた。
 そして開始の定刻となり、ハンスが前に出てまずは王都に暮らす皆に恐怖を与えてしまった事、事件を未然に防げなかった事をまずは謝罪し始めるのだった。

 ハンスはそのまま事前に公表させていた今回の王都襲撃事件について、改めて直接説明をした。
 主犯格であるバベッチとの関係から、二十年前以上にこの王都を襲撃したロバートとの因縁も話したのだった。
 王都の皆がその話を聞き、驚く人もいれば特に反応もせずに聞く人、怒る人陰口を叩く人と各地で様々な反応が出る。
 同情を誘おうとしてそんな話をしているんじゃないか、周囲に伝えなかったからこんな事になったんだ、王失格だやめちまえなどと映像放送を見ながら口にする人らに対し別の人らが言い過ぎだ、これまでの王の功績を忘れたのかと小競り合いが始まっていた。
 そんな小競り合いも警備に当たる王国軍が発見し仲裁に入るも、仲裁に来た王国軍に対し飛び火し大きくなりかけるも隊長格の者がきっぱりと自らの使命や誰に仕え、誰の為に行動しているかと口にし小競り合いを止め離れて行くのだった。
 王城外でそんな事が起きていても会場では引き続きハンスが話し続けていた。
 事件の詳細などについては話終わると、そのまま今後の王都に関しての話を始めた。

「まず最初に、私ハンス・クリバンスは今回の責任を負い王の座を退きます」

 その発言に皆に大きな衝撃を与えた。
 既に王城内のメンバーは事前に知らされ話し合いを何度もして来た結果であった為、驚く事はしていなかった。
 だが、他の人々は違い王の突然の退き宣言でパニックを起こしていた。
 王がいなくなってこの王都はどうなるのか? 次の王は誰になる? 突然辞めるなんて自己満足過ぎる! 身勝手だ! 責任は辞めれば取れるもんじゃない! などと各所で声が上がる。
 が、ハンスはそんな事分かっていてそう宣言しており、ただ辞めるまでではなくその後の事も決めていた。

「私が辞めれば全て丸く収まる訳でないのは分かっております。ですが、ここまでの事件を招いた責任は情報共有や私の考えの甘さが招いた結果だと考えています。そんな者がいつまでも王として居るべきではないと判断し、皆とも何度も話し合い受け入れてもらいました」

 ハンスの言葉に大臣らは小さく頷いた。

「ですが、まず誤解しないでいただきたい。私は今すぐ王の座を降りる訳ではありません。次期王も育てず、次期王に皆様を放り投げはしません。ここからは、私の我儘になります」

 そう口にしてハンスは、二つの我儘を王都の皆に対して伝えた。
 まず一つ目は、王を退くまでに三年の猶予を欲しいというものである。
 これは現在行っている業務を最後までやり遂げる為である事と、後継者である次期王の育成期間としたいという事であった。
 三年後には次期王と入れ替わる様にし、ハンスは王の座を退くと伝える。
 更には現時点で計画している三年のスケジュールまでも公開し、どの様な業務がありどんな後継者育成を行うのかを説明した。
 当初その説明までは不要だと大臣らに止められていたが、ハンスの強い要望に押し負け大臣らは渋々容認していた。
 人々からしたら、これを見せられたからだなんだというんだ? どうせこの場だけの物だろ? しったこっちゃない。と思われるのが普通であると大臣らはハンスに進言していたが、ハンスはそれでも押して来たのだった。
 ハンスも人々がそう思うだろうとは考えていたが、自らの覚悟や想いは伝えないと誰にも伝わらない物だと大臣らに言った。
 たとえ人にどんな風に思われても、時間の無駄だと言われも、ハンスがこれから何をし何を考えているかを王都の皆に知っておいてもらいたいという気持ちがあり、伝えたいという事からこんな事をしていたのだった。
 そしてその説明が終わると、そのまま二つ目の我儘を口にした。

 二つ目は後継者である次期王となる者をこの場で紹介したいというものだった。
 ざわつく会場であったが、ハンスはそのまま後継者であり次期王となる人物の方へと視線を向け「こっちへ」と声を掛ける。
 そしてハンスの真横にやって来たのは、第一王子であるオービンであった。
 オービンはそのまま自己紹介を行った後、ハンスがこれまで次期王の決め方は現王が指名して来た経緯や、王の子が女性ならその伴侶となる者であり王に認められた者であると語る。
 今回もそれに乗っ取りハンスは自らの子を次期王として選び、オービンも次期王となる覚悟を持ち今この場に立っていた。

「私の様なまだ若い人間が次期国王というので、皆様は不安に思うかもしれませんが父いえ、国王が先程提示した三年で必ず皆様からにも認められる王となる事をこの場で誓います」

 これまでもオービンは第一王子としての仕事を振られており、全く王都に関わる事をして来なかった訳ではないのである程度の人々は不安に思ってはなく当然の流れだと考えていた。
 そうといってもまだ十代の子供であり、三年しても二十代の始め。
 そんな若者にこの国の王が本当に務まるのかと不安が人々の中には少なからずあった。
 しかし、オービンの発言や雰囲気更にはこれまでの噂などが、人々の不安を少し和らげ期待やとりあえずは見守ってみるかという判断をさせていた。
 その後ハンスは一度オービンを後ろに下げさせ、話の締めに入る。
 話し終えるとハンスたちはそのまま王城内へと戻って行くが、会場に来ていた人々の中にはたまらず声を上げ質問を投げ返る者など、円満な終了はいかず集まった人々も王国軍の指示の下、王城の外へと誘導させられ始めるのだった。
 その翌日から限定的に、ハンスは質問や異議のある者たちに対して決めた時間内のみ対応するとし、王国軍隊長数名と大臣が付きそう中で対話する場が設けられた。
 王都内では不安が残りつつも、人々にも個人の生活もあり、考えているだけ不安になっているだけでは生きてはいけないという思いから、これまで通りの活気のある日常が戻りつつあった。
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