とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第529話 実力試験開始

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 眠っていたアリスは夜中に突然目が覚めるも、寝ボケている状態であった。
 そこからアリスは身体を起こすと、ベッドから降りると机の前の椅子に座り机の上にノートを広げる。
 そのまま無心ペンを持ちノートに何かを書き始め、全てを書き終えるとそのまま机に突っ伏して再び眠りにつくのだった。


 ――数時間後。


 目覚まし時計の音でアリスは再び目を覚ます。
 机で突っ伏して寝ていた為、身体を起こす際に痛みが走る。

「いててて……え? え!? 何で私ここで寝てるの?」

 自分でも何故椅子に座った状態で寝ていたのか全く覚えておらず、困惑していた。
 そんな中机の上に広げっぱなしのノートを見つけ手に取る。
 が、走り書きで文字が書かれており何を書いたのか読み取る事が出来ずにいた。
 目を細めて何とか読み取ろうとするも、読み取る事が出来ずアリスは机に突っ伏してしまう。

「う~何だこれは? 私の字っぽいけど、こんなの書いた記憶ないんだよね。そもそも、ここで寝てた事が不可解過ぎでしょ」

 アリスは昨日自分がベッドで眠りについた事は覚えており、その後から今起きるまでの記憶が特にない為、知らぬ間に寝ボケて椅子に座り何かを書き、そのまま再び寝たのかと推測をする。
 しかし推測した所で本当のところ何がどうなっていたのかは、誰にも分からない為アリスは一旦それについて考えるのをやめる。
 椅子から立ち上がり大きく背伸びをしたまま、身体を軽く左右に揺らす。

「よし! 切り替えろ私、今日は実力試験だぞ。やれるか分からないけど、あいつと勝負出来るかもしれないんだから気合いれてけ」

 身体を動かしながら自分を鼓舞する言葉を口にしていると、扉がノックされタツミの声が聞こえてくる。

「朝から元気だなアリス」
「なんせ実力試験の日ですからね。気合いも入りますよ」

 タツミは部屋の扉を開け、持って来た朝食のトレイをアリスに渡す。
 その時机の上に広げていたノートがタツミの目に入る。

「(本当に朝から熱心だな)」

 タツミは今日の試験に対しての何かだと勝手に思い込み、追求などはせず今日の試験の流れを伝え始める。
 朝食から二時間後に部屋を出発し、実力試験会場であるグラウンドに向かう。
 グラウンド到着時には既に各クラスで試験は開始になっているが、その場所で特別形式での試験実施を行うと告げられる。
 本来今回の実力試験は、クラスごとに四から五チームに分かれ総渡りの対戦をしていくのだがアリスは今回どの枠にも入らず、決められた相手と対戦する形式に決まったのだった。

「決められた相手は先生方が決めたのですか?」
「教員と学院長に副学院長、それにオービンら寮長・副寮長で対戦相手を決めたらしい。俺はその場にいないから詳しくは知らないが、四人と対戦するらしいぞ」
「四人、ですか」

 アリスは誰と対戦する事になるのかと想像し始める。

「詳しくは向こうで担当教員らから説明があるから、そこで聞いてくれ」
「分かりました」

 その後改めて部屋に来る時間を伝え終わるとタツミは部屋を後にする。
 アリスは朝食を食べ終わった所で、ふと机に開きっぱなしにしていたノートに意識が向く。
 なんでか気になるんだよな、これ。
 どうしよう……まだ時間もあるし気になったまま試験に集中出来ないと嫌だから、もう一度寝ボケていた私が何を書いたか読み取ってみよう。
 試験に向け不安材料を残したくないという気持ちから、再びアリスはノートに書いた文字の解読を始めるのだった。


 ――オービン寮のリビング兼食堂にて。


「おうルーク、大丈夫か?」

 そう声を掛けて来たのは、先にリビング兼食堂に来てゆっくりしていたトウマであった。

「ああ。もう大丈夫だ、迷惑かけた」
「それならよかった」

 すると遠くからリーガとライラックがトウマに自分らの水を持って来て欲しいと声を掛ける。
 トウマは二人に対し「分かったよ」と大きな声で返事をし、ルークから離れて行く。
 それから朝食を受け取ったルークが空いている席に座り食事をしていると、トレイを戻しに行くガウェンがルークを見かけ前に座る。
 そして目の前に小さな箱を置いた。

「これ、昨日の夜に頼まれた物だ」
「コロコロ変わって悪いな、ありがとうガウェン」
「いや構わないよ。元々やるつもりで準備はしていたしな」

 ルークは置かれた箱を手にし中身を確認すると、そこには二つの指輪型魔道具が入っていた。
 現在している指輪型魔道具を外し、ルークは箱に入ったいた物に付け替え魔力の流れなどを確認する。

「何か問題はあるか?」
「いや、完璧だよガウェン。今まで以上に馴染んでる感覚だ」
「それならよかった。それと余計なお世話かもしれないが、昨日のあの時一番最初に名乗り出たのはああなると知ってたからか?」
「そんな訳ないだろ」

 ルークの返事に対しガウェンは「そうか」とだけ口にし、席から立ち上がる。

「まだ試験時間まであるし、気になる所があったら見てやれるから言ってくれ」
「ああ」

 そうしてガウェンは立ち去って行き、ルークはその後黙々と食事をし続けるのだった。


 ――最終期末試験二日目の実力試験開始一時間前。
 ――グラウンドにて。


 各寮ごとに指定された場所に集まり始めており、各々試験に向けた調整をしたり雑談をしたりしていると教員らがグラウンドに到着する。
 教員らは担当している寮のクラスごとに生徒らを集合させ、出席や体調などの確認をし始める。

「よし、全員いるな。試験に関する説明は事前にしている通りだ。一チーム五名で四チームのリーグ内総渡り戦。四試合の結果がそのまま実力試験の点数に変換される」

 既にチーム分けは前日の学科試験結果から、教員らの方で振り分けがされておりその点に関しては第一期期末試験時と同様であった。
 試合の勝者側に点数とチーム内順位でも点数が入りその合計点で実力試験の総合点数が決まる。
 ルークたちはそれから割り振られたチームごとに分かれ、対戦順をくじ引きで決めて行く。

「げっ、初戦にベックスとか。きついな」
「骨はしっかり拾ってやるぞトウマ」
「変な事言うんじゃねぇよシンリ」
「大丈夫心配するなトウマ、死にはしないから」
「ベッスクも変に真に受けるな!」

 トウマがチーム内メンバーと騒いでいる一方でルークもチーム内で対戦順が決まる。

「まさか初戦で当たるとね、ルーク」
「シン、手加減なんてしないで全力で行くぞ」
「そうでなきゃ僕が悲しいよ。僕も全力でぶつかりにいくよ」

 シンがルークに拳を向けると、ルークもその拳に対し自身の拳を突き合わせるのだった。
 その後複数名の教員らがグラウンドに魔道具で結界を張り対戦場を創り上げ、審判役以外の教員は異常時に対応出来る様に付近に待機した状態で実力試験開始の合図がグラウンド中に鳴り響くのであった。
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