とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

文字の大きさ
531 / 564

第530話 騒ぎの原因

しおりを挟む
 ――王都メルト魔法学院の地下。
 ――過去の遺跡を改造し現在ダンジョンとしている場所の一室ににて。

「こうして他学院の試験を見るのは初めてで新鮮ですね」
「まさか対抗戦以外で集まることがあるとは思っていませんでしたよ」
「各学院長の方々、本日はわざわざ足を運んでいただきありがとうございます」

 マイナが深々と頭を下げると、後方で待機している副学院長のデイビットも頭を下げた。
 その場に集まっていたのは、マイナの呼びかけに答えてくれた四つの魔法学院の代表者たちであった。
 シリウス魔法学院長ヘンネル、バーグベル魔法学院長ジニッシュ、クレイス魔法学院長フレイ、ネアルガ魔法学院長クォーガンが一堂に会していた。

「にしても試験もそうですが、学院の地下がこんなになっているとは驚きでしたよ」
「遺跡をダンジョンにするなんてね、大掛かりな事をしましたね」

 学院長らがそう談笑するのをマイナやデイビッドが対応している部屋の後方には、学院長の護衛としてやって来た各学院の最高戦力者たちが立っていた。

「いや久しぶりにここに入ったけど、結構変わってて驚きだわ。こんな部屋があって、映像で外の状況見れるとか凄すぎでしょ。うちにはこんなのないよな二コル?」
「リーベスト、そわそわし過ぎだ。今回はヘンネル学院長の護衛も担ってここに来てるんだ。その自覚を持て」
「そう言われてもな、俺らはおまけみたいなものだろ? 教員らもいるし、もしもの時は補助要員としてだしさ」
「そうだとしても緊張感をな」
「二コル。そのおしゃべり騎士にそんな事言っても意味ないよ」

 そう口を挟んで来たのはバーグべル魔法学院のゼオンであった。

「言うねぇ~坊ちゃん」
「本当におしゃべり好きが治りませんね。少しは短所だと理解した方がいいですよ」
「あははは! 坊ちゃんのくせに一端のことを言うじゃねぇか」
「いつまでも口だけ達者だと、足元すくわれますよおしゃべり騎士さん」
「ほ~よし。外に行こうじゃねえか、ゼオン」

 リーベストの言葉にゼオンも無言で付いて行こうとすると、ゼオンの背後から頭目掛けて鋭いチョップが入る。
 ゼオンはその場で頭を抑えながらしゃがみ込み、振り返るとそこには笑顔のリオナが立っていた。

「リ、リオナ……」
「ゼオン。貴方も自覚がないのかしら? ここに来たのは喧嘩しに来た訳じゃないわよね?」
「っ……は、はい」
「あら、分かっていてさっきみたいなことをしたの?」
「いや、それは、その」
「何かしら? はっきりと言ってくれる?」
「えっと……すいませんでした」

 リオナの無言の圧でゼオンが完全に言いくめられると、リオナはそのままリーベストの方へと視線を向ける。

「リーベストさん、貴方も貴方です。うちのゼオンも悪かったですが、先程の様な行動は控えてください」
「たしかにいつものノリになっちまったが、あんなになったら止められないよ」
「止めてください」

 リーベストもリオナの笑顔の圧には押し負けて素直にいうことを聞くのだった。
 二コルは自分の仕事なのに代わりに色々とやらせてしまった事をリオナに謝り、互いに似た様な苦労をしている物同士少し会話が弾む。
 そんな中リーベストはゼオンに近付き、リオナの怖さを小声で語り始める。

「皆さんのは、対抗戦から変わらず仲がよろしいですわね」
「マーガレットさん」
「お久しぶりですわね、リオナさん。それに二コルさん」

 クレイス魔法学院のマーガレットもこの場に来ており、リオナたちに挨拶をする。
 そしてその背後にネアルガ魔法学院からやって来た生徒もおり、同じ様に挨拶をすませるとスッと定位置に戻って行く。
 話すのが苦手でただ突っ立て人の話を聞いているのは邪魔になると伝え、戻ったのであった。

「気になさらずともいいですのに」
「対抗戦後のパーティーでも挨拶だけでしたし、性格などもありますし無理に居させる必要はないですよ」
「何だか仲間外れにしている気になるのですわよね」
「リオナさんの言う通り、強要する訳にもいきません。彼もそれに対して不快感を感じている訳ではないようですし」
「そうですわね。気にし過ぎる事が必ずしもいい訳ではありませんものね」

 するとそこへ扉が開き、二人の王都メルト魔法学院の学院生が部屋に入って来るとリオナたちに気付き声を掛けた。

「リオナ、二コル久しぶりね。あれ、マーガレットまでいるなんて意外ね」
「っエリス!」

 そこへ現れたのはミカロスとエリスであった。
 早速マーガレットがエリスにつっかかり始め、エリスがその対応をしている中ミカロスがリオナたちに挨拶をする。

「久しぶりですリオナさん、二コルさん」
「お久しぶりです、ミカロスさん。もしかしてミカロスさんらも私らと似た様な事でこちらに?」
「はい。本来なら俺ではなくオービンがここに来るはずだったんですが、ご存じだと思いますがオービンにも色々とありまして」

 ミカロスの言葉にリオナと二コルは頷く。
 するとエリスはマーガレットの相手が終わり合流してくるが、すぐにマーガレットも加わって来る。

「それであの二人は何であんな小さくなっているの?」
「ああ、それはですね」

 と二コルが説明を始め、久しぶりに再会した仲間たちは少しばかり話に花を咲かせるのだった。
 一方その頃グラウンドでは、順調に実力試験が進んでいた。

「やっぱり負けるのは悔しいな」
「いい勝負だったよ、シン」

 そうルークは口にしシンと軽く握手を交わすと対戦場から一足先に出て行く。
 シンは二戦目も引き続きある為、対戦場内で暫く休憩し始める。
 待機場所にルークが戻り水分補給をしていると、トウマが「疲れた~」と口にし近くで大の字に倒れ込む。

「かなりへばっているなトウマ」
「いや~初戦がベックスでよ、何とか応戦したんだが勝てんかったんだよ。初戦から飛ばし過ぎた」
「休憩があるからといって、完全回復まではしないからな。そこはしっかりと調整してやらないと、もたないぞ」
「分かってるんだけどな。第一期の試験の時もそうだけど、どうしても熱が入っていうかこう全力でぶつかりたいくなるんだよな~」

 寝そべっているトウマに対しルークはその言葉だけには共感したのか「分からなくはない」と口にする。
 その後各対戦場にて二戦目が開始し始め、ルークたちは待機場所でそれを眺めながら雑談をしていると、遠くの方で何やらざわつき始めルークたちもそちらに視線を向ける。

「何だ? 凄い試合でもやってるのか?」
「そうだとしても、視線の方向が対戦場側じゃないよな」

 シンリとマックスはそういって、ざわついている方へと向かって行く。
 他にも気になる人だけが向かって行くが、ルークとトウマはその場から動かずただただその方向を見つめる二人はその原因が何なのか既に知っている様な表情をしていた。
 そしてその騒ぎの原因は、アリスが試験会場にタツミと共に姿を現したからであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

男女比8対1の異世界に転移しました、防御力はレベル1です

オレンジ方解石
恋愛
 結婚式の最中に、夫に他の女と逃げられた花嫁、水瀬透子。  離婚届けを出す直前に事故で瀕死となった彼女は、異世界の女神から『妾と取り引きするなら、助けてやろう』と持ちかけられる。  異世界の《世界樹》の《種》を宿す《仮枝》となった透子は、女神の世界に連れて行かれ、二年を過ごすこととなった。  そこは男女比が8対1という偏った世界であり、女性が《四気神》と呼ばれる守護者に守られる世界。  女神とはぐれた透子は、そこで美形の青年、紅霞に助けられるが……。 ※追記の追記を少し直しました。

異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。

和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……? しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし! 危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。 彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。 頼む騎士様、どうか私を保護してください! あれ、でもこの人なんか怖くない? 心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……? どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ! 人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける! ……うん、詰んだ。 ★「小説家になろう」先行投稿中です★

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜

矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】 公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。 この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。 小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。 だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。 どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。 それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――? *異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。 *「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

処理中です...